著者
原 卓志 Takuji HARA
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 = Research bulletin of Naruto University of Education (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.177-196, 2021-03-10

In this paper, we will examine how the succession of Anjoji-ryu priests is administered. Anjoji-ryu is part of the Shingon sect of Buddhism. To examine the succession mentioned above, we will research the initiation records: records of the education conducted by successive priests in Shokoan Temple, as well as biographies of priests. In addition, we will compare the current line of succession of Anjoji-ryu and the following two documents owned by the Kokudennzan Jizoji Temple: "Anryu-shoto-kechimyaku(安流正統血脉)", and "Shokoan-kechimyaku (正興庵血脉)", which both record the succession of Anjoji-ryu priests at Shokoan Temple.
著者
中川 純一 Junichi Nakagawa
巻号頁・発行日
pp.93-104, 2019-03-05

サーチュインは健康長寿を支える遺伝子とされ,ほとんどの生物にある。その実体は,有核生物では,主としてヒストン,p53他のアセチル化タンパク質を基質とするNAD+依存性リジン脱アセチル化酵素,原核生物では,コバラミン合成に関するcobBとして同定された後,代謝酵素,転写制御因子及び走化性タンパク質の脱アセチル化に関わると報告された。一方プロバイオティクスとして注目されている乳酸菌もサーチュインを持つが,その役割は不明であった。乳酸菌自身にとっても,サーチュインは健康維持の長寿遺伝子なのか?それが本研究の出発点であった。プロバイオティクスや醗酵のスターターに用いられてきたLactobacillus paracaseiを対象として,まず遺伝子sirAをクローニングすることから手掛け,組換えタンパク質LpSirAを作成した。次にLpSirAのリジン脱アセチル化酵素反応を検証し,その細胞内基質の一つが30Sリボソームタンパク質S4であることを見出した。続いて,抗LpSirA抗体を作り,菌体細胞内のサーチュインの局在を,免疫染色法及び蛍光タンパク質融合による生細胞の観察,最終的には免疫電子顕微鏡撮影したところ,細胞全長にわたる緩めの螺旋状の局在,または細胞分裂面と細胞極に濃密に局在することを発見した。更にsirA欠損株,sirA過剰発現株を作成してみると,野生株に比べてsirA欠損株は細胞長が短く,逆にsirA過剰発現株は細胞長が長いことが判明した。これらの結果は,タンパク質合成制御に加えて,サーチュインが細胞分裂と細胞形態形成という,生命維持に本質的な機能を持つことを示した。更にストレス耐性に関与するデータも得て,乳酸菌サーチュインを人為的に制御することができれば,プロバイオティクスとしての機能を高め,ひいては宿主の健康長寿維持にも役立つ可能性があるのではないかと考えるに至った。
著者
川瀬 和也 Kazuya KAWASE 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-12, 2021-03-10

本稿の目的は、行為者性に関する階層理論を整理し、その射程を明らかにすることである。現代行為論においては、心的態度の階層によって自律を説明し、これを通じて行為者性とは何かを明らかにしようとする階層理論が影響力を持っている。本稿では、H. G. フランクファートの階層理論、M. E. ブラットマンの計画理論、C. M. コースガードの実践的アイデンティティに訴える理論の三つを、心的態度の階層性に加えて何が必要だとされているかという観点から整理する。また、特にブラットマンの計画理論と、コースガードの実践的アイデンティティに基づく理論を比較し、両者において人格の同一性についての理解の違いが問題となっていることを示す。また、人格の同一性の捉え方によって、「操作の問題」への応答が変わることを明らかにする。これを通じて階層理論にとって人格の同一性をめぐる問題の重要さが増していることを明らかにする。
著者
安川 洋生 正宗 行人 YASUKAWA Hiro MASAMUNE Yukito
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.109-113, 2015-03-01

