著者
山田 吉英 道下 尚文
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.9, pp.894-906, 2013-09-01

ノーマルモードヘリカルアンテナは,小形アンテナの代表的なものとして,携帯電話機などの小形化が必要とされる用途に広く使用されてきた.また,これまでに多くの研究がなされており,アンテナの設計や電気特性に関する様々な評価式が明らかにされている.本論文では,まず従来の様々な研究と評価式を概観する.次に,筆者らが考案した,アンテナ構造に対する簡便な自己共振の設計式について述べる.また,自己共振時の電気的及び磁気的蓄積エネルギーの関係につても述べる.更に,インピーダンス整合用のタップ給電の簡便な設計式について述べる.最後に,実測により求めたアンテナ電気性能や,低抵抗値の測定法について述べる.実測の結果,1/200波長と小形化しても,-15 dBiという良好な利得が得られることが分かった.
著者
グエン ミン テイ 川村 隆浩 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.12, pp.2970-2978, 2013-12-01

本論文は,実世界での人々の行動を分析し,状況に応じた適切な情報提示などへ役立てることを目的に,Twitterなどソーシャルメディアから行動ネットワークを構築する研究の一環である.ソーシャルメディアからの行動抽出にあたっては,さまざまな理由から呟かれなかった行動が数多く存在し,結果として行動ネットワークがスパースになってしまうという問題が存在する.そこで,行動の性質とユーザのゴールを考慮した行動ベース協調フィルタリング手法を提案し,欠損行動の推測を試みる.また,協調フィルタリングによる頻度の原理の副作用としての低頻度だが価値のある情報が埋もれてしまう問題に対して,人が成功している人や行動にどのように影響を受けるか,を単純にモデル化し,一定の重み付けを行う方法を提案する.そして,東日本大震災発生時のtweet 337,958件を対象に評価実験を行った結果,提案手法を用いることで行動ネットワーク内の欠損行動ノードを一定程度,補完できることを確認した.
著者
守口 裕介 岡田 亜沙美 浮田 宗伯 萩田 紀博
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.11, pp.2776-2783, 2013-11-01

複数人の移動軌跡から,人のグループを検出する手法を提案する.このグループ検出は,任意の2人が同一のグループに属しているかどうかを判定することによって行われる.この2人組の軌跡対は,軌跡間の距離や相対速度などの時空間的な関係によって特徴量化される.その特徴量は,識別器によって「グループ内」か「グループ外」に識別される.従来の類似特徴量と比較して,提案する特徴量は,類似した時空間関係の間の識別に優れ,軌跡のノイズに対して頑健である.実験では,歩行者を対象としたレーザーレンジファインダによる計測軌跡の公開データセットを用い,提案手法によるグループ検出の精度向上を示す.
著者
木村 秀平 肥後 芳樹 井垣 宏 楠本 真二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.11, pp.2864-2865, 2013-11-01

モジュールの凝集度を高め結合度を下げるために,コード片を適切な位置に移動させるリファクタリングが行われる.このようなリファクタリングの候補を特定するために,従来の手法では静的解析を用いていた.しかし,静的解析を用いる手法は実行時に定まる情報を反映することができないため,特定が困難なリファクタリング候補があると考えられる.本論文では,動的解析によって得られるフェイズ分割を用いてMove Methodリファクタリングの候補を特定する手法を提案する.
著者
前田 貴博 西 正博 新 浩一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.10, pp.1353-1363, 2012-10-01

筆者らはヒトの屋内への侵入検知を目的とし,UHF帯テレビ放送波を用いたヒト検知システムを提案している.本システムは,テレビ放送波の受信レベルがヒトの動きに応じて変動することを利用してヒトの有無を判定している.これまでは,テレビ放送波を受信するアンテナを屋内に設置し,受信レベルが変動した場合に「屋内にヒトが居ると判定(検知)」していた.一方,受信レベルは屋内のヒトだけではなく,屋外のヒトや車などの外乱の影響でも変動するため,「屋内にヒトが居なくても外乱により屋内にヒトが居ると判定(誤検知)」することがある.そこで本論文では,より高精度な検知性能を実現するために,屋内と屋外にアンテナを設置し,それぞれの受信レベル変動から外乱を判定し誤検知を低減する協調検知手法を新たに提案する.検知対象として屋内のヒト,また誤検知対象の外乱として屋外のヒト,車を想定し,検知確率及び誤検知確率を従来手法と比較し,協調検知手法の性能を評価した.実測結果から,従来手法では外乱により誤検知が生じる一方,協調検知手法ではどの外乱に対しても誤検知が低減されたことを確認した.またシミュレーション結果により,継続時間が3秒の外乱が10秒に1回生じるような状況においても,提案手法は,誤検知を従来手法と比べて約1/100に低減でき,また約50%の時間率で確実にヒトを検知できることを明らかにした.
著者
白井 克彦 誉田 雅彰
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J59-A, no.8, pp.668-674, 1976-08-25

