著者
松原 聖人 林 耕平 光本 大記 濱田 康弘 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.535-536, 2016-03-10

入力音声をケプストラム分析し、それによって取得した情報を基本周波数に関して操作したあと、パワースペクトルを経由して位相復元を用いて音声波形に戻すことによって、ピッチ変更などの変化を入力音声に与える。ケプストラムドメインで音声を加工することと、それを位相復元で音声波形領域に戻して可聴とすることの組み合わせによる音声加工法の提案である。
著者
堀江光 浅原理人 山田浩史 河野健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2014-OS-128, no.11, pp.1-10, 2014-02-27

近年,複数のデータセンタ間を跨いで提供されるクラウド環境が登場している.これは各データセンタで稼働する計算資源を集約することで,クラウド環境の特徴である伸縮性や可用性の向上を図っている.スケーラビリティの観点から,このような多数のサーバを用いた環境での利用に適したストレージのひとつとして分散型キーバリューストアがあるが,データセンタ間を結ぶ狭帯域・高遅延なネットワークにより性能が著しく低下する問題がある.この問題を解決するために,本研究では Local-first Data Rebuilding (LDR), Multi-Layered Distributed Hash Table (ML-DHT) という 2 つの手法を用いてキーバリューストアを構築する方法を提案する.LDR は保存データに冗長性を与えた上で分割することで,ストレージ使用量の増加を抑えつつデータセンタ間通信の量を軽減する.ML-DHT はデータセンタ間通信を最小限に抑えたルーティングにより,通信遅延を抑えたデータ探索を実現する.実験により提案手法が,代表的な DHT である Chord を用いた手法を用いた場合と比較し,データ探索のための通信遅延を約 74%軽減し,ストレージ使用量とデータセンタ間通信量のバランスを柔軟に設定できることを示した.
著者
田中 敬子
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.125-138, 2007-06-23

フランク・キャプラは、アメリカ合衆国の善性を謳い上げる監督として知られるが、1941年制作の『毒薬と老嬢』は他愛ないブラック・コメディとして扱われることがほとんどである。しかしこの映画は、同年制作の『群衆』の直後に撮られ、アメリカ社会の理想の行き詰まりを示した『群衆』の後遺症というべきキャプラの幻滅を隠している。ポピュリズム政治と個人の自由、メディアと全体主義の危険な関係は、『群衆』に明らかである。ナチスと戦うべきアメリカ自体に、全体主義、帝国主義化の傾向がある。『我が家の楽園』に見られるようなキャプラの理想的な家族は、『毒薬と老嬢』ではパロディ化されて変質している。キャプラは『毒薬と老嬢』で不安を笑いで紛らわせ、既存体制の秩序をかろうじてつなぎ止め、第2次世界大戦後の『素晴らしき哉、人生!』で、再び理想的家父長を取り戻したように見える。彼はイタリア系移民のアメリカ人として、第2次世界大戦を挟んでアメリカ民主主義の理想を追求した。しかしキャプラは、強力な父権を警戒する一方、平等な市民たちの政治的団結を信じ切れず、ヘテロセクシュアルな家族制度の家族愛に頼らざるを得ない。『毒薬と老嬢』は、彼が抑圧した懐疑をグロテスクなコメディに変えているが、この論文は、キャプラのアメリカ社会ならびに家族観に入った亀裂を、ジェンダーと国民国家の視点から探るものである。
著者
松森 藍子 星野 寛
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.381-382, 2018-03-13

会話ロボットを用いた高齢者の生活意欲向上を目的とする“ACCRAプロジェクト”の第1段階として実施した、老人介護施設での高齢者と介護者へのニーズ調査と実験結果を報告する。調査では「職員でも友人でもない話し相手」としてロボットが求められていることに加え、「癒し」を目的とする会話だけでなく、敢えて「憎たらしさ」を残した言葉がけをすることが高齢者を鼓舞しQOLの向上・維持へ繋がることが見えてきた。実験では高齢者の表情を検出しながら会話を進め、相手に不快感を与えない程度の「憎たらしさ」のある会話を実現しようと試みた。会話シナリオは個々の興味・関心に配慮し、会話の効果は表情検出カメラで評価した。
著者
伊藤 永悟 藤本 貴之
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21888809)
巻号頁・発行日
vol.2015-IS-132, no.5, pp.1-4, 2015-06-06

