著者
武藤 佳恭 山本 浩之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.12, pp.1316-1321, 2013-12-01

本論文は,(1)床発電の研究のはじまり,(2)床発電の実証実験と床発電商品としての実施例,(3)熱海市での温泉排熱を利用した温度差発電,(4)ロウソク熱を使った温度差発電,(5)たき火熱,薪ストーブの廃熱,バイクマフラー廃熱,懐炉(カイロ)廃熱などを利用した温度差発電,(6)自然廃熱を利用したマグマ熱発電まで網羅的に紹介する.エネルギーハーベスティングまたはパワーハーベスティングの研究は,新産業創出に貢献できるものと著者らは期待している.関連する測定技術や性能向上のための技術問題についても簡単に述べる.上記のうち,(1)〜(5)は,実証実験,(6)は日本国が実施すべきマグマ熱発電の概要を説明する.
著者
新田 幸司 大坐畠 智 加藤 聰彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J98-B, no.2, pp.141-152, 2015-02-01

ネットワークエミュレーションでは,実システムから送信されるパケットを実時間以内に処理し,通信相手に届ける必要がある.そのため,処理の高速化のため並列・分散処理が可能なエミュレータが開発されてきた.並列・分散処理が可能なネットワークエミュレータでは,各端末の無線エミュレーションを独立した論理プロセス(LP: Logical Process)として分割し,並列に実行することで,性能の向上を実現している.並列・分散処理を行った場合でも,単一でエミュレーションを行った場合と同じ結果を得るため,LP間で影響のあるイベントの実行時に同期が必要となる.並列・分散エミュレーション環境では,無線LANを用いて通信を行う端末の間でフレーム衝突やMAC層の再送のイベントを実行する際,同期をとらずにそれぞれの受信側で独立して実行した場合,エミュレーション結果が端末間で異なる問題がある.本論文では,端末間(LP間)でのエミュレーション結果が異なる問題を改善するために,フレーム送信端末側で情報を付加し,かつ,1ホップ内の全ての受信端末に対して動作決定の判断に必要な情報を事前に共有させておくことで,受信端末に対してのフレームの同時受信・再送のイベントの同期をとる方式を提案する.ネットワークエミュレータEMANEに提案方式を実装し,評価を行う.
著者
苅込 正敞 西村 崇
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.9, pp.738-751, 2014-09-01

移動通信システムの基地局アンテナでは多くの場合,垂直面内指向性の主ビームにチルトをかけてサービスエリアを調整している.そのチルト角はトラヒックの変動に対応して遠隔で,または現場で制御できることが要求される.チルト角を電気的に調整するための移相器は100〜500Wの耐電力で,低損失,低PIM特性が要求され,アンテナレドーム内部に収納できるよう小型・軽量でなければならず,基地局アンテナのキーパーツの一つであると言える.こうした移相器には各種のタイプが開発されており,同軸管型,誘電体装荷型,摺動回転型といったタイプがある.これらの移相器のうちで基地局アンテナに実際に適用されていると思われるタイプについて,その構造を述べ,特徴を考察した.次いで著者らが開発した移相器について,その構造・特性を述べた.更に移相器のみを用いてアレーアンテナ全素子の励振振幅並びに位相を制御する方法と8素子での全素子制御の計算例を示した.
著者
Masashi SUGIYAMA Ichiro TAKEUCHI Taiji SUZUKI Takafumi KANAMORI Hirotaka HACHIYA Daisuke OKANOHARA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E93-D, no.3, pp.583-594, 2010-03-01

Estimating the conditional mean of an input-output relation is the goal of regression. However, regression analysis is not sufficiently informative if the conditional distribution has multi-modality, is highly asymmetric, or contains heteroscedastic noise. In such scenarios, estimating the conditional distribution itself would be more useful. In this paper, we propose a novel method of conditional density estimation that is suitable for multi-dimensional continuous variables. The basic idea of the proposed method is to express the conditional density in terms of the density ratio and the ratio is directly estimated without going through density estimation. Experiments using benchmark and robot transition datasets illustrate the usefulness of the proposed approach.
著者
伊藤 昌毅 川村 尚生 菅原 一孔
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.10, pp.2327-2339, 2013-10-01

