著者
静間 俊行
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

レーザー光と高エネルギー電子との相対論的コンプトン散乱よって生成される準単色ガンマ線ビームを用いて、カリウム39の光反応断面積測定を行った。光核反応実験は、兵庫県立大学・高度科学技術研究所の電子蓄積リング施設(ニュースバル)において行った。エネルギー約1GeVの蓄積リング電子とNd : YAGレーザーを用いて、約17MeVの最大エネルギーをもつ準単色ガンマ線ビームを生成し、塩化カリウム標的に照射した。使用したガンマ線の強度は、毎秒約0.5〜1×10^6個であった。このガンマ線ビームを、直径15mm、厚さ20mm(2.2g/cm^2)の塩化カリウム標的に照射し、光核反応によってカリウム39を放射化し、ベータ崩壊の後に放出されるカリウム38のガンマ線を、ゲルマニウム検出器を用いて測定した。Eu-152、Y-88標準線源を用いて、ゲルマニウム検出器の検出効率の校正を行った。また、GSOシンチレーション検出器を用いて、入射ガンマ線の強度測定を行った。さらに、モンテカルロシミュレーションコードEGS4を用いて、入射ガンマ線のエネルギー分布を評価した。その結果、カリウム39からカリウム38の基底状態への光核反応断面積として、ガンマ線平均エネルギー15.9MeVに対して、0.5〜1mbが得られた。今後、入射ガンマ線強度のより精密な評価や標的材によるガンマ線の吸収の効果を考慮し、光核反応断面積のより正確な評価を行う予定である。
著者
広重,豊国
出版者
丸久
雑誌
駅路の錦
巻号頁・発行日
1854
著者
古性 裕之 毛利 宏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.854, pp.17-00095-17-00095, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
14

We propose image processing method for road white-line detection using brightness gradient direction of edges. Many methods for white-line detection have been proposed for standardized roads. These methods use model fitting for the detection of edges on white-line contour. So it is difficult to apply these methods to non-standardized roads for which modeling is difficult. To expand the scope of white-line detection to common roads in the future, it is necessary to achieve processing without models. Clustering based on position proximity of edges is one approach. However, there is concern about degrading noise reduction that has so far been done by model fitting. In this study, we developed an edge clustering method that utilizes the characteristics of edges on white-line contours; proximity of position as well as proximity of brightness gradient direction. In the proposed method, edges are first clustered based on proximity of gradient direction. And for each cluster, edges are again clustered based on proximity of position. Edge filter bank is specially designed for the first clustering and the effectiveness compared to conventional filter bank is explained. By applying the method to the images taken by on-board camera, we demonstrate that white-line detection that can apply to diverse road environments but is hardly affected by noise can be realized.
著者
森達也 森隆知
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.725-726, 2013-03-06

旅行の記録といえば、カメラによる写真や動画がしばしば用いられるが、それら多くの主題は視覚的情報であり、音が主役として用いられる場面は少なかった。写真や映像を併用しながらも、音に意識を集中させて、音を主役として扱うシステムの提案を行う。システムはAndroid端末で動作して、録音、編集、再生機能を持つ。観光地における被験者実験により、記録された音を聴き返したときに想起される記憶や、新たな発見の度合いを調べた。被験者は観光地で録音作業を行い、後日、録音された音の聴きとり作業を行う。実験では、音を聴いたときの記録想起と新たな発見をアンケート上で評価させた。その結果から本研究の有効性が示された。
著者
柴田 昌治
出版者
日経BP社 ; 1992-
雑誌
日経情報ストラテジー = Nikkei information strategy (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.82-85, 2016-04

給料をもらっているわけだから、ちゃんと仕事をしなくてはならないことは、皆よく分かっている。会社が大きくなればなるほど、待遇が良くなり、会社の安定感も増していく。しかしそのうちに、自分ひとりの力ではどうにもならない無数の壁に囲まれて仕事をし…
著者
三井 良之 楠 進
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.8, pp.1771-1777, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

