出版者
巻号頁・発行日
vol.[21],
著者
望月 史郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.69-78, 1995
参考文献数
9

本稿は,1953年から1990年までの新聞広告を主たる資料として,戦後日本における電気掃除機変遷の大要を解析したものである。広告量,吸塵性能,価格,ネーミング,ヘッドラインなどの項目ごとに変遷過程をたどり,普及率,保有数量,国内出荷台数などの統計資料と関連づけて考察を加えた結果,電気掃除機の変遷過程の4区分と,変遷解析の視座を下記の通りに明らかにした。(1)第1期はホウキから電気掃除機への転換を呼びかけつつ製品の改良を試みる,市場開拓期と位置づけられる。(2)第2期は,多様な改良を重ねて,企業間の競争を本格化させながら,普及を急速に進める普及・急成長期である。(3)第3期は,成長過程の軌道を修正しつつ,生活提案型計画を模索する安定成長期と見なせる。(4)第4期は,生活提案型計画を充実させ,脱成熟化を図る付加価値期である。(5)変遷解析の視座は,基本機能,操作性,付加機能,影響削減,造形の5側面に分類できる。
著者
今西 正義 山本 祐吾 東海 明宏 盛岡 通
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.65-74, 2010

本研究では,代表的な都市活動である建設,電力消費,交通,食糧・水資源消費に伴うエネルギー・物質代謝と,それに随伴する直接・間接的な環境負荷量を算定し,3つの指標(CO<sub>2</sub>排出量,総物質需要量(TMR),エコロジカル・フットプリント (EF))から都市の持続可能性を評価するためのモデルを構築した.その上で,巨大な物質的ストックとフローが形成される中国上海市に分析モデルを適用し,社会経済構造の将来変化による都市代謝と持続可能性を推計・評価した.その結果,TMRは経済成長とともに増加し,2020年では2004年に比べて最大で80.4%増加すること,EFは建設需要の伸びによって2004年で高負荷となり,特に都市の急成長期には,建設資材由来の間接負荷が大きくなること,などが定量的に明らかになった.
著者
間仁田 幸雄 Yukio Manita
巻号頁・発行日
vol.2, pp.107-170, 2004-03-31

バブル景気の崩壊後、大企業が低迷をつづけるなかで、今後の産業発展を担う新たな主役として、ベンチャー企業に大きな期待が寄せられている。このため、各種法律の制定や育成支援政策の拡充が進められ、各地でインキュベート事業や大学からの技術移転事業などが活発化している。しかし、これによって予期した成果が上がっているとは必ずしもいえないのが実情である。日本にはリスクテイクの土壌がなく、リスクマネーも未成熟である。そのため、設立時の規模を拡大できず、多くのベンチャー企業はスタートアップ期から急成長期へ飛躍できずに低迷している。こうしたなかでは、株式の上場を目指すことはあまり期待できない。それでは、こうした多くのベンチャー企業を成功に導くにはどうすればよいのか。ここでは、協働化の有効性に着目し、その視点からIT系インキュベーターの実態調査を行い、ベンチャー企業における協働化の可能性とその課題を検証した。After the bubble business collapses, big enterprise keeps stagnant. As a result, a big expectation as a new leading part who bears industrial development in the future is put on the venture enterprise. Therefore the enactment of a new law and the expansion of the promotion support policy are advanced. Moreover, the incubate business and the technological tranafering business from the university are activated in various regions. However, the anticipated result does not actually realize enough. There is not a soil of risktake and risk money is immature in Japan. Therefore, when the enterprise is established, the venture enterprise cannot expand the scale. A lot of venture enterprises are difficult of the leap from the start up period to a rapid growth period and keep stagnant . In such situations listing the stocks cannot be so expected to be aimed. Then how should we do to lead such a lot of venture enterprises to the success? Here, we paid attention to the effectiveness of business collaboration. From this aspect, we executed the reality investigation of incubator related IT technology. As a result, we verified the possibility of business collaboration in the venture enterprise and the problem to promote it.

1 0 0 0 OA 享保撰要類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[2] 三ノ上 被仰出御書付之部,
出版者
日経BP社
雑誌
Nikkei microdevices (ISSN:13494619)
巻号頁・発行日
no.243, pp.34-37, 2005-09

トヨタ自動車が,自動車と車載デバイスの将来を語る。車載デバイスに影響を及ぼす技術は,電気モーターとガソリン・エンジンを組み合わせるハイブリッド技術と,事故ゼロを目指した安全技術である。ハイブリッド車を普及させるためには,それを支えるパワー半導体や制御用マイコンなど大量の半導体が必要になる。また,事故ゼロに向けた安全技術には多種多様のセンサーが欠かせない。
著者
岡 秀一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

