著者
大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.329-333, 2000-03-29
参考文献数
6
被引用文献数
4 4

横浜市の代表的な谷戸を活かした農的空間(寺家ふるさと村・舞岡公園)において、春季における利用実態および利用者意識の調査を行った。利用者数は,連休期間の最終日が最も多く,3,000人以上/日であった。アンケート結果によると利用圏は概ね10km圏域であり,特に隣接2区からの利用者割合(約60〜65%)が多くなっていた。利用者の多くは、谷戸地形独特のランドスケープに即した農的景観・自然を楽しむレクリエーション形態であった。谷戸を活かした農的空間は,幅広い層の都市住民に多目的に活用される都市緑地として意義深く,地形的にまとまった形で谷戸を保全することが望まれる。
著者
野島 義照 冲中 健 瀬戸 裕直 倉山 千春 二階堂 稔 高砂 裕之
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.168-176, 1995-01-31
被引用文献数
14 12

建築物の屋上を緑化することによる夏期の建築物および都市の温熱環境の改善効果を把握するために, 1993年夏に計測実験を行った。東京都内の9階建てビルの低層棟(5階建て)の屋上を対象として, カンツバキの植栽地, 舗装面, 机で日陰を作った舗装面の3箇所の温熱環境の違い, 植栽地の葉面からの蒸散速度等の測定を, 8月2日の曇天日と8月12日の晴天日に行った。その結果, 夏の強い日差しを受けた8月12日には, 日射を受ける舗装面では表面温度の上昇も建築物への熱流量も非常に大きく, それぞれの最大値が56.6℃, 507W/m^2に昇った。机で日射から遮蔽された舗装面では表面温度の上昇は相当緩和されて最高が32.6℃にしかならず, 建築物への熱流量は日中でおおむね50W/m^2程度であった。それに対して植栽地では, 植物による日射の遮蔽と葉からの蒸散による潜熱消費により, 地表面温度の上昇が大きく抑えられ, 14時前後に日陰舗装面よりも高くなった以外は日陰舗装面よりも相当低く, 建築物への熱流量も最高で33W/m^2とごくわずかであった。
著者
片山 善博
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.168-173, 2007

図書館本来の機能,つまりミッションは,民主主義社会の国民・住民の「自立支援」を「知的インフラ」という側面で支えることである。真の民主主義社会の実現には,政府と国民との間でできるだけ広範な情報共有が必要であると同時に,政府が発信する情報だけでなく,いわば「対抗軸」ともいうべき客観的資料や政府案への問題点を論じた資料など,バランスの取れた情報環境が必要である。また,重要な政策決定を審議する際,失敗事例,諸外国事情を含め,基礎となる資料や情報は不可欠である。それらの情報環境を担うのが図書館であり,図書館のミッションといえる。そして,それらの情報へのアクセスを的確に行うのが司書の役割である。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.597, pp.113-115, 2004-06

日亜化学工業の高輝度青色発光ダイオード(LED)や青紫色レーザダイオード(青色LD)の研究者である長浜慎一氏は言う(図1)。「中村修二氏が日亜化学工業を退社した後*1,ある学会で私が研究成果を発表した*2。発表後,ソニーの研究者が近づいてきて私に尋ねる。『青色LEDもLDも中村さんが1人でやったっていうのは本当ですか?』。
著者
曽我 謙悟
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.209-214, 2011-04-01

政治学ではこの10年ほどに,時系列・横断面(TSCS)データを用いた分析が急増している.この背景には,理論的な発展,統計分析の手法の発展,そしてデータセットの整備という三つの要因がある.本稿では,これらの三つの要因について検討を加えることで,TSCSデータを用いた分析の現状を捉え,その今後を展望する.
著者
鳥海不二夫 稲葉通将 大澤博隆 片上大輔 篠田孝祐 松原仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-1, 2014-06-28

不完全情報コミュニケーションゲームである「人狼」を題材にした研究プロジェクトの概要を紹介し,ゲーム情報学という観点からこのプロジェクトの将来について展望していく.
著者
小野 永貴 常川 真央
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.185-197, 2010
被引用文献数
1

近年,図書館関係者の間で貸出履歴データを図書館サービスに活用していく議論が活発である。議論は図書館総合展など大規模なフォーラムにおいても注目されるようになり,実際に貸出履歴を活用した図書館システムを導入する例も出始めている。しかし一方で,貸出履歴の活用によって図書館の在り方そのものにどう影響を与えるかについての議論は少ない。本稿では貸出履歴についての議論や活動を解説したうえで,近年台頭しつつある新たな図書館サービスと合わせてWeb時代にあるべき図書館について検討した。その結果,筆者らは貸出履歴の活用方法の4類型を提示し,利用者コミュニティーの形成を重視した新たな図書館モデルを提示した。そのうえで,図書館の利用者コミュニティー形成を支援するために筆者らが開発したWebサービス「Shizuku2.0」について紹介し,今後の展望について記述した。