著者
小田原 康貴 島田 諒也 池見 陽
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : bulletin of the Graduate School of Professional Clinical Psychology, Kansai University = サイコロジスト : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
no.10, pp.9-16, 2020

最近、池見が執筆する心理療法論に散見される「追体験」という語についての理解を深めることが本論の目的であった。まず、追体験について池見がすでに論じていることをまとめ、次に国内の心理学文献を中心に池見以外の研究者による追体験の記述を調べた。さらに池見へのインタビューを行い、そのインタビューで語られた内容について考察した。考察では、追体験のもつ特徴と聴き手の追体験が話し手にもたらすものといった2点について、これまでの池見の記述に見当たらないもの、あるいは強調されていない点に注目した。追体験は人が生来持つ機能であると池見は考え、他者の体験をそのまま理解しようという目論見があるときに追体験が立ち現れていること、その追体験は全く新しい間主観的な現実であることが考察された。
著者
松井 康弘 足立 裕紀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

循環型社会の構築に向け、Recycleに関する法制度・システムの整備が進む中、本来優先すべきReduce/Reuseの2Rの取り組みが立ち遅れているのが現状である。また、先行研究において、20-40代の若年層・学生等の分別参加率が相対的に低いことが明らかとなっており、2R・若年層の普及啓発が課題となっている。本研究では、主に若年層が参加する岡山市の飲み歩きイベント「ハレノミーノnishigawa」、「有機生活マーケットいち」と連携して3R体験イベント「食べきりーの飲みきりーので、はじまるオニ退治」を開催し、参加者に対する3Rの普及啓発を図ることとした。また、参加者に対してアンケート調査を実施し、3Rに対する認知・参加・今後の意向等の実態を調査したので結果を報告する。
著者
積山 和加子 沖 貞明 髙宮 尚美 梅井 凡子 小野 武也 大塚 彰
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】遠心性収縮は筋力増強や筋肥大効果が高く,かつ運動中の心拍数や血圧が低く保てるとの報告がある。そのため遠心性収縮を用いれば従来よりも運動強度を低く設定しても筋肥大が図れる可能性があり,我々はラットに対して乳酸性作業閾値50%以下の強度の遠心性収縮運動を長時間負荷することにより筋肥大を起こすことができることを確認した。しかし我々が用いた運動方法は低負荷ではあったが長時間の連続運動を行う必要があるという問題点を有しており臨床応用に向けての課題が残った。臨床において連続した運動を行うことが難しい場合に対して運動の合間に休息を挟むインターバル運動を行うことがある。そこで,本研究では遠心性収縮を用いた有酸素運動において,運動の合間に休息を挟むインターバル形式の運動であっても,連続運動と同程度の筋肥大効果があるのか,さらに筋力増強効果も認めるのかについて検討を行った。【方法】10週齢のWistar系雌性ラット21匹を対象とし,7匹ずつ3群に振り分けた。各群は,運動負荷を行わず60日間通常飼育するコントロール群,トレッドミル走行を90分間連続で行う連続運動群,総走行時間は90分として走行の合間に休息を挟むインターバル形式で行うインターバル運動群とした。連続運動群とインターバル運動群のトレッドミル傾斜角度は-16度,走行速度は16m/minにて3日に1回,計20回(60日間)の運動を行った。なお,トレッドミル下り坂走行は,ヒラメ筋に遠心性収縮を負荷できる方法として,動物実験で用いられている運動様式である。今回連続運動群に用いた運動負荷の条件は,筋肥大が確認できた我々の先行研究と同じ条件を用いた。実験最終日に麻酔下にて体重を測定し,両側のヒラメ筋を摘出した。右ヒラメ筋を,リンゲル液を満たしたマグヌス管内で荷重・変位変換機に固定し,筋を長軸方向へ伸張し至適筋長を決定した。その後電気刺激装置を用いて1msecの矩形波で刺激し,最大単収縮張力を測定した。強縮張力は最大単収縮張力の時の電圧の130%で,100Hzの刺激を1秒間行って測定した。次に左ヒラメ筋を,重量測定後に急速凍結した。凍結横断切片に対しHE染色を行い,病理組織学的検索を行うとともに筋線維径を測定した。体重,筋湿重量,筋線維径については1元配置分散分析を行い,有意差を認めた場合にTukey法を用いた。強縮張力についてはKruskal-Wallis検定を行い,有意差を認めた場合にScheffe法を用いた。有意水準は5%とした。【結果】筋湿重量,筋線維径および強縮張力において連続運動群とインターバル運動群はコントロール群に対して有意に大きく,連続運動群とインターバル運動群では有意差を認めなかった。組織学的検討では,各群において異常所見は認めなかった。【考察】連続運動群では筋湿重量と筋線維径はコントロール群に比べ有意に増加した。これは我々の先行研究の結果と同様であり,遠心性収縮を用いた有酸素運動によって筋肥大効果を認めることが改めて示された。さらに強縮張力においてもコントロール群に比べ連続運動群では有意差を認めた。この結果から遠心性収縮を用いた有酸素運動は,ヒラメ筋の筋肥大に加え筋力増強効果もあることが分かった。次にインターバル運動群においても,筋湿重量,筋線維径および強縮張力はコントロール群に比べ有意に増加し,さらにインターバル運動群とは有意差を認めなかった。これらの結果から,遠心性収縮を用いた有酸素運動において,運動の合間に休息を挟むインターバル形式の運動であっても,連続運動と同程度の筋肥大および筋力増強効果があることが分かった。遠心性収縮は収縮に伴い筋長が延長する収縮様式のため,求心性収縮に比べ筋線維への機械的刺激が大きい。また,骨格筋は筋線維損傷後の修復過程において損傷前の刺激にも適応できるように再生し,遠心性収縮運動は繰り返して行うと筋節の増加によって徐々に筋長が延長した状態でも力を発揮できるようになるという報告もある。本研究において20回の遠心性収縮運動を繰り返すことによって適応が生じ,筋肥大や筋力増強が図れた可能性がある。今後は運動時間や頻度等についてさらに検討する必要がある。【理学療法学研究としての意義】これまで筋力増強や筋肥大が起きないとされてきた低負荷の有酸素運動でも,長時間の遠心性収縮運動により筋力増強と筋肥大が可能であり,さらにはインターバル形式で運動を行っても同様の効果があることを明らかにした。
著者
萬成 哲也 戸田 和成 小川 俊介 佐藤 千怜 中嶋 礼子 細川 博史 大西 日出男
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.187-196, 2018

