著者
有川 裕之 藤井 孝一 蟹江 隆人 上新 和彦 井上 勝一郎 鬼塚 雅 自見 忠
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.67-72, 1982-12-25
被引用文献数
7

印象材の操作時間,硬化時間を決定するために種々の方法が試みられてきた。そのひとつとしてウィルソン(1964)は硬化時における印象材の粘弾性変化を測定することによって操作時間,硬化時間を決定するための装置レシプロケーティングレオメータを開発した。しかし印象材の操作時間,硬化時間は粘弾性の変化よりもむしろ硬化時の弾性変化から決定するほうが臨床的にみて好ましいと思われる。そこで本研究ではそのための装置としてパルセーティングレオメータを開発した。この装置は試料にくり返し一定ひずみを加え,その弾性回復量を測定することによって操作時間,硬化時間を決定するものである。種々の印象材について測定を行った結果,本装置は操作時間,硬化時間の決定ならびに効果時における印象材のレオロジー的性質をも知ることができるので印象材の比較検討を行う上で有効であることがわかった。
著者
平山 るみ 楠見 孝
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.186-198, 2004-06
被引用文献数
21

本研究の目的は,批判的思考の態度構造を明らかにし,それが,結論導出過程に及ぼす効果を検討することである。第1に,426名の大学生を対象に調査を行い,批判的思考態度は,「論理的思考への自覚」,「探究心」,「客観性」,「証拠の重視」の4因子からなることを明らかにし,態度尺度の信頼性,妥当性を検討した。第2に,批判的思考態度が,対立する議論を含むテキストからの結論導出プロセスにどのように関与しているのかについて,大学生85名を用いて検討した。その結果,証拠の評価段階に対する信念バイアスの存在が確認された。また,適切な結論の導出には,証拠評価段階が影響することが分かった。さらに,信念バイアスは,批判的思考態度の1つである「探究心」という態度によって回避することが可能になることが明らかにされ,この態度が信念にとらわれず適切な結論を導出するための重要な鍵となることが分かった。
著者
武藤 那賀子
雑誌
人文
巻号頁・発行日
no.16, pp.220-186, 2018-03

「伝為家筆本」と呼ばれる河内本『源氏物語』がある。「伝為家筆本」は、金沢文庫旧蔵とされる尾州家河内本と密接な関係があると考えられる。また筆跡と書風から、その書写時期も、尾州家河内本と同じ鎌倉中期といえる。しかし、この一連の河内本『源氏物語』で伝存するのは、巻子装に改装されたものや、断簡のみで残るものが多く、その数も少ない。学習院大学日本語日本文学科は、この伝藤原為家筆の『源氏物語』「帚木」巻の写本を所蔵している。 論者は、「学習院大学所蔵『源氏物語』河内本「帚木」巻 解題と翻刻(第一軸・第二軸)」において、当該本の書誌解題と全三軸中の第一軸目と第二軸目の翻刻を行なった。本稿は、第三軸目の翻刻を行ない、また、当該本の僚本、あるいはその古筆切を紹介するものである。There is the Kawachibon-series of "The Tale of Genji" called "Den-Tameie-hitsubon". This is thought to be closely related to Bishukebon (the book that Bishu family had) which is preserved as the former Kanazawa Bunko. Also from handwriting and literature, the time to copy it can also be said to be in the middle Kamakura same as Bishukebon. However, in this series of Kawachibon-series of "The Tale of Genji", there are many things that have been renovated into winding pieces and those left only with a letter and few are few. Department of Japanese Language and Literature of Gakushuin University possesses the holdings of "Hahakigi", the second volume of Genji monogatari (Tale of Genji) copied by Tameie Fujiwara. The present writer have done a bibliography commentary and the entire reprint of this book (volume1, 2) in the "Commentary and reprint of "Hahakigi", the second volume of Genji monogatari (the possession of Department of Japanese Language and Literature of Gakushuin University)". This paper presemts entire reprint of this book (volume3) and the books or pieces of the same group.
著者
春木 有亮
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.29-42, 2007-06-30