近年,コンピュータは高機能かつ多機能なものとなった.開発環境も洗練されたため,多様なプログラムを低労力で実現することが可能である.しかし,プログラミング初心者にとっては,開発環境を整えること自体が大きな障害となる.また,短い記述で多くの処理を実現可能であるため学習のために求められるプログラムが複雑化しやすい.初心者向けに広まっているビジュアルプログラミング言語は,あくまで記述を視覚化して直感的にしたに過ぎない.この問題を解決するため,本研究では単純な計算を機械式計算機のメカニズムを用いて多くの段階を経て計算させることで,単純なプログラムを通じたプログラミング教育を可能とするシステムを提案する.
著者
浅井 茂紀 アサイ シゲノリ Shigenori ASAI
雑誌
千葉商大紀要
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.95-115, 2002-12-31

この論文は,目次,I序論,II本論,第1節倫理学とは何か-人間の行為の原理を研究する学-第2なぜ倫理学が必要か-人倫と理法の学における価値-第3ソクラテスの「汝自身を知れ」-西洋倫理学の創始-第4プラトンの哲人政治と善のイデア-四元徳とイデア論-第5節アリストテレスの倫理学(実践哲学)-観照と中庸-,第6節イギリス経験論-経験について-,第7節大陸合理論-理性について-,第8節ドイツ観念論-カントの善意志について-,第9節キリスト教-愛について-,III結論(注付),から成立している。倫理学(Ethics)の語源,「倫理学」の訳語(井上哲次郎),倫理学の概念も説明した。孟子も「聖人は,人倫の至りなり。」(離婁上)と述べた位に,倫理,人倫や人道の言葉だけでも難解な問題であるが,西洋倫理学と関連して,人間の行為の原理を考察してみた。これら倫理学を分析や総合し,その全体的な体系付けをして,その中身の意義と価値を考慮した一研究論文である。
著者
山田 昌寛 中村 克彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第48回, no.人工知能及び認知科学, pp.205-206, 1994-03-07

論理プログラミングにはSLD融合にもとづく後向き推論による方式のほかに, 単位融合にもとづく前向き推論による方式があることが知られている. 後向き推論の方式は代表的な論理言語であるProlog, PARLOG, GHCなどに採用され広く使われているが, 前向き推論のアプローチは一般的な論理プログラミングの方式としてこれまであまり発展していない. しかし, この方式には大量のデータに対するデータ駆動型の計算を効率よく行えるという特長がある. この考えにもとづいて, われわれはデータ駆動型の前向き推論によって, reactive open systemを実現するような計算方式を提案し, このための並列論理型言語Monologを開発している. 本報告では並列論理型言語Monologの概要と, 代表的な探索問題である8クイーン問題のMonologによる計算方法とPrologのコンパイル法について報告する.
著者
麦島 剛
雑誌
福岡県立大学心理臨床研究 : 福岡県立大学心理教育相談室紀要 (ISSN:18838375)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.25-35, 2016-03-31

ミクロ経済学およびそれを含む標準的経済学では、個人および企業は常に合理的行動(最大利得のための振舞い)をとることが大前提となる。一方、行動経済学は、人間および動物の行動には最大利得に向かわないバイアスがあることと、生産消費行動の基盤になる価値が必ずしも金銭的・経済的価値だけで規定されるものではないことを示し、経済学的法則性には心理学的要因が強く関与することを示した。心理学的現象は神経メカニズムとの関係が示唆され、その解明が進展しており、経済学的行動もその神経基盤の解明が始まった。神経経済学は、神経科学と経済学および心理学とを結びつけた領域であり、不確実な状況での選択行動や意思決定等に関する神経機構を検討する分野である。神経経済学は、応用的分野の理論的基盤を築く可能性を持ち、また応用的分野に視座を与える可能性がある。例えば、発達障害に対する心理臨床的援助に対して、衝動的選択の頻度を減らしてセルフコントロール選択の頻度を増やすための応用行動分析に活用できるであろう。エネルギー政策・環境政策の策定に対しては、超長期利得とそれよりは短い中長期的利得との間で合理的に比較検討する視座を与えるであろう。また、企業等の組織経営や労働政策の策定に対しては、仕事の意味づけ等の価値と金銭的価値とを合理的に比較検討する視座を与えるであろう。