著者
西岡 千文 亀田 尭宙 佐藤 翔
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.3-20, 2020-02-29 (Released:2020-03-27)
参考文献数
55

学術出版物のオープンアクセスが進展し,自由にアクセス可能な学術情報が蓄積されている.一方,引用データに関しては,機械可読なアクセスのオープン化が遅れている.このような状況を解決するために,I4OC(Initiative for Open Citations)が設立され,オープン・サイテーション,すなわち引用データのオープン化を推進している.本稿では,I4OC の取り組みによって公開された引用データを分析することで,日本におけるオープン・サイテーションの現状の把握を試みる.結果,世界の学術出版物において引用データをオープンにしている文献の割合は24.22%であるのに対して,日本の学術出版物においては18.86%であることが判明した.オープン・サイテーションを推進するための今後の課題として,過去の文献と人文学系分野の文献の引用データの組織化の支援が挙げられる.
著者
秋山 久美子 Kumiko AKIYAMA
雑誌
學苑 = GAKUEN (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.902, pp.34-45, 2015-12-01

Pidan is a type of food produced by coagulation through alkaline denaturation, of the protein contained in eggs. Pidan is prepared according to traditional methods that are often unclear. Lead monoxide and copper sulfate are often used, as they were purported to promote coagulation of the egg. The current Food Sanitation Act in Japan forbids the use of chemicals that include heavy metals such as lead monoxide in the pidan preparation process. The lead content standard for pidan imported from China is 0.5 mg or less per 1 kg. In 2013, however, problems arose in China with pidan made using copper sulfate. For food safety reasons, it is desirable to make and distribute pidan within Japan. In this study, we located methods of preparing pidan in the literature, summarized them, and compared the methods. A literature search on methods of pidan preparation revealed 13 studies on coating methods, 11 on immersion methods, and 6 on mixed methods. Examination of these methods revealed that the materials used as the alkaline agent in the coating method were sodium carbonate, lime(including quicklime and lime hydrate), and plant ash. Salt was added to all coating agents. Some methods used black tea. In the immersion method, highly alkaline sodium hydroxide and sodium carbonate were used as well as quicklime. Few used plant ash. Some methods added black tea leaves. In the mixed method, highly alkaline chemicals were used to coagulate the egg, similar to the immersion method, and the egg was then coated with an alkaline agent and allowed to age. We then selected one method each from among the coating and immersion methods discussed in the literature and used them to prepare pidan using chicken and quail eggs. The immersion method was easier and had a higher success rate than the coating method. In particular, immersing quail eggs for 10 days and then coating them in paraffin for 52 days sometimes resulted in "Shokatan" eggs, which have white pine needle-shaped crystals on the egg white.
著者
後藤 晶
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.86-89, 2015

プレミアム商品券とは一定分のプレミアム率に応じた金額を上乗せした商品券である.本研究においては2014年度の緊急経済対策による地方交付金の活用方法として採用されたプレミアム商品券政策に関連して,インターネット調査を実施し,社会経済的属性に着目して,プレミアム商品券政策に関する経済行動の特徴について検討した.その結果,低収入世帯ほど,プレミアム商品券を購入していないこと,高収入世帯ほどプレミアム商品券に期待する「最低希望プレミアム率」が低いことなどが明らかとなった.特に,購入者に比べて,非購入者および購入未定者の最低希望プレミアム率が高いことが示されており,非購入者は販売されたプレミアム商品券のプレミアム率が自身の望むプレミアム率を満たさなかったためにプレミアム商品券を購入しなかった可能性が示唆される.
著者
立野 新光
出版者
九州大學農學部
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.571-579, 1954-09

抽出はインシュリンの製造に於ける最も重要な工程であつて,その方法の良否,その巧拙はインシュリンの研究に於ては勿論,インシュリンの生産工業に於て基本的な重要性をもつものである.魚類のランゲルハンス氏島(以下ラ氏島と略記す)よりインシュリンの抽出については既往の文献によれば大体3つの方法に分類することができる.すなわち,(1)水溶液にて処理せるもの,(2)酸性アルコールを用いるもの,(3) ピクリン酸及びアセトンを使用せるもの等である.しかし以上の3つの方法の中で現在行われている方法は(2)及び(3)であるから,この2つの方法について検討を試み且つ著者の行つた研究について報告する.
著者
服部 亜由未 HATTORI Ayumi
巻号頁・発行日
2013-03-25

