著者
上野 矗 ウエノ ヒトシ Hitoshi UENO
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.25-33, 2006-01-31

経験的現象学的方法から涙に関するこれまでの研究を通じて、勘が質的な意味分析法に基礎的かつ重要な認識方法として注目されてきた。勘は、人間科学の方法として直感的方法のひとつとして位置づけられるからである。黒田亮によれば、勘は覚=Comprehensionを、竹内によれば、第六感を意味する。勘は、黒田亮の心的立体感(psychical stereoscopy)、また黒田正典の人のゲシュタルト化された経験の総体の重心にある。筆者は、これを相反し合う経験の統合点にみる。いずれにもせよ、勘は、二分思考法にではなく、統合的思考法に依拠している。こうした意味及び実践の実際からも、勘は、臨床心理学の方法論上有意義で重要な認識方法と位置づけられる。と同時に、なお一層の検討が要請されよう。
著者
竹渕 瑛一 速水 治夫
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2015-GN-93, no.40, pp.1-8, 2015-01-19

一般的にオンボードでマイクやヘッドフォンなどの音声機器を入出力する場合,カーネル・ミキサーと呼ばれる OS に内蔵されたサウンド・システムが用いられる.また,DTM など作曲のための録音・再生環境では,音が遅れて聴こえてくる現象を防ぐため,音声入出力を 10 ミリ秒以下で実現することが望まれている.これを実現する規格として,Steinberg 社によって Audio Stream Input/Output(ASIO) が策定されている.Steinberg 社は ASIO によるオーディオ・アプリケーションなどの開発を支援するため,COM インターフェースの仕様や開発キットを配布している.しかし,現状では ASIO を用いたオーディオ・アプリケーション開発の敷居は高いと言わざるを得ない.本研究では,ASIO の COM インターフェースを最短で 5 行程度で利用可能なライブラリを開発した.本ライブラリと既存ライブラリの実装例を比較すると,Halstead Volume が 2.5~9.6 倍縮小し,実装時間が 2.4~13.0 倍短縮された.
出版者
国立極地研究所
雑誌
極地研ニュース = NIPR news (ISSN:09110410)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-8, 1974-08
著者
和田 勉 中野 由章
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.665-668, 2019-06-15

2019.3.16に本会全国大会において開催された,情報処理学会初等中等教育委員会主催の初めての「中高生ポスターセッション」には日本全体から37の発表があった.いままで中高生が参加することが稀であった全国大会の場においてたいへん新しいことである.そのうち優秀な発表8件を表彰した.これは,学問への誘い,さまざまな交流,研究・教育力の向上,学会のプレゼンスの向上など,多くの効果があった.今後は,運営の改善による効果の最大化と,若い世代の才能についての指導と環境の提供が期待される.
著者
大日向 大地
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.630-634, 2019-06-15

高専カンファレンスは,高専と高専生をテーマとした勉強会イベントなどの活動を行うコミュニティで,勉強会イベントとしては2008年に始まり2019年3月までに日本全国各地で通算118回開催している.毎回,20〜200人ほどが集まり,話者がスライドを使ったプレゼンベースでの発表をしており,発表の内容は,高専生らしいものづくりの話から,科学やキャリアに関する話など多岐に渡る.参加者,発表者は当初は高専生,OB,教職員を対象としてきたが,現在では高専とは直接関係がない方の参加,発表もある.またプレゼンテーション形式に拘らないスタイルも試みられている.本稿では,活動が始まってから11年近くが経過し,高専関者の活動の場の1つとして定着してきた,この高専カンファレンスについて解説する.
著者
橋場 天紀 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2018-CH-116, no.12, pp.1-5, 2018-01-20

筆者の研究室では,マンガに関する情報へのアクセスと利用を容易にするため,マンガの内容や構造に関する記述方法を検討してきた.その中で,マンガの内容や構造のメタデータを利用した探索性やアクセス性の向上のために,マンガ画像とメタデータを統合的に利用するための環境づくりを進めてきた.本研究では,マンガの内容と構造のメタデータを組み合わせ,マンガの構成要素を検索し提示するシステムを Linked Open Data (LOD) 環境の上に構築した.このシステムは,デジタルヒューマニティーズ領域を中心に広く認知されつつある国際標準である International Image Interoperability Framework (IIIF)を利用して実現した.
著者
安藤 幸一 Koichi ANDO
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.21-31, 2010-03-31

FD (Faculty Development)とは、19世紀初頭の、ハーバード大学における有給長期研究休暇 (サバティカルリーブ)にその起源を求めることができると言われている。これは、大学教員の資質を担保するための研究活動支援と言い換えることもできるだろう。しかし、アメリカでは、第二次大戦後、大学の数が急増し学生が多様化することによって、また、不況により学生数の減少が顕著になると、教員は研究活動にとどまらず、広く教育活動、ことに授業におけるプロフェッショナルとしての資質を問われることになる。アメリカにおいては、各職業専門分野の資質は、プロフェッショナル・ディベロップメント (PD)という、極めて自主・自律的な活動によって保証されてきたが、大学におけるFDも、研究活動支援の枠を超え、このPDの一環としてその重要性が認識され、教育のプロフェッショナルとしての資質向上をめざす集団的自己教育活動としての道を歩むことになる。しかし、90年代以降、こうした異なった社会的・教育的環境の中で発達したFDが、日本においては政府主導で「輸入」され、2007年にはついに義務化されることになった。本来、極めて自主的な自己教育活動であったFDが「義務化」されることは、それ自体大きな矛盾である。あえて、これを「日本型FD」とよぶならば、私たちは、この事態にどのように対処したらよいのか、あるいは、むしろ大学改革の好機として積極的に捉えることも可能なのではないか、という思いをこめて記したものが、この研究ノートである。
著者
広内 哲夫 坂本 和義
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 = Information and Communication Studies (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.159-177, 1997-01-01

