著者
三浦 洋
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.72-83, 1997-03-10 (Released:2017-05-23)

アリストテレスは『形而上学』Θ巻第6章(以下, Θ6)で様々な行為を「エネルゲイア(活動)」と「キーネーシス(運動)」に区別している.その一方の「ネルゲイア」とは,現在進行と完了が同時に成立する行為であり,「見る」がその典型例である(「見ている」と同時に「見てしまった」といえる).他方「キーネーシス」とは,一定の目的に向かう末完了的な過程を持つ行為であり,現在進行と完了が同時には成立しない.その典型例は「建築」である(「建築している」と同時に「建築してしまった」ということはない).この区別をめぐっては従来,他のテキストとの関連が注目される一方で,このような排他的区別の成立を根本的に疑う見解が研究者から示されてきた.とりわけ,アクリルが投げかけた疑問と,それを解消するべくペナーが提起した「二局面構造説」は,区別の成否を検討する上で重要な論点を提示している.本稿は,ぺナー説を批判的に検討しつつ,アクリルの疑問の発生源である「一つの現実態を構成する二つの項」をめぐる問題を解明し,疑問の解消を目指すものである.関連テキストにおけるアリストテレスの議論を検討することにより, 「エネルゲイア」と「キーネーシス」の区別が,単一の現実態,すなわち単一の事態について必然的に成立する区別であることを明らかにしたい.
著者
中林 章
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.92-94, 2019-04-20

当直医へのコール 「腟の中に入れたものが取れません」 「陰部が傷ついて出血しています」 このような問い合わせにときどき遭遇する.前者は「腟異物」,後者は「性器外傷・出血」であり,本稿ではその対応につき述べていく.
著者
小林 正樹 稲場 文男
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 = The Japanese journal of medical instrumentation (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.347-356, 1998-08-01
参考文献数
44
被引用文献数
1
著者
畔上 恭彦
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.154-164, 1996

臨床において、コミュニケーション場面での子どもの行動の変化を捉えると同時に、その行動の意図、例えば、人に視線を向けたという行動だけなく、子どもの視線の奥の「まなざし」の意図を理解するということが重要な意味を持つ。このような観点からINREALでは、コミュニケーション分析を行い、これを通して、話し手・聞き手はどのように『会話の原則』に従ったかを検討する。今回、自閉的傾向のある発達遅滞児とのプレイ場面において、INREALの『会話の原則』に従ったコミュニケーション指導を行ったところ固執と思われていた行動が、人との関わりの接点となり、大人と子どもとのやり取りへと変化していった。大人が意味のあるコミュニケーションを行うために『会話の原則』を守ることの重要性が示唆された。この『会話の原則』を守っているかどうかは、臨床場面の録画ビデオを検討することで確認できる。
著者
吉田 英一 大澤 英昭 柳澤 孝一 山川 稔
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.131-142, 1989-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
18
被引用文献数
14 12

In order to evaluate the phenomena of masstransportation by groundwater flow in granitic media, it is necessary to make clear geological, hydrogeological and geochemical characteristics of fracture distributed in rock mass.Characteristics of fracture pattern, fracture filling material and alteration in Upper Cretaceous granite are investigated by core logging, mineralogical study, geophysical logging and hydraulic testing. This report describes the results which were obtained in the interval from the ground surface to 500m at Tono area in the central part of Japan.The results are summarized as follows ;(1) Fractures are classified into four groups on the basis of fracture pattern; Planar group (P), Irregular group (I), Curved group (C), and Stepped group (S).(2) Most of fractures belonging to P group and S group have filling materials composed of chlorite, calcite and sericite. Some of the fractures belonging to I group have been filled with materials composed of montmollironite, sericite and chlorite. Fractures of C group hardly have filling material.(3) Some of alterated fracture zones are consisted of P group fractures.(4) As a result of analysis on the fracture pattern and alteration pattern, three segments are recognized; Segment I (from 16.8m to 300m), Segment II (from 300m to 420m), and Segment III (from 420m to 500m). Especially, there are marked differences in fracture pattern and alteration pattern between Segment I and Segment III.
著者
柴崎 郁子 碓氷 章彦 森田 茂樹 横山 斉
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-11, 2020-01-15 (Released:2020-02-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3

[目的]政府が働き方改革を推し進めるなか,医師も例外ではない.今回外科系のなかでも特に労働条件が過酷と言われる心臓血管外科領域での労働環境や処遇の現状について調査した.[方法]2018年12月に日本心臓血管外科学会は,心臓血管外科医の働き方改革,処遇改善に向けた基礎データーを得るため,心臓血管外科学会の会員メンバー3,701名にインターネットよるアンケート調査を実施した.[結果]634名の心臓血管外科医から回答を得た(回答率:17%,男性589名,女性38名).回答者は40~50歳代の中堅外科医が中心であった.主な勤務先での労働時間が平均週60時間以上と回答したのが473名(75.5%),週80時間以上の労働と回答したのが176名(28.2%)だった.また,勤務時間外・深夜・休日の呼び出しに対しての手当支給がないと回答したのは249名(40.4%)で,勤務時間外・深夜・休日の手術に対しての手当支給がないと回答したのは345名(56.6%)だった.[結語]心臓血管外科領域では,約75%以上が過剰労働をしており,労働に相応しい収入が得られていないことがわかった.働き方改革が進むなか,心臓血管外科医の労働環境改善は喫緊の課題である.学会を中心に国民の理解を得ながら処遇改善の取組みを進めることが求められている.
著者
山口 源吾
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.438-453, 1970-08-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
21
被引用文献数
2