L'objet de cet article est d'eclairer la notion de la raison chez Etienne Souriau afm de valoriser des pensees qui depassent le simple rationalisme. Souriau dit que l'on ne peut realiser ≪la vie vivante≫ que par la raison, celle-ci permettant au sujet du raisonnement d'utiliser des formes parfaites au moyen de l'ideation. La forme parfaite est un ≪objet-chose≫ qui est a la fois la contrepartie du sujet et egalement transcende le sujet-objet. C'est la forme parfaite qui permet au sujet de realiser la vie vivante a travers l'unification des deux elements incompatibles : ≪la Ferveur≫ du sujet constituant sa propre vie et ≪la Lucidite≫ de la realite que le sujet sent comme autrui. L'art ainsi que le raisonnement tendent vers l'objet-chose. L'art designant, pour Souriau, un paradigme de la vie. On peut considerer la fonction de la raison comme une sorte de perception puisque le sujet raisonnant touche une chose exterieure a lui par la forme. La raison a done ≪une sensibilite≫. Souriau va meme plus loin en affirmant que la sensibilite est l'origine de la raison. Finalement, il conclut d'une maniere paradoxale que ≪les aspects esthetiques de la Raison≫ en font les fondations. La raison chez Souriau est done, pour ainsi dire, la raison esthetique.
著者
石原 恵子 石原 茂和 長町 三生 竹林 征三
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-26, 2004
被引用文献数
1

The civil construction in a particular community should be given a name that appropriately reflects the climate and culture of the area (expressed as "fudo"in Japanese) where they are constructed, which will add social and culturalvalue to it. From the view of Fudo Engineering, the namer may well be required to have all the knowledge of the fudo of the area, however, it is not easy to acquire the adequate knowledge. Here, we will propose to use our newly developed computerized consultation system, which uses an electronic encyclopedia, to get the fudo information effectively. When the user inputs a name of the place, this system searches all the descriptions about it from the encyclopedia. The descriptive text includes the nature environment, origin, history and so on. Then, it automatically extracts the nouns and the adjectives from the text, and makes a word list semantically related to the each extracted word. The word list helps the user choose a word or coin a new word conceptually related to the community as a name for the construction
著者
宗林 正人
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-7, 1959

大阪府下に於てモモアカアブラムシの二三の生態的観察を行つた. その結果の大要を示せば次の如くであつた.<BR>1. 無翅形は有翅形よりも産子数多く, 産子期間も長い.<BR>2. 有翅形も無翅形もその産子数は, 4月頃と10月下旬から11月には多く, タバコ, ゴマを食草としたものを除けば6~7月には減退した.<BR>3. 有翅形の大根への飛来消長は, 春 (4月上旬~6月中旬) と秋 (9月上旬~12月上旬) に最も多い. 更に春と秋にも各々2回の山がみられた. 大根の品種間に於ける飛来数の差異は著明ではないが, 聖護院, 美濃早生,宮重大根に多く, 時無大根には少い傾向がみられた. また成熟葉よりも生育初期の軟い葉に好んで飛来する.<BR>4. 有翅形の飛散は気象の影響をうけること多く, 豪雨を伴つた台風のあと, 降雨時, 降雨後には減少した.<BR>5. 有翅形は1日のうち早朝と16~18時に最も多数飛散し, 10~13時には極めて少く, 夜間は普通飛散しないが, 稀に電燈光に集るものもあつた.<BR>6. 春期に於ける有翅形飛来源植物はナタネ, カンランが最も主要なものであるが. 年によつてはモモにも多数の有翅形が現れた.<BR>7. 秋期に於ける有翅形飛来源植物としてゴマは最も主要で, 8月初めから有翅形が現れ, 8月中下旬がその最盛期であつた. 年により, またゴマの生育状態によつては, 有翅形は9月上旬にも相当多数現れた. ゴマは夏の寄主植物として最も好適なものである.<BR>8. 産雌虫は10月中頃から12月上旬まで現れるが, 11月上旬はその最盛期であり, 雄虫は11月初めから1月上旬まで現れ, 11月中旬が最盛期であつた.
著者
中村 和恵
出版者
明治大学大学院教養デザイン研究科
雑誌
いすみあ
巻号頁・発行日
vol.1, pp.83-87, 2009-03

ゾンカ(Dzongkha)という耳慣れない単語がブータソの国語を指すことばであると知ったのは、ある匂いがきっかけだった。最初に気づくお香のような、やや湿り気と苦味のあるたたずまいはたしかに東洋風だが、ふと横を向くと甘い花の蜜のようなこじんまりした植物の空間がひろがり、記憶をたどると香菜(コリアンダー)にいきあたる、そんな癖のある匂い。匂いというものは不思議で、連想されるのは草花や果物、スパイス、動物、樹木や土といった具体的なものだけではない、空間の広さ、親密さ、風と雨の気配、見たことのない国の印象、時間や速度や精神状態といった抽象的な概念まで、空気中の微量な物質が一瞬にしてこれだけの感覚につながっていく。
著者
佐賀測候所
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.157-158, 1957

