著者
田中 真也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.81-84, 2018-03-25 (Released:2018-07-01)
参考文献数
7

中学生が「証明」に対して抵抗感をもってしまう原因の一つに,論証における納得の仕方や説得の仕方と ,生徒がこれまでの経験や教科等の学習を通して得た納得の仕方や説得の仕方とのギャップに生徒は戸惑っていることがあるのではないかと考え,本格的な論証指導が始まる前の中学1年で,論証の納得・説得の仕方のよさを感得させておく可能性を探った。論証の機能のうち「発見」に注目した授業づくりをし,生徒の納得・説得の仕方を大切にしつつ,論証の納得・説得の仕方のよさを感得させることを目的に授業を実践した。その結果,論証による説明だけが納得できる説明だとする生徒が増えるなど,生徒の実態に望ましい変化があった。
著者
紺野 剛史 金月 寛彰 福田 大輔 園田 俊浩
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,日本の高齢者人口は増加している. 介護期間を短縮する方法として,高齢者の転倒リスク検出を検討した. 本論文の目的は,非接触センサーで転倒リスクを検出することである.40人の被験者による5メートルの歩行テストのビデオを撮影し,次に,OpenPoseを使ってそれらを処理した.最後に,リハビリ運動指導員は転倒リスクを3段階で評価した.本稿では,3つの機械学習モデルについて転倒予測の精度評価を報告する.その結果,非接触センサーを使用してもすべてのアルゴリズムで約80%の精度が得られることがわかった.
著者
野村 幸治 中山 裕一郎
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.39-48, 1997-09-25 (Released:2018-05-08)

80年代から90年代にかけて中国の学校教育は大きな変化を遂げた。芸術教育の面でも,1986年に美育が国家の教育方針の中に正式に位置づくことにより音楽教育を含む芸術教科が教育全体の中に重要な意味を持つようになる。本論文は,80年代から現在に至る中国の音楽教育をめぐる教育全体の動向を踏まえながら,音楽教科書(小学校)の分析を中心に中国の音楽教育の現在について考察を試みたものである。資料は論文及び最新の音楽教科書そして日本の「学習指導要領」に相当する「教学大綱」などである。音楽教科書に見られる特徴としては次のような点が挙げられるだろう。(1)社会主義賛美を謳った政治的内容を持つ教材は相変わらず多い。しかし,教材自体の芸術性自体についても重視する方向性が生まれている。(2)民族音楽の学習(とくに少数民族の音楽)を基礎に,アジア圏,さらにヨーロッパなど世界各地の音楽へ同心円的に学習内容を広げ,子どもたちが多様な音楽文化に触れられるよう工夫されている。(3)遊びの要素や即興性を楽しむ教材・学習活動が増えている。(4)踊りなど,身体の動きを伴った音楽的活動がふんだんに取り入れられている。これらから,社会主義体制の堅持をはかりつつ,美的教育を重視し,音楽学習と生活的なものとの接点を足場に,包括的に音楽学習を捉えようとする中国の音楽教育に対する基本的姿勢が理解される。政治形態も異なり,「型」から入った内容のものもある。しかし,特徴中,特に(2)(3)(4)の点については,日本の音楽教育も学ぶべき内容を多分に含んでいるのではないだろうか。
著者
越沢 明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.223-234, 1986-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
19

「満州国」が中央政府直轄で都市建設を実行したのは、新京と大東港の2都市である。前者は新首都の建設であり、後者は大規模な臨海工業都市の建設であった。大東港は朝鮮と国境を流れる鴨緑江の河口帯に計画された。大東港の計画はぐ満州唯一の不凍港をこの地に建設し、地下資源と水力発電を活かして、人口100万人の臨海工業都市を新規に建設しようとするものであった。この計画岸信介、直倫太郎の支持によって進められ、現地機関では近藤三郎、黒田重治、米田正文らが事業を推進した。大東港にられる港湾と工業地帯のセット開発、高速道路の建設、土地経営による事業償還などの方式は、戦後日本の大規模開発プロジェクトの方式を先取りしていたと言えるものである。

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著者
河合三郎 著
出版者
東亜堂書房
巻号頁・発行日
1915
著者
科学部所属 杉山拓、小林勇太、中澤颯、間仁田和樹
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第125回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.197, 2014 (Released:2014-07-16)

