著者
森 重之 長田 純夫 迫口 明浩 上岡 龍一
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.1313-1317, 1996-11-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
1

べつ甲細工は日本の伝統工芸のひとつであり, べっ甲の原料はタイマイである.しかし, タイマイの輸入禁止により, べっ甲業界は存亡の危機にたたされている.そこで, 従来のペっ甲細工技術を活かせるべっ甲の代替材料として牛角に着目し, 牛角を利用した新材料の開発を検討した.本研究で得られた顕著な成果は次のとおりである.a) 牛角を過酸化水素 (H2O2) で化学的に処理し, べっ甲と同様なあめ色に改質する技術を確立した.さらに, b) 牛角粉末とべっ甲粉末を適切な割合で混合し, 110-120℃の温度範囲で成形することによって, べっ甲に類似した新材料を開発した.
著者
酒々井 眞澄 沼野 琢旬 深町 勝巳 二口 充 津田 洋幸
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第41回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.O-25, 2014 (Released:2014-08-26)

多層カーボンナノチューブ(MWCNT)のラット肺内投与に伴う長期経過後の中皮腫発がんに関わるエビデンスはない。本研究ではラットにMWCNTを経気管的肺内スプレー法により投与する実験システムを用いて2年経過での中皮腫発がんを検証した。雄F344ラット(5群を設定、各群15匹)にMWCNT(FT分画平均長2.6 µm、W分画平均長4.2 µm、R分画平均長>2.6 µm)を 2週間で計8回(total amount 1.0 mg)を肺内スプレーし96週目までの間に死亡あるいは瀕死解剖された個体および109週目に剖検された個体について中皮腫発生を調べた。65週目に1個体に縦隔原発の中皮腫が発生し、以降剖検までに11個体に中皮腫が発生した。計12個体中10個体が縦隔あるいは心外膜原発であり、2個体が精巣tunica vaginalis原発と考えられた。胸腔での中皮腫発がんまでの平均経過は94週であった。無処置群およびvehicle control群には腫瘍は認めなかった。腫瘍および各臓器の組織学的検索の結果、気管内にスプレーされたMWCNTは上縦隔リンパ節、中皮腫組織、肥厚した横隔膜中皮などに存在した。少なくとも本実験条件下では、CNTが気管あるいは肺内から胸腔に移動し、胸膜や縦隔中皮を標的に中皮腫発がんに至ったと考えられる。
著者
福田 正治
出版者
富山大学看護学会編集委員会
雑誌
富山大学看護学会誌 (ISSN:1882191X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-13, 2009-10

Empathy is a basicability to conform a relationship between patients and nurses in nursing.The empathy includes a process of feeling communication to coping to the pain of the patients. The feeling composed of a hierarchy structure of basic and cognitive components, so that the empathy may divide into two components of emotional and cognitive empathy.The emotional empathy is an automatic and unconscious process based on mirror neuron.The cognitive empathy is situation-and object-dependence in feeling communication. These suggest two different copings between acute and chronic care stage, related to emotional openness and emotional control. This paper discusses about feeling communication in emotional and cognitive empathy.
著者
緑川 晶 吉村 菜穂子 河村 満
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.139-146, 2004 (Released:2006-03-09)
参考文献数
11

記銘力検査の成績が良好であるにもかかわらず多様な健忘症状を呈した側頭葉てんかん症例を検討した。てんかん発作の特徴は,複雑部分発作と数時間の逆向性健忘を伴った健忘発作であった。前向性健忘は,数日単位では明らかではなく,およそ4週間の間隔をあけることによって初めて顕在化するものであった。逆向性健忘は自伝的記憶を中心とする20年以上にわたる障害であった。これらはそれぞれてんかん発作によって生じた長期記憶の固定化の障害と,皮質にある記憶痕跡の消失と考えられた。抗てんかん薬の服用により,前向性健忘は著しい改善を認めたが,逆向性健忘は明らかな改善が認められなかった。このことから,逆向性健忘が非可逆的な過程で生じていると考えられた。てんかん発作に起因する臨床病態の検討が,人間が持つ記憶の一側面を明らかにすると思われる。
著者
揚戸 薫 高橋 伸佳 高杉 潤 村山 尊司
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.62-66, 2010-03-31 (Released:2011-05-11)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

