著者
赤津 観 涌井 伸二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.127, no.11, pp.1171-1179, 2007-11-01 (Released:2007-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
8 20

This paper proposed a calculation method of the torque and power density especially for the fractional-slot concentrated winding machines. The torque coefficient and the inductance coefficient to transform from m-slot/n-pole machine to 3-phase/2-pole machine are used. Some machines were designed and these torque densities and power densities are compared. Experimental results showed the effectiveness of the proposed calculation method and have good accordance with both calculation results and FEA results.
著者
田村 知也 菅谷 崚 興野 純
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

Introduction: 1970年代, 中央海嶺の海底において, 化学合成生物を一次生産者とする特異な生態系を伴った海底熱水噴出孔の存在が報告され, 世界中を驚かせた(Lonsdale, 1977; Spiess et al., 1980). 海底熱水噴出孔は, 地殻中に浸透した海水がマグマの熱によって温められ, 周囲を構成する岩石との反応によりその組成が変化することで熱水となり, やがて上昇して海底面から噴出することで形成される. このような海底熱水噴出孔は, 中央海嶺や島弧, 背弧において発見されてきた. 2000年代に入ると, “Lost City型熱水噴出孔”とよばれる, 海水とカンラン岩や蛇紋岩の反応によって形成される新しい型の熱水噴出孔が報告された(Kelley et al., 2001). この熱水噴出孔は, それまで報告されてきた熱水噴出孔に比べて低温(~90℃)であり, アルカリ性かつ還元的な熱水を噴出する. Lost City型熱水噴出孔からは水素分子(H2)に富んだ熱水が噴出することが知られており(Kelley et al., 2001), 以下の反応式によって生成すると考えられている(Mayhew et al., 2013).2H2O + 2e- → H2 + 2OH- (1)また, Lost City型熱水噴出孔の周囲には, メタン(CH4)やH2を用いた化学合成によってエネルギーを獲得する生物が生息し, そのような生物から成る特異な生態系も存在している(Kelley et al., 2005). (1)式のようなH2発生反応が生じるためには, 電子を水分子に与える電子供与体の存在が必要である. これまでの研究から, 以下の反応式のように, カンラン岩や蛇紋岩に含まれるFe2+を含む鉱物が, 電子供与体として働くモデルが考えられている.Fe2+-bearing mineral → Fe3+-bearing mineral + e- (2)この反応はMayhew et al (2013)によって実験的に確かめられている. 彼らはカンラン岩や蛇紋岩に普遍的に含まれるmagnetite(Fe2+Fe3+2O4)を100℃の熱水に浸し, その表面をXANESで分析したところmagnetiteの表面にのみFe3+が濃集することを確認した. しかしながら, (1)式のH2発生反応に必要な(2)式の反応の具体的なプロセスについては明らかになっていない. 本実験では, magnetiteの熱水反応実験と, 実験後の試料の透過電子顕微鏡(TEM)観察によって, magnetiteによるH2発生メカニズムを解明することを目的とした.Methods: Magnetiteの合成は,Sato et al. (2014)にならい, 水熱合成法で行った. 合成したmagnetiteは真空中で1200°C, 3日間加熱し, 最終的に粒径50-100 µm の単結晶magnetiteを得た. この単結晶magnetiteと超純水をテフロン容器に入れ, 窒素雰囲気下で封入後, 電気炉で100°C, 1ヶ月間加熱することで, 熱水反応実験を行った. 実験後, 試料を溶媒から抽出し, 自然乾燥させた. また, メチレンブルー比色法により反応前後の溶媒中のH2濃度変化を分析した. 実験後の試料は走査電子顕微鏡(SEM, JEOL: JSM-6330F)に供試し, 試料表面の観察と集束イオンビーム(FIB)装置による試料作製部位の決定を行った. その後, FIB装置(JEOL: JIB-4000, JEM-9320FIB)に供試し, 透過電子顕微鏡(TEM)用試料を作成した. TEMは物質材料研究機構(NIMS)の電子顕微鏡(JEOL: JEM-2100F)を用いた.Results and Discussion: メチレンブルー比色法の結果, 熱水反応実験による溶媒中のH2濃度の増加が確認された. これは, 熱水反応実験において(1)式の反応が進行したことを示唆する. 熱水反応実験後の結晶表面をSEMで観察したところ, (111)面では結晶面の縁からステップ状に溶解が進んでいる様子がみられ, 表面には約300 nm径で2種類(円盤状, 紡錘状)の形状を示す析出物が認められた. 一方, (100)面では, 紡錘状の析出物のみみられたがその量は(111)面と比較して少量であった. これら熱水反応実験後のmagnetite結晶の(111)面と(100)面について, それぞれの断面の薄膜試料をFIB装置により作成し, TEM観察した. (111)面上にみられた円盤状および紡錘状の析出物は, それぞれgoethiteおよびhematiteであった. 一方, (100)面に析出していた紡錘状の物質はすべてhematiteであった. (111)面の表面から深さ500 nmまでの範囲における制限視野電子回折(SAED)パターンは, magnetiteの晶帯軸[1 -2 1]の電子回折パターンに対応した. 一方, (100)面の表面から深さ500 nmまでの範囲のSAEDパターンは, magnetiteの晶帯軸[1 1 4]の電子回折パターンとよく一致したスポットを示したが, magnetiteの空間群Fd-3mでは消滅則により強度が0となるはずの位置にもスポットが小さく現れた. これらのスポットはmagnetiteの格子型に一部変化があったことを示す. Magnetiteと同じスピネル構造を持つmaghemite(γ-Fe2O3)は, magnetiteが酸化することで生成し, magnetiteとは異なり八面体席に空隙を伴った構造を有する. Tang et al. (2003) によると, magnetiteはFe2+が選択的に外部へ分散していくことでmaghemiteへと酸化される. また, Skomurski et al. (2010)のシミュレーションによるとmagnetiteの(100)面の表面では, 八面体席にFe2+が多く分布しているという結果が得られており,Fe2+が溶出しやすい状態であると考えられる. したがって, 上述の結果は, 主に(100)面で溶解が進み, Fe2+が主として溶出し空隙が生じたことで, 部分的にmaghemite化し格子型が変化したことを示唆する. 以上の結果から, 熱水反応実験によって, magnetiteの(100)面からFe2+が溶出し, Fe2+が(1)式の反応に対する電子供与体として働いたことでFe3+が生じ, その後結晶表面にhematiteやgoethiteの析出物が生成したと考えられる.
著者
武田 広道 高取 克彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.379-386, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
35