The relation between the rainfall of various districts and the typhoon is settled by the position and the track of typhoon.<br>The rainfall of various districts as a rule when the typhoon exists southwards from the line of the 28th degree of the north latitude.<br>The rainfall of Mitsuse is nearly doubles of Saga as Fig. 1 when the typhoon passes the west or north side of Saga.<br>The rainfall of Mitsuse is about eleven fold of Saga as Fig. 2 when the typhhoon lands in the southern end of Kyushu and then progresses to north-north-eastwards or the typhoon passes the east of Miyazaki and then progresses to northwards.<br>But the rainfall of Mitsuse is only thrice when the typhoon lands in the southern end of Kyushu and then progresses to northwards.
著者
寺本 邦夫 大木 直人 阿部 圭一 内田 美喜子 岡田 謙一 松下 温
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.327-328, 1995-03-15
被引用文献数
1

マルチメディアという言葉が一般に広く用いられるようになってずいぶんと時間が経過している.マルチメディアは,"マルチ+メディア"という言葉の通り,画像,音声,文字など複数のメディアを統合して処理できる環境として脚光を浴びており,現在では,ごく当たり前のように様々な分野で用いられている.しかし,マルチメディアは,これら複数のメディアがあってこそ意味がある場合が多い.したがって,これらのメディアのうち一つでも欠けてしまうと不快感を生じてしまうこともある.音の出なくなったテレビがよい例であろう.その他に人為的なミス,例えば,ビデオ撮影の際の音声や映像の取り忘れなど様々考えることは容易である.このようなマルチメディア情報の内,1個または数個のメディアが欠如している時,他のメディアから欠如しているメディアを創出する事を"メディアの補完"と呼ぶことにする.著者らはメディアの補完の中でも「画像」から「音声」への補完に注目した.ここでいう「音声」とは,人間のコミュニケーション手段である会話だけでなく,波の音や風の音,昆虫の鳴き声など「文字」で正確に表現するのが困難な「音」を指す.また,今回取り扱う画像は風景画や風景写真に限定し,それに対応する「音風景」を補完する音検索システムOKeS(仮称)を構築した.音風景とは英語のSoundscapeに因んで名付けた言葉で,臨場感のある音場で構成された空間である.
著者
大本 達也
出版者
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要. 人文科学・社会科学編 = Journal of Suzuka University and Suzuka Junior College. 鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要編集委員会 編 (ISSN:24339180)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-18, 2018

美妙・山田武太郎による詩歌集『少年姿』(1886)は、寺院文化にはじまり、戦国から江戸中期期にかけて武士間にも広がった「男色」を主題とする。明治期における男子学生間での「男色」再流行のもとこの作品は成立するが、前近代的な「男色」は近代に成立した「恋愛」に次第に追いやられてゆく。この作品は、"poetry"概念に基づく日本語「詩」の形成史上、恋情を主題とした初の詩歌集であり、前近代と近代と結ぶ靭帯的作品である。
著者
北澤 啓雄 松下 弘幸 鈴木 敏昭 奥西 宏基
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.43, pp.5-8, 2002-06-27

BSジャパンでは、BSデジタル放送用の緊急速報スーパー装置を新規開発し、2000年12月1日の開局時から運用を開始した。本装置を開発することにより、地上アナログ放送で制作した素材をそのまま使用して放送できる合理的な運用を実現するとともに、テレビ放送をはじめラジオ放送やデータ放送を受信している全ての視聴者に公平に緊急情報を提供することができるようにした。
著者
北本 朝展 小野 欽司
出版者
国立情報学研究所
雑誌
NII journal (ISSN:13459996)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.7-22, 2000-12-20
被引用文献数
2

本論文の目的は、気象学的知識と情報学的アプローチとを融合した台風雲パターンの時系列解析法を提案し、台風解析における熟練者の解析作業支援や、大量の台風画像からの知識発見などを実現することにある。そのための基礎となるデータセットとして、本論文では20,000 枚規模の台風画像コレクションを構築する。ここで台風画像とは、台風のベストトラックに記録された台風中心が地図投影画像中心に一致するように、台風周辺領域を衛星受信画像から切り出したものである。このようなラグランジュ的表現によって、台風雲システム全体の動きから台風雲パターンに固有の動きを分離できる。次に本論文では、台風雲パターンに特徴的な楕円形状を表現するための手法として、変形楕円を用いた形状分解手法を提案する。この結果を用いて台風の日変化の解析という台風解析の問題に取り組んだところ、本論文で提案する手法は、気象学的知見と一致するような、気象学的に意味のある情報を抽出することができた。