Young-Helmholzの3色説とHeringの反対色説を融合した段階説の数理モデルを構築することを試みた。色光の混合におけるGrassmanの第3法則を3色説と反対色説に適用して、3色説の3原色と反対色説の6基本色を相互に変換する混色式/脱混色式の導出した。この式を利用することによって、NCSと類似の表色系をコンピュータ画面上に容易に作成することが可能となった。また、反対色応答の機構を数学的に説明することも出来た。\nAn attempt has been made with construction of a mathematical model of the stage theory obtained by merging Young-Helm-holz's trichromatic theory and Hering's opponent colors theory. By applying Grassman's 3rd Law in the mixture of color lights to the trichromatic theory and opponent colors theory, introduction has been made with mixed color equation / de-mixed color equation with which 3 primary colors of the trichromatic theory and 6 fundamental colors of the opponent colors theory are interchangeable. Utilization of this equation has made it possible to form very easily the color order system similar to NCS on a computer screen. On the other hand, a mathematical explanation has been possible with the structure of the chromatic response.
著者
谷地舘 藍 佐藤 弘二 佐藤 彰 薮上 信 小澤 哲也 小林 伸聖 中居 倫夫 荒井 賢一 Ai Yachidate Koji Sato Akira Sato Shin Yabukami Tetsuya Ozawa Nobukiyo Kobayashi Tomoo Nakai Arai Ken Ichi
雑誌
【A】基礎・材料・共通部門 マグネティックス研究会
巻号頁・発行日
2010-12-16

センサ素子全体を薄膜プロセスにより作成した伝送線路型薄膜磁界センサを試作した。アモルファスCoNbZr薄膜とコプレーナ型伝送線路を組み合わせ、被測定磁界に対するキャリア信号の位相変化を検出対象とする磁界センサを製作した。試作した磁界センサのインピーダンスおよび位相変化を測定し、その結果を報告する。
著者
丸山 鋼二
出版者
文教大学
雑誌
文教大学国際学部紀要 = Journal of the Faculty of International Studies Bunkyo University (ISSN:09173072)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-118, 1996-01-01

This paper aims to explain a characteristic of contemporary Chinese politics, that is, how the reins of Chinese administration are held in the hands of a few authoritarians and its politics under the rule of the Chinese Communist Party (CCP), which is dependent on the armed forces. This is done by analyzing how the top leadership of the CCP coped with the early situation of the Tian' anmen Crisis in 1989. My analysis focusses on the activities of major six actors : (1) Deng Xiaoping as Supreme Leader, (2) the Standing Committee of the Political Bureau (SCPB) of the CCP as the highest decision-making organ, (3) Yang Shangkun and Wang Zhen as Deng's private sworn friends, (4) the Beijing Municipal Committee (BMC) of the CCP, (5) the State Committee of Education, and (6) the Student Democracy Movement. In power struggles such as the Tian' anmen Crisis, the most important factor for each hostile division contending for supremacy was how to have influence upon Deng's attitude and get his support. It is difficult to analyze Deng's political thought, because it is a compound of some contradictory elements such as realism, pragmatism, rationalism and a patriarchal temperament which supports military oppression. On April 24 the BMC sent an appeal to the SCPB to enforce rigid regulations against the student movement. That night it was accepted by the SCPB with enlarged membership which included the secretary-general of the party, Zhao Ziyang, at that time visiting North Korea. Conservatives in the Party finally succeeded in changing Deng's attitude and getting his support. Deng's patriarchalism and military tendencies predominated over his rationalism. He concluded to label the student movement a "disturbance". In accordance with Deng's attitude, the Ren-min Ri-bao (People's Daily) ran an editorial entitled "Stop the Disturbance with a determined attitude" on April 26. On reflection, this early synopsis of taking a hard-line attitude against the student movement was written by Deng himself, including the appeal of the BMC which was faithfully written according to Deng's intention from the beginning.
著者
渡邉 光 村尾 和哉 望月 祐洋 西尾 信彦
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1677-1684, 2016-07-06

加速度センサを用いてユーザの一回きりの動作であるジェスチャを認識する研究が盛んである.既存のジェスチャ認識の研究では認識したいジェスチャの加速度が正確に切り出されることを前提としており,ジェスチャが間隔を空けずに連続して行われている場合や,ジェスチャの前後で関係のない動作が行われている場合は認識精度が低下してしまうという問題点がある.そこで本研究では,加速度データストリームから教師データとの類似度が高い区間である部分シーケンスを検出し,検出した部分シーケンスの中から尤度の高いものをジェスチャ認識の結果として出力することで,ジェスチャが間隔を空けずに連続して行われている場合や,ジェスチャの前後で関係のない動作が行われている場合でも高精度でジェスチャを認識する手法を提案する.5 名の被験者から観測した加速度データに対して提案手法を適用し,右手で記号を描くジェスチャでは F 値の平均値が 0.78,右手で数字を描くジェスチャでは F 値の平均値が 0.79 となった.