著者
島内 裕子 Yuko Shimauchi
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.138(1)-119(20), 1998-03-31

本稿は、従来あまり知られていない吉田健一の翻訳や初出誌など、管見に入ったものを紹介しながら、主として、昭和二〇年代から四〇年代までの彼の文学活動を概観する。 特に昭和二四年六月から昭和三五年八月まで、中断を挟みながらも通巻四八号にわたって刊行された『あるびよん』は、当時の吉田健一にとって、作品発表の舞台の一つとなった雑誌であり、そこに寄稿した評論やエッセイなどは、後にいくつかの単行本に再録されて、彼の英文学論を形成するものとなっている。また、『あるびよん』に掲載された座談会や鼎談などは、その性格上、彼の著作には直接入らないが、そこでの発言は彼の文学観や人間観を知るうえで重要なものであるし、その後どの単行本にも収められなかったごく短いエッセイなどもある。現在最も詳細な集英社版『吉田健一著作集』全三〇巻補巻二巻は、補巻を除いて、単行本として刊行されたものに限り収録しているので、これらの小エッセイは見過ごされがちであり、年譜などに記載されていないものもある。また、現代においては、吉田健一と言えば評論家というイメージが強いが、翻訳家としての側面も忘れてはならず、その翻訳の中に、年譜類に記載されていないものがあり、さらに、日本の古典の現代語訳の仕事も行なっている。 吉田健一の文学世界は実に多彩で多様であるが、その本質を究明するためには『吉田健一著作集』に収録されていない短いエッセイや、数々の翻訳書なども含めて研究する必要があるし、初出誌と単行本でどのような推敲や改変が行なわれているかを調査することも必要となってくるであろう。本稿では、そのような観点から、吉田健一の文学活動の一端を考察するものである。
著者
阿部 由香子
出版者
明治大学大正演劇研究会
雑誌
大正演劇研究
巻号頁・発行日
no.6, pp.81-89, 1997-03-26
著者
照井 日出喜
出版者
北見工業大学
雑誌
人間科學研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.13-52, 2010-03

In Japan, the modern drama, which is an important element of thecontemporary art, begins with the foundation of the Tsukiji Little Theaterin the year 1924. This era, the second half of the 1920s, also coincides withthe end of the so-called "Taisyo Democracy". The task of this study is toanalyze the effects of the Tsukiji Little Theater and the diverse historicalsituations revolving around it. This task will inevitably lead us to considerthe basic character of the "modern" in Japan. This paper, the introductorypart of the whole study, limits the range of discussion to the fundamentalproblems only.
著者
内務省警保局 編
出版者
日本資料刊行会
巻号頁・発行日
vol.〔第16〕, 1900
著者
松浦 弘明
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

再生医療等に欠かせない技術である細胞の凍結保存では, 致死的となる細胞内の氷晶生成を防ぐために凍結保護物質が用いられるが, その保護メカニズムについては未解明な点も多く, 凍結保存プロセスは最適化されていない. 本研究では, 細胞内凍結に関係していると考えられる細胞内の水分子ダイナミクスを誘電分光によって測定することで, 細胞凍結保護のメカニズム解明に役立つ知見を獲得し, 安全で環境親和性が高い保護物質を用いたグリーンな凍結保存技術のデザインに寄与することを目指す.
著者
鈴木 誠 鎌形 清人 最上 譲二
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

がん抑制機能をもつp53蛋白質は、2重らせんDNA(dsDNA)上を拡散運動し標的配列と強く結合する。本研究ではDNA結合蛋白質とDNAとの結合と探索メカニズム解明に向けて、dsDNAの周りのHMW層の量をbuffer種等で制御したときのp53とdsDNA結合定数測定への影響を実験と計算で調べ、さらに1分子測定によるdsDNA上のp53の1次元拡散係数に及ぼすハイパーモバイル水(HMW)の効果について明らかにする。
著者
山本 雄大 内田 篤治郎
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

心臓手術の術中に採血した検体で、誘電コアグロメーターを用いて全血凝固検査を行い、ROTEMによる測定と比較し、さらに、術直後の血液の分析結果と術後のドレーンからの出血量の相関について検討するプロトコールで、前向きの臨床研究を行った。また、組織因子に対する血液の反応性についても、誘電コアグロメーターで評価を行い、血漿中のtissue factor pathway inhibitor(TFPI)濃度との相関、トロンビン生成能との相関について検討した。本研究の対象は、人工心肺を用いる予定心臓血管手術を受ける患者100名であり、(1)麻酔導入後手術開始前、(2)人工心肺終了後・プロタミンによるヘパリン中和の終了時、(3)閉胸後手術終了時に採血し、誘電コアグロメーターによる測定、ROTEMによる測定、血算、凝固検査用に分注し、それぞれ検討を行った。本研究で得られたデータから、誘電コアグロメーターによって赤血球の連銭形成における誘電率の変化が血漿フィブリノーゲン濃度と相関することが本研究で示唆され、研究成果の発表を行った(EUROANAESTESIA 2020).対象となった心臓手術症例では、Calibrated automated thrombogramによって測定されたトロンビン生成能が、TFPI濃度の上昇などにより低下する症例が認められたが、誘電コアグロメーターにおけるClotting timeがトロンビン生成能の低下を反映して延長することが示された。