遷延性の道順障害を呈した 1 例における移動手段獲得のためのアプローチについて検討した。通常の地図を見ながらの移動訓練は有効ではなく,これは移動中の各地点で自分の向いている方角が地図上でどの方角にあたるかを判断できないことが一因と考えられた。そこで視覚的手段は用いず,目的地まで道順に沿って目印となる指標や分岐点での進むべき方角を言語的に記述したメモを用いたところ非常に有効であり,さらにそれを言語的に記憶することでメモなしでの移動が可能となった。道順障害は,症状の持続が短期間のことが多いが,病院内の移動などには大きな支障をきたす。本例で用いたような言語メモを活用したリハビリテーションは,道順障害での方角定位障害を代償する手段として有効であり,早期から積極的に取り入れるべきと考えられる。
著者
森下 克也 高橋 歩美
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.831-837, 2011-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
10

職場のストレスによる適応障害の1例に対して,漢方薬と認知療法を適用し良好な結果を得た.患者は27歳,女性.低い自己評価と抑え込まれた自己主張との間に葛藤が存在するというスキーマの上に仕事の負荷の増大が加わり,ストレス耐性が破綻し多彩な身体・心理的症状を呈した.治療は,生活の質を落としている身体・心理的症状に対して漢方薬を,その原因となっている非機能的思考に対して認知療法を適用した.その結果,約10ヵ月で症状が全快し,過剰適応的,主観的なストレス・コーピングが自律的,客観的なそれへと変容した.心身一如を旨とする漢方薬は,多彩な身体・心理的症状に対して西洋薬よりも合目的的であり使用薬剤を最小限に抑えることができる.また,認知療法は,薬物療法では困難な,歪んだ認知の修正に対して有効である.両者の併用は,安定的な適応障害の改善に効果的であった.
著者
大町 利勝
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.170-179, 2004 (Released:2004-06-01)
参考文献数
4
被引用文献数
7 5
著者
前山 智宏 前川 清人 松本 忠夫
出版者
日本熱帯生態学会
雑誌
Tropics (ISSN:0917415X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.509-517, 2001 (Released:2009-01-31)
参考文献数
21

アカネ科アリノスダマ亜科に属するアリノスダマ類(5属88種)は,ニューギニア島を中心に分布する着生性のアリ植物であり,共生するアリ類との間に緊密な相利共生関係をもつものから共生関係の弱いものまで,様々なな共生関係を示すことが知られている。本研究では,アリノスダマ類の系統関係を明らかにした上で,その進化プロセスの推定を行うことを目的とし,アリノスダマ類4属に属する6種のク口口プラストDNA·atpB-rbcL intergene の塩基配列を決定し,分子系統樹の構築を試みた。その結果,アリとの高度な共生関係をもつMyrmecodia属やMyrmephytum属は偽系統群となり,アリとの共生関係が弱く,また乾性適応が進んだHydnophytum属が派生的分類群である可能性が示唆された。従って,アリノスダマ類の進化を考えると,多雨林で祖先型の着生性植物が,まずアリ類との共生関係を進化させ,その後一部が乾燥地へと進出し,乾燥適応型の形態を持つ種が出てきたと考察される。
著者
河内 清光
出版者
一般社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.91-99, 2011-03-31 (Released:2015-12-26)
参考文献数
17

Recently, Japan has constructed the largest number of proton and heavy ion therapy facilities in the world. They have produced fruitful results, and now the particle therapy attracts an great attention. The author could fortunately have the opportunity to involve in the research and development of the particle therapy facilities, from the beginning of the entering into National Institute of Radiological Sciences. I started from the investigation of a thermal neutron capture therapy at first, and have been concerned with the development of the facilities for the fast neutron therapy, the proton therapy, and the present heavy ion therapy. Based on these experiences, I would like to review on the history of the particle therapy in Japan and on the latest developments.