- 著者
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伊藤 昭
矢野 博之
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.5, pp.944-952, 1997-05-15
自己の利益をのみ追求するエージェントの社会では,どのようにして協調が発現するのであろうか.我々は,過去の対戦履歴が公開されるという条件の下で,エージェントが囚人のジレンマと同型の対戦を,相手を次々と替えながら行わねばならないとき,どのような対戦戦略を採用すればよいのかを調べてきた.今回は,どのようにして協調的戦略が社会的に発現(進化)するのか,またそのための条件は何かなどを,遺伝的アルゴリズムの手法を用いて調べる.我々は,まず対戦戦略アルゴリズムを抽象計算器の上で定義する.次に,エージェントは対戦利益に応じて子を生成できるものとし,また子エージェント生成に際しては,戦略アルゴリズムに突然変異を導入してその進化を促す.その結果,最初単純なしっぺ返し戦略TFTから出発して,系は非協調的戦略を含む様々な戦略を持つエージェントを生成するが,生存競争の中でより強い協調的な戦略が成長してくることを示す.