著者
相場 英雄
出版者
日経BP
雑誌
日経ビジネス = Nikkei business (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.2022, pp.74-77, 2019-12-23

前回までのあらすじ 金融コンサルタントの古賀遼は日銀OBの南雲壮吉から、米FRB議長が重要な情報を記録したUSBメモリを財務大臣の磯田一郎に渡すよう託される。 月刊誌の経済担当記者、池内貴弘は仙台あけぼの銀行の千葉朱美が自殺した背景を調べ始め、地方銀…
著者
森 聡 永易 利夫 甲田 広明 井上 大樹
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1043, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】長期間持続する慢性疼痛の形成と進展には様々なストレス要因が関連すると考えられている。近年,慢性疼痛において,痛みの経験をネガティブに捉える傾向を評価する破局的思考の重要性が提唱されている。心理社会的ストレスが強い場合,不安,抑うつ,怒り,焦燥などの精神症状が現れ,物事をネガティブに捉えやすい状態に陥ると考えられる。本研究では,痛みを伴う患者の社会的,心理的,環境的なストレス因子に目を向ける必要性を明らかにするため,痛みに対する破局的思考と心理社会的ストレスの関連を調査した。【方法】調査期間は,平成26年4月1日から同年10月31日とした。対象は,整形外科疾患を有する者51名(男性:11名,女性:40名,平均年齢62.4±13.7歳)とした。疾患部位の内訳は上肢疾患33名,下肢疾患16名,体幹疾患2名であった。中枢性疾患及び明らかな認知症を有する者は除外した。調査は,アンケートを用い,自己記入質問紙法にて行った。調査内容は,Pain Catastrophizing Scale(以下,PCS:13項目),Stress Check List for Self(以下,SCL-S:30項目),安静時および運動時のNumeric Rating Scale(以下,NRS)の4項目とした。PCSは,痛みに対する破局的思考を測る尺度であり,13項目から更に,反芻,無力感,拡大視の3つの下位尺度に分類される。PCSは,Sullivanらによって作成された原版を,松岡らが日本語版に翻訳したものを使用した。PCSは合計点と反芻,無力感,拡大視それぞれの点数を算出した。SCL-Sは,30項目からその時点で本人が感じているものを選び,その得点でストレスの度合いを判定するものであり,値が大きい程,心理社会的ストレスを感じていることを示す。運動時NRSは日常生活上の特に痛みの出る動作の痛みとした。統計処理には,Spearmanの順位相関係数を用いて分析した。PCSとSCL-S,安静時及び運動時NRSの相関関係とSCL-SとPCS,反芻,無力感,拡大視,安静時及び運動時NRSの相関関係を分析した。全ての統計学的検定は両側検定とし,有意水準は5%未満とした。【結果】PCSと安静時NRSに正の相関関係が認められた(rs=0.287,p<0.05)。PCSと運動時NRSに正の相関関係が認められた(rs=0.352,p<0.05)。PCSとSCL-Sに有意な相関関係は認められなかった(rs=0.178,p=0.212)。SCL-Sと拡大視に正の相関関係が認められた(rs=0.443,p<0.01)。SCL-Sと安静時NRSに有意な相関関係は認められなかった(rs=0.271,p=0.055)。SCL-Sと運動時NRSと有意な相関関係は認められなかった(rs=0.115,p=0.420)。【考察】本研究結果から,安静時及び運動時の主観的な痛みが強い程,痛みに対する破局的思考が強くなる傾向が示唆された。PCSとSCL-Sの間に相関関係は認められなかったことより,心理社会的ストレスの程度は,痛みに対する破局的思考に影響しないことが分かった。しかし,PCSを下位尺度で分類した際,SCL-Sと拡大視に正の相関関係が認められたことから,心理社会的ストレスの程度によって,痛みの強さやそれによって将来起こりうる障害を合理的に予想されるよりも大きなものとして見積もる傾向があると考えられた。SCL-Sと主観的な痛みの程度に相関関係が認められなかったことから,痛み自体は心理社会的ストレスになっていないことが考えられた。本研究は,各因子の関係性が示唆されたのみであり,破局的思考が痛みを強めるのか,痛みが破局的思考を強めるのかは明確ではない。また,心理社会的ストレスが痛みに対する拡大視を強めるのか,痛みに対する拡大視が心理社会的ストレスを強めるのかも定かではない。しかし,心理社会的ストレスが痛みの難治化を引き起こす一因子として考慮しなければならない可能性を示唆するものとなった。【理学療法学研究としての意義】痛みを有する者に対して,痛みに関連した機能障害,心理的因子の評価を行うだけでなく,社会的背景を含んだ,心理社会的ストレスの評価を行うことで,痛みに対して現実よりも大きく見積もる心理状態に陥りやすいことが分かった。痛みに対する拡大視の強い者の背景に付随する社会的,心理的,環境的なストレス因子に目を向けていく必要性を示すことができた。
著者
樋口 悠子 住吉 太幹 立野 貴大 中島 英 西山 志満子 高橋 努 鈴木 道雄
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.650-655, 2020-12-01 (Released:2020-12-14)
参考文献数
21

ミスマッチ陰性電位 (MMN; mismatch negativity) の振幅は統合失調症などの精神病性障害およびその発症リスクが高い状態 (ARMS; at-risk mental state) で低下していることが報告されている。我々は初発, 慢性期統合失調症およびARMSの患者において持続長MMN (duration MMN; dMMN) を測定した。その結果, 初発, 慢性期統合失調症でdMMNおよびそれに引き続いて出現するreorienting negativity (RON) の振幅低下が見られた。更に, ARMSで後に統合失調症に移行した群については, 非移行群に比べdMMN振幅が有意に低かった。近年MMNの機能的転帰を予測するツールとしての応用について検討する報告も増えてきており, MMNはARMSの転帰予測因子としての期待が高まっている。
著者
宮野 廣 中村 隆夫 成宮 祥介
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 = Journal of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.447-451, 2012-07-01
参考文献数
3
被引用文献数
1