<p>ヘッドスパは数種類の頭皮マッサージ基本手技の組み合わせによって構成される。本研究では,5種類の基本手技(圧迫法,指圧法,揉捻法,強擦法,軽擦法)をそれぞれ3分間実施した際の心身に及ぼす影響を,各種生理的・心理的指標を用いて評価した。その結果,副交感神経の活性化によって生じる脈拍数の低下はすべての基本手技に共通してみられた一方で,他の指標においては各基本手技で異なる効果がみられた。生理的指標において,圧迫法,指圧法,軽擦法では顕著なストレスの軽減がみられ,揉捻法ではすべての測定部位での皮膚表面温度の上昇と顔面部位の形状変化がみられた。Visual Analogue Scale(VAS)を用いた心理的指標に関しては「,気持ち」の改善は圧迫法「,リラックス度」の向上は揉捻法,「覚醒度」の向上は軽擦法において顕著であった。このように,われわれはマッサージ基本手技による3分間の短時間の施術においても,基本手技ごとに異なる効果が得られることを証明した。本研究結果は,科学的根拠に基づく最適なヘッドスパメニュー構築において,重要な手掛かりになると考える。</p>
著者
独立行政法人科学技術振興機構
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
JSTnews (ISSN:13496085)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.4-7, 2005

<p>9月1日は「防災の日」。日本列島ではこの夏も関東や宮城県沖で大きな地震があったばかり。いま防災の新しい考え方は「災害をゼロにする」から「災害をできるだけ減らす」という『減災』へと転換した。災害体験で得た教訓を継承し、住民の避難システムの確立も求められている。海外からも注目される日本での最新の地震・津波研究を追った。</p>
著者
安藤 満代
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.51-58, 1999-07-25 (Released:2012-10-29)
参考文献数
18
被引用文献数
4 4