本論文では,走行中の路線バスの位置情報を取得するバスロケーションシステムの開発について述べる.バスロケーションシステムは,バス停においてバスの到着を知らせるなど公共交通の利便性を高めるために用いられているが,運用コストの問題で小規模な都市での実現は困難である.本論文では,スマートフォンを車載器として利用することで,導入や運用コストを抑えたバスロケーションシステムを実現した.開発システムは,バスの位置情報をユーザに提供するだけでなく,既に運用中のバスや鉄道の経路案内サービス「バスネット」と連携することで,バスの遅れを考慮した経路探索を実現するなど,公共交通の利便性を高める情報基盤として機能している.開発したバスロケーションシステムは,鳥取県のバスを対象に運用を続けており,アクセス数などの運用状況やそこから得られた知見についても紹介する.
著者
渡邊 栄治 尾関 孝史 小濱 剛
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J97-D, no.12, pp.1725-1728, 2014-12-01

本論文では,e-Learningにおける受講者の取り組みを明確にするために,ノーティングの動作を分析する.まず,ペン先を検出するための手法及びノーティング動作を分類するための手法について述べる.つぎに,ノーティング動作の検出結果から,ノートだけでは抽出できない受講者間の差異を明確化できることを示す.
著者
藤田 和之 高嶋 和毅 伊藤 雄一 大崎 博之 小野 直亮 香川 景一郎 津川 翔 中島 康祐 林 勇介 岸野 文郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.1, pp.120-132, 2013-01-01

我々は多人数でのコミュニケーションを支援するための情報環境Ambient Suiteを提案し,検討を進めている.Ambient Suiteは部屋全体が入出力機能をもったシステムであり,様々なセンサにより会話の状態を推定し,また,この状態に応じて,床や壁に配置されたディスプレイ群を連携させて様々な情報を表示することで会話の活性化を目指す.本研究では,Ambient Suiteを立食パーティの場面に適用したAmbient Party Roomを実装し,これを用いた初対面の男女6人による会話実験を行った.この結果,本システムが会話の状況を十分に推定可能な性能を有し,情報提示により会話を活性化させられることが分かった.
著者
三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J98-A, no.1, pp.29-40, 2015-01-01

昨今の専用のドローイングソフトウェアやモバイルディバイスの普及に伴い,マンガの制作と流通はディジタル環境に移行しつつある.マンガが内包する情報やマンガの内容に関連する情報はコンテンツ本体のデータからの参照が困難であるためディジタル環境におけるマンガの情報の利用は充分に行われていない.そこで,我々はこれまでにディジタル環境におけるマンガの効率的な利用のためのメタデータの開発を行ってきた.本論文では,我々が先に提案したマンガメタデータフレームワーク(MMF)とそれに基づくメタデータによるマンガのアクセスと制作の支援手法について述べる.本研究では,Linked Open Dataを利用したメタデータの効率的な開発とそれらを利用したマンガのアクセスと制作を支援するためのシステムを構築し,ディジタル環境におけるマンガのメタデータの有効性について考察した.
著者
井関 洋平 川西 康友 椋木 雅之 美濃 導彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J98-D, no.1, pp.236-249, 2015-01-01

様々な環境に設置された防犯カメラで観測された人物画像の特徴量は被写体の姿勢,照明などの撮影条件によって大きく変化する.そのため,特定人物画像検索における人物画像の特徴量比較には,撮影条件が異なれば(1)本来外見が類似している同一人物の人物画像の特徴量間の距離が大きくなる,(2)本来外見が類似していない別人同士の人物画像の特徴量間の距離が小さくなる,という二つの問題がある.従来提案されてきた適合性フィードバックでは,問題(1)には対応できるが問題(2)には対処できない.我々が提案する条件分割型適合性フィードバックでは,撮影条件を分類してフィードバックすることで,各撮影条件の画像特徴量が混合されることを回避し,問題(1)(2)の両方に対処できる.複数の防犯カメラ映像に対して人物画像を検索し,通常の適合性フィードバックと比較することで本手法の有効性を確認した.
著者
宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J98-D, no.1, pp.3-16, 2015-01-01

近年,構成主義における学習評価法としてピアアセスメントが注目されている.ピアアセスメントでは,評価の信頼性が評価者の特性に依存する問題が指摘されている.この問題を解決するアプローチの一つとして,評価者の特性を表すパラメータを付加した項目反応理論が提案されてきた.しかし,ピアアセスメントでは,評価者数が学習者数と同程度まで増加するため,パラメータ数に対してデータ数が少なくなり,既存モデルでは高精度なパラメータ推定が期待できない.そこで,本論では,通常の項目反応理論について,できる限り評価者パラメータ数が少なくなるように評価者パラメータを付加した,ピアアセスメントのための新たな項目反応理論を提案する.提案手法の特徴は次のとおりである,(1)既存モデルより高精度なパラメータ推定が可能である.(2)評価者特性として評価の一貫性と厳しさの影響を反映した学習者の能力推定が可能である.(3)学習者の正確な能力推定が期待できる.更に,本論では,シミュレーション実験及び被験者実験により提案手法の有効性を示す.
著者
Fumio TERAOKA Sho KANEMARU Kazuma YONEMURA Motoki IDE Shinji KAWAGUCHI Kunitake KANEKO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Communications (ISSN:09168516)
巻号頁・発行日
vol.E97-B, no.12, pp.2583-2595, 2014-12-01

