著者
エイビス デイビッド
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

当該研究の目的は京都大学における幾何計算研究拠点の設立であり、現在その目的は達成されている。ここでは、主として3つの課題、多面体計算、離散最適化、量子情報について取り組んだ。これらの課題の共通テーマは高次元幾何であり、とりわけ多面体とそれに関わる凸体の研究である。また、ここでは、質の高い理論結果を生み出すとともに、それらの結果の工学・科学分野における広い利用を可能にするソフトウェアの開発も行っている。
著者
田口 文広 松山 州徳 森川 茂 氏家 誠 白戸 憲也 座本 綾 渡辺 理恵 中垣 慶子 水谷 哲也
出版者
国立感染症研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

1)SARSコロナウイルス(SARS-CoV)に関する研究SARS-CoVは通常エンドゾーム経由で細胞内へ侵入することが報告されているが、我々はSARS-CoVのS蛋白の融合活性を誘導するプロテアーゼ(trypsin, elastase等)存在下では細胞膜径路で侵入することを明らかにした。更に、この径路による感染は、エンドゾーム径路感染より100-1000倍感染効率が高いことが判明した(PNAS,2005に発表)。SARSの重症肺炎の発症機序は、ウイルス感染を増強する様なプロテアーゼの存在が重要ではないかと考え、マウスに非病原性細菌感染で肺elastaseを誘導し、SARS-CoVを感染させることにより、ウイルス増殖及び肺の組織障害が高くなることを観察した。今後、更に重症肺炎に至るウイルス側及び宿主側因子の同定を進めたい。2)マウスコロナウイルス(MHV)に関する研究神経病原性の高いMHV-JHM株は受容体発現細胞に感染し、その細胞から受容体を持たない細胞に感染することが知られている。我々は、JHM株を直接受容体非発現細胞へ吸着させることにより、感染が成立することをspinoculation法(ウイルスが接種された細胞をウイルスと共に3000rpmで2時間遠心)により証明した。また、受容体非依存性感染にはJHM株のS蛋白の自然条件下で融合能が活性化されるという性質によることも明らかにされた(J.Viro1.2006発表)。
著者
大本 洋
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.162, 2017 (Released:2017-11-09)

生物の発生と進化は、地球表層環境水における種々の重金属の存在量によって規定される。生物にとって重要な重金属元素は、その元素を多量に含む鉱物の溶解度がpO2 にどのように依存するかによって、二つのグループに分けられる。第一のグループは溶解度が酸化的条件で低くなり、岩石の風化の過程で土壌に固定される元素類(Fe, Mn, Ni, Pbなど)。その結果、海水や地表水におけるこれらの元素の存在量は一般的に非常に少なくなる。第二のグループは溶解度が酸化的条件で高くなり、岩石の風化の過程で土壌から溶脱される元素類(Cr, Mo, W, U など)。その結果、海水や地表水におけるこれらの元素の存在量は一般的に 高くなる。太古代の古土壌、堆積岩、及び海底熱水鉱床に伴う変質帯における、第一と第二 グループの重金属元素の挙動は、顕生代のものと基本的には、同じであるが, 海水中の第二グループ元素の存在量は現在より高かった可能性がある。

