著者
伊藤 詩織 北村 勝朗
出版者
日本スポーツパフォーマンス学会
雑誌
スポーツパフォーマンス研究 (ISSN:21871787)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.9-23, 2023 (Released:2023-03-16)
参考文献数
25

女性競技者の月経に対する支援自体は存在するが,利用につながっていない点,支援を受けていると感じられていない点が課題として挙げられる.女性競技者の月経に対する考え方やその視点から見える環境などを詳細に聞き取り,知ることが重要と考えられるため,本研究では,女性競技者の月経に関わる現象を聞き取り,探求することを目的とする.経験や認知,行動といった現象を探求する目的で半構造化インタビューを実施し,個別性を明らかにするため,1 名を対象に深く考究する.質的データ分析方法に基づいた分析の結果,女性競技者と月経との関係性は,【パフォーマンスに必要な身体感覚】【試合に被って欲しくない月経】【自分に合った月経サポートが見つからない】および【競技における信念】の4 つのカテゴリーによって示された.月経に関するさまざまな経験をすることで,女性競技者の各カテゴリーは循環するように互いに影響を及ぼし合い,信念や対処方法を変化させていく点が推察された.競技者に月経という現象がただ付随しているのではなく,月経があることで生じる競技者特有の問題が生じ,競技生活を送る個人の思考や感覚,人間関係の中全体に月経が存在していることが見出され,困難や葛藤,対処が生じている点が見出された
著者
中谷 秋桜 向江 駿佑
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集 第12回 年次大会 (ISSN:27586480)
巻号頁・発行日
pp.59-62, 2022 (Released:2023-03-20)
参考文献数
9

日本語には多くの人称代名詞が存在し、我々は日常生活で自身の立場や相手との関係によってそれらを使い分けている。ゲーム内のキャラクターが人称代名詞をどのようにもちいるかもまた、各キャラがもつさまざまな属性によって決定される。本研究は2017 年から2021 年に発売された乙女ゲームを対象に、両者の相関関係を検討した。調査にはコレスポンデンス分析をもちい、約500 キャラ分のデータから作成したクロス集計表をもとに、主要男性キャラクターの属性と使用する人称代名詞のパターンを検証した。また、同期間に刊行・公開された女性向け小説のキャラクターの場合と比較した結果、乙女ゲームは小説にくらべ使用される人称代名詞の種類が有意に多いことと、同音であっても漢字やかなの表記がことなる人称代名詞が、独立したものとして別個にキャラの属性の影響を受けることがわかった。
著者
Tomoki WATANABE
出版者
Railway Technical Research Institute
雑誌
Quarterly Report of RTRI (ISSN:00339008)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.5-10, 2000 (Released:2007-10-03)
被引用文献数
1 2

Inverters have made a great progress due to the development of power semiconductors. Smaller power convertors offer larger passenger rooms and higher productivity. Convertors on-board can be much smaller if we utilize 3.3 kV or 4.5 kV IGBTs and two-level convertors instead of three-level ones. Smaller loss and smaller harmonics are always expected for convertors to enable self-cooling and avoid additional measures for EMC requirements.If 10-40 kV power semiconductors are available, it may be possible to realize transformerless railway vehicles for the 25 kV ac system by assigning convertors with the role of the main transformer in the traction circuit.
著者
神野 巧矢 山口 隆司 浅野 貴弘 伊川 嘉昭 小山 雅己 水内 將司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00119, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
15