<p> 2007年7月に中越沖地震が発生し,更にその3年半後に東日本大震災が日本を襲った。いずれの場合にも震源近傍の原子力発電所は大きな地震動に見舞われたが,その後に大津波が発生したかどうかにより事故の明暗が大きく分かれることとなった。今,私達は今回の福島第一原子力発電所事故の未曽有の過酷さの前に,4年半前に起きた中越沖地震のことをともすると忘れがちになるが,2つの地震の共通点は,原子力発電所が設計の想定を大きく超えた地震動に見舞われたことにある。日本原子力学会は,中越沖地震の後,「原子力発電所地震安全特別専門委員会」を設置し,設計想定を超える地震に対してどのように安全を確保すべきかを検討してきた。そして東日本大震災が発生した昨年初めには,ほぼその検討結果が報告書としてまとまりつつある状況にあった。福島第一原子力発電所事故後の緊急事態からようやく立ち直りつつある現在,今回取りまとめた地震安全ロードマップに関する報告書の意味するところ,すなわち「原子力発電所の安全をいかに確保すべきか」を改めて問い直してみることが重要である。日本原子力学会は,この報告書の提言しているところを原点とし,引き続き「原子力安全」の確保のあり方について検討していくことが求められている。</p><p> 今回,4回のシリーズで,本委員会の活動に参加した日本原子力学会の委員,及びその検討に協力した日本地震工学会,日本機械学会の委員により,本委員会が取りまとめた地震安全ロードマップ報告書の内容と,中越沖地震及び東日本大震災を踏まえた原子力安全確保のあるべき方向について解説する。</p>
著者
太田 光明 江口 祐輔 大木 茂
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
no.15, pp.110-123, 2008-03-31

宏観異常現象というのは,「特別な機器を利用せずに観察できる異常現象」である。この言葉は地震前の前兆として起こる様々な異常現象に対して使われ,古今東西を問わず,様々な形で世の中に知れ渡っている現象である。兵庫県南部地震以降,この異常現象は注目され様々な形で取り上げられている。特に,動物の行動異常に関する情報は多く,この異常現象の情報をうまく収集することができれば,短期予測が可能なのではないか,と考えられる。そのことから,麻布大学動物人間関係学研究室(現:介在動物学研究室)では,NTTドコモの第三次携帯端末FOMAを利用して,イヌとネコの飼い主から普段見受けられない異常行動を発現したときにその行動を写した動画を同研究室に送信し,その行動は地震前兆前の異常なのかどうかを客観的に分析し,異常行動を起こすメカニズムや異常行動に関するデータを収集する,というシステムを始動している。この研究は,このFOMAを利用したモニターの説明を受けた人々が,宏観異常現象(特に動物の異常行動)や,このようなシステムに関してどのように受け止めたのかなどを,アンケート形式で答えていただいて,システムや地震,宏観異常現象の研究についてどのように考えているのかを分析していくものである。アンケートの結果から,ほとんどの人が大学の研究内容について知る機会がないとの回答であった。また,アンケートに回答していただいた方のうち,動物を飼っている人が過半数であるにもかかわらず,モニター参加をしてもよいと答えていただいた人は17%ほどしかいなかった。自由回答の欄では宏観現象について興味があると答えていた人でも実際には自ら「モニターになりたい」と答えていた人はほとんどいなかった。臨震情報を作り上げる上で,動物の異常行動の小さな情報を積み上げていくことは,とても重要なことである。臨震情報によって,多くの命を救うことができることが,被害想定でもしっかりと予測されている。地震の被害を最小におさえるために,各専門家や企業,個人が自分には何ができるのかをしっかりと考えて行動し,「差し迫る危険」に対してどう対処すべきなのかをじっくり考える機会を待つべきである。このシステムに参加することにより,日ごろから地震に対する防災意識が芽生えるとともに,ペットとのよりよい関係を築くことができれば,よりよいペットとの住空間を作り上げることができると考える。
著者
島井浩 著
出版者
誠之堂
巻号頁・発行日
1905
著者
太田 光明 江口 祐輔 大木 茂 大谷 伸代
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
no.17, pp.167-172, 2009-03-31

1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生した。神戸市など震源地周辺で飼育されていたイヌのうち約20%が地震発生前に異常行動を示したことが地震発生後の調査によって報告された。本研究では,イヌの示した異常行動の原因は地震前に発生する電磁波を感知したためではないかとの仮説のもと,人工的に発生させた電磁波をイヌに照射し,照射後の行動および神経内分泌学的な変化を観察した。
著者
平 英彰 庄司 俊雄 寺西 秀豊 剣田 幸子 槻陽 一郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.467-473, 1995-04-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

一般に空中花粉調査ではスギの花粉飛散は, 2月から3月にかけてスギ雄花の開花に伴って観察される. しかし, スギ雄花の花粉飛散状況を直接観察すると, スギ花粉は Durham型花粉検索器でほとんど検索されなかったが, 1月上旬からすでに肉眼的に少量の花粉飛散が認められた. また, スギ花粉症患者の発症は, 1月上旬から認められており, Durham型花粉検索器で観測したスギ花粉数から判定したスギ花粉飛散開始日までに, スギ花粉症患者1,366人の内265人(19.4%)が発症していた. したがって, 少量ながらスギ花粉は1月上旬からすでに飛散しており, 敏感なスギ花粉症患者においては, 1月上旬から, スギ林から飛散した花粉によって症状が誘発される場合があると考えられる.