調音運動に関する研究は,音声伝送,音声合成,音声認識の基礎として,音響次元での処理を調音運動の特性に応じた適切なものとする意味から重要であり,その手段として調音機構に関する適当なモデルを設定することが有用である.本論文では,各調音器官の構造性を考慮した調音モデルの構成方法について述べた.このモデルの特徴は,側面X線写真データの統計的な分析によって得られる舌面の変形に関しての主要な変動要因を用いて舌を表現している点であり,従来のモデルと同程度のパラメータでより精密な調音状態の記述が可能となる.次に,このモデルを用いて調音パラメータと音響次元との対応関係を定量的に調べ,その応用として非線形重回帰分析の手法を用いた調音パラメータの推定方法を述べた.ホルマント周波数を用いて,合成音声と実音声について推定した結果は十分妥当なものであり,本方法の有効性を示している.
著者
白井 克彦 誉田 雅彰
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J61-A, no.5, pp.409-416, 1978-05-25

調音器官の構造に基づいて,声道形を表現する調音モデルを設定し,音声波からモデルマッチングの手法によって,調音状態を推定する方法について述べる.この方法では,音声スペクトルに関して,設定されたモデルの適合誤差を最小にすることを基本とした非線形最適化問題として,調音パラメータが推定される.その場合,解の唯一性や収束の安定性が問題となるが,調音パラメータの変動範囲および分析フレーム間の連続性の制約を評価関数に取入れること,声道特性の分離基準としてモデルの特性を考慮すること,適切な初期値の設定などによって,二,三回の反復計算により十分安定に解が求まることが,合成分析実験により明らかになった.更に,本方法を実音声に適用し,良好な結果が得られることを確認した.
著者
汪 増福 加藤 博一 佐藤 宏介 井口 征士
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J75-D2, no.7, pp.1177-1186, 1992-07-25

鏡面物体の3次元復元問題は視線の拘束,スネルの反射法則および理想的な結像の拘束といった拘束条件下での局所的最小化問題として形式化される.そこで,周囲の物体などの3次元環境および物体の鏡面像の3次元位置を既知として,物体とその鏡面像の対応関係を用いて鏡面物体の3次元情報を再構成する手法を提案し,これを実現する実験的なシステムを構成し,実物の鏡面物体を対象に,手法の有効性を示した.
著者
横平 徳美 滝広 眞利 井上 尚子 岡本 卓爾
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.J77-B1, no.3, pp.132-140, 1994-03-25

本論文では,Manhattan Street Network(MS-Net),ShuffleNet(SH-Net)およびShuffle-Exchange Network(SX-Net)を対象にして,う回ルーチング(deflection routing)を行ったときのエンドユーザ間での性能を,シミュレーションによって評価・比較している.まず,ユーザからネットワーク内へのパケットの送出モードとして,新たにSCANモード(ユーザから発生するパケットを適宜選択して送出するモード)を考え,従来のFIFOモード(先着順に送出するモード)との得失を検討している.その結果,三つのネットワークにおいて,どちらの送出モードを用いても,中継バッファの容量が2であれば,無限大のときとほぼ同じ性能が得られること,MS-NetおよびSH-NetにおいてはSCANモードの方が,SX-NetにおいてはFIFOモードの方が優れていることを明らかにしている.次に,三つのネットワークの性能を相互に比較し,ノード数の少ない小規模なネットワークではMS-NetとSH-Netが優れており,大規模なネットワークではSX-NetとSH-Netが優れていることを明らかにしている.
著者
上瀧 剛 内村 圭一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.8, pp.1664-1674, 2013-08-01

固有顔法などで用いられる主成分分析をスケールスペースに応用する.スケールスペースへの変換作用は連続的であるため,従来の行列ベースの主成分分析を無限次元に拡張する必要がある.本研究では,これをスペクトル分解を用いて固有値問題を積分方程式の問題に帰着させ,連続的な固有解を多項式で近似して求める方法を提案する.ガウシアンスケールスペース及び,SIFTなどで用いられるScale Normalized LoG空間に対してスペクトル分解を行い,具体的な固有解を導出する.応用例として,任意のスケールのぼけ画像の生成,及び高精度な特徴点検出法を挙げる.
著者
金子 和正 関 健二 井原 俊夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.8, pp.871-875, 2013-08-01

本研究では,60 GHz帯において,複数の発泡度を存する4種類の発泡スチロール板(厚さ5 cm)の透過係数位相の入射角特性を測定し,その測定データに適合する発泡スチロール板の屈折率実部を非線形最小二乗法により推定した.得られた実験結果を用い,発泡スチロールの屈折率実部と発泡スチロール体積に占めるポリスチレン成分の体積分率の関係を表す線形近似の実験式を求めた.また,発泡スチロール透過係数絶対値の層の厚さ依存性の測定より,屈折率虚部についても推定を行った.
著者
石井 大祐 河村 圭 渡辺 裕
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.7, pp.1667-1670, 2007-07-01

