著者
伊藤 隆康
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

包括緩和政策において、政策導入直後から日銀幹部が積極的に市場との対話を行い、導入3カ月後においては、社債スプレッドの低下や株価上昇という形で効果が見られた。量的・質的緩和政策においては、導入3カ月後に緩和効果が認められたのが、短期金利と株価、ドル円為替レートであった。一方、中長期ゾーンのイールドカーブ低下効果は認められず、中長期金利は上昇した。この点は市場との対話の限界を示した。東日本大震災後における日銀の市場との対話や流動性供給、金融緩和策の強化などが、短期金融市場と国債市場に与えた影響を検証し、こうした一連の政策対応が功を奏して、金融市場は混乱なく安定的に推移したことが分かった。
著者
北川 恵
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アタッチメントの投影的測定方法(PARS)を開発し、成人のPARSの結果と既存のアタッチメント測定方法の結果を比較した。自覚的な側面を測る日本語版ECRとの関連より、無自覚的な内的作業モデルの働きも捉えるAAIとの関連が多く認められたことから、防衛的な情報処理過程も捉えうる成人アタッチメント測定法としてのPARSの妥当性が認められた。
著者
田口 守一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度においては、刑事手続関与者に関する資料収集およびドイツの現地調査による参審制度の研究、合意手続の研究あるいは私訴手続の研究を予定していた。しかし、これらの資文献料の解読を進めていくうちに、外国制度の調査に着手する以前に、訴訟手続に関与する市民の範囲が拡張していく現象に関する歴史的・理論的研究の必要を感ずるに至った。そのような基礎的な考察なくしてただやみくもに外国調査を行っても研究を深めることはできないと思われたからである。とくに、1990年代以降のわが国における刑事手続への国家機関以外の者の関与が増加ないし強化されている。例えば、犯罪被害者の手続関与、検察審査員の権限強化、捜査段階における弁護人関与事件の増加、裁判員制度の導入などである。このような時代にあっては、法律専門家と市民の双方を含む多様な手続関与者相互の関係を理論的に解明することは時代の課題といってよい。また、わが国の刑事訴訟の構造として当事者主義訴訟構造が指摘されて久しいが、当事者主義の中核を形成する当事者処分権主義の視点から被疑者・被告人の地位を改めて検討することも時代の課題といってよい。そこで、ドイツ法における訴訟主体論の変遷とわが国における訴訟主体論の変遷を対比しつつ、訴訟主体の拡大現象について考察することとし、その結果、訴訟主体論も訴訟構造論との理論的一体性を自覚して展開される必要があること、また、その訴訟構造論は訴訟目的論と不可分一体の関係にあることを確認する論文を執筆した(「刑事訴訟主体論序説」『鈴木茂嗣先生古稀祝賀論文集』(2007年発行予定)に収録)。今後は、このような基礎的視座から各訴訟主体の地位についての考察を進めていきたいと考えている。
著者
片山 喜章 高橋 直久 和田 幸一 高橋 直久 和田 幸一
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

無線通信装置を有する大量のセンサー端末が互いに通信しあうネットワークがセンサーネットワークであり,これは一般の無線通信端末による"アドホックネットワーク"(無線通信ネットワーク)として捉えることが可能である.本研究では,アドホックネットワーク上で効率のよい通信を実現するための論理的構造の構築方法と経路制御手法,および端末が自律的に移動する場合にそのシステムがどのように制御可能かを明らかにした.これらの成果を,7編の論文,8件の国際会議,および学術誌解説記事と招待講演各1件で発表した
著者
黒澤 香
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

裁判員制度に関する知識や情報を伝える形での講演・講習会を3年間、毎年10回以上、述べ1500 名を超える受講者を対象に実施した。受講の感想を簡単な質問紙で調査し、その結果を統計的に分析した。また、海外から研究者を招聘し、シンポジウムなどの研究会を開催して一般市民向けの啓発活動を実践し、制度普及に必要な要素を実証的に検討した。
著者
利谷 信義
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

