著者
木村 有太子 須賀 康
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.J45-J49, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

爪白癬の治療において,抗真菌薬の内服・外用以外の治療の選択肢としてさまざまな工夫がなされてきた.爪白癬に罹患した爪甲部分の爪切りやグラインダーを用いて機械的に除去する方法,スピル膏や尿素配合軟膏のODTによる化学的除去法もあるが,近年ではレーザー療法もその1つとして注目されている.わが国で報告されている爪白癬のレーザー治療としては,炭酸ガスレーザーと外用抗真菌薬を併用した方法,フォトダイナミックセラピーを用いた治療,Nd:YAGレーザーによる治療報告がなされ,良好な結果が得られている.しかし,レーザーの照射条件や照射回数,有効性の判定などが施設や論文によって一定でなく,いまだエビデンスレベルとして確立しているとはいえない.また,Nd:YAGレーザーと外用抗真菌薬の併用では,それぞれの単独療法とくらべて効果が高くなるとの報告もある.今後,爪白癬に対するレーザー治療の有効性や外用抗真菌薬との併用による治療効果の増強,治療期間の短縮の可能性について,確かな臨床的知見が得られることを期待したい.
著者
綱島 愛 山岡 利佳 小川 久惠 松本 仲子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.128, 2003 (Released:2004-05-25)

【目的】調理学の教科書には、煮物をする際に使用調味料は分子量の大きさの違いから、サ行の順に入れると良いと書かれていることが多い。しかし家庭調理での実態や、一般に販売されている料理本においては、必ずしも順を追って加えず、一度に加える場合がみられ、この方が初心者には失敗が少なく、楽に調理できると思われる。そこで、調味料を加える順序が、煮物の仕上がりのおいしさにどのような影響を与えるか、検討した。【方法】調味料を加える方法として(1)だしとすべての調味料をはじめに合わせ、沸騰させたところに材料を加える。(2)だしと材料を5分加熱したところに調味料を一度に加える。(3)だしと材料を5分加熱した後調味料を砂糖、塩、醤油、みりんの順に加える、の三方法を、でんぷん質の多い里芋、じゃがいも、かぼちゃ、根菜類の大根、人参、ごぼう、蓮根の7種の野菜を用いて煮物をし、調味料の加え方が仕上がりに及ぼす影響を検討した。実験に際して、調味料の濃度(煮あがりの煮汁の量)、加熱時間、材料の平均化には特に配慮した。検討方法は、官能評価による受容度を中心に、試料への塩分の浸透状態およびテクスチャ-(クリープメーターによる)を測定し比較した。【結果】でんぷん質の多い野菜、根菜類のいずれにおいても(1)、(2)、(3)の調味料を加える順序の違いにおいて、官能評価結果は、総合評価では差がみられなかったが、蓮根、じゃがいもを除く他の試料の味のバランスで、(3)の評価が低かった。塩分の浸透状態については、(3)の方法で試料の内外に差がみられた。
著者
八木 意知男
出版者
京都女子大学国文学会
雑誌
女子大国文 (ISSN:02859823)
巻号頁・発行日
no.141, pp.92-105, 2007-09

『女子大國文』第百四十号(平成十九年一月)に「『妙法院日次記』による開帳記録」を発表した。近世期京都における開帳実態を把握し、文化史・宗教史・博物館史を考える資料を得ようとする為のものである。しかし、京都における開帳は、上記一点ではとても把握しきれない。そこで、本稿では黒川道祐の記す式日開帳を中心に、本居宣長『在京日記』等の開帳記録を開示する。折柄、川端咲子・正木ゆみ両氏の「『開帳おどけ 仮手本忠臣蔵』考-忍頂寺文庫本を出発点として-」(『忍頂寺文庫・小野文庫の研究』共同研究グループ・国文学研究資料館編『忍頂寺文庫・小野文庫の研究2』所載、二〇〇七年三月)が発表され、臨川書店『優品在庫目録』(平成十九年春季特別号)に「山口素絢所 稲荷山開帳図 寛政八年画 二軸」が載った。前者は開帳と演劇との結びつきを如実に示し、後者は開帳が庶人遊楽の場であったことを示している。開帳の文化史的意儀の一端がここにある。
著者
中原 香苗
出版者
説話文学会
雑誌
説話文学研究 (ISSN:02886707)
巻号頁・発行日
no.34, pp.113-126, 1999-05
著者
佐藤 由規 渡邉 高志 吉澤 誠 星宮 望
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 = Journal of the Society of Biomechanisms (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.30-35, 2007-02-01
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