「イオン」に関しては中学校の理科で学習する.その際,「電気分解」や「電気泳動」を例にあげながら「化学」の一項目として学ぶ.「電気分解」も「電気泳動」も日常で接することはほとんどなく,生徒を含め一般の人たちが日常で化学に関連して「イオン」を想起するのは乾電池を手にした時くらいかもしれない.一方で「イオン」という単語自体は幾つかのスポーツ飲料等のラベルに表記されているので多くの人に馴染みがあるであろう.運動や,夏季の発汗による脱水症状を防ぐために水分補給が推奨されているが,その際に「イオン」と関連付けて説明されることがある.また,生活習慣病予防の観点から塩分の摂り過ぎに注意するよう喚起されているが,この場合も「イオン」との関連で説明されることがある.「イオン」は,実は生物にとって極めて重要な因子であるが,それについて学ぶのは高校の生物においてである.しかし残念なことに,細胞の内外でカリウムイオン(K+) とナトリウムイオン(Na+)の濃度が異なっていることと,それが神経細胞にとって重要な役割を果たしていること,に関して僅かに説明される程度である.そもそも細胞の内外でK+とNa+の濃度が異なっている必然性については何らの考察もない.学校における「生物」という科目を「暗記するだけの科目」と考えている生徒も多いようであるが,「生物」は「物理」と「化学」を基盤とした総合分野であり,生徒には「知識を総動員して考えぬく科目」として認識をしてもらいたい.本稿では,細胞膜をはさんだK+とNa+の濃度差の重要性を概説し,教科書には触れられていない濃度勾配の必然性について考察する.
著者
鈴木 由加里 SUZUKI Yukari
巻号頁・発行日
vol.21, pp.219-230, 2014-12-25
著者
櫻井 準也
出版者
尚美学園大学総合政策学部総合政策学会
雑誌
尚美学園大学総合政策論集 = Shobi journal of policy studies, Shobi University (ISSN:13497049)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.37-47, 2017-06-30

本稿では7 世紀に築造され、18世紀初頭(江戸時代)に石室が修復された埼玉県坂戸市の浅羽野1 号墳(土屋神社古墳)の事例を紹介する。この古墳では天井石に残された銘文によって1707年に信州高遠の石工によって石室が修復されたことが判明している。古墳が過去に修復された事例はわが国に存在するが、本事例は極めて珍しい事例である。その理由は修復の時期や石工名が判明していること、そして石材が転用されて石像が製作されたことである。また、修復の契機となったのが当時頻発していた地震災害による古墳の被害であることも重要な点である。このように、本事例は古墳と江戸時代の人々の関係、さらには遺跡と自然災害の関係を知ることができる興味深い事例である。
著者
今井 済 佐藤 明良 佐藤 英一 Sato Akiyoshi Sato Eiichi
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
第33回宇宙構造・材料シンポジウム:講演集録 = Proceedings of 33rd Symposium on Aerospace Structure and Materials
巻号頁・発行日
2017-12

第33回宇宙構造・材料シンポジウム(2017年12月8日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 (JAXA)(ISAS)), 相模原市, 神奈川県
著者
西田 健志
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.458-464, 2015-04-15

本稿ではWISS(Workshop on Interactive Systems and Software)2004から10年以上にわたって開発・運用を続けてきた様々なチャットシステムや,夕食時の席を決めるシステムなど,様々なシステム開発を通じてWISSのコミュニケーションを促進してきた活動を振り返る.これまで開発・運用してきたシステムの機能や設計理念の紹介を中心として,長年開発を続ける中で見えてきた,WISSというコミュニティの特殊性やコミュニティの一員としてシステム開発を続けることの意義についても述べる.
著者
アファナシエワ オルガ 翻訳:江間 有沙
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, 2021-03-01
著者
安田 眞由美
出版者
長崎外国語大学
雑誌
長崎外大論叢 = The Journal of Nagasaki University of Foreign Studies (ISSN:13464981)
巻号頁・発行日
no.24, pp.69-83, 2020-12-30

First, this paper examines existing literature and provides an overview of how international students with developmental and learning disabilities have garnered significant attention from researchers, as part of the increased interest in how diverse Japanese language learners can be. Subsequently, the kinds of difficulties faced by an international student with dyslexia in intermediate level Japanese reading classes at a Japanese university and the effectiveness of multi-sensory approach in overcoming these difficulties are examined. Finally, the reasons why this kind of support, which was unnecessary in beginner and earlyintermediate level classes, became imperative at an intermediate level are explored by examining the format, textbooks, and supplementary materials of the intermediate level class.