近代以後現代にいたる日本の司法制度は、陪審制度のつよいインパクトの下にあったことが改めて確認された。明治初期においては、すでに参坐制度の実施があった。これは、司法省の陪審法導入政策の一環であったことは明らかである。井上毅が陪審制度の導入につよく反対したことは、この参坐制度の経験によっている面もあると推測するが、残念ながら今の所確証を得ていない。ボアソナ-ドは陪審法の導入を、日本の司法制度の近代化と、条約改正に資するとの理由から推進した。これは井上毅の反対によって実らず、明治憲法下の裁判所構成法、刑事訴訟法も認めなかったが、明治30年代に入り、日本経済の発展と法体系の整備の下で、在野法曹の陪審制度の導入の動きが始まった。これが政友会の政治綱領の一つとなり、大正デモクラシ-の下で陪審法の成立に結実した。昭和初年の司法制度は、陪審法の実施によって、とくに捜査と立件の面においては影響された。もっとも、治安推持法などの陪審除外がその効果を減殺した。さらに戦時体制がその停止に追いこんだ。戦後の司法の民主化は陪審法の復活・改善を要求したが、司法部は参審の方向を推進し,しかしついにこれをも実現せず,裁判所法3条3項において、その将来の導入の可能性を認めたにすぎなかった。しかしその条項の存在は、その後の刑事訴訟法の改正や臨時司法制度調査会の審議において,つねに陪審問題を思い起させる役割を果した。とくに寃罪事件が明らかになると、日本の司法の民主制が、つねに国民の司法参加の観点から問題となり、最近では、各種の団体が陪審法草案の試案を発表するに至っている。このように、日本の司法制度における陪審制度のインパクトは、人々が一般に思っているよるも、ずっと深くつよいものがある。
著者
齋藤 哲
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

翻訳3点の原本は、ノルウェーにおける刑事和解手続の推進者ニルス・クリスティーエの著作である。我が国においては司法制度改革の一環として、刑事裁判における私人の損害賠償請求制度や被害者参加制度が施行されたが、ノルウェーでは刑事事件そのものの和解を民事上の和解とともに試みる制度がある。オスロ大学の刑事政策の正教授クリスティーエは、ノルウェーにおけるその精神的基盤を確立した人物であり、民事及び刑事の手続きの融合の思想を知る上で、上記の翻訳は意味があると考えている。簡易裁判所の本来的機能と将来についての発表は、裁判所のアクセスの観点から、ドイツ及び英国の調査を踏まえ、これらの国の裁判所の位置的事情を比較の対象に、我が国において裁判所の位置や数のあるべきかたちについて報告したものである。論説「守秘義務について」は、裁判員制度の設計、施行にともない、にわかに世間の衆目を集め賛否の議論が活況を呈するものの、いまだ十分な基礎的研究のなされていない守秘義務のあり方について、これまで我が国において民事及び刑事に関わり市民の司法参加の認められていた制度における守秘義務や、同じ司法に携わる職業裁判官のそれとの相違や日本国の母法国であるドイツ制度の裁判官や名誉職裁判官の守秘義務の沿革にまで遡り歴史的意義を探求し議論することで、今後の民刑量手続きにおける司法機関の判断主体の守秘義務に対する考え方に関する基本的な資料を提供するものである。
著者
渡辺 修治 山野 由美子 原 正和
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.バラRosa damascena花弁に含まれるdamascenone香気前駆体の解明R. damascena Mill.花弁抽出物よりdamascenoneを与える前駆体2種、megastigma-6,7-dien-3,5,9-triol 9-0-β-D-glucopyranosideを単離同定した。また、それぞれの立体中心も別途不斉合成した化合物と直接比較することにより決定した。合成も含めこれらは論文発表済みである。2.茶飲料製造過程で生成するdamascenone香気前駆体の解明茶飲料製造時、滅菌過程で異臭となる化合物が生成する。これらの一部がdamascenoneであることからこの前駆体3種を単離し、それぞれの立体中心も決定した。また、それらの生成経路についても考察した(論文投稿準備中)3.C13-ノルイソプレノイド生成酵素(カロテノイド分解酵素)の解明バラ花弁、果実(スターフルーツ、クインスフルーツ)、茶葉、キンモクセイなどはdamascenoneだけでなくiononeなどのC13-ノルイソプレノイドを特徴的香気成分として生成し、発散する。これらの生合成起源と考えられるカロテノイドを基質としてカロテノイド分解酵素を探索した。その結果、上記の植物中に当該酵素の存在を明らかとし、かつ、酵素の生化学的性状、基質特異性の解明、生成物の同定に成功した。これらの研究成果のうちスターフルーツ、クインスフルーツについては論文に既発表である。
著者
矢幡 久 城田 徹央 小林 善親
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