末梢神経障害を来す傍腫瘍性神経症候群は,臨床病型に基づいて,亜急性感覚性ニューロノパチー,感覚運動性ニューロパチー,自律神経性ニューロパチーに分類され,一部の症例では,抗Hu抗体,抗CV2抗体など自己抗体が証明される.原因腫瘍としては,肺小細胞癌の頻度が高いが,乳癌,前立腺癌,消化器系癌などの報告もある.また,造血器腫瘍に関連したものでは,腫瘍細胞による免疫グロブリンの異常な産生を特徴とするCrow-Fukase症候群,抗MAG抗体や抗SGPG抗体に関連したニューロパチー,抗ガングリオシド抗体に関連したニューロパチーなどがあり,様々な免疫調整療法,抗腫瘍療法が試みられている.
著者
大下 祥枝
出版者
沖縄国際大学
雑誌
沖縄国際大学総合学術研究紀要 (ISSN:13426419)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-111, 2005-12-30

本稿は、バルザックの5幕劇『継母』の上演計画と翻案をとおして、この戯曲の受容が時代と共にいかに変化していったかを考察したものである。『継母』は1848年5月に歴史劇場で初演され、1859年にはヴォードヴィル座で公演が行なわれた。フランス座でも実行される迄には至らなかったものの、この作品の上演計画が1851年と1854年と1900年に持ち上がっており、バルザックの戯曲への関心が高かったことを窺わせる。1851年のものに関しては、1848年刊行の初版本に劇場側が配役や、台詞の削除等を書き込んだ記録が残されている。『継母』は1859年の公演以来90年間のブランクを経て、1949年10月にリヨンのセレスタン劇場で舞台にかけられた。上演に際し、演出家兼主演役者のシャルル・デュランは、翻案をシモーヌ・ジョリヴェに委ねた。本稿では、1851年に手直しされた台本、および1949年の翻案を取り上げ、それらと原作を比較しながら、当時の関係者による作品解釈の仕方を探ってみた。コメディー=フランセーズ付属図書館所蔵の初版本の余白記載を調べると、初演時とは異なる配役が予定されていたことが判る。新たな台詞の加筆はどの場面にも見当たらない。総計64場のうち、25場に削除箇所があり、11場は完全に省かれている。フランス座は原作を出来うる限り短縮しようとしたようだ。娘と継母が一人の男性を巡って死闘を繰り広げるという主要テーマについては、娘の従順さと継母の厳しさのみが強調された結果、その当時よく演じられていた平凡な悲劇に変質した印象は免れない。バルザックはこの戯曲によってブルジョア家庭の真の姿を明るみに出そうとしたのであるが、父親と娘の重要な対話なども大幅に削除された1851年版では、作者の意図が生かされないまま最終幕を迎えている。セレスタン劇場での公演はシャルル・デュランの病気のために5日間しか続かなかったが、どのような内容の翻案であったのだろうか。作品全体は3幕で構成されており、1幕目は原作の1幕と2幕目、2幕目は3幕と4幕目、3幕目は5幕目をそれぞれ基礎としている。しかし、脚本家は脇台詞や、筋を煩雑にする場面を出来うる限り省くと同時に、最終場での新しい展開を予告する台詞を随所に挿入しているのである。登場人物に関しては、名前がアガトに変更された継母に原作のジェルトリュードのような強烈な性格付けをしていない点と、医者のヴェヌロンに大きな役割を与えている点が我々の目を引く。アガトと彼女に操られる夫の将軍が敵役で、彼らが窮地に追い込んだ娘ポリーヌを救出するために動き回るヴェヌロンをヒーローと看徹すことができる。演出ノートには、役者の演技の詳細な指示の他に、人物の所作や台詞を強調しながら場面の雰囲気を盛り上げる音楽を演奏する箇所が記されている。脚本家は作品の構成と演出の面から、原作を観客の共感を得やすい古典的メロドラマに変えてしまったのではないだろうか。原作を読まずにこの舞台を見た観客は、批評家から称賛された優れた演出と役者の見事な演技に魅了されたことであろう。確かに、バルザックの劇作品に頻出する脇台詞と説明的な長台詞を適度に整理することは必要であるが、作品の主要テーマに連なる場面は残すべきであろう。1851年の上演計画と1949年の翻案を調査した結果、前者は平凡な悲劇に、後者は一世紀前に流行った古典的メロドラマに内容を変更しており、「生活の中の真実」描写が実現されているバルザックの原作と重ならない部分が目立つのである。劇作品の受容は、その時代の世相や観客の好みを反映しているともいえよう。
著者
キャット アダム
出版者
西南アジア研究会
雑誌
西南アジア研究 = Bulletin of the Society for Western and Southern Asiatic Studies, Kyoto University (ISSN:09103708)
巻号頁・発行日
no.86, pp.16-34, 2017

