著者
荒木 利芳
出版者
三重大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2007

糖アルコールの1種であるキシリトールは虫歯予防や糖尿病患者用甘味料として注目をあびているが、ショ糖と比較して高価なため、より安価な製造法の開発が求められている。現在キシリトールの材料は白樺や樫の木などのβ-1,4-キシランが使用されているが、本研究では、地中海を中心に異常繁殖し、生態系の破壊や漁業に大きな被害を与えている変異種海藻イチイヅタ(Caulerpa taxifolia)の細胞壁構成成分であるβ-1,3-キシランに注目した。申請者はこれまで海域から単離した強力なβ-1,3-キシラン分解細菌Vibrio sp.XY-214 からキシリトール生産に必要な3種類の酵素(β-1,3-キシラナーゼ、β-1,3-キシロシダーゼ、キシロースレダクターゼ)の遺伝子のクローニングに成功している。よって、本研究ではこれら酵素遺伝子の大量発現系を確立し、得られた発現酵素を用いて固定化酵素システムを構築し、β-1,3-キシランからキシリトールを安価で大量に製造する新技術を開発することを目的とする。
著者
寺田 和憲
出版者
岐阜大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 未来社会創造事業 探索加速型
巻号頁・発行日
2022

社会情動能力は「長期的目標の達成」「他者との協働」「感情の制御」を可能にする能力であり、IQによって計測可能な認知能力と対比され、客観的計測、定量化が難しい非認知能力と言われてきた。それに対し、本研究開発では、ゲーム理論、進化心理学、社会心理学、認知科学、アフェクティブコンピューティング、人工知能の分野の複合的知見により、本来見えない相手の心や相手との関係を数理的に読み、社会関係を数理最適化する能力、すなわち数理的社会情動能力を算数能力と道徳能力をハイブリッドした能力として定義する。我々は科学技術立国を実現するSTEM能力と同様に、社会構成員が数理的社会情動能力を備えることが重要であると考え、AIエージェントとの社会的インタラクションの中で、子どもがその能力を習得できるシステムを開発し、介入効果およびウェルビーイング向上に資するかどうかを検証する。
著者
高橋 阿貴
出版者
筑波大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 創発的研究支援事業
巻号頁・発行日
2022

怒りの爆発による過剰な攻撃行動は大きな社会問題である一方、攻撃性を特異的に抑制する薬物は存在しません。本研究提案は、マウスを用いて過剰な攻撃行動を誘発する神経回路の全貌を明らかにするとともに、その性差を明らかにします。そして、内分泌系や免疫系、腸内細菌などの末梢因子が、どのように過剰な攻撃行動の神経回路の働きに影響を与えるかを明らかにすることで、その介入法の開発につなげることを目指します。
著者
兼松 明弘
出版者
兵庫医科大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウト
巻号頁・発行日
2020

尿流率測定装置とは秒あたりの排尿量を記録する装置で、排尿障害を来す疾患で汎用される。しかし、従来の尿流率測定装置はトイレにて立位または座位で排尿することが前提であった。我々はオムツに尿がしみこむ速度を、オムツに編み込んだ電極間のインピーダンス変化として検出することで尿流率を高精度に測定できるシステムを作成した。本課題はこのシステムの社会実装を目指して、安全性・利便性・採算性・スケーラビリティについて改良を行う。これを用い、臥位での排尿の実相をボランティアを対象として明らかとし、先天性疾患を有する乳幼児の排尿管理での有用性を検討する。将来的に、寝たきり高齢者のオムツ外しにも貢献すると期待される。
著者
丑田 公規
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 平成20年度までに募集を終了した事業 独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進
巻号頁・発行日
2006

しばしば大量発生するエチゼンクラゲなどは現状では、発電所や各種工場、漁業関係者に多大な除去作業負担を強いるだけの全く無価値の廃棄物である。本研究開発では、これらエチゼンクラゲなどの各種クラゲを収集して、破砕・減量化/抽出・精製の工程作業を経て有効成分を単離して、食品添加物、生分解性プラスチック、化粧品材料をはじめ、胃腸薬、点眼薬、粘液などの医療品原料として広い用途が期待されるムチンの新規な生産法を開発する。廃棄物の除去作業負担を軽減するなど環境保全に寄与するほか、天然物由来の安全な高付加価値製品の創出が期待される。
著者
三好 規之
出版者
静岡県立大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウトタイプ(標準)
巻号頁・発行日
2021

我々は、静岡県の特産品「自然薯」の全ゲノム解析より、有効成分ジオスゲニンの生合成遺伝子を世界で初めて取得した。本課題では、ジオスゲニン産生を1000倍増強したゲノム編集自然薯を創出する。ジオスゲニンは、抗認知症や抗フレイルなど高齢者QOL改善に役立つマルチな機能性を示すだけでなくステロイド医薬品合成の重要な前駆物質である。滋養強壮・疲労回復など健康イメージが良好な自然薯の新品種開発は、健康食品・医薬品分野で多大な商業的価値が見込めるため、地域資源を活用した6次産業の推進力となる。本課題では実用化検証として、酵母モデル系でジオスゲニン生産を増強する遺伝子配列を決定し、自然薯ゲノム編集へ展開する。
著者
吉村 奈津江
出版者
東京工業大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2017