既設鋼橋の性能回復・向上を目的に,高力ボルト摩擦接合を用いて鋼部材を付加する当て板補修・補強が行われている.本研究では,曲げを受けるI桁下フランジ当て板補修・補強部の荷重伝達区間に着目し,当て板厚やボルト間隔がそれに及ぼす影響を明らかにするため完全弾塑性解析を実施した.また,部分欠損補修における当て板の配置が補修効果に及ぼす影響を検討した.結果,荷重伝達区間は,当て板厚およびボルト間隔が小さいほど短縮された.また,ボルト間隔が小さいほど結果的に荷重伝達区間に必要なボルト本数が増加するため,すべりを生じた本数は減少した.本解析の部分欠損補修では,当て板を片側に1枚とするのではなく,2面摩擦として両側に当て板厚が半分の当て板を2枚とすることで荷重伝達区間を短縮でき,欠損部の応力をより低減できた.
著者
提嶋 浩文 曽田 武史 松本 浩実 射塲 靖弘 尾崎 まり 萩野 浩
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0265, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】高齢者は転倒すると骨折に至る危険性が高いことが知られている。要介護の約10%は骨折,転倒に起因するものであり,転倒危険因子を調査することは,転倒予防の観点からも重要である。転倒要因は,内的要因,外的要因に区別される。内的要因には筋力やバランスなど身体機能に関するもの,転倒歴などが含まれ,これらに関する先行研究は散見される。一方,外的要因には履物や環境整備等が挙げられる。履物に関する研究において,一般的にスリッパは靴と比較して転倒率が高いとされているが,動作時のスリッパと靴の違いを比較,検討した報告は多くはない。今回の目的は靴とスリッパの違いが歩行に与える影響を3軸加速度計と表面筋電図を使用して分析し,転倒との関係性を検討することである。【方法】対象は整形疾患,中枢疾患の既往のない健常人15名(男8名,女7名,年齢23.8±1.7歳,身長166.2±8.1cm,体重56.5±7.4kg)とした。市販の靴とスリッパを使用し,裸足で着用した。歩行加速度の分析には3軸加速度計MVP-RF8-BC(MicroStone社),歩行時の筋活動の分析には表面筋電図Bagnoli-8 EMG System(Delsys社)を使用した。全被験者に対して14mの自由歩行を練習1回,測定を2回実施し,いずれも2回目のデータを採用した。また前後2mを除く,中間10mの歩行時間も計測した。3軸加速度計はベルトにて第3腰椎棘突起部に設置し,前後,左右,上下3軸の体幹加速度を測定した。得られた加速度信号の波形を無作為に1000個のデータを選択し,Root Mean Square(RMS)にて解析を行い,歩行速度に依存するため,速度の二乗で除した。また,無作為に10歩行周期のデータを選択し,Auto Correlation(AC),Coeffecient of Variance(CV)にて解析を行った。表面筋電図は右側の前脛骨筋,内側腓腹筋を測定筋とし,フットセンサーを踵部に設置し,筋電図と同期させた。得られた筋電図波形から,歩行時の立脚期,遊脚期の筋電位平均を求め,最大随意収縮時の筋電位で(MVC)で除して,最大筋力に対する活動の割合(%MVC)を算出した。統計分析は対応のあるt検定を用い,有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に沿って,被験者には研究の目的および方法を説明し,理解と同意を得た。【結果】歩行速度の平均は靴1.31±0.1m/sec,スリッパ1.25±0.1m/secと有意差が認められた。歩行時の動揺性の指標となるRMSは左右成分で靴0.68±0.13に対してスリッパ0.79±0.17,上下成分で靴1.27±0.26に対してスリッパ1.37±0.27とスリッパが有意に高値となった。歩行の規則性の指標となるACは1歩行周期間の分析では前後成分で靴0.65±0.08に対してスリッパ0.59±0.12とスリッパが有意に低値となった。1歩行周期時間の変動率を示すCVは靴2.52±0.62,スリッパ3.03±0.87とスリッパが有意に高値を呈した。歩行時の立脚相,遊脚相における内側腓腹筋,前脛骨筋の%MVCは両群間に有意差を認めなかった。【考察】スリッパは靴と比較して左右,上下方向のRMSが高値となった。RMSが大きくなると動揺性が大きくなり,不安定な歩容になると報告されている。靴と比較してスリッパは側方の支持性が乏しく,片脚支持期の安定性の低下につながり,体幹加速度の動揺性が増大したことが考えられる。また,スリッパでは前後方向へのACは低値を示し,また1歩行周期時間の変動率を示すCVに関してもスリッパが高値を呈した。スリッパは規則性の低下を示す結果になったと考えられる。高齢者に関してCVは転倒群で有意に高値を呈し,転倒のリスクを推測する評価方法として有効であると報告されている。以上のことから履物の違いは歩行速度や歩行時の安定性,リズムに影響を及ぼすことが示唆された。高齢者の転倒は歩行中に生じやすく,歩行の規則性,安定性の低下は転倒につながることが多く,さらに加齢に伴う身体機能の低下,合併症の存在,バランスを崩した際の代償機構の破綻があるとよりスリッパ着用時の転倒リスクが高くなることが考えられる。しかしながら,本研究は若年成人を対象としており,加齢や運動機能の程度によって履物の違いがどれほど影響するのか,さらに検討する必要があると考えられる。【理学療法学研究としての意義】履物の違いが歩行に与える影響を転倒との関連性について検討した。転倒の原因である外的要因に関する転倒リスクを明確にし,転倒予防の啓発につながることが考えられる。
著者
成田 大一 尾田 敦
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0877, 2004 (Released:2004-04-23)