根においてアポプラスト経由で侵入したイオンは内皮や下表皮に細胞壁にある疎水性のカスパリー帯に阻止されるが、これが欠如すればバイパスフローの原因になり有害イオンが吸収され、耐塩性が低下すると推測される。この仮説を検証する目的で塩感受性のキンモクセイと強耐塩性のマサキの挿木苗を用い、バイパスフロー量を調べた。1)樹木の苗木は、文献の草本性作物と比べてバイパスフロー量がかなり大きかった。またキンモクセイはマサキよりバイパスフロー量が大きかった.バイパスフローが大きければ受動的に吸収される水とともにNaイオンの吸収量も大きくなると推測されたが、現実のNaイオンの吸収量はこの予測値より少なかった。このために、根は吸収したNaイオンを積極的に排出している可能性が示唆された。また、バイパスフロー量は側根の発達程度が異なる季節によって変動する可能性も指摘された。2)蛍光顕微鏡による根の観察から、木本植物においても内皮やコルク形成層の発達によるバイパスの修復が行われていること、キンモクセイの根にもマサキと同様に根にカスパリー帯をもつ下表皮(エキソダーミス)が存在すること、根の腐朽部が大きなバイパスフロー量の原因になっていると推測された。3)冬季の温室で1ヶ月間、塩処理と乾燥処理をそれぞれ遮光と補光の二つの光環境条件で行った結果、葉の最大の光量子収率(Fv/Fm)は、キンモクセイでは乾燥処理の低下より、塩処理で大きく低下し、塩感受性であった。マサキは塩処理の影響が小さく、強耐塩性を裏付けたが、乾燥処理に弱かった。塩及び乾燥のストレスによる影響は、補光条件で大きく光阻害が認められた。ESRで求めた葉内のフリーラジカルは顕著な処理間差は認められなかったが、キンモクセイの遮光・塩処理区では増大した。これはストレスによって葉内で増大した活性酸素の影響によってフリーラジカル量が増大したと推察した。
著者
BALDERMANN Susanne (2009) 渡辺 修治 (2007-2008) SUSANNE B.
出版者
静岡大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

ンモクセイにおけるβ-,α-ionone生合成・発散制御に関わるカロテノイド分解酵素・遺伝子:カロテノイド分解酵素遺伝子ofCCD1の発現レベルの明暗変動(明期に高く暗期に低い)リズムが、分解産物であるC13-ノルイソプレノイド系香気成分β-,α-iononeの明暗発散ズムと一致することを明らかにし、本酵素がβ-,α-caroteneを分解してβ-,α-iononeを生成することも明らかにすると共に香気特性の変化にも言及した(J.Expt.Botany,in press)。色調変化に伴って香気成分を生成・発散する中国バラにおけるカロテノイド,分解酵素,香気成分の変動:各開花段階にあるRosa chinensis Mutabilisの花の香気成分、カロテノイド、アントシアニン、およびカロテノイド分解酵素の消長を明らかにした。ノリの香気成分、色素とカロテノイド分解酵素:浜名湖周辺で採取した新鮮ノリからC13ノルイソプレノイド系香気成分生成に関与するカロテノイド分解酵素を生成し、その生化学的特徴、および、本酵素がβ-,α-caroteneを分解してβ-,α-iononeを生成する等の機能解析に成功した。ノリの実験室内培養系を確立し、本培養によって得られたノリのC13-ノルイソプレノイド系香気成分としてβ-,α-iononeを同定し、同時にβ-,α-caroteneを同定した。チャ花のカロテノイドおよびカロテノイド起源生理活性物質:チャ花の生殖器官よりカロテノイドおよびその分解生成物として植物ホルモンであるABAを同定すると共に、その消長を明らかにし、花弁の展開との関係を明らかにした。
著者
利谷 信義
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

検察審査会は、戦後司法制度改革の一環として設置された。GHQ内部には、公判陪審制度、大陪審制度、裁判官・検察官の公選制度導入の動きも一部見られたが、現実化したのは最高裁判官の国民審査制度と検察審査会の制度であった。検査審査会制度の立法過程については、日本側の資料ではほとんど分らず、GHQ資料についても不明点が多い。但しGHQ担当官マイヤーズの論文により、GHQとしてはこの制度の教育的意義に重点をおいたことが明らかになっている。そのことは、検察審査会制度が、大陪審の逆の制度であって国民が訴追を決定するものでなく、検察官の不起訴処分を審査するものであること、しかも不起訴不当と起訴相当の議決に拘束力がないことによる。後者の点は、戦前の日本の陪審法の影響を認めてよいと考える。検察審査会に期待された教育機能は、おおむね充たされたと言ってよい。検察審査員OBは、この制度の意義を在任中に十分に認め、任期終了後自主的な協会を組織して広報活動にあたっている。この協会は、ほぼ検察審査会の所在地の大部分をカバーし、全国組織をもつに至っている。このような活動が、検査審査会の活性化を助けていることは疑いない。検査審査会事務局からの聞取りによれば、検察審査員達は、始めは就任にちゅうちょするが、任期終了時にはもっと続けてもよいというのが一般的なパターンであり、そのことが協会活動に接続している。また一般人のこの制度の周知度は、総理府の調査によれば、ほぼ20%を上まわる程度で推移している。もっとも昭和62年に東京検察審査協会が実施したアンケートによれば、周知度は38.3%となっており、都民の周知度は全国に比して格段に高いことが分かる。聞取調査の結果は、40年間大きな改正のなかったこの制度も、任期、候補者選定方法、議決の効力等再検討が必要であることを示している。
著者
有田 智一
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、建築許可制導入を想定した際の今後の建築審査会のあり方に関する研究を行うことである。全国の建築審査会を対象として、特例許可、審査請求、運営等に関する実態の分析を行った。また比較対象としてアメリカの特例許可の運用実態との国際比較を実施した。今後の日本の建築審査会では、「民主的観点:民意の反映」の仕組みと、「科学的客観性:専門的知見に照らした裁量的判断」のバランスが求められる。
著者
奥野 利幸
出版者
三重大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