本研究では、心と身体の健康のセルフケアを、脳波を用いたBrain-Machine Interface (BMI)でサポートすることを目的としています。脳活動情報を用いて心の変動や運動調整能力の解読を実現し、自分の心身状態を日々確認することで、普段気がつきにくい心身の異常をいち早く見つけることができると考えています。この心身の状態を自分でモニタリングし、健康指標を提供するシステム構築を目指します。
著者
橋本 翔子
出版者
理化学研究所
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ACT-X
巻号頁・発行日
2020

ミクログリアは、神経変性過程において重要であることが明らかにされています。しかし、「棍棒型」といわれる突起を長く伸ばした形態のミクログリアは、神経変性を呈するモデルマウスの神経変性領域において現れるものの、その実体は全く明らかにされていません。本研究では、棍棒型ミクログリアの遺伝子発現プロファイリングをベースとしたキャラクタリゼーションと、棍棒型ミクログリアの神経変性における機能解析を行います。
著者
近藤 尚己
出版者
京都大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2021

長引くコロナ禍が子どもや若者、女性へ及ぼす影響のメカニズムは十分明らかになっておらず、支援ニーズの増加と支援者間の情報共有や連携の困難により相談支援の現場負荷が高まっている。支援対象者の特徴の把握や支援プラン策定は、支援者の経験とスキルに大部分が委ねられており、経験の浅い支援者などへの支援と地域ぐるみの支え合いを可能にする環境整備が急務となっている。 本プロジェクトでは、①3万人の縦断インターネット調査データを活用して、コロナ禍が子どもや若者、女性に及ぼす社会的孤立・孤独や健康・生活への影響を分析する。②分析で得た知見を踏まえ、これまでに開発してきた支援者の支援データシステムの「子ども・若者・女性版」をつくる。③別途開発してきた「住民主体の共生型地域づくり普及支援ガイド」および「地域住民を含む顔が見える社会資源マップ」などのツールをアップデートして、同システムに接続する。このシステムには対象者のタイプ(ペルソナ像)情報や支援記録の分析に基づく優れた支援者のナレッジを盛り込む。支援対象者のタイプとタイプ別の効果的な支援プランを提示し、これを現場とオンラインの両面(ハイブリッド)のネットワーク上で運用する。地域の人々の誰もが支援の入口(ドア)となり、どこから入ってもケアの輪に包摂され、互いに支え・学び合い、豊かなケアが継続する「どこでもドア型」のケアネットワークを構築する。
著者
中澤 栄輔
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2021

人の意思決定を操る技術は既存の人間のあり方や行為に影響するため、産業化のレギュレーションを含めELSIの検討が要請される。脳科学技術の社会受容と人間性への影響に関する研究開発プロジェクトを見据え、脳刺激法のDo It Yourself使用、ニューロフィードバックによる情動操作、ニューロマーケティングを対象技術として、技術開発研究者・企業への半構造化インタビューを通じて、人の意思決定を操る技術の個人的(自発性、プライバシー、リスク)・公共的(公平性、アドボカシー、リテラシー、社会受容性)・産業・文化的(収益性、国際的優位性、文化的特異性)価値を巡る問題を抽出し、ボトムアップ的にELSIマッピングを作成し、今後検討するべき論点と仮説を提示する。
著者
角谷 寛
出版者
京都大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2001

睡眠時呼吸障害は、睡眠中に無呼吸・低呼吸を引き起します。このために頻回に生じる低酸素血症によって、不可逆的な脳の障害が生じ、痴呆症を引き起こす可能性が示唆されています。本研究では、睡眠時呼吸障害の状態をマウスで再現し、痴呆症との関係を解明します。
著者
梶川 裕矢
出版者
東京工業大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2016

科学技術イノベーションをもたらす研究開発を効率的・効果的に推進するために、客観的根拠(エビデンス)に基づいた政策立案が不可欠である。しかしながら、データ分析やシミュレーションなどのエビデンスを「つくる」科学に比べて、エビデンスとして「活用する」科学や仕組みが不足しており、政策策定や評価にエビデンスが十分に反映されていない。 本プロジェクトでは、科学技術イノベーション政策、とくにエネルギー技術政策を事例として取り上げ、政策立案から実施過程において、どのようなエビデンスが、いかに収集・作成・活用・継承されているか、そのプロセスを分析する。また、組織における意思決定とエビデンスに関する理論研究の体系的な調査により、エビデンスの活用を通じて政策効果を高めるための枠組みの構築を目指す。
著者
朝長 啓造
出版者
大阪大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2006

