- 著者
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中辻 裕司
- 出版者
- 日本神経学会
- 雑誌
- 臨床神経学 (ISSN:0009918X)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.12, pp.972-974, 2014 (Released:2014-12-18)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
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4
多発性硬化症(MS)患者の約3割で血中セマフォリンSema4Aが著明高値を示す.Sema4A高値群にはインターフェロン(IFN)-β療法が有効でないばあいが多く,逆に障害の進行が助長されるばあいもある.疾患モデル動物EAEで検証実験をおこなうと,EAEはIFN-β治療で軽症化するがSema4A投与によりIFN-βの治療効果が打ち消され,むしろ増悪傾向を示した.機序としてSema4AがIFN-β治療下でもTh1,Th17分化を促進すること,およびT細胞の内皮への接着を促進することが一因である.まずSema4Aを測定し,高値MS患者には第一選択薬としてIFN-β以外の治療を考慮することが望ましい.