著者
熊谷 滋子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.21-38, 2020

<p>メディアが「地方」やその方言をめぐるイメージをいかにステレオタイプ化して再生産しているのかを、東日本大震災後のテレビの娯楽番組から検証した。番組では、都会代表の司会者と東北代表のゲストたちが、東北をめぐる事柄について語り合いながら、期待にそった東北像を作り上げていく。具体的には、「忍耐強い」「努力家」「働き者」「寡黙」といった東北人気質、東北方言への思い、上京時の田舎者体験などである。東京一極集中が拡大深化する現代の日本において、特に在京30年をこえる50代以上のゲストたちが、戦後の高度経済成長期、上京したての若い頃に味わった田舎者としての体験を面白おかしく語り合うことが、結果的に東京を中心にすえ、東北を周縁においやり、相変わらずの「東北像」を再生産するものとなっている。</p>
著者
中野 裕考
出版者
日本倫理学会 ; 1952-
雑誌
倫理学年報 (ISSN:04830830)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.117-131, 2013
著者
小黒 浩司
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.2-12, 2005

満鉄が沿線附属地で経営した小学校の読書指導・学校図書館担当者の研修組織として,1934年度児童読物研究会が発足した。この研究会では,新刊・既刊の児童図書の推薦,学校図書館運営指針の作成,指針に基づいた学校図書館経営の実践と検証などが行われた。
著者
平山 奈央子 川津 優貴 井手 慎司
出版者
水資源・環境学会
雑誌
水資源・環境研究 (ISSN:09138277)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.13-21, 2011

本研究では、滋賀県政世論調査を分析対象として、先ず、回答者の属性割合の経年変化と属性間の関係性を把握した。次に、琵琶湖を含む県の水環境に対する意識を尋ねた質問の回答に関するクロス集計の結果から、回答者の属性による回答傾向の違いを把握した。これらに加えて、同回答傾向を全国的な世論調査の結果から把握した回答傾向と比較することで、滋賀県の水環境に対する県民世論の長期的な変遷を把握することを試みた。その結果、1982年から2009年にかけて「水環境を守る施策に対する満足度が高い」、「今後、琵琶湖の保全施策に取り組むべき」、「水を汚さないための行動をとる」などの回答傾向をもつ滋賀県民の割合が増加してきたことが推察された。また、長期的な世論の変遷を把握する分析手法の開発につながる示唆を得られたと考えられる。
著者
新福 祐子
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.285-293, 1969

In this report, the statistics of infant deaths are analysed and some hygienic subjects and discussed. The results obtained are as follows: 1) After the War, the peak birth rate was reached in the year 1948 with 30-40 births per 1, 000 population. In Eigenji-cho and Shigaraki-ch&ocirc; the rate of birth has more or less been stabilized at 12 by 1957, while in the other districts the rate still shows the tendency to a gentle decline. 2) The infant death rate, which has been calculated since 1947, decreased from 100 per 1, 000 in 1947 to 20 per 1, 000 in 1965, the last year in these data. In Kutsuki-mura this rate is slightly higher. 3) The ratio of infant deaths to the population has remarkably decreased since 1955, but it is still high in Kutsuki-mura. 4) In these districts, over 85 per cent of infant deaths were caused by pneumonia, gastroenteritis and deseases of early infancy. This percentage is somewhat higher than average. 5) The seasonal variation of infant mortality has also been observed. In Eigenji-ch&ocirc; and Shigaraki-ch&ocirc;, there is a greater concentration of deaths in the months of January, February and March. In Kutsuki-mura and Yogo-mura this is the case with the months of March and April. 6) On the months-of-age distribution of infant deaths, the percentage of neonatal deaths is always maximum and becomes larger and larger. 7) The ratio of neonatal deaths to the other infant deaths and the ratio of infant deaths to the deaths of age-group 1-4 years show that the improvement of hygiene and health services has a great influence on infants, but in Kutsuki-mura, utmost efforts must be made to decrease infant deaths.