Ever since the influential proposals of Thieme (1949) and Hoffmann (1969), the root vidh- is commonly thought to have arisen by incorporation of the preverb vi with the root dhā-. vi-dhā- means 'distribute, allocate', and the root vidh- is usually assigned a similar semantic value in more recent dictionaries and translations. Based on a careful analysis of the syntax and semantics of Vedic vidh- and its Old Avestan counterpart vid-, I argue that the root concerned existed already in Proto-Indo-Iranian as a root unrelated to vi-dhā-. This root appears in sacrificial contexts, and its meaning is essentially 'honor, offer', as recognized by older dictionaries. An important result of this study is the finding that the commonly supposed construction for vidh- in which the recipient is placed in the accusative does not appear in the Rgveda. This discovery allows us to clarify some commonly mistranslated passages and misunderstood constructions. A detailed appendix of construction types for vidh- in the Rgveda and Atharvaveda has been included.
著者
Simon Croft 北 潔
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.149, no.5, pp.220-224, 2017
被引用文献数
1

<p>リーシュマニア症は典型的な「顧みられない熱帯病(neglected tropical diseases:NTDs)」の一つであり,中南米,アフリカから中近東,ヨーロッパ,アジアそしてインドと世界中に患者が見られる点が特徴である.単細胞の寄生虫で鞭毛虫類に属するリーシュマニア<i>Leishmania</i>によって発症し,サシチョウバエによって媒介される.宿主哺乳類の中ではマクロファージに寄生していることからワクチンによる予防や治療は困難であり,薬剤による治療が中心となっている.しかし治療薬の現状は,長期の投与や激しい副作用など満足できる状態ではない.そこで,薬剤開発と治療デザインを考えるにあたっては,リーシュマニア症の特徴である多様な症状と病原体の原虫としての多様性を理解することが必須である.リーシュマニア症は2つに大別され,皮膚リーシュマニア(cutaneous leishmania:CL)においては主に感染がサシチョウバエに刺された部位に成立するが,<i>Leishmania donovani</i>や<i>L. infantum</i>などによる内蔵リーシュマニア(visceral leishmania:VL)では肝臓や脾臓,骨髄のマクロファージに感染し,治療しなければ死をもたらす.このような問題を解決するには安価で投与しやすく効果的で,しかも小児への投与を含む短期間投与が可能な新規薬剤の開発が喫緊の課題である.VLとCL両者のリーシュマニア症の新しい治療法の開発は不可欠であり,われわれはこの原虫に関する生物学,病理学,医薬品化学,薬物動態学や製剤学などを統合して新薬の開発と新たな治療法の確立をめざしている.近い将来にリーシュマニア患者に新しい治療法が提供されることを確実にするためには製薬企業,政府や非営利組織を含む国際機関,バイオテクノロジーセクターおよびアカデミアのパートナーシップと弛まぬ努力が必要である.</p>
著者
宇佐美 慧
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.385-401, 2011
被引用文献数
5

社会科学の分野においては, サンプリングされた個人(e.g., 生徒, 患者, 市民)の測定データが, 上位の抽出単位である集団(e.g., 学校, 病院, 地域)にネストされた構造を持つことが多い。このような階層データにおいては, 一般に階層線形モデル(Hierarchical Linear Model : HLM)のような, 同一集団内に所属する個人間の相関情報を考慮した解析手法が有用である。本研究では, 階層データにおいて, 2群間の平均値差に関心がある場合に着目し, 検定力および効果量の信頼区間幅の観点から必要なサンプルサイズを決定するための決定方法を, 群の割り当てが個人単位で決定される場合(Multisite Randomized Trials : MRT)と集団単位で決定される場合(Cluster Randomized Trials : CRT)のそれぞれについて, ランダム切片モデルを用いて解析した状況を想定して統一的に導出する。さらに, 実用上の観点から, 一定の検定力および信頼区間幅を得るために必要なサンプルサイズをまとめた数表の作成も試みた。 MRT型の収集デザインのための数表は, 個人内の反復測定デザインや, ランダムブロックデザインなどの, いわゆる対応のあるデザインから得られるデータにおいても利用可能である。
著者
中村 好和