著者
高木 佐和子
出版者
富山大学人間発達科学部日本文学会
雑誌
富山大学日本文学研究 (ISSN:24326216)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-18, 2018-07-30

小川洋子『まぶた』(新潮社二〇〇一・三、新潮文庫二〇〇四・一一、本稿での引用底本は文庫版)は、一九九三年から二〇〇〇年にかけて雑誌に発表した「お料理教室」 (『文学界』一九九三・ニ)・「中国野菜の育て方」(『中央公論文芸特集』一九九三春季号)・「詩人の卵巣」(『小説すばる』一九九四・一〇) ・「まぶた」(『新潮』一九九六・九)・「バックストローク」(『海燕』一九九六・一一)・「飛行機で眠るのは難しい」(『一冊の本』一九九六・―二)・「匂いの収集」(『サントリークォータリー』一九九八・八)・「リンデンバウム通りの双子」(『新潮』二〇〇〇・一〇) の八篇を収録している。本稿では、本文の傾向をもとに『まぶた』を大きく三つに分類し、各作品について論じるとともに『まぶた』の全体像を探っていく。まず、小川がアンネを巡る旅に出る以前の初期作品(「中国野菜の育て方」「お料理教室」)を考察し小川洋子作品全体を支える特徴を見出す。斉藤環氏は「お料理教室」において、食品は封印と増殖が描かれており、不安定さを象徴する存在であると指摘するが、小川洋子の作品全体の不安定さは食だけに限らないだろう。次に表題作「まぶた」を中心とした暴力を感じさせる三作品(「まぶた」「匂いの収集」「バックストローク」)、そして「書くこと」を中心とした三作品(「飛行機で眠るのは難しい」「詩人の卵巣」「リンデンバウム通りの双子」)について考察する。最後に作品を読解することで可能になる短編集『まぶた』全体の解釈を考える。本研究を通して、小説を通して小川洋子が描き出す物語観が多様で単一の視点にとどまらない深い魅力を含んでいることを提示する。
著者
江戸 優裕
出版者
国際医療福祉大学
巻号頁・発行日
2014-03-12

平成25年度
著者
中嶋 ゆう子 岩尾 憲明 宮崎 かおる 塚原 達幸 市川 太一 平岡 秀子 小宮山 佐恵子 小野 美代子 浅川 澄江 中村 弘
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.42-48, 2012
被引用文献数
3

山梨県では平成18年から山梨県合同輸血療法委員会I&A委員会による輸血医療の点検視察が開始された.施設の自発的受審ではなく県が視察病院を指定して,10施設の中小規模病院に対して点検視察が実施された.点検視察の結果「改善すべき」と指摘された事項は輸血検査や輸血用血液製剤の管理に関する項目が多く,「改善が望ましい」と指摘された事項は輸血管理体制や製剤の保管管理に関する項目が多かった.点検視察の指摘事項に関する改善状況のアンケート調査の結果では病院間で改善状況に差があることが示され,改善が進まない背景には輸血責任医師が兼任で実質的に不在であることや検査技師の人員不足等の問題があると考えられた.I&A活動の目的は輸血実施手順や輸血管理体制の標準化により病院の規模に関係なく安全で適正な輸血が実施されることである.山梨県I&A委員会の継続的な取り組みによって県内の中小規模病院の問題点の改善と輸血医療の向上を目指し,将来的には中小規模病院の学会I&A受審につなげたいと考える.<br>
著者
野崎 章仁 福田 篤志
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.633-636, 2017 (Released:2018-11-30)

Attention has been paid to secondary carnitine deficiency in children. However, secondary carnitine deficiency in pediatric patients has been reported repeatedly. In this study, the questionnaire survey of medical worNers on secondary carnitine deficiency in children was conducted. In the study, 125 individuals including 22 pediatricians, 18 non-pediatric doctors, 80 nurses, and 5 pharmacists in our hospital were enrolled. As a result, the response rate to secondary carnitine deficiency in children was insufficient. In addition, there was a statistically significant difference in the response rate between pediatricians and other medical workers. Pediatric practice consists of not only pediatricians but also other medical workers. Therefore, it is important that all medical staffs participating in pediatric practice deepen their knowledge of secondary carnitine deficiency and thereby prevent the deficiency.
著者
島田 和幸 山本 啓二
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.1001-1011, 2000-12-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
39