1 0 0 0 OA 柳々州詩集

著者
柳宗元 著
出版者
青木嵩山堂
巻号頁・発行日
1900
著者
宮下 智
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.223-229, 1998-04-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

従来,筋力評価に関する研究は等速性筋力測定装置を用い,ピークトルク値を比較検討することが多かった.しかし,筋力の強い者が必ずしも怪我に強いとは言いきれない側面が近年指摘され,測定項目や方法についての問題提起がなされている.そこで本研究は膝関節屈曲伸展運動時,ピークトルクを発生する時の関節角度と角速度の関係に注目し,最大筋力を発揮する際の過程を探った.対象は現役スポーツ選手,男子10名(26.7±3.9歳),女子18名(20.1±2.8歳).その結果,ピークトルクを発揮する時は,男女に関係なく,関節角度と角速度の有意な相関関係の上に筋出力されることがわかった.このことはピークトルクがどの関節角度で,どの角速度上で発揮されているかを明らかにするものであり,この結果から具体的な運動処方につなげることができる新しい筋出力特性の評価法であると結論した.
著者
吉田 眞日出
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
no.115, 1984-02-20
著者
田中 昌史 隈元 庸夫 齊藤 徹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A3O2020, 2010

【目的】<BR>除雪作業は降雪地域における冬期間の腰痛発症の主要な要因であり、積雪量の増加に伴う雪の投擲高さが増加することは、より強い筋活動が要求され、動作の反復により疼痛や疲労感などの出現に影響するものと思われる。本研究は、ショベルを用いた模擬除雪動作において投擲高さの違いによる筋疲労の変化を筋電図学的に検討することを目的とする。<BR><BR>【方法】<BR>被験者は高血圧や有痛性疾患などのリスクを有しない健常男性8名(21.3±1.6歳、身長167.5±5.5cm)とした。運動課題は、室内にて市販の柄長型除雪用ショベルを把持し、ショベル上に置いた5kgの重錘バンドを一定の高さ(身長の50、75、100%)に水平設置したバーを超える投擲とし、被験者にはあらかじめ負荷の無い投擲動作を反復させ、課題施行時の両足部およびショベルの位置は同一となるよう設定した。投擲動作は、重錘バンドを投げ上げる投擲期(2秒)、ショベルを開始位置に戻す復元期(2秒)、ショベルを床上に置いて静止する休止期(2秒)の計6秒を1動作として、メトロノームのリズムに合わせて100回反復するよう指示した。各高さの運動課題は充分な休息時間を経て実施した。運動課題時の筋積分値(IEMG)および平均周波数(MPF)を表面筋電計(MyoSystem1400 EM123、Noraxon社)にて測定し、導出筋は両側の僧帽筋上部線維、腰部脊柱起立筋、大腿直筋とした。統計処理は、Friedman's test後、post hoc testとしてWilcoxon t-test with Bonferroni correctionを用いて、有意水準を5%未満とした。<BR><BR>【説明と同意】<BR>被験者には本研究の意義、目的、方法、起こりうる危険、動作施行の中止基準について、口頭ならびに文書によるインフォームドコンセントを行った。<BR><BR>【結果】<BR>両側の僧帽筋および腰部脊柱起立筋のMPFとIEMGはいずれの高さにおいても有意な変化を認めなかったが、両側の大腿直筋は全ての高さにおいてMPFの有意な低下とIEMGの有意な増加が認められた。投擲動作途中から非投擲側腰部脊柱起立筋の休止期における高自発放電(動作開始当初の休止期自発放電平均値+2SD)が全ての高さで見られ、高自発放電と大腿直筋のMPFの低下およびIEMGの増加はほぼ同時期に出現する傾向があった。高自発放電の出現数は高さ別に、50%で7例、75%で8例、100%で7例であった。また、出現時期は高さ別に、50%では61.9±11.1回、75%で64.5±17.7回、100%で55.6±21.4回であった。<BR><BR>【考察】<BR>出現すると推測していた腰部脊柱起立筋の疲労が見られなかったことから、本実験の負荷は僧帽筋および脊柱起立筋に対して低いものであったことが考えられた。一方、ショベル先端の挙上に作用する非投擲側腰部脊柱起立筋の高自発放電および大腿直筋の疲労が見られたことから、大腿直筋による膝伸展によってショベルを挙上させ、腰部脊柱起立筋の活動を代償した投擲であったことが考えられ、下肢筋力低下を生じやすい高齢者では非投擲側腰部脊柱起立筋の疲労が生じ、腰痛等の発生につながる可能性が示唆された。また、高自発放電の出現時期から投擲高さおよび投擲回数をふまえて定期的に休息を取る必要性が考えられた。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>降雪地域において自己所有の住居に居住する者にとって除雪は避けられない動作であり、安全な居住環境を保全する上で冬季の重要な作業である。安全な除雪動作手順の開発や積雪に伴う行政等による除排雪基準の確立は、高齢化および過疎化が進展する地域において重要と考える。除雪動作における筋活動および筋疲労の見地からこれらの一助となることを期待したい。<BR>