【目的】要支援・要介護高齢者の身体活動量とアパシーの関連を明らかにすること。【方法】要支援・要介護高齢者65 名に対して,Physical activity scale for the elderly(以下,PASE),アパシー,Health locus of control(以下,HLC),主観的健康感,Short physical performance battery(以下,SPPB)の評価を行った。統計解析ではPASE を三分位し低・中等度・高身体活動群として,各変数の3 群間比較を行った。またPASE と各評価項目の関連について重回帰分析を行った。【結果】高身体活動群と比較し,低身体活動群でアパシースコア,HLC 尺度,SPPB の4 m 歩行時間実測値で有意に悪い値となっていた。また,重回帰分析では,アパシースコアと4 m 歩行時間が抽出された。【結論】要支援・要介護高齢者の身体活動量には,アパシーと歩行速度で関連が認められた。
著者
高田 夏子
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 心理学篇 (ISSN:21858276)
巻号頁・発行日
no.4, pp.27-38, 2014-03

作家森茉莉について,まずその気質を,てんかん気質,中心気質,内向的感覚タイプという観点から考察した。次に,森茉莉と父親鴎外との関係について述べ,父親元型と密着しすぎている「父の娘」という観点から見たとき,「父親の輝きを背後にもった少女」ということができ,生涯その父子のナルシシズムに守られていたということが言えた。また彼女は,「少年愛もの」から本格的な小説を書き始めているが,この「少年愛もの」は現代の「腐女子文化」に通じるものがあることを論じた。そして,長編小説『甘い蜜の部屋』を創造し書ききることで,父の庇護を必要としない「絶対少女」となり,それは父からの自立を意味していたということを明らかにした。
著者
井出 民生
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.778-782, 1997-11-15
被引用文献数
1

1998年 (平成8年) 2月に, 第18回オリンピック冬季競技大会が長野市を中心として開催される。平成3年6月に冬季五輪を長野で開催する決定を受けて, 長野県酒造組合は長野五輪組織委員会と接渉し, 公式認定商品のライセンス契約を結んだ。<BR>この6年間, 新しいタイプの清酒「アルプス吟醸」の開発や五輪マークの酒「信州の酒」の発売までの経緯等について, このプロジェクト担当責任者として従事された著者に解説していただいた。新商品開発の参考になると思われる。
著者
今本 成樹
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.399-402, 2020-01-15 (Released:2020-01-16)
参考文献数
10

獣医学領域においても,悪性腫瘍に対しての治療は,外科療法,化学療法,放射線療法が三大治療と呼ばれ,治療の中心である.最近,第四の治療として免疫療法が注目されている.しかし,獣医学領域において腫瘍に対する免疫療法の効果は一定ではなく,三大治療の治療効果には及ばない.免疫療法以外では,温熱療法,凍結療法,光線力学療法等があるが,十分なエビデンスが得られていないことや使用する機器や薬剤が高価であるなどの理由で普及には至っていない状況である.今回,犬の乳腺腫瘍に対しての半導体レーザー光による温熱療法およびインターフェロンγの併用治療により,腫瘍が劇的に縮小した2症例を紹介する.
出版者
日経BP
雑誌
日経ビジネス = Nikkei business (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.2053, pp.32-35, 2020-08-17

人命に関わる医療物資は国内で賄うべきだ──。新型コロナが広がるにつれ、日本でこんな議論が巻き起こった。というのも、各国がマスクや医療用ガウンを奪い合い、輸出規制をかけて国内での流通を優先させる動きが相次いだためだ。
著者
渡辺 隆司
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-13, 2007 (Released:2007-01-31)
参考文献数
92
被引用文献数
13 9

バイオリファイナリーとは,バイオマスから燃料,エネルギー源,化学品を化学産業,エネルギー産業として体系的に生産することであり,20世紀に発達した石油化学工業を,根本的に変える新しいコンセプトである。原料となるバイオマスは,植物の光合成による二酸化炭素の固定化によって作られるため,地球温暖化と資源枯渇問題の切り札になると期待されている。近年,バイオマス由来のエタノールやその他の有用化学品の生産に関する研究が急展開しており,米国エネルギー省(DOE)ではバイオリファイナリーの核となる基幹化合物(プラットフォーム化学品)を12種選定し,新しい化学産業の創成に向けた研究開発が活発に行われている。ここでは,バイオリファイナリーのプラットフォーム創成に向けた動きと,リグノセルロース変換のための白色腐朽菌を利用した生物的前処理法を紹介する。
出版者
日経BP
雑誌
日経ビジネス = Nikkei business (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.2005, pp.54-58, 2019-08-26

プラント各社はリスク承知で難度の高い案件を受注しなくては生き残れなくなっている。発注側のエネルギー企業が規模のメリットを享受しようとプラントの大型化を進めているためだ。 LNGプラントはそれが顕著だ。