大規模な臨床疫学調査や個々の臨床成績は,いずれも急性心筋梗塞のみならず,一過性心筋虚血,不安定狭心症,突然死,重症不整脈,および脳卒中などのほとんど全ての心血管系疾患が覚醒起床後の午前中の数時間の時間帯に集中して発症する事実を報告している.神経・体液性の生理的諸指標の概日リズムの研究を通して,何故この時期に疾患が多発するのかが次第に解明されてきた.たとえば,血圧や心拍数は交感神経活性の充進とともに"morningsurge"という早朝の急激な上昇が観察される.これらが単なる生体内時計による生物学的現象の日内リズムのなせるわざではないことは,覚醒後故意に起床を遅らせた場合,生理諸指標の変動や心血管系疾患の発症時間も並行して後ろにシフトすることから理解できる.生物現象としての生体内時計と人間の行動が生み出す日内リズムの総和として,心血管系疾患の概日リズムが形成されると考えられる.これらの病態をふまえて,時間薬物治療学などの概念を導入しつつ心血管系疾患への対処を考えることが重要である.
著者
田中 博春 小熊 宏之
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.114, pp.280, 2003

I. はじめに 分光日射計データから得られる各種植生指標の季節変化を、CO2吸収量ならびに葉面積指数の季節変化と比較した。データは、国立環境研究所苫小牧フラックスリサーチサイト(カラマツ人工林)のタワーデータを用いた。・各種植生指標:全天分光日射計 英弘精機MS-131WP使用。地上高40mに設置した上向き・下向きの日積算日射量より各種植生指標値を算出。波長帯は、可視(Ch3:590-695nm≒ 赤)と近赤外(Ch5:850-1200nm)の組み合わせ[図1-a]、ならびに可視(Ch2:395-590nm≒青・緑)と 近赤外(Ch4:695-850nm)の組み合わせ[図1-b]の2通りを用いた。・CO2フラックス日中積算値:クローズドパス法非分散型赤外線分析計Li-Cor LI-6262使用。地上高27m 9:00から16:30までの30分値を加算、日中の積算値とした[図1-c]。・葉面積指数(LAI):光合成有効放射計Li-Cor LI-190SB 地上高1.5mと40mの下向き光合成有効放射量(PAR)の日積算値の比から、Lambert-Beerの式を用いPAI(Plant Area Index)を算出。落葉期の測定値を減じLAIとした [図1-d]。II. 日中CO2フラックスと植生指標GEMIの整合性[図1-c] Ch2とCh4から求めた植生指標GEMI(Global Environmental Monitoring Index)の季節変化と、日中積算CO2フラックスの極小値を結んだ包絡線の季節変化の間によい一致がみられた[図1-c]。特にカラマツの萌芽後のGEMI値の急増時期や、展葉に伴うGEMI値の増加傾向が、CO2フラックスの変化傾向とよく一致している。ただし紅葉期は両者は一致しない。これは、光合成活動が低下した葉が落葉せずに残るためと思われる。III. 各種植生指標の季節変化 [図1-a,b] これに対し、植生指標としてよく用いられる正規化植生指標NDVI(Normalized Vegetation Index)は、CO2フラックスの季節変化傾向と一致しなかった。NDVIは春先の融雪に伴う値のジャンプがあり、また6__から__10月の活葉期に値がだいたい一定となる。この特徴は、Ch3とCh5から求めた図1-aの4つの植生指標も同様であった。しかし、Ch2とCh4を用いた図1-bのGEMIと、近赤外と可視の差であるDVI(Difference Vegetation Index)にはこれらの特徴がみられず、CO2フラックスの季節変化傾向と同様に萌芽後に値が急増し、6月にピークを迎えた後なだらかに減少した。IV. 葉面積指数LAIと植生指標GEMIの整合性 [図1-d] 葉面積指数(LAI)が正常値を示す、積雪期以外のLAIの季節変化を、Ch2とCh4によるGEMI(≒CO2フラックスの季節変化)と比較すると、カラマツ萌芽後の展葉期にはGEMIより1__から__2週間ほど遅れてLAIの値が増加した。タワー設置のモニタリングカメラの日々の画像の変化を見ても、カラマツの葉の色の変化が先に現れ、その後に葉が茂ってゆく様子がわかる。 萌芽後、LAIは直線的に増加するが、GEMIの増加は立ち上がりは急なものの徐々に増加量が減ってくる。これは、萌芽後LAIの増加とともに葉の相互遮蔽が生じ、下層まで届く光量が減少するため、群落全体としての光合成活動が低下することが原因と思われる。 他にも、今回の測定方法ではLAIとしてカウントされていない林床植物のCO2フラックスの影響等が想定される。<CO2フラックス・LAIデータ提供: 産業総合技術研究所 三枝 信子・王 輝民>
著者
野村 佳絵子 黒田 浩一郎
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.449-467, 2005-03-31
被引用文献数
1