群馬県の県木はクロマツであり、かつては赤城山に広く植樹されていたが、多くが枯れてしまった。私たちは、枯れた原因について異なる説を聞いた。そこで、枯れた原因を探るとともに、マツがどのように減少し、今後はどうなるか、調べることにした。 まず、林業試験場などで聞き取り調査や文献調査を行うとともに、マツの現状を現地で確認し、現地で撮影した映像やwebからの情報をもとに、地図上に分布などを記録した。次に、過去の3つの現存植生図を用いて、どのように変化したか調べた。 聞き取り調査、文献調査の結果、赤城山では酸性雨が降っていたがマツの生育には影響しない程度であり、枯れた原因はマツクイムシが道管を破壊するためであると分かった。文献調査から、赤城山のマツ林は90年前と比べ、約90分の1まで面積が減っていたことが分かった。また、現地調査や現存植生図からは、かつては広い林も多くあったが、現在は数本が点在している場所が多くなっていることが分かった。 マツは現在も樹齢やマツクイムシの影響で枯れていくものがあるが、枯れる本数と植林本数がほぼ同じであり、マツクイムシの被害が抑えられれば、本数は増加していくと考えられる。
著者
松沢 哲郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.187-196, 2009-03-31 (Released:2010-06-17)
参考文献数
45
被引用文献数
1
著者
田中 雅幸 鶴見 由美子 打谷 和記 池嶋 孝広 村中 達也 大植 謙一 廣田 育彦 仲野 俊成 今村 洋二
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.119-127, 2010 (Released:2015-02-20)
参考文献数
9

われわれは処方チェックシステムの精度向上とともに,医薬品マスタメンテナンス作業の省力化が可能なオーダリングシステムの構築に取り組み,ほぼ目標に到達しえたと判断したことから,今回その稼働状況の評価を行った. 電子カルテと薬剤サブシステム間の医薬品マスタの一元管理により,マスタの整合性保持が実現した.また独自の処方チェック用データベースを作成し,処方チェックを電子カルテ側とサブシステム側の二段階に振り分けた.さらに処方監査に必要な検査値や薬歴などを処方せんに出力させる機能を搭載した.その結果,レスポンス低下を招くことなく,監査支援を強化することができた. 電子カルテは安全管理に有用なツールであるが,安易なシステム導入は医療事故を誘発しかねない.医療従事者がシステムを理解した上で完成度の高いシステム構築に参画する必要がある.われわれは今後もシステム改善に取り組み,医療安全に貢献していきたい.
著者
浅見 真理 小坂 浩司 島崎 大 武井 佳奈子
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.189-195, 2014 (Released:2014-09-10)
参考文献数
36
被引用文献数
1 2

塩水電解における次亜塩素酸の生成における塩素酸,過塩素酸の特性を把握するための検討を行った。6種類の異なる電極(主たる成分A:RuO2-TiO2,B:RuO2-IrO2-TiO2,C:IrO2-SnO2,D:IrO2-Pt,E:Pt,F:PbO2)を用いて塩水電解を行ったところ,生成装置の電極の材質により反応時の電位が異なり,次亜塩素酸の生成にともなって生成する塩素酸,過塩素酸の生成量が異なることが分かった。電流値が一定の条件では,端子間電圧が高い電極で電圧が高く,塩素(次亜塩素酸)の生成量が少なく,塩素酸,過塩素酸の生成量が多くなった。特に,白金電極(E)や二酸化鉛電極(F)において,次亜塩素酸あたりの過塩素酸の生成が顕著であった。電解における電位の違いにより,塩素酸,過塩素酸の濃度が高くなるため,次亜塩素酸を生成する工程,工場における電解等でも注意が必要である。
著者
吉村 俊朗 中野 治郎 本村 政勝
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

抗アセチルコリン受容体抗体(抗AChR抗体)および抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体(抗MuSK抗体)共に陰性で筋無力症が疑われる患者の中に筋萎縮性側索硬化症もある。誘発筋電図でもWaningが認められ、テンシロンテストも陽性と判断されることがあり、抗体陰性の重症筋無力症の鑑別に重要と結論した。運動終板に補体C3の沈着が認められ、postsynaptic foldの減少も認められた。αバンガロトキシンの減少も認められる例もある。意義付けが困難であるが、眼筋型MGでは、AChR抗体が陰性のことが多く補体の沈着があることがある。測定感度以下のAChR抗体が関与する可能性や、AChR抗体以外の抗体の関与が考えられる。補体の沈着もなく、postsynaptic foldの減少があり、臨床像は、四肢近位筋の筋力低下があり、他の抗体もしくは、先天性の可能性など、今後の検討が必要である。ヒト抗MuSK抗体は、ラットの再生筋の運動終板においてもいても、ヒト運動終板と類似の変化をもたらす。 抗MuSK抗体は Postsynaptic areaの形成に影響を及ぼす。抗ラミニン抗体は抗体陰性の筋無力症の原因でありうる可能性を否定できないが、電気生理学的な検討も含めて、今後の検討が必要である。ラミニンも運動終板の形成に関与している可能性がある。