セミノゲリン(SgII)の精子への結合性およびプロテインCインヒビター(PCI)との相互作用について解析した.また生理的役割を解析する目的で,健常人および男性不妊患者の精漿中SgIIとPCI濃度を測定し,病態との関連性について検討した.(1) 洗浄した精子とFITCを用いてラベル化したSgII(FITC-SgII)を反応させ,精子に対するSgIIの結合性を蛍光顕微鏡下に観察した。精漿成分を洗い落とした洗浄精子に対してSgIIが結合していないことを確認した後、FITC-SgIIを反応させた後,蛍光顕微鏡を用いて観察すると,ミトコンドリアを多量に含む精子の中部に特異的に結合することが確認された.結合する蛋白については現在解析中である.(2) 男性不妊症患者の精液中のSgII濃度およびPCI濃度と,病態との関連性を解析した.精嚢低形成患者の精漿中にはPCIはほとんど検出されなかった.また,精漿中にはPCI濃度はフルクトースに比較して射精後48時間を経過しても安定しており,精嚢機能不全あるいは射精管閉塞患者の診断に有用であると考えられた.(3) 精子無力症の患者の精漿中PCI濃度は高くPSA濃度は低いことから、PCIが精子自体に作用し精子運動能を抑制しているか、精子の運動能を高めるプロテアーゼの活性を阻害して、精子運動能を低下させている可能性があり現在解析中である。
著者
上野 孝 湊 賢一 松浦 俊彦
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

約300nmと1nmに粒子径を制御したイカ墨を用いる色素増感太陽電池の研究を行った。特に大きい粒子の利用について検討した。スクリーン印刷法を用いて、酸化チタンペーストにイカ墨粒子を混合したペーストを透明電極上に積層して、450℃で焼成すると白色の酸化チタン電極に変化し、イカ墨粒子が分解蒸発した。それと同時に、酸化チタン電極の表面粗さが増大した。これはイカ墨粒子が酸化チタン電極の多孔性を高める増進剤として効果があることを示唆していた。
著者
新井 寧子 西田 素子 上田 範子 石井 香澄
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

申請者新井は、半規管遮断前後のサル温度眼振の三次元記録より、温度眼振には、対流とは異なったしかし重力に依存する成分の存在を推察した。そこでこれらの現象を明らかにする目的で、本研究プロジェクトを立案した。ニューヨーク大学マウントサイナイ医療センターとの共同研究として、短期間の実験設定およびインターネットを介したその後の持続的交流により、カニクイザルの温度眼振を分析した。左右の全半規管を外科的に遮断されたサルの温度眼振と頭位との関係を調べた結果、管の遮断によっても術前に匹敵する温度眼振が出現すること、この眼振は重力方向に従い変化すること、それらは、半規管神経終末への温度の影響のみでは説明不能なことがわかった。そこで(1)温度変化による神経終末の自発放電の変化、(2)温度による内リンパ液の体積変化が遮断によりクプラへの圧を及ぼすこと、(3)中枢前庭系の速度蓄積機構との和で説明し、シムレーションを行った。その結果この遮断後の温度眼振を再現することができたので、論文にまとめ投稿した。また、内リンパ腔の立体構築を明らかにする目的で、上田がカニクイザル内リンパ腔の三次元再構築をコンピュータ上で行い、学会に発表した。西田は、鳩の頭部を拘束せずに、その動きを二台のビデオ記録した画像より、頭振の三次元解析を行う方法を確立した。ハトでは半規管を骨片でブロックすることができないので、両側の外側半規管を挫滅した後フィブリングルー内で切断し、まず回転後頭振の変化を記録した。その影響は固体差が大きく期待したものではなかった。一方、明所での回転中頭振は、正常ハトでは薄暗がりでも活発であるが、外側半規管切断後は明所のみで回転中頭振が活発であった。そこで、回転中および回転後頭振への明るさの影響を先に調べる必要がでて、検討中である。