本研究の目的は, ストレッサー (手術)が患者の状態不安に及ぼす影響, 患者の状態不安と覚醒との関係, およびストレッサーの種類やストレスを受ける時期が覚醒へ及ぼす影響について検討することであった. 調査では,(1) 手術前後の状態不安の変化,(2) 手術前後の状態不安と覚醒度 (緊張覚醒度・エネルギー覚醒度) との関係,(3) ストレッサーの種類 (手術・注射) およびストレスを受ける時期(前・後)が覚醒度に及ぼす影響の違いについて調べた. 25人の患者が手術前後に日本語版気分チェックリスト (JUMACL) と状態・特性不安インヴェントリー (STAI) に答え, 別の68人の患者が注射前後に気分チェックリストに記入した. その結果, 以下のことが得られた.1) 手術後の状態不安は, 手術前より低下した. これはストレッサー (手術) が状態不安に影響することを示す.2) 状態不安は緊張覚醒度とは正の相関が, エネルギー覚醒度とは負の相関があり, また不安高群は不安低群より緊張覚醒度は高く, エネルギー覚醒度は低かった.3) 緊張覚醒度は, 手術も注射もともに経験後は前より低下した. また, エネルギー覚醒度は手術では経験後は前より上昇する傾向があったが, 注射では経験の前後に差はみられなかった.ストレスが状態不安に影響し, さらに状態不安は覚醒と関係するという結果は, 部分的にScottのストレス-コーピングモデルと一致するといえる. また, ストレッサーの種類およびストレスを受ける時期によって各覚醒度に及ぼす影響が異なることは, 北村の研究を一部支持している. 今後, これらの結果に基づいた看護が必要であると考えられる.
著者
黒木 由夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.488-489, 2014-05-01

はじめに─コレクチンとは コレクチンは,コラーゲン様ドメインとC型レクチンドメインという特徴的な2つの構造を有しているので,ハイブリッド蛋白質といわれる.分泌型コレクチンには,肺コレクチンの肺サーファクタント蛋白質A(surfactant protein A,SP-A)とSP-D(surfactant protein D),およびマンノース結合レクチン(mannose-binding lectin,MBL)が属している.蛋白質構造上のもう1つの特徴は,多量体を形成することである.SP-AとMBLは,3量体が4~6個集合した花束様構造を,SP-Dは3量体が4個集合した十字架様構造を有する巨大分子である.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1380, 2013-08-05

公衆無線LAN事業者や通信機器ベンダーなどで構成する無線LANビジネス推進連絡会は、防災の日である2013年9月1日に、大規模災害を想定した無線LANのSSID共通化に関するトライアルを実施する方針である。災害時に無償で開放する公衆無線LANのSSIDとして共通の文字列を…
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.311, pp.78-82, 2002-03

R'S ONO」(ダイナーズ小野)の小野孝オーナーは、東京ディズニーランドで、パレードを食い入るように見つめていた。ただ、多くのお客がミッキーマウスやドナルドダックに歓声を上げる中、彼だけ視線の方向が違う。 小野オーナーの目が釘付けになっていたのは、警備や清掃担当キャスト達の動きだ。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1757, pp.40-45, 2014-09-15

米カリフォルニア州のディズニーランドで、列が絶えないアトラクションがある。舞台の主役は、日本が誇るホンダの2足歩行ロボット「ASIMO」。ミッキーマウスに比肩するほどの人気ぶりで、子供たちの喝采を集める。
著者
海保 諒 森岡 一幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.2A1-N10, 2020

<p>The paper introduces a method of automatic map generation used for learning of action policy in mobile robot navigation. Road contours and waypoint candidates are extracted as map components by image processing from an image of existing electronic map such as Google Map. Road contours are extracted using topological structural analysis of the binarized electronic map image. Also, waypoint candidates used as respawn or destination points in learning system are randomly selected from pixels of road areas. The generated map can be applied to learning simulator based on deep reinforce learning system. The paper describes an abstract of navigation system based on reinforcement learning, a proposed map generation method.</p>