【はじめに】靴は足部を保護するばかりではなく,足部機能を向上させるものであるが,理学療法場面において,前者のほうが優先され,また着脱が容易ということからもバレーシューズを履いている状況が多々見受けられる。そこで靴の選択の第一段階として,足部機能を支持する構造のある紐靴(スポーツシューズ),足部機能を支持する構造があり着脱の容易なマッジクテープの靴,足部機能を支持する構造のないバレーシューズという3つの条件の違いにより運動課題の成績がどのように変化するかを明らかにすることを目的として本研究を行った。【対象および被検靴】健常女性16名の32足を対象とした。被検靴は市販されている22.5cm,23.5cmのスポーツシューズ(某M社製),マジックテープの靴(某P社製),バレーシューズ(某A社製)である。なお足囲サイズはスポーツシューズとバレーシューズはEE,マジックテープの靴はEEEである。【方法】運動課題として,片脚立位での重心動揺集中面積(以下,SD Area)の測定と下肢の機能的運動能力テストであるFunctional Ability Test(以下,FAT)を用いた。SD Areaはアニマ製Gravicorder GS1000のフォースプレート上に上述の3条件にて開眼で片脚立位となり左右別々に測定した。FATは(1)片脚幅跳び,(2)片脚8の字跳躍,(3)片脚横跳び,(4)片脚段差昇降,の4種目からなり,上述の3条件にて行わせた。なおこれら3条件の順番および種目の順番は無作為とした。統計処理は左右32足での3条件におけるSD AreaおよびFATの4種目の成績をTukey検定を用いて比較し,危険率5%未満を有意とした。【結果と考察】SD Areaによる比較では,平均値においてバレーシューズの成績がやや低かったが,有意な差は認められなかった。この結果から,バレーシューズと比較してスポーツシューズやマジックテープの靴は靴底が厚く,足底からの感覚情報のフィードバックの制限が大きいと考えられるが,足部機能を支持する構造を有しているため,足部の能力を発揮させやすく,有意差が現れなかったのではないかと考える。FATによる比較では,全体としてスポーツシューズの成績が最も高かった。この結果はスポーツシューズの足部機能を支持する構造に起因するものと考える。しかし,同じく足部機能を支持する構造を有するマジックテープの靴ではスポーツシューズに比べ,片脚幅跳びと片脚8の字跳躍という前方への強い蹴り出しを必要とする課題において有意に成績が低かった。このことは靴底の摩擦力の違いによるものではないかと推測され,摩擦力を考慮した上で靴を選択していくことの必要性が示唆された。バレーシューズはスポーツシューズと比較して片脚8の字跳躍以外の3種目において有意に成績が低く,またマジックテープの靴と比較して片脚段差昇降において有意に成績が低く,運動には適しているとはいえないと思われた。
著者
浅野 拳斗 宇佐美 勉 葛 漢彬 渡辺 孝一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00098, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
17

2種類のCT形鋼断面の両端ピン支持単一ブレース材11体を用いて,正負交番の繰り返し中心軸および偏心軸載荷実験ならびに解析を行った.主要な検証項目は,(1)細長比の大きいブレース材に対する初期横荷重法の適用性,(2)部材座屈と局部座屈の連成座屈に対するひずみ照査法の適用性である.(1)に関する実験は,両端のクレビスの回転摩擦の影響が大きく,履歴曲線は,回転摩擦が切れるまでは両端固定の解析,回転摩擦が切れた後は両端回転自由の解析結果に概ね一致した.回転摩擦が切れるのは,部材座屈が生じた変位に概ね一致し,急激な荷重低下が生じ始める点でもあった.(2)に関する予測結果は,局部座屈発生位置に相違はあるものの,ひずみ照査法あるいは解析によってある程度の精度で予測可能であることが分かった.
著者
吉田 祥
出版者
大阪医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本来ドーパミンは覚醒誘発に関与するが、逆説的にドーパミン受容体作動薬により突発的な眠気が生じることが問題となっている。ドーパミン受容体作動薬により睡眠と覚醒の相反する現象が生じうることについて、その脳内機構の解明のための研究をラットを用いて行った。その結果、動物の活動期(暗期)において、高用量では覚醒を誘発するが、低用量では逆説的に睡眠が増加することが判明した。
著者
小早川欣吾著
出版者
法政大学出版局
巻号頁・発行日
1979