Using “clean-slate approach” to redesign the Internet has attracted considerable attention. ZNA (Z Network Architecture) is one of clean-slate network architectures based on the layered model. The major features of ZNA are as follows: (1) introducing the session layer to provide the applications with sophisticated communication services, (2) employing inter-node cross-layer cooperation to adapt to the dynamically changing network conditions, (3) splitting the node identifier and the node locator for mobility, multi-homing, and heterogeneity of network layer protocols, (4) splitting the data plane and the control plane for high manageability, and (5) introducing a recursive layered model to support network virtualization. This paper focuses on the first three topics as well as the basic design of ZNA.
著者
Kenta IWAI Yoshinobu KAJIKAWA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E97-A, no.11, pp.2189-2199, 2014-11-01

In this paper, we propose a parameter estimation method using Volterra kernels for the nonlinear IIR filters, which are used for the linearization of closed-box loudspeaker systems. The nonlinear IIR filter, which originates from a mirror filter, employs nonlinear parameters of the loudspeaker system. Hence, it is very important to realize an appropriate estimation method for the nonlinear parameters to increase the compensation ability of nonlinear distortions. However, it is difficult to obtain exact nonlinear parameters using the conventional parameter estimation method for nonlinear IIR filter, which uses the displacement characteristic of the diaphragm. The conventional method has two problems. First, it requires the displacement characteristic of the diaphragm but it is difficult to measure such tiny displacements. Moreover, a laser displacement gauge is required as an extra measurement instrument. Second, it has a limitation in the excitation signal used to measure the displacement of the diaphragm. On the other hand, in the proposed estimation method for nonlinear IIR filter, the parameters are updated using simulated annealing (SA) according to the cost function that represents the amount of compensation and these procedures are repeated until a given iteration count. The amount of compensation is calculated through computer simulation in which Volterra kernels of a target loudspeaker system is utilized as the loudspeaker model and then the loudspeaker model is compensated by the nonlinear IIR filter with the present parameters. Hence, the proposed method requires only an ordinary microphone and can utilize any excitation signal to estimate the nonlinear parameters. Some experimental results demonstrate that the proposed method can estimate the parameters more accurately than the conventional estimation method.
著者
Nobuhiro MIYAZAKI Yoshinobu KAJIKAWA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E97-A, no.10, pp.2021-2032, 2014-10-01

In this paper, we propose a modified-error adaptive feedback active noise control (ANC) system using a linear prediction filter. The proposed ANC system is advantageous in terms of the rate of convergence, while maintaining stability, because it can reduce narrowband noise while suppressing disturbance, including wideband components. The estimation accuracy of the noise control filter in the conventional system is degraded because the disturbance corrupts the input signal to the noise control filter. A solution of this problem is to utilize a linear prediction filter. The linear prediction filter is utilized for the modified-error feedback ANC system to suppress the wideband disturbance because the linear prediction filter can separate narrowband and wideband noise. Suppressing wideband noise is important for the head-mounted ANC system we have already proposed for reducing the noise from a magnetic resonance imaging (MRI) device because the error microphones are located near the user's ears and the user's voice consequently corrupts the input signal to the noise control filter. Some simulation and experimental results obtained using a digital signal processor (DSP) demonstrate that the proposed feedback ANC system is superior to a conventional feedback ANC system in terms of the estimation accuracy and the rate of convergence of the noise control filter.
著者
Tomonori ANDO Yoshiyuki KABASHIMA Hisanao TAKAHASHI Osamu WATANABE Masaki YAMAMOTO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E94-A, no.6, pp.1247-1256, 2011-06-01

We study nn random symmetric matrices whose entries above the diagonal are iid random variables each of which takes 1 with probability p and 0 with probability 1-p, for a given density parameter p=α/n for sufficiently large α. For a given such matrix A, we consider a matrix A ' that is obtained by removing some rows and corresponding columns with too many value 1 entries. Then for this A', we show that the largest eigenvalue is asymptotically close to α+1 and its eigenvector is almost parallel to all one vector (1,...,1).
著者
平尾 明子 竹下 秀俊 岡本 聡 大木 英司 山中 直明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.2, pp.99-109, 2014-02-01

