著者
川合 康央 池田 岳史 益岡 了
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

本研究は,地域の歴史的文化を伝えるための街並み景観シミュレーションシステムを開発するものである.対象地区として,旧東海道における藤澤宿(現在の神奈川県藤沢市)を選定し,開発環境としてゲームエンジンであるUnreal Engineを採用した.建築物や都市施設などの空間構成要素のモデルデータを3DCG制作環境で作成するとともに,会話可能なキャラクターも再現することとした.宿場町を自由に行動可能なようなインタラクションとして,直感的な動作可能なようゲームパッドによる操作を実装した.本システムは,藤沢市ふじさわ宿交流館において,2016年5月より常設展示され,これまでに3回のシステム更新を行っている.本研究は,江戸時代後期の旧東海道「藤澤宿」を市民に分かりやすく伝え,地域の歴史文化に興味関心を持たせることで,地域の文化継承を支援するシステムを開発することであり,およそ当初の目的を達成したと考えられる.今後,他の宿場町でも自由に再現可能なプラットフォーム化を計画している.
著者
山下 清海
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.32-50, 2009

本研究は,インドの華人社会の地域的特色について考察するとともに,コルカタのチャイナタウンの現状を記述・分析することを目的とした。インドの華人は,イギリス植民地時代の首都であったコルカタに集中してきた。広東省籍が最も多く,特に客家人が最大多数を占め,彼らの経済活動は皮革業と靴製造業に特化してきた。1962 年に発生した中印国境紛争に伴う両国の関係悪化により,海外へ「再移民」する華人が増加し,華人社会は衰退し,今日に至っている。インドにおいてチャイナタウンが唯一存在するコルカタには2つのチャイナタウンがある。ティレッタ・バザール地区は衰退しているが,中印国境紛争までは繁栄し,その名残として,会館,廟,華文学校などの華人の伝統的な施設が集中している。一方,タングラ地区は,近年の皮革業の衰退により,皮革工場から中国料理店への転換が著しく,今日では中国料理店集中地区となっている。
著者
登 久希子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第52回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.78, 2018 (Released:2018-05-22)

本発表は2000年代初頭から現代美術の文脈で注目をあつめてきた「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」や「ソーシャル・プラクティス」と呼ばれるような「社会性」を指向する芸術実践を事例に、芸術と非芸術としての日常生活(life)のあいだにいかなる《境界的領域》が生起し得るのかを人類学的に考察するものである。
著者
齋藤 暁
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

研究実施計画に沿って、多倍長精度で時間依存密度行列繰込群を用いる量子回路シミュレータZKCM_QCの改良を進めた。この計算手法で計算コストを決定づける特異値分解の内部ルーチンにGPGPUを用いると高速になるが一方で計算精度が落ちる。落ちた計算精度をCPU計算でRayleigh商反復により回復させることで多倍長精度を維持するのだが、安定性向上のため繊細な技術的な改良を行った。この精度回復の詳細について、学会発表2件で述べた。また、ZKCM_QCを用いて主要な量子アルゴリズムのシミュレーションを行ってきており、2018年度前半の時点では、Deutsch-Jozsaアルゴリズムについてはある程度構造のあるオラクルの場合、回路幅218量子ビットの回路をPCワークステーションで浮動小数点精度256ビットでおおよそ27分でシミュレートできている。また、Shorのアルゴリズムについては、回路幅60量子ビット、回路深さおおよそ70万の回路を14.5時間~17時間でシミュレートできている。Shorのアルゴリズムのシミュレーションでは私はまだ所用時間が合成数のビット長に対して指数的に増大するデータを見つけていないが、競合する研究グループであるメルボルン大学のWangらの結果には所用時間が急激に増大していると思われるデータ点がある。同様の手法を使っていてかなり異なる結果になっている理由としては、(1)私は多倍長精度で計算しており計算中ゼロ特異値と微小特異値を混同することはほぼないが、Wangらは仮数部53ビット精度での計算のため混同している可能性があること、(2)私はQFTベースの算術回路を使っているのに対してWangらは巾乗剰余を通常の算術回路ベースでデータに作用させており、回路構成が異なること、が考えられる。以上の結果についても同じ学会発表で述べた。
著者
関谷 登
出版者
公共選択学会
雑誌
公共選択の研究 (ISSN:02869624)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.1, pp.74-80, 1981-11-30 (Released:2010-12-10)
参考文献数
85
著者
竹井 仁 根岸 徹 中俣 修 林 謙司 柳澤 健 齋藤 宏
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.113-118, 2002-06-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
18
被引用文献数
12

