著者
伴野 潔
出版者
信州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

ニホンナシ3品種‘おさ二十世紀'、‘菊水'、‘幸水'とリンゴ3品種‘ふじ'、‘つがる'、‘王林'を供試して、それぞれ正逆交雑を行ない、胚培養を実生法と併用して、ニホンナシとリンゴの属間雑種固体を110系統余り育成した。また、胚培養法を用いてシュート形成が認められない雑種の子葉においても、不定芽誘導法を併用することで、効果的に雑種が獲得できることが明らかになった。得られた属間雑種について、新梢や葉の形態的特性、葉や枝のアントシアニン蓄積の有無、圃場での病虫害の発病程度等を調査するとともに雑種の光合成特性、接ぎ木親和性についても調査した。これらの結果から、得られた属間雑種個体の表現形質は母本に類似している反面、アントシアニンの発現性や父本の台木に対する接ぎ木親和性の向上等、父本の遺伝子もかなり導入されていることが明らかになった。また、これらの属間雑種の光合成活性は、自根樹では低いものの、接ぎ木によって母本と同程度に回復することも明らかになった。さらに、ナシ黒斑病、リンゴ斑点落病に対する検定を行ったところ、ナシを母本とした雑種では、両病に対する遺伝分離が様々に現れるが、リンゴを母本としたものでは、両病に対してほとんどすべて抵抗性を示した。また、リンゴ黒星病について検定したところ、ナシを母本とするものでは、すべて抵抗性を示し、リンゴを母本とするものでも28系統のうち7系統が抵抗性と判定された。これらの結果は、耐病性育種を進めるうえで、属間雑種の利用が新しい育種戦略となりうることを示唆した。一方、細胞融合による属間雑種を得るために、プロトプラストの単離と培養法、PEG法及び電気融合法による細胞融合法について検討した。その結果、プロトプラストからカルスまでの培養系については確立できたものの、カルスからの再分化率が極めて低く雑種育成が困難であった。
著者
北村 拓也
雑誌
滋賀大学教育学部附属中学校研究紀要 (ISSN:18809456)
巻号頁・発行日
no.58, pp.116-123, 2016-03

本校が取り組む「BIWAKO TIME」は,32年に及ぶ長い歴史を持ち,全校体制で取り組んでいる総合学習である。時代とともに少しずつ修正と改善を重ねながら現在に至っており,「郷土である滋賀」を学習フィールドとし,「学び方を学ぶ」調査研究型の学習を継続している。生徒たちが卒業後の人生においても活用できる「生きる力」を養う学習の場として,本校独自の研究課程である「情報の時間」とともに,必修教科等の学習で得た知識や体験を生かし,より活用できる「学び」へと再編することや,学習指導要領に則した授業時数に対応させつつ展開してきた。昨年度より本校の研究と絡めて,「論理的」をキーワードにBTを進めている。特に本年度は,「計画を立てる」,「調査研究をする」,「思考する」,「整理する」,「発表する」といった各場面の中で,「論理的」を意識し学習に取り組めるように活動内容を組み立てた。時に,思考ツールの活用に力を入れ,一昨年よりより使い始めた「ピラミッド・ストラクチャー」の活用については,昨年度より書いてある情報量が増えており,昨年度のBTの経験や情報の時間の学習が活かされいると感じた。また,本年度は三角ロジックも本格的に活用した。その中で,「主張」と「論拠」と「事実」をつなげということに関して,課題が見られた。
著者
浅海 智之 佐藤 さくら 柳田 紀之 山本 幹太 海老澤 元宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.1219-1223, 2016 (Released:2016-11-22)
参考文献数
13

症例は8歳男児.4歳から春と秋の花粉症を認めた.6歳時から給食後に鼻汁,鼻閉,目のかゆみ,呼吸困難を2カ月に1回程度認めたため,精査目的に8歳時に当院を受診した.病歴からリンゴアレルギーが疑われ,9歳時に入院食物経口負荷試験(OFC)を行った.リンゴ1個を摂取し,90分で咳嗽,鼻汁,眼瞼浮腫,結膜充血を認めた.14歳時に再度入院OFCを行い,リンゴ1個を摂取し55分で咳嗽,呼吸困難,喘鳴を認めた.8,9,11,12,13,14歳でのリンゴ特異的IgE(Ua/ml)は0.35未満,0.35未満,0.36,0.54,0.47,0.66,ハンノキ特異的IgE(Ua/ml)は0.35未満,0.49,1.31,2.14,2.73,3.11,Mal d 1特異的IgE(Ua/ml)は0.10未満,0.13,0.25,0.45,0.88,1.1,Bet v 1特異的IgE(Ua/ml)は0.10未満,0.40,1.0,1.4,2.4,2.8といずれも上昇を認めた.Mal d 3特異的IgEは陰性のままであった.本症例は,全身症状を呈するリンゴアレルギーの感作状況を陰性時から経時的に追うことができ,なおかつ長期経過をOFCで確認できた世界初の報告である.全身症状を呈する果物アレルギーの自然歴の把握のために,同様の症例の蓄積が期待される.
著者
花田 ミキ
出版者
青森県教育庁
雑誌
教育こうほう
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, 1953-04
著者
花田ミキ著
出版者
花田ミキ
巻号頁・発行日
1997
著者
花田ミキ著
出版者
〔花田ミキ〕
巻号頁・発行日
1985
著者
飛澤 慎一 堀 仁子 高橋 英俊 山本 明美 橋本 喜夫 水元 俊裕 飯塚 一
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.285-288, 2004-02

雑誌掲載版80歳男.約5ヵ月前に出現した痒みを伴う皮疹が全身に拡大し,掻痒も増強したため受診した.体幹及び四肢に角化性局面が多発し,病理組織学的に皮疹辺縁部に不全角化細胞の柱状堆積と角質増殖を認め,その直下の顆粒層消失,表皮細胞の空胞化,基底細胞の配列の乱れ等もみられた.抗アレルギー剤,抗ヒスタミン剤の内服とステロイド外用剤の塗布で効果が得られず,シロスタゾールとエトレチナートの内服にプレドニゾロンを追加したところ掻痒の軽減,局面の軽度縮小,皮疹辺縁隆起部の紅斑消退を認め,皮疹も改善した