ネットワークのトラヒック量の増大に伴い,ネットワークの消費電力量が急増し,消費電力の削減が急務となっている.また,ネットワークのリソースを有効に活用するために多対多接続サービス実現への要求が増加している.本論文では,ネットワーク中のトラヒックを特定リンクに集約することで,空となった未使用リンクをスリープ状態にし,ネットワーク全体の消費電力を削減するMiDORiネットワーク技術における多対多対応ルーチング手法としてSuperPosed Minimum Spanning Tree (SPMST)アルゴリズムを提案する.提案アルゴリズムは,多対多接続MiDORiネットワークにおける要求条件である,高い省電力性実現,20秒以内での100ノード以上かつ,1000マルチキャストグループ以上対応の計算実行を満たす.計算機シミュレーションにより,提案するアルゴリズムの省電力性・計算時間・マルチキャストグループ収容数の有効性を示すとともに,MiDORiネットワークのプロトタイプシステムにおける提案アルゴリズムの有効性を検証した.
著者
佐藤 丈博 樋口 雄紀 竹下 秀俊 岡本 聡 山中 直明 大木 英司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.7, pp.474-485, 2014-07-01

インターネットやモバイルネットワークにおけるトラヒック量は近年急激な増加を見せており,伝送容量拡大によるネットワーク機器の消費電力増大が問題となっている.そこで,複数のネットワークサービスを単一物理網上で提供し,トラヒック収容効率の向上及び省電力化を実現する次世代光メトロ・アクセス融合型ネットワーク「エラスティック光アグリゲーションネットワーク(EλAN)」が提案されている.EλANでは局側装置であるOLTがプログラマビリティをもち,論理OLTを異なる物理OLT間や局舎間で自由にマイグレーションすることが可能になる.本論文では,EλANの省電力化を目的とした論理OLTのマイグレーション手法を提案する.具体的には,稼働する物理OLT数が最小となる論理OLTの配置,及びその配置に至るマイグレーション手順を得ることを目的とした最適化問題を線形計画問題としてモデル化し,物理OLTのスリープ率及びマイグレーションの実行回数について性能評価を行った結果を述べる.また,EλANのプロトタイプシステム上で行った論理OLTのマイグレーションの基本動作の確認について報告する.
著者
浅海 賢一 竹内 章 大槻 説乎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J80-D2, no.10, pp.2848-2859, 1997-10-25

本論文では,物理量間の因果関係について学習者と対話を行うことにより,物理則を系に適用したり物理量の系における役割を理解する訓練を行うための学習支援方法について述べる.ある物理量が他の物理量へ与える影響を因果関係として導出するために,定性推論の一手法である比較推論を用いる.比較推論で求めた因果の連鎖と学習者モデルに基づいて,適切な話題を選定したり,因果をたどる方向を決定したり,因果の概略から詳細へ誘導するための対話戦略を提案する.また学習者の因果関係についての説明が完全でない場合,もとの系と類似の系を対比させることにより,学習者自らに因果関係を発見させる方法について提案する.
著者
横田 雅也 築地 立家 藤井 愼二 伊藤 大雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J84-D1, no.1, pp.58-61, 2001-01-01

縦横 N ますに王将を除く各駒が O(N) 枚ずつ配置されている盤面が与えられたとき,詰み手順があるかどうかを判定する問題を一般化詰め将棋問題と呼ぶ.伊藤らはその計算複雑さがNP困難であることを証明した.本論文では盤面とともに手数の上限を単進数で与えたときの一般化詰め将棋問題がPSPACE完全であることを証明する.
著者
岡本 昌也 柳井 啓司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J97-D, no.8, pp.1237-1249, 2014-08-01

近年,ウェアラブルカメラと呼ばれる頭や胸などに装着し撮影するカメラの普及に伴って,一人称視点の映像が多く撮られるようになってきている.本研究では,一人称視点映像の実用的な利用の一つとして,道案内映像としての利用を考える.一人称視点映像の移動映像を入力として,映像中の道順が分かるようシーンの重要度に応じて動的に再生スピードを変化させた要約映像を自動生成することを目的とする.要約映像を生成するために,自己動作分類と横断歩道検出という二つの処理を行う.自己動作分類は,映像撮影者の行動を“前進”,“停止”及び“右折”,“左折”の四つに分類する.横断歩道検出は,映像中に出現する横断歩道を検出することで,映像中の交差点や分岐点を推定する.要約映像の生成は,自己動作分類と横断歩道検出の結果を統合し,動的に再生速度を制御することによって行う.実験では,横断歩道検出の精度実験及び自己動作分類の精度実験を行い,その有効性を検証した.映像3本に対して提案手法の要約映像を生成して被験者10人による比較評価実験を行い,横断歩道検出と自己動作分類の両方を用いた提案手法が他のベースライン手法より優れていることを示した.