ウイルスの目的は、自らの遺伝情報(ゲノム)である核酸を細胞内で効率よく保存していくことにあります。本研究は、RNAをゲノムにもつボルナウイルス(BVD)のユニークなゲノム保存のメカニズムを利用することにより、これまで困難であったRNA分子を細胞内で長期間、安定に発現させる技術の開発を目指します。BVDの特性を基にした新しい機能性RNA分子の発見など、RNA(リボ)ウイルスを用いた創薬が目標です。
著者
西本 智実
出版者
慶應義塾大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 ムーンショット型研究開発事業
巻号頁・発行日
2020

2050年までに、月面・火星等の宇宙居住空間と地球を結ぶムーンショット音楽芸術祭を開催し、地球文化の普遍性を宇宙に響鳴させることを提案します。五感の境界、五感や身体の制約、生物種の境界、惑星間の境界を超越する感動芸術の共創で世界を牽引し、芸術文化による持続的な幸福実感社会を実現します。本調査研究では、有識者との議論、参加者が超越感動芸術を体感する機会等を通じ、2050年へのロードマップを描きます。
著者
福嶋 政期
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2016

記憶に関する神経生理学や心理学の最新の研究成果により、人が新たな出来事や言語を記憶する際に、「情動(感情を含む)」や「運動」がその事象の五感覚情報を長期記憶として保持させることが明らかになりつつあります。本研究は、この情動や運動の記憶保持効果とVR・AR技術を統合し、人の記憶に効果的に介入する新たな語彙学習の潮流を創ることを目指します。
著者
安藤 英由樹
出版者
大阪大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2016

情報技術は人間の知的作業に効率性をもたらす一方で、ユーザーの心的状態への負の影響も指摘されており、効率性とは異なる視点から、心の豊かさをサポートする情報技術の設計指針が求められている。欧米で現在採用されている個の主観的幸福に着目したWellbeingの設計指針だけでなく、本プロジェクトでは、日本特有の価値体系(人間同士の関係性やプロセスから生まれる価値等)に着目し、それを情報技術にどのように取り入れるか、また、日本特有の問題に情報技術がどのようにアプローチできるかという点を重視した情報技術ガイドラインの策定・普及を行う。そして、このような取り組みを通して、真に現代社会に馴染む情報技術を創発するプラットフォームの構築を目指す。
著者
宮城 加津也
出版者
琉球大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウトタイプ(標準)
巻号頁・発行日
2021

本申請は、非溶融-粉末成形焼結法を用いて、微細複雑形状-光デバイス(ナノフォトニクス)実現を目標とする。これにより、光を使った小型・省エネ「光速」演算処理を可能にする光電融合アクセラレータ実現を目指す。その背景にはCMOS微細-集積電子回路の終焉が徐々に近づく現状を打破する大きな可能性を秘めた「光を人為制御する」新たな演算手法として注目される。これ多くの研究要素から本研究では「光非線形素子・光データバス(導波路)」製造技術にフォーカスを絞る。具体的には、申請者が独自に開発した製造装置を活用する事で、数多-存在する製造条件の最適化の発見に成功したことで、透光性-光デバイス製造に成功した。
著者
押川 渡
出版者
琉球大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2005

ACM(Atmospheric Corrosion Monitor)型腐食センサ(以下、ACMセンサ)は絶縁層を挟んだ異種金属対で構成され、その出力を解析することによって濡れ時間、海塩付着量、腐食量などを求めることができる。これまでに、基板となる炭素鋼板の上に絶縁層およびカソード(Agペースト)を印刷法により与えたFe-Ag対ACMセンサを開発し、海洋性大気環境から工業化住宅内環境までの広い範囲の環境において、環境あるいは腐食挙動のモニタとして適用してきた。また、実用化に成功し、センサおよびその出力解析ソフトは市販されている。こうした中、種々の鉄鋼材料あるいは構造物中の種々の部位を対象とした腐食・環境モニタの要求が高まってきているが、従来型ACMセンサではこうした要求に十分に応えられるとは言えない。本研究の目的は、鉄鋼材料の種類、構造物中の部位を問わずに環境・腐食モニタができる新型のセンサを開発することである。カソードには十分貴なAuあるいはPtを採用し、絶縁シート上に付着させ、これを対象となる鉄鋼材料と貼合わせる(カソード付与)ことで、異種金属対を構成する。
著者
千葉 逸人
出版者
九州大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2016

電力網、コンピュータの回路、ニューラルネットワーク、心筋細胞など、無数の素子が結びついて構成される大規模ネットワークは、我々の身の回りに溢れています。特に、個々の素子が協調した状態である同期現象の研究とその応用は今後ますます重要になります。本研究の目標は、ネットワーク上の力学系の研究、特に同期現象を解明するための数学理論を構築すること、およびその様々な社会的問題への応用です。
著者
山田 崇恭
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 創発的研究支援事業
巻号頁・発行日
2021

本研究では、数学的・力学的根拠に立脚して、可展面構造を創成計する方法論を、トポロジー最適化の考え方の拡張により構築します。可展面とは,伸縮することなしに平面に展開できる曲面であり、折り紙がその代表例です。さらには、提案する方法論の応用研究として、状況に応じて最適な形状へと自動的に変形する潜在的機能を持ったスマート展開機械デバイスの創成設計法を構築します。