著者
澤田 学 合崎 英男 佐藤 和夫
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 = Research bulletin of Obihiro University (ISSN:13485261)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.18-24, 2010-10

本稿の目的は,牛肉生産における飼料自給率向上の利点に関する消費者評価を検討することである。Best-Worst選択質問実験を用いて牛肉生産における飼料自給率向上の利点に関する消費者の評価を測定する調査を,首都圏在住の618名を対象に2008年3月に実施した。分析の結果,回答者全体としては,「エサに対する安心感」が飼料自給率の向上で最も重視される項目であるが,評価パターンによって回答者は3つの群に分けられることがわかった。さらに,評価パターンには,回答者の,倹約志向ならびに食の安全志向といった態度が顕著に影響することが確かめられた。
著者
青木 克仁 Katsuhito Aoki
出版者
安田女子大学大学院
雑誌
安田女子大学大学院紀要 = The journal of the Graduate School, Yasuda Women's University (ISSN:24323772)
巻号頁・発行日
no.23, pp.153-169, 2018-03-31

本論文では,動物を正義論の文脈の中で捉え,少なくとも残酷な扱いから動物を守るというプラグマティックな目的のために,動物に権利を付与することは可能かどうかという問いに答えを見出そうと思う。特にこの論考において,「虐待されない権利」と「機会の自由」を人間以外の動物に付与する道を検討する。もし「正義の原理」を選択するための手続きに参加する能力がないような存在者だとしても「誰のための正義なのか」という正義の受益者としての地位が与えられる可能性は十分にあるとしたら,動物をそうした受益者の集合に組み入れることは可能だろうか,という問いの下,その可能性を論じていく。
著者
石井 大祐 渡辺 裕
雑誌
研究報告 オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2012-AVM-76, no.1, pp.1-5, 2012-02-16

近年画像特徴量を用いた画像認識技術の発展は顕著である.これまで画像認識では,主に自然画像を対象とした特徴抽出,記述および解析が行われてきた.一方,電子書籍および電子コンテンツの領域では,電子化されたマンガが一般的になりつつある.電子コンテンツの利便性を高める上で,マンガにおける内容理解技術は重要である.本稿ではマンガを対象としたキャラクターの検出手法について検討し,HOG 特徴量および SVM を利用したキャラクターが存在箇所の検出を試みた.結果としてキャラクターの瞳部分を学習に使用した際に顔全体の画像を学習に使用した場合と比較して,誤検出を抑えつつキャラクターの顔位置が検出されることを確認した.
著者
生田 好重
出版者
近畿大学短期大学部
雑誌
近畿大学短大論集 = The Bulletin of The Junior College of Kinki University (ISSN:03867048)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.47-57, 2008-12-01

従来から英語教育における問題点として、英単語の暗記の難しさとその記憶保持が指摘されている。そこで本論文では、効果的でより発展的な英語教育を行うにあたり障害となっている英単語の記憶再生及び保持に関して、学習者の精神的状態、特に肯定的感情に着目し、く肯定的感情が及ぼす英単語学習効果への影響を検討した。 (英文) The difficulty of memorizing the meanings of English words and attaining longer remembrance of them is considered one of the important issues in English teaching. In this paper, focusing on the mental states of students, an attempt to find an innovative way of memorizing the meanings of English words more easily and attaining longer remembrance of them by using the influence of positive effect on words learning.
著者
西村 香奈絵
出版者
近畿大学全学共通教育機構教養・外国語教育センター
雑誌
近畿大学教養・外国語教育センター紀要. 外国語編 = Kinki university center for liberal arts and foreign language education journal. foreign language edition (ISSN:21856982)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.55-72, 2014-07-01

[要旨] 日本語の擬音・擬態語は, 表現数, 出現数が他言語と比べて多く, 創造性・生産性も高いと言われている. 本稿では, 擬音・擬態語が使用されやすいと言われている児童文学に分類されるBeatrix Potterの「The Tale of Peter Rabbit」等三つの物語とその日本語訳を取り上げ, それぞれで用いられる擬音・擬態語を抜き出し, その使用や表現方法を比較, 検討した. 英語原版では日本語より擬音・擬態語の表現数や出現数は少なかったが, 日本語にはない動詞語彙の意味の違いや文法的手段による表現の工夫が観察された. また, 英語原版で用いられた擬音・擬態語は, 語源がほとんど動詞であり, 上古の時代より音や様態などを表す語として副詞的に用いられてきた日本語の擬音・擬態語とは対照をなすことが明らかになった.
著者
尹 智博 Jibak YOON
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2010
巻号頁・発行日
2010-11-24

本論は、近代ウィーンの作曲家ヨーゼフ・マティアス・ハウアーとアーノルド・シェーンベルクらによって生み出された「十二音技法」の音楽と造形芸術との関係性についての研究を試みる。色彩と音楽の関係については、古代から様々な関心が持たれていたが、ここでは特に近代の、ハウアー、シェーンベルクによって各々の「十二音技法」に関するモデルやダイアグラムの役割を明らかにし、また、ハウアーの「十二音技法」でもあるトロープスのパターン・ダイアグラムとヨハネス・イッテンの色彩関係を示した「12色環」ダイアグラムとの間に図像的観点からの類似点についての研究を行う。
著者
服部 聖彦 大和田 泰伯 加川 敏規
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-75, no.5, pp.1-4, 2015-05-21

本研究では大規模な災害の発生により,既存の通信インフラ (キャリア通信,公衆 WiFi) が不能になった環境を仮定し,現在地から最寄りの避難場所に移動する避難者の円滑な移動支援に焦点を当てる.具体的には避難者間で携帯端末のすれ違い通信を用いて避難経路情報を交換することにより,ボトムアップ的アプローチで群衆の移動情報を共有がどの程度出来るかを簡易的なシミュレーションにより検証した.シミュレーションでは,(1) 避難箇所の数,(2) 最近傍の避難所以外へ避難する人の割合の 2 つの観点から検証を行った.その結果,最近傍避難所以外の避難場所に避難する人の割合が増えることにより DTN 的な情報運搬が可能になり,結果として全体の経路情報共有率が向上することが明らかになった.
著者
大東 俊博 渡辺 優平 森井 昌克
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.426-433, 2014-10-15

Broadcast SettingのRC4において,暗号文のみから平文全体を復元できる平文回復攻撃がFSE 2013で五十部らによって提案された.その攻撃はRC4の初期の出力バイトのbiasとABSAB biasを用いることで,平文の先頭1000テラバイトを2^{34}個の暗号文から復元できる.その後,USENIX Security 2013でAlFardanらによって異なる平文回復攻撃が提案された.AlFardanらの攻撃は五十部らの攻撃とは異なるbiasと効果的なカウントアップ手法を用いている.本稿では五十部らの攻撃とAlFardanの攻撃を適切に組み合わせることで攻撃成功確率を向上させる.提案手法では平文バイトを復元できる確率が概ね1になるときの暗号文数を2^{33}まで減少させることに成功している.
著者
竹川 佳成 植村 あい子 奥村 健太 高道 慎之介 中村 友彦 平井 辰典 森尻 有貴 矢澤 櫻子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-112, no.10, pp.1-6, 2016-07-23

「新博士によるパネルディスカッション」 は,音楽情報科学の研究に取り組んできた博士号を取得したばかりの方を集め,研究の紹介,博士課程進学の動機,博士課程在学中のドラマ,今後の抱負などについてパネル形式で議論する.本稿では,今回パネリストとして参加していただく 7 名の新博士を紹介する.