はじめに気候景観とは、気候現象がある地域的な広がりを持って、しかも目に見える姿で地表、植物、人間の生活などにその影響の痕跡を残したものである(青山ほか 2009)。2012年春季学術大会シンポジウムでも報告されている通り,日本の現在および過去の気候はきわめて特徴的であり、地形や植物、人間生活などに大きな影響を与えている。これらの姿かたちを仔細に注目すれば,その影響の内容や程度を読み解くことも可能である。このような気候景観の視点は、地域の様々な資質を背景にしており、大地の遺産を理解する視点としても重要な意味を持つのではなかろうか。本報告では気候景観の視点が大地の遺産選定にどうコミットできるのか、対馬の石屋根板倉の発達過程を紐解きながらその試案を述べる。板倉とは 日本海南西端に位置する対馬の集落の一角には板倉が敷設され、独特な景観をつくっている。板倉は湿度を適切にコントロールし、すぐれた貯蔵機能を持っている。中には衣類や食料、季節的な用品などが収納される。この板倉は火災に弱いのが難点である.対馬では冬や春に強風に見舞われ、大火が頻々とした歴史を持つ。住居は山麓に沿って風を避けるように立地しているのに対し、板倉は居住に適さない谷底の河岸や海岸沿いなど群れ、火気のある住居からは隔離されている(青山 2009)。屋根は石で葺かれているものも多い。石屋根板倉である。これは対馬が頁岩や砂岩などで構成される対州層群(漸新統~中新統)からなっており、屋根に葺く頁岩が入手しやすかったからではあるが、瓦の使用が許されなかった時代の板倉機能の維持と強風対策、火災防備に大いに貢献してきた。石屋根板倉の存在は強風環境の反映でもあるのだ。板倉の有無 集落単位でみると板倉が発達している集落と発達していない集落があることが分かる。これは土地所有と深いかかわりを持っている。対馬では寛文年間(1661~1673)に農地制度や税制の改革が行われた。これは島を郷村と府中に分け、郷村には郷士を置き給人として防衛の任に当て、少しばかりの土地を与えて自給生活をさせる一方、その他の土地は公領として村の百姓の戸数に分けて耕作させるものであった。耕地を所有する農民は、地先と呼ばれる磯で藻をとる権利や網漁権を持った。これらの農民は給人とともに本戸と呼ばれた。多くの権利を有していた本戸は相続人にのみ引き継がれ、分家したり漁業のために他国から移り住んだものは寄留戸と呼ばれてこのような権利は一切所有することができなかった(青山 2009)。本戸の多数占める集落と寄留戸からなる集落を比べてみると、前者には多数の板倉が見出されるのに対し、後者では皆無だったり、数はきわめて少ない。板倉の分布 1990年代の調査では板倉は全島的に見出された(岡 2001)。とくに北東部には新築の板倉が目立つ。しかし、石屋根をもつものに注目すると西岸域に偏在している。これは何を物語るのか。対馬の地形をみると、分水界が東偏していることが分かる。傾動的隆起・沈降が生じた結果である。西岸域に流出する河川は、東岸域に流出するそれと比べ大きく、谷底平野は西部に広く分布し、水田は西岸域に広がっている。必然的に本戸からなる集落は西岸域に成立したはずである。したがって板倉も発達したに違いない。しかし、西岸は東岸に比し風が強い。浅茅湾や南西部の豆酘は石材の切り出し地となっており、石屋根に供する石材の入手は容易であった。強風対策として石屋根板倉が発達する道理である。一方、漁業を生業とせざるを得なかった寄留戸は平地の少ない風の比較的弱い東岸に居住せざるを得なかった。このすみ分けに基づけば、もともとは板倉は島の東西で大きく偏在していたに違いない。だが昭和24年、新漁業法の施行により地先の買い上げで占有権がなくなり、離島振興法による港湾整備も相まって自給的農民の兼業漁民化が進み、本戸と寄留戸のすみ分けが不明確になっていった。その結果、無差別的な板倉の普及が全島に進行したのであろう。対馬における板倉の分布形成にはこのような背景があり、その中で強風環境が景観形成に寄与しているとみなすことができる。石屋根板倉に象徴される対馬は大地の遺産にふさわしい 対馬の石屋根板倉は西岸域に偏在する。そこには地質や地形の成り立ちと、それらに規制され、またそれらを利用しながら生活する人々の生産様式・生活様式の複合的な関わり合いという背景があり、強風環境が相まって形成された景観であるといえよう。気候景観分析の視点は大地の遺産選定にあたっても有用であり、石屋根板倉を持つ対馬は大地の遺産としてふさわしいと考える。
著者
望月 史郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.23-32, 1999
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿は, 新聞広告を主たる資料として, 電気掃除機の基本機能である吸塵性能の, 変遷過程および開発・改善の方法について解析したものである。その結果明らかになったことは, 下記の通りである。1)1950年代の市場開拓前半期を経て, 60年代初頭から吸塵性能について種々の改善が試行され始めた。それが本格的に実施されたのは, 60年代半ば以降の普及・急成長期である。石油危機を契機に効率重視へと方向転換した後, 吸引力増強競争が再び始まる。その変遷は, 第1報で述べた時期区分に, ほほ対応している。2)吸塵性能は単に吸引力の増強に基づくだけでなく, 機能低下防止策によっても, もたらされている。そのように, 基本機能の改善方法に限定しても, 多種多様な手段がある。それはすべて特定部位改善の着眼点となる。さらにそれを異なる角度から抽象化し, (1)〈絶対値向上型〉〈相対値向上型〉(2)〈一石二鳥型〉〈連動型〉〈矛盾解消型〉(3)〈原因療法型〉〈対症療法型〉(4)〈付加型〉〈組み合わせ型〉(5)〈再生型〉という, 5類型の概念に整理した。
著者
楊 せい 橋本 剛
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.161-164, 2015-11-16

