著者
鈴木 公啓
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.50-59, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
35

印象管理の枠組みで痩身を考えた場合,体型印象管理予期も対象の種類によって異なる可能性が考えられる。そこで,本論文は,体型印象管理予期が対象によってどのように異なるかについて明らかにすることを目的とした。被調査者である若年女性は,買い物場面と海水浴場面の2つの場面における,親密度(友人,知人,他人)×対象の性別(同性,異性)の6種類の対象に対する体型印象管理予期についての回答をおこなった。分析の結果,体型印象管理予期の2側面である体型ポジティブ印象予期および体型ネガティブ印象予期の得点は,それぞれ,海水浴場面が買い物場面よりも高く,また,知人が他に比し高く,そして,異性の方が同性よりも高いことが確認された。そこには,評価の安定性や価値が関係していると考えられた。
著者
柿並 良佑
出版者
日本ミシェル・アンリ哲学会
雑誌
ミシェル・アンリ研究 (ISSN:21857873)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.49-71, 2019 (Released:2019-06-01)
参考文献数
17

En 1995, Jean-Luc Nancy visite Montpellier pour donner une conférence sous le titre audacieux : « La déconstruction du christianisme ». Parmi les auditeurs, Michel Henry, professeur émérite et grand phénoménologue, alors en pleine préparation de son ouvrage C’est moi la vérité. Pour une philosophie du christianisme (1996), réagit. Sa réaction n’invite cependant pas à une discussion : il transmet simplement, une fois l’exposé terminé, son « désaccord entier » avec les propos du conférencier. Occasion perdue de débattre. La transcription de la conférence est parue dans Les études philosophiques en 1998, puis reprise dans La déclosion en 2005, premier volet de l’ouvrage « Déconstruction du christianisme » (deuxième tome : L’adoration en 2010). Entre-temps, Henry décède en 2002, la discussion est désormais impossible. Telle est l’histoire. Comment poursuivre un dialogue manquant ou laissé en souffrance, sans indices directs permettant de détailler le lien intellectuel : entretien, correspondances ou autres documents… ? Quelques textes demeurent toutefois. Via le livre-guide de Paul Audi, Michel Henry (2006) et à travers la constellation philosophique qu’esquissent Henry, Levinas et Nancy, nous examinerons quelques grands thèmes, tels que l’Absolu, la philosophie première etc…, devenus cibles de la critique menée par Dominique Janicaud sous l’appellation de « tournant théologique ». Ce dialogue virtuel s’articulera notamment autour de la notion d’affect / affectivité. Malgré le rejet henryen de l’ontologie au profit de la Vie, Nancy va reprendre le couple souffrance / joie-jouissance qui donne une tonalité, une poussé et une pulsion à l’être lui-même : sa Sexistence (2017) signale, en effet, une relecture de l’Essence de la manifestation sous cet angle. Le réexamen de la Parousie de la Vie-absolu constituera également le noyau de leur discussion « christologique ».
著者
山本 潤 黒田 徹
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.393-400, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
24

口腔・咽頭外傷は 6 歳以下の小児に多く,歯ブラシは主な原因器物のひとつである。2010年に当科を受診した歯ブラシ外傷は 5 例であり,全例入院し抗生剤静注を施行したが,3例で膿瘍形成し,いずれも排膿処置を要した。症例 1 では咽頭収縮筋内と思われる部位に膿瘍形成し,口蓋扁桃を摘出した扁桃窩より排膿した。同症例を含めた全 5 例に関し,文献的考察を交え報告する。過去の報告を調査すると歯ブラシ外傷では高い膿瘍形成率を示した。その原因として,歯ブラシは口唇や歯牙で防御されることなく外力が直接伝わるので深く刺入しやすく,そのブラシ部分には S. milleri group 等の口腔内細菌が大量に付着していることが考えられる。以上より歯ブラシ外傷では,通常膿瘍形成する組織間隙以外にも,膿瘍形成し得ると考えられた。また,同様のエピソードで膿瘍形成しない症例では,ブラシ部分ではなく柄を刺入しているケースも想定された。
著者
一杉 正仁 有賀 徹 三宅 康史 三林 洋介 吉沢 彰洋 吉田 茂 青木 義郎 山下 智幸 稲継 丈大
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.53-58, 2020 (Released:2021-04-02)
参考文献数
12

緊急自動車に対する反射材の取り付けについて学術的に検討した結果、次のとおり推奨する。 1.反射材を車体に取り付けることは、視認性の向上に有用である。 2.反射材の選択においては、再帰性に富んだ反射材が望まれる。 3.反射材の取り付けにおいては、他の交通の妨げにならないこと、車両の前面に赤色の反射材を用いないこと、車両の後面に白色の反射材を用いないこと、が原則である。 4.車体の輪郭に沿って反射材が取り付けられること、車体の下部にも反射材が取り付けられること、は視認性の向上に有用である。 5.蛍光物質を含む反射材は、夜間のみならず、明け方、夕暮れ、悪天候などでの視認性向上に有用である。 6.今後は救急自動車以外の緊急車両、現場で活動する関係者が着用する衣服などで、反射材を用いた視認性の向上を検討する余地がある。
著者
Hideo Shiogama Noriko N. Ishizaki Naota Hanasaki Kiyoshi Takahashi Seita Emori Rui Ito Toshiyuki Nakaegawa Izuru Takayabu Yasuaki Hijioka Yukari N. Takayabu Ryosuke Shibuya
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.57-62, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
20
被引用文献数
1 18

Climate change impact assessment studies often use future projections of only a few global climate models (GCMs) due to limited research resources. Here we develop a novel method to select a small subset of GCMs that widely capture the uncertainty range of large ensemble. By applying this method, we select a subset of five GCM projections from the Coupled Model Intercomparison Project Phase 6 (CMIP6) ensemble for impact and adaptation studies in Japan. At first, we omit GCMs whose global warming projections have been evaluated to be overestimated in the recent literature. Then, we select a subset of five GCMs that widely captures the uncertainty ranges for 8 climate variables and have good performances in present-climate simulations. These selected GCM simulations will be used to provide better climate scenarios for impact and adaptation studies than those in the previous impact assessment project.

6 0 0 0 OA 日本史蹟大系

著者
熊田葦城 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第5巻, 1935
著者
山口 明日香
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.547-570, 2011-02-25 (Released:2017-07-18)

本稿の目的は,産業化における木材利用の視点から,とくに産業資材としての木材に注目し,国有鉄道による枕木の調達・利用方法を明らかにすることである。近代日本の産業化の過程において木材は,エネルギー,資材,原料として利用され,木材の需要構造の変化や供給不足などに対応して,長期的な木材所要量の確保は各産業にとって克服すべき課題となった。1870年代以降,鉄道網の拡張に伴い枕木需要は拡大し,国有鉄道は1909年度分の枕木購入に際し「一般競争入札」から「随意契約」に調達方法を変更した。さらに国有鉄道は,1930年度に予算不足により枕木買入単価を引き下げて所要量を確保するため,調達方法を「指名競争入札」に変更したが,1933年度には「益金」が増加して予算不足が解決され,また木材市場が回復したために再び「随意契約」に戻した。こうした調達方法の変更を通じて国有鉄道は木材市場や予算の変化に柔軟に対応したが,単年度主義の予算制約から長期的な枕木確保の対応策をとれなかった。国有鉄道は,使用樹種の拡大や防腐枕木の利用により枕木不足を解消しようとしたが,とくに1930年代後半以降,枕木不足は深刻化した。
著者
小林 正法
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第19回大会
巻号頁・発行日
pp.73, 2022 (Released:2022-04-20)

2つの選択肢から1つを選んで回答する二肢強制選択において回答に対して正答または誤答のいずれかをフィードバックとして与えた場合に,いずれのフィードバックもどの選択肢が正答か誤答かを示すという点で同等の情報量である。しかし,正答フィードバックを与えた場合よりも誤答フィードバックを与えた場合に学習効率が低いことが示されている(Eskreis-Winkler & Fishbach, 2019)。本研究では,古代文字を学習対象としていた先行研究の追試と人の顔を学習対象とした新たな検討を行い,フィードバックが学習効率に与える影響を検討した。事前登録を行った2つの実験の結果,先行研究同様に,正答フィードバックを与えた場合よりも誤答フィードバックを与えた場合に学習効率が低いことが一貫して示された。
著者
谷口 淳一 大坊 郁夫
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.13-24, 2005 (Released:2006-04-29)
参考文献数
36
被引用文献数
3 2

本研究では異性との親密な関係における自己呈示を取り上げ,異性との関係の親密さが,その異性に対する自己呈示動機に与える影響について検討した。調査対象者は758名(男性328名,女性428名,不明2名)の大学生であり,最も親しい異性を一人思い浮かべて質問紙に回答した。主な結果は次のとおりである。(1)関係を重要視しているほど,異性に対して恋愛感情を感じるほど自己呈示動機は高くなっていた。(2)関係が継続しているほど,異性友人関係では自己呈示動機が低くなっていたが,恋人関係では高くなっていた。(3)恋人関係であることの排他性は自己呈示動機を抑制していた。これらの結果より,長期的関係において短期的関係に比べて自己呈示動機が一概に低くなるわけではなく,長期的関係における自己呈示に関する研究を扱う必要性が示された。
著者
村山 弘明 富永 浩之
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.575-576, 2019-02-28

近年,議論や評決のシミュレーションとして,トークゲームが注目を集めている.本研究では,「語彙大富豪」を題材として,チャットアプリ上での運営ツールを開発している.このゲームは,プレイヤが選んだ単語を手札とした,トランプの「大富豪」のようなゲームである.単語の強弱は,手番のプレイヤの理由説明の後,プレイヤ間の協議と多数決で決定する.運営ツールでは,オープンなオンライン上で,トークゲームがプレイできる環境を目指す.そのため,初心者を対象とした打手支援や,悪意のあるプレイヤの排除が必要不可欠である.本論では,オンラインでゲームを運営するのに必要な機能を紹介する.
著者
天野 裕久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.2, pp.202-207, 2018-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

米国心エコー図学会(American Society of Echocardiography:ASE)から,心エコー図法による右心機能の評価方法が多数提言されて以来,肺高血圧症における心エコー図による右心機能評価は一般化しつつある.それらの指標を用いたスクリーニング方法と重症度判定について,欧州心臓病学会(European Society of Cardiology:ESC)の肺高血圧症の診断と治療のガイドラインに則り,解説する.