日本では, 1970年代の半ば頃から, 人びとの健康への関心が高まり, それまでよりも多くの人びとが健康を維持・増進するための行動を心がけるようになったといわれている.周知のとおり, これらの現象は「健康ブーム」と呼ばれている.医療社会学では, このような「ブーム」の背景に, 「健康至上主義」の高まりを想定している.しかし, 「健康ブーム」も「健康至上主義」の高まりも, それらの存在を裏付ける証拠はいまのところ存在しない.そこで, 本論では, 書籍ベストセラーが人びとの意識や関心を反映しているとの仮定のもとに, 健康に関するベストセラーの戦後の変遷を分析することを通して, 人びとの健康についての意識の程度やあり方の変化を探った.その結果, 健康に関する本のベストセラーは1970年代の半ばに初めて登場したわけではなく, 1950年代後半から今日まで, そう変わらない頻度で現れていることが見出された.また, 「健康ブーム」といわれる時期の初期およびその直前には, 医学をわかりやすく解説する啓蒙書がベストセラーになっていることが発見された.したがって, 1950年代後半から今日まで, 人びとの健康への関心の程度にはそれほど変化がないということになる.また, 「健康ブーム」とされる時期に特徴的なことは, 健康への関心の高さではなく, むしろ, 健康に良いと信じられていることに対する批判的な意識の高まりではないかと推測される.
著者
緒方 敦子 川平 和美
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.204-211, 2012-06-30 (Released:2013-07-01)
参考文献数
23

観念失行の定義, 発生メカニズムについての議論は続いている。一方, 道具使用や随意運動にいたるメカニズムが解明されつつある。我々は, 観念失行を有する失語症患者を対象に道具の認知や使用法と手順の知識について, 道具の写真の並び替えなど非言語的課題を用いて検討したところ, 単一物品の使用法理解は全例で保たれていたが, 複数物品の使用については誤りがあった。ADL への影響では観念失行例は観念失行のない例に比べて入院時, 退院時とも ADL は低かったが, その向上の程度は差が無かった。失語と観念失行を有する右片麻痺例への調理訓練も検討し, 頻回に調理実習を繰り返すと, 多くの例が調理可能となった。観念失行の効果的なリハビリテーションは確立されていないが, 観念失行を道具使用の運動プログラムの立ち上げに至る神経回路の障害と考えると, 誤りのない道具使用を実現する神経回路の興奮水準を高める刺激の多い環境で, 繰り返して行うことが必要である。
著者
塚田 則夫 長田 洋
出版者
一般社団法人 日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.255-261, 2002
参考文献数
3
被引用文献数
1

認証登録企業・事業所数は,ISO9000sでは2万3,000件,ISO14001で6,000件を超えており,その分野はサービス産業,官公庁などに拡大している.また,ISO9000sとISO14001の二つを共に認証登録している企業・事業所も増加している.<BR> しかし,品質/環境マネジメントシステムは従来からの活動の流れが異なり,かつ管理・推進部署が異なるためにそれぞれが独立して構築される.このような独立したシステムは全体のマネジメントシステムとして考えると多くの課題を含む.<BR> 一方,ISO9001はマネジメントシステム規格としての改訂に伴いISO14001との両立性を考慮した構成となった.このことは二つのマネジメントシステムを融合させることの可能性を増加させた.<BR> 本研究では,ISO9001とISO14001を融合するための考え方・手法の適用事例を示し,さらにこの融合によってマネジメントシステムが強化されることについて述べている.
著者
庄司 克宏
出版者
関西大学
雑誌
ノモス (ISSN:09172599)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.89-106, 2005-12-25

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1908年01月27日, 1908-01-27

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1900年01月27日, 1900-01-27

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1895年04月29日, 1895-04-29