東日本大震災から4年が経ち、供与期間終了後における応急仮設住宅の処分・再利用等が課題となっている。本研究では、福島県会津若松市の板倉構法による応急仮設住宅を復興公営住宅に転用する事業を対象とし、解体工事のプロセスを明らかにするとともに、部材の再利用率を検証することを目的として、仮設住宅の解体工事に関する調査を行った。ビデオカメラと調査シートを用いて解体工事を詳細に記録し、事業者に対して再利用に関する資料提供を依頼した。木造構造材の大部分は再利用可能であることが明らかとなった。一方で、1階の落としパネルの破損率は33.4%だった。また、外壁竪羽目板の破損率は最も高く、約6割の破損が生じた。

1 0 0 0 OA 過眼録

出版者
巻号頁・発行日
vol.巻27,
著者
黒沢健至 黒木健郎 土屋兼一
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.25, pp.1-1, 2013-03-07

街頭防犯カメラや携帯カメラ等の増加に伴い,犯罪捜査などの警察活動における画像(映像)分析の重要性が増している.近年では,画像分析は基本的な捜査手法の一つと位置付けられているが,現場捜査員からの期待も大きく,新しい解析技術の開発も求められ業務が拡大している分野である.本報では,科学警察研究所の物理研究室でこれまでに扱った各種画像解析について,実例を交えながら概説する.特に,撮像素子の固定パターン雑音(FPN)の固有性を利用した撮影カメラの個体識別法について,その識別原理や効果的事例,さらに画像改ざんの検出へ応用できることを示す.また,マルチフレーム超解像などの画質改善処理や,幾何解析等についても我々の取り組みを紹介する.最後に,画像分析に関する警察活動の現場での問題点や,CVIM研究会等の画像工学研究者への期待を述べる.
著者
松岡 三郎 松永 久生 山辺 純一郎 濱田 繁 飯島 高志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.854, pp.17-00264-17-00264, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
29
被引用文献数
19

Considering in design by analysis, four types of tests, slow-strain-rate tensile (SSRT), fatigue life, fatigue crack-growth (FCG), and elasto-plastic fracture toughness (JIC) tests, were conducted with low-alloy steels, JIS-SCM435 and JIS-SNCM439, in 115 MPa hydrogen gas and air at room temperature (RT). In addition to above tests at RT, the SSRT tests were also conducted in 115 MPa hydrogen gas and air at 120 oC and in 106 MPa hydrogen gas and 0.1 MPa nitrogen gas at -45 oC. The low-alloy steels used in this study had tensile strengths (σB) ranging from 824 to 1201 MPa with fine and coarse tempered-martensitic microstructures. In the SSRT and fatigue life tests, the tensile strength and fatigue limit were not degraded in hydrogen gas. The FCG tests revealed that the FCG rate (da/dN) was accelerated in hydrogen gas; however, there existed an upper bound of the FCG acceleration, showing the FCG rate in hydrogen gas was about 30 times larger than that in air, when σB was lower than 900 MPa. The JIC tests demonstrated that the fracture toughness (KIC) in air was 207 MPa·m1/2 at σB = 900 MPa, whereas the hydrogen-induced crack-growth threshold (KI,H) was 57 MPa·m1/2 at σB = 900 MPa. Based on these results, we proposed advanced guidelines on the use and design for SCM435 and SNCM439 on design by analysis in 115 MPa hydrogen gas, which enable to design the storage cylinders used in 70 MPa hydrogen station with lower cost without compromising safety.
著者
Shojun Hino
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
TANSO (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.191, pp.80-82, 2000-02-25 (Released:2011-07-05)
参考文献数
5