名古屋大学博士学位論文 学位の種類 : 博士(地理学)(課程) 学位授与年月日:平成25年3月25日
著者
小林 道彦 森 靖夫 瀧井 一博 西田 敏宏 奈良岡 聰智 松本 浩延
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、山県有朋および山県系官僚閥に関する内外史料の収集と整理・分析を通じて、新版『山県有朋意見書』を編集・公刊し、「日本の近代」の再検討を行おうとするものである。底本には大山梓編『山県有朋意見書』(原書房、1966年刊行、以下「大山本」と略称)を用いる。大山本は日本近代史研究などの学問分野における最も基本的な「データベース」として、長年多くの研究者に利用され、多大なる学問的恩恵をもたらしてきた。本研究は爾後半世紀あまりにわたって関係諸機関によって、収集・公開されてきた史料を中心に、新たな史料の探索にも注力しつつ、それらを整理・統合した新版『山県有朋意見書』を公刊することを目的とするものである。2年度目にあたる本年度は、研究実施計画に沿って着実に研究実績を積み重ねることができた。その概要は以下の通りである。①大山本に掲載されている意見書の典拠確認・史料原本の複写作業はほぼ完了した。ただし、10点あまりは典拠不明である。②『公爵山県有朋伝』『明治天皇紀』『明治天皇御伝記史料・明治軍事史』『陸軍省沿革史』等の刊本からの、関連箇所の複写とデータ入力作業は完了した。上記作業に関しては、松本浩延(同志社大学法学研究科博士後期課程)、徳重伸(同博士前期課程)、井本莞司(同博士前期課程)を研究協力者として作業を行った。③前年度に引き続き、大山本に収録されていない意見書の探索を、国立国会図書館憲政資料室、防衛省防衛研究所図書館、国立公文書館、奥州市立後藤新平記念館、憲政記念館、山口県文書館などで進めており、43点あまりの未刊行の新出意見書を見つけ出すことができた。また、海外での史料調査も適宜実施した。④以上の史料リストを全部統合した「統合リスト」を作成し、それを元に出版社(千倉書房)との出版交渉を行った。
著者
浅原 正和 ASAHARA Masakazu
出版者
三重大学教養教育機構
雑誌
三重大学教養教育機構研究紀要 = BULLETIN OF THE COLLEGE OF LIBERAL ARTS AND SCIENCES MIE UNIVERSITY
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-18, 2017-03-31

国家間における動物の贈与は、歴史的に外交の一手段として用いられてきた。先行研究において、オーストラリアが歴史的に“ カモノハシ外交” とも呼べるカモノハシの国外移送をイギリス、アメリカに対して行ってきたことが論じられている。それに加え1990 年代、カモノハシを移送する試みが日本に対しても進んでいた。これら3 か国への移送計画は、それぞれ異なる組織が異なる目的のため進めたものだった。1943 年のイギリスへの移送は英首相ウィンストン・チャーチルのリクエストであったが、一方で戦時下におけるオーストラリア政府の外交政策の一環でもあった。これまでこの移送は戦時中、機密事項であったとされていたが、顛末を報道する新聞記事も戦時中に発行されていた。なお、生体の移送に先立って送られた剥製は、ボーア戦争でチャーチルを助けた隊に所属していたエディー氏の飼育個体であった。1916~58 年にかけて試みられたアメリカへの移送は、動物商や動物園といった民間が主導して進めた。1947 年の移送も動物園間の交渉で始まるが、オーストラリア政府が輸出許可を出さなかった関係で政治家が動いた。最終的に、カモノハシを戦時中の返礼とみなすということで許可が下りる。日本の東京で1996 年に開催が予定されていた博覧会でカモノハシが出展される計画は、ニュー・サウス・ウェールズ州フェイ首相と、東京都鈴木知事との間で自治体外交として進められた。しかし、1995 年に両者の首長が交代することで、計画は中止に追い込まれる。これら時代ごとに計画があったカモノハシの移送先は、オーストラリアの経験してきた国際情勢の変遷と関連している。まず、第二次世界大戦前後で、国防の依存先がイギリスからアメリカへ替わったことは、戦中・戦後のカモノハシの送り先に象徴されている。そして、20 世紀終盤に最大の貿易相手国となった日本との間で自治体外交が活発化し、そのことが日本へのカモノハシ移送計画を生み出した。
著者
植田 邦彦
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類,地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5-6, pp.190-202, 1989 (Released:2017-11-17)

Circum-Ise Bay area, which is newly defined here, means hill and terrace regions that surround Ise Bay, (10-)50 to 600(-1000) m in elevation. A lot of local endemic, semi-endemic and relict taxa growing in small peatless mires (swamp and marsh) in the area are found. The following plants are defined here as Tokai hilly land element: Magnolia tomentosa, Berberis sieboldii, Drosera indica, Drosera spathulata ssp. tokaiensis, Pyrus calleryana, Acer pycnanthum, Vaccinium sieboldii, Chionanthus restusus, Pedicularis resupinata var. microphylla, Utricularia minutissima, Veratrum stamineum var. micranthum, Eriocaulon nudicspe and Eulalia speciosa.

6 0 0 0 OA 漢字摘要

著者
玉井米南 編
出版者
大由堂書店
巻号頁・発行日
1912