2分割を繰り返すことによりコミック画像を各コマに分割する手法が提案されている.本論文では,幅をもつ検査帯により分割線候補の検出を行い,分割線適合検査によりコマ分割を決定する手法を提案し,実験によりしきい値と分割精度について評価を行った.
著者
小関 勇気 園田 潤 金澤 靖 佐藤 源之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J96-C, no.6, pp.151-155, 2013-06-01

これまで,室内モデル等によるFDTD解析が行われているが,解析結果の現実的かつ三次元可視化の高速化に課題があった.本論文では,SfMシステムにより構築した実環境モデルと,データ転送量を削減したマルチGPUによるFDTD法を組み合わせ,実環境下における三次元ポインティングベクトル分布の高速可視化を実現する.
著者
Hitoshi OHNISHI Kaname MOCHIZUKI
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Communications (ISSN:09168516)
巻号頁・発行日
vol.E90-B, no.1, pp.12-20, 2007-01-01
被引用文献数
33

The performance of a force feedback system is disturbed by delay that arises from the time required for transmission and processing of data. We used a psychophysical method to measure how much a user's subjective impression of elasticity associated with delays of feedback force deviated from the original physical elasticity. The results show that users' point of subjective equality (PSE) for their subjective impression of elasticity decreased as the delay of feedback force increased. We proposed a model that estimates the PSE of elasticity from the variables that can be physically measured. Another experiment was conducted to examine the model's prediction, which the results supported.
著者
村田 晴美 荻原 昭夫 岩田 基 汐崎 陽
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.4, pp.941-951, 2013-04-01

本論文では,従来の音楽電子透かし法とは異なった視点から埋込を行う手法を提案する.音楽を対象とた電子透かしでは,透かしが埋め込まれた後に音楽データとしての価値を損なわないように音質を維持することが求められている.この要件に対して,従来の手法では音質劣化が知覚されないように埋め込んでいた.しかし,種々の攻撃に耐性を有し,かつ十分な埋込容量を確保しながら音質劣化が知覚されないように埋め込むことは難しい.そこで,音質劣化が「知覚されない」ではなく,「知覚されても違和感がない」ように埋め込むことで要件を満たすために,演奏楽器と類似した音色をもつサンプリング音を透かし信号とした埋込法を提案する.
著者
鳥海 不二夫 石井 健一郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.9, pp.2456-2464, 2007-09-01

小学校などの学級集団においては,教師が集団を適切にコントロールすることが 求められる.特に,近年問題となっている「いじめ」や「学級崩壊」は教師の 適切な学級運営によって防ぐことができるケースが多い.そこで,我々は学級 集団構造の変化を解析するために,学級集団のマルチエージェントモデルを提案した. 本論文では,学級運営における教師の介入が学級集団形成にどのような影響を 与えるかをシミュレーションによって確認した. シミュレーションでは教師によるコミュニケーション介入として二つの手法を モデル化し適用した. その結果,孤立した生徒の増加に対しては, 適度な教師の介入が有効であることが示唆された. また,一般的な介入方法である「班」の導入が効果的であることをシミュレーション によって確認した.
著者
村田 恵介 古川 利博 久保田 一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J96-A, no.5, pp.278-282, 2013-05-01

本論文では,NMRにおける極推定の問題に対し,帯域抽出を用いた極推定法における抽出帯域幅がAR係数推定誤差と求根誤差に与える影響を議論し,適切な抽出帯域幅に関する検討を行っている.また,これを計算例によって確認している.
著者
小菅 義夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J93-B, no.11, pp.1504-1511, 2010-11-01

追尾フィルタは,センサから得られる観測誤差を含んだ航空機などからの目標位置観測値をもとに,目標の位置,速度などの真値を推定するアルゴリズムである.追尾フィルタの代表例は,線形最小二乗フィルタ,α-βフィルタ,等速直線運動モデルを使用したカルマンフィルタである.本論文では,これら各種追尾フィルタについて概説する.また,設計パラメータが所要追尾性能より直接決定できる,新たな追尾手法であるNPフィルタについて述べる.
著者
Kazuya HARAGUCHI Hirotaka ONO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E96-D, no.3, pp.481-488, 2013-03-01

BLOCKSUM, also known as KEISANBLOCK in Japanese, is a Latin square filling type puzzle, such as Sudoku. In this paper, we prove that the decision problem whether a given instance of BLOCKSUM has a solution or not is NP-complete.
著者
Tatsuki HYODO Gaku ASAKURA Kiwamu TSUKADA Masashi KATO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E96-A, no.4, pp.824-825, 2013-04-01

This letter proposes an analog active noise control (ANC) circuit with an all-pass filter (APF). To improve performance of the previously reported analog ANC circuit, we inserted an APF to the circuit in order to fit phases of a noise and an electrical signal in the circuit. As a result, we confirmed improvement of the noise canceling effect of the analog ANC circuit.