股関節の屈曲運動には,骨盤に対する大腿骨の動きと骨盤後方傾斜の両方が含まれる。本研究では,健常成人女性10名(平均年齢は20.3歳)を対象に,測定精度が高くかつ人体に侵襲のないMRI(Magnetic Resonance Imaging : 磁気共鳴画像)を用いて,背臥位・膝関節屈曲位での他動的な一側股関節屈曲運動時の骨盤大腿リズム及び仙腸関節の動きを解析した。右股関節屈曲角度に占める骨盤後方傾斜角度の割合は,屈曲角度が増すに従い,約1/28(0.52°/14.8°),1/20(1.5°/29.9°),1/19(2.4°/45.0°),1/16(3.9°/60.7°),1/11(11.4°/127.6°)と変化した。また,45°までは屈曲側と対側の骨盤も同程度の後方傾斜を生じ,60°で屈曲側の後方傾斜量が増し,最大屈曲角度ではさらにその差が拡大した。右股関節の最大屈曲位では,仙骨が右腸骨に対して相対的に前屈位になることから,仙腸関節の動きも関与することが確認できた。
著者
Iori KOIZUMI Naka OKUMURA Hirotaka KONDO
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.20-0307, (Released:2020-08-27)
被引用文献数
2

We describe a case of primary localized histiocytic sarcoma of the lumbar vertebrae in a four-toed hedgehog. The case showed aggressive osteolysis of lumbar vertebrae on radiography, and a soft-tissue mass effacing this region was noted, suggesting a neoplastic lesion. No metastatic lesions were apparent. Antemortem diagnosis was challenging, and necropsy was performed. Histopathological and immunohistochemical findings were consistent with localized histiocytic sarcoma. This report provides documentation of the clinical and pathologic features of an unusual form of histiocytic sarcoma localizing to lumbar vertebrae in a four-toed hedgehog.
著者
山口 宗彦 前田 修平
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.775-786, 2020 (Released:2020-08-25)
参考文献数
34
被引用文献数
13

観測に基づくと、東京を含む日本の南海岸に接近する熱帯低気圧の数が過去40年間で増加しており、また接近時の強度が強まっている。海面水温の上昇、風の鉛直シアの弱化、さらに大気中の水蒸気量の増加により、熱帯低気圧の発達により好条件な環境場となっている。加えて、熱帯低気圧の移動速度が遅くなっており、これは熱帯低気圧による影響時間が長くなっていることを意味する。前半の20年(1980~1999、P1期間と呼ぶ)と後半20年(2000~2019年、P2期間と呼ぶ)の7~10月の環境場を比較すると、P2期間はP1期間と比べて亜熱帯高気圧の勢力が強く、西および北への張り出しが強まっている。また、対流圏中~上層において、日本の南および上空で偏西風が弱まっている。これらの環境場の変化が、東京に接近する台風を増加させ、および発達に都合の良い条件を作り出していると考えられる。地球温暖化とこれら過去40年間の熱帯低気圧の特徴の変化との関係は不明である。ただし、P1期間は太平洋十年規模振動が正の期間で、P2期間の多くは負の期間であることから、十年規模振動が接近数 の増加や環境場の変化に影響をもたらした可能性がある。
著者
是川 空 五十嵐 力 但馬 康宏 小谷 善行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, [ゲーム情報学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.65-72, 2007-03-05
参考文献数
2

はめ込みパズルの一種であるHeptamond問題は膨大な分岐数と解局面を持つことで知られている.この問題について未知数である全解数の推定を行った.探索を高速化する手法として,複数の分岐の可能性から最少の分岐数を選択して探索を行うアルゴリズムを用いた.各探索深さにおける選択された最少の分岐数の平均が,その探索深さの局面数の変化率に値することに着目し,各深さにおける平均最少分岐数を得るための実験を行った.一つ目の実験は探索を一定確率で打ち切るシミュレーション実験,もう一つは探索深さに閾値を設けた全探索を行った.この実験によって,平均最少分岐数の推定を行い, Heptamond問題の各深さにおける総局面数を求め,全解数がおよそ10^<11>であると推定した.
著者
金山弥平
出版者
日本心理学会
雑誌
心理学ワールド
巻号頁・発行日
no.60, 2013-01-15