本論文では,文字や図形のように直感的に理解できるようなパターンを皮膚電気刺激による移動感覚で提示して情報を伝達する方式の実現可能性について検討を行った.最初に,パターン提示用電極を実験的検討に基づいて製作し,次に,基本的な16種類の提示パターンの認識実験を健常被験者で実施した.この結果から,パターン認識における間違いの一因として電気刺激感覚の残存の影響に着目し,移動感覚提示における提示パターン間の時間間隔を,実験的検討を実施して修正した.そして,これらの結果を基に修正した14種類の提示パターンを用いて認識実験を行った結果,6人中4人の健常被験者で70.7~90%の認識率が得られ,4種類の提示パターンだけであった過去の研究結果に対し,より多い提示パターン数に対して同等以上の良い認識率が得られることを示した.また,過去の実験と同様に斜め方向の移動を含まなければ,平均で90%程度の高い認識精度を期待できることも示した.これらの結果から,移動感覚による複数のパターンの識別が十分可能になると期待され,それを用いた情報提示が実現可能であると考えられる.
著者
瀬戸 誠
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.405-412, 2001-12-31 (Released:2010-09-30)
参考文献数
31
被引用文献数
2 1

Recent progress of the study on condensed matter using nuclear resonant scattering of synchrotron radiation is reviewed. One of the most outstanding features of this method is the possibility to obtain the electronic and vibrational characters of the local environment of the resonant nucleus. The theoretical and experimental aspects and some of the experimental results are discussed.
著者
小林 寿夫
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.260-267, 2013 (Released:2013-09-26)
参考文献数
13

The nuclear resonant scattering and Mössbauer spectroscopy are going to be the experimental technique to investigate the element-specific electronic and vibrational properties in materials under multi-extreme conditions by using synchrotron radiation as an excitation source for a Mössbauer isotope. In this article, I introduced the basic principles of nuclear resonant scattering and Mössbauer spectroscopy and reviewed these current statuses in material science. Finally, I described future prospects of these methods using shorter-pulsed structure and higher-brilliance Xrays from new-generation synchrotron radiation facilities.
著者
熊本 明仁 柴田 直哉 藤平 哲也 幾原 雄一
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.246-251, 2017-10-31 (Released:2017-11-03)
参考文献数
20

The atomic structures of liquid-phase bonded heterointerfaces between Al alloy and AlN single crystal was examined using aberration-corrected scanning transmission electron microscopy combined with high-sensitive energy-dispersive X-ray microanalysis. The formation of O-Mg-O monolayer structure was found at the interface, facilitating the bonding between the two dissimilar crystals during liquid-phase bonding processes. Understanding the spontaneous formation of such layered transition structures at the heterointerfaces will be a key for fabricating very stable liquid bonded Al alloy / AlN heterointerfaces.
著者
向井 智哉 藤野 京子
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.86-98, 2020

本研究の目的は、刑事司法に対する態度を測定する尺度を作成することである。刑事司法に対す る態度についての研究は、厳罰化を中心として、1970 年代以降幅広く調査・研究されている。し かしその一方で、用いられる尺度が研究ごとに異なるため、相互の比較が困難になっているという 問題点が指摘されてきた。そこで本研究では、刑事司法に対する態度を正確に測定する尺度を作成 し今後の研究に資することを目指して質問紙調査を行った。具体的には、法学や社会学において行 われてきた犯罪化に関する議論を参照し、刑事司法に対する態度に含まれると考えられる 6 つの要 素を抽出した。その後、質問紙による調査を行い、因子構造と信頼性を確認し、ならびに基準関連 妥当性の観点から妥当性の検討を行った。その結果、「処罰の厳罰化」「処罰の早期拡大化」「治療 の推進化」「治療の早期拡大化」の 4 因子からなる尺度が作成され、一定の信頼性・妥当性を持つこ とが示された。
著者
首藤 次男
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1958, no.31, pp.253-264_1, 1958-08-15 (Released:2010-08-11)
参考文献数
13

黒田と波部 (1952.54) はFusinus niponicus SMITH を模式種として, 新属Granulifususを創設した. 横山 (1928) の記載した宮崎罔群のFusus dnalisはこの属に含まれるのである. 宮崎罔群からは. このdualisのほか, 二新種が産出する. Grannlifusus に特徴的な形熊とその発生の比較にもとづいて, これら二種と, 既知の現生および化石の種との関係を検討した.