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著者
F. Maekawa
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.549, pp.561-586, 1932 (Released:2011-01-26)
被引用文献数
3 6
著者
加藤 哲郎
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は、ソ連崩壊で明るみに出た秘密文書を発掘・解読しながら、旧ソ連在住日本人に対するスターリン粛清の規模とメカニズムを探求することであった。その基礎は、申請者が『モスクワで粛清された日本人』(青木書店、1994年)及び『国民国家のエルゴロジー』(平凡社、1994年)で挙げた、約80名の粛清候補者リストであった。初年度の95年秋には、代表的犠牲者である元東京大学医学部助教授国崎定洞について、川上武と共著で『人間 国崎定洞』(勁草書房)を刊行し、以後も犠牲者遺族・関係者から聞き取り調査を進めてきた。その間、研究費で購入したパソコン・スキャナー等を用い、インターネットの専用ホームページを立ち上げ、「現代史の謎解き」ページと題して、これまでの研究成果をもとにしたデータベースをそのまま掲載した。その結果広く関係者の情報を集めることとなり、重要な関連情報が電子メール等で寄せられた。その経過と概要は、『読売新聞」1998年2月5日に大きく報道されたが、この3年間で、1920年代・30年代にソ連に在住した86人の日本人について探求し、(1)旧ソ連秘密文書など記録による粛清確認者32名(内銃殺15名、強制収容所6名、国外追放4名、逮捕後行方不明6名、逮捕後釈放1名)、(2)資料・証言で逮捕・粛清の可能性濃厚16名、(3)1936-38年在ソ連が確認され以後行方不明2名、(4)ソ連側資料で当時在ソ連が推定され行方不明約10名、(5)日本側資料で当時在ソ連が推定され行方不明約20名、(6)大粛清期前後の日本人推定犠牲者6名をデータベース化できた。また、そこに、日本人共産主義者同士の疑心暗鬼による密告・告発と、ソ連秘密警察による拷問・強制自白の結合による、明瞭な粛清連鎖のメカニズムを発見して、相関図に仕上げた。98年3月には、モスクワで収集した秘密資料をも用いて、本研究の総括を英文論文にまとめた。この英文論文は、スターリン粛清研究の国際的センターとなっているドイツ・マンハイム大学社会史研究所ヘルマン・ヴェーバー教授の要請により、同研究所編『歴史的共産主義研究年報 1998年版』に寄稿したものであるが、同時にこれをインターネット上にも公開し、広く世界から情報収集するシステムが確立した。また本研究の副産物として、安保由五郎・勝野金政・片山千代・箱守平造らの粛清資料と遺族を発掘して名誉回復をはかり、3年間で10回以上も新聞で取り上げられた。世界でも初めての研究として、所期の目的を達成し得たと結論づけることができる。
著者
村上 圭子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.2-25, 2018

2018年1月から、総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」では新たな分科会が立ちあがった。これは、2017年11月末に提出された「規制改革推進に関する第2次答申」に示された電波制度改革を受けたもので、テーマは「放送サービスの未来像を見据えた周波数有効活用に関する検討」である。第2次答申をまとめた内閣府の規制改革推進会議の問題意識は、IoT活用や5Gの整備等によって、超高齢化、過疎化する日本の課題解決を図っていくために、通信サービスにも使い勝手の良い放送用帯域を別な用途でより有効活用できないか、というものである。議論の中では、放送事業者から周波数を開放したい推進会議の委員や有識者と、引き続き周波数を確保し放送サービスを維持発展させていきたい放送事業者と総務省の間で対立する場面もみられた。本稿ではまず、規制改革推進会議で"放送"がどのように扱われてきたのかを議事録を手がかりにつぶさに見ていく。その上で、放送サービスの未来像について、地上4K・8K、同時配信と共通プラットフォームという観点から考えていく。最後に、現在総務省が未来のビジョンを考える上で想定する2040年にも視野を広げて放送のあり方を考えていく。なお本稿は、2013年からシリーズ連載してきた「「これからのテレビ」を巡る動向を整理する」をリニューアルした新たなシリーズである。
著者
佐藤 英明
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.22, no.9, pp.9_102-9_104, 2017-09-01 (Released:2018-01-25)
参考文献数
3
著者
阿濱 志保里 阿濱 茂樹
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.33-39, 2016-12-01 (Released:2017-06-01)

デジタル教科書を実際に授業等で利用する立場の教員養成系学部の学習者とデジタル教科書を利用できるようにシステム開発を行う立場の工学系学部の学習者を対象に,デジタル教科書の教育における活用やデジタル教科書に関連する著作権や著作権法に関する授業を行い,それぞれの立場からのデジタル教科書に対する意識がどのように変化するのか解明を試みた。その結果,定量的な分析からは,教員養成系学部の学習者はデジタル教科書の長所及び短所を理解することで,デジタル教科書の導入を積極的に考えている導入積極群が慎重になる傾向が見られた。一方,デジタル教科書の導入に慎重な群については,積極的になる傾向が見られた。一方,工学系学部の学習者のうち導入積極群は慎重になる傾向が見られたが,導入慎重群は変化が見られなかった。