著者
大地 宏子
出版者
中部大学現代教育学部
雑誌
現代教育学部紀要 = Journal of College of Contemporary Education (ISSN:18833802)
巻号頁・発行日
no.10, pp.69-82, 2018-03

本稿ではNHKのラジオ番組から誕生した戦後の新しい童謡における音楽的側面に光を当て、戦前の大正期の童謡と戦前・戦後に隆盛を極めたレコード童謡との比較、及び変容を考察した。戦後の童謡については、当時の新進作曲家たちによって結成された「ろばの会」の活動理念や創作の経緯を辿りつつ、作品の分析を通して彼らの目指した戦後の童謡観(音楽観)と具体的な音楽的特質の一端を明らかにした。ここで浮き彫りとなった音楽面の変容、すなわち斬新なメロディーやリズム、半音階を含んだ多様な和声など戦前の童謡には聴かれなかった音楽的着想は、歌詞(言葉)を提供した詩人たちとの創作研究を通して起こった事象だったといえる。大正期の童謡から脱却し、新しい詩の創作を模索していた詩人たちと、戦後の近代和声による新たな子どものうたの創作活動を歩み始めていた作曲家たちの協同作業によって、戦後の童謡は開拓され現在へ至る道筋がつくられたのである。In this article we put a light on the musical factors in after-war children's song given birth from NHK radio programs, and put thought into the comparison and change from before-war Taisho age children's song and children's song records that prospered before and after the war. Regarding after-war children's song, we went through activity policies and sequence of creation of "Roba no kai" formed by the rising music writers of that age, and through analysis of the music clips, we made clear their vision of after-war children's song (vision towards music) and also a part of their specific musical characteristic. The change in music made clear here, which were the new melodies and rhythm, various harmonies with semitones, musical ideas that were not seen in before-war children's music, could be said to be a phenomenon caused through creative research with the poets that provided the lyrics (words). After-war children's song was developed, and a path towards the present was created through a partnership between poets breaking out from Taisho age children's song in search for new lyrics, and music writers beginning creative activity for new children's song with after-war modern harmony.
著者
薩摩林 淑子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.23, pp.17-29, 2016-03

I discuss the musical properties of Yoshinao NAKADA's 17 children's songs with lyrics by Hachiro SATO, through musical analysis focusing on the relationship between the poems and rhythm, melody, and harmony. As a result, I point out six characteristics of his composing style, from which I could derive three new features; compositions with repetitive lyrics, onomatopoeic words, and reverberation in the bridges. Finally, I discuss the significance of his works for children today from three points of view; cultivating emotions, encountering beautiful Japanese language, and the function of gate in the works of the art of music.
著者
三好 竜平 宮崎 椋瑚 橋本 康平 石田 祐太郎 渡辺 政彦 宇井 健一 市瀬 龍太郎 我妻 広明 田向 権
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第34回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.450-455, 2018 (Released:2019-01-09)

自動運転は,人工知能(AI)によってコンピュータ上で実行される. 事故が発生した場合,自動運転システムは事故の原因を分析するために意思決定の根拠を示すべきである. 本報告では,意思決定の根拠を示す知識ベースAIの統合シミュレータを提案する. シミュレータを構築するには,Autoware,Gazebo,知識ベースAIを組み合わせる. Autowareは自動運転用のオープンソースソフトウェアであり,Gazeboは任意の道路環境をシミュレートすることができる.提案シミュレータを用いて,自動運転のための知識ベースAIの実用性を何度も検証することができる.実験結果は,提案されたシミュレータが意思決定の根拠の提示に成功していることを示している.
著者
松永 悟行 平原 達也
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.331-338, 2011-08-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
11
被引用文献数
2

頭部伝達関数は相反法を利用することにより短時間で計測できる。相反法を利用した頭部伝達関数の計測には超小型スピーカユニットをシリコーン印象材に埋め込んだ耳栓スピーカが必要となる。この耳栓スピーカに用いる三種類の超小型スピーカユニット(DTEC-30008,ED-29689,SR6438NWS,Knowles)を自由空間で用いた場合の音響特性を計測した。いずれのスピーカユニットも高域では60dB程度の出力音圧レベルが得られるが,低域の出力音圧レベルは低かった。スピーカとマイクロホン間の距離が0.2mの場合,暗騒音レベル16dBの計測室において出力音圧レベルのSN比が0dB以上となるのは,DTEC-30008では120Hz〜20kHz,ED-29689では170Hz〜20kHz,SR6438NWSでは260Hz〜20kHzであった。また,いずれのスピーカユニットを用いた耳栓スピーカも10kHz以下では無指向性であった。DTEC-30008は12kHz〜17kHzにディップが生じ,それらの周波数と深さが方位によって大きく変化した。他のスピーカユニットは10kHz以上でほぼ無指向性であった。いずれのスピーカユニットも印加電圧を増加すると大きな2次及び3次高調波歪が発生した。それらのレベルを基本波レベルよりも小さくするためには,DTEC-30008,ED-29689,SR6438NWSへの入力電圧はそれぞれ1V,250mV,550mV以下にする必要があった。これらの結果より,DTEC-30008,ED-29689,SR6438NWSは相反法による頭部伝達関数の計測に利用できることが分かった。各スピーカユニットの有効周波数範囲は,暗騒音レベルが16dBで距離が0.2mでは120Hz〜10kHz,170Hz〜16kHz,260Hz〜20kHz,1.0mの距離では170Hz〜10kHz,280Hz〜16kHz,290Hz〜20kHzであった。

1 0 0 0 OA 河海抄

著者
四辻善成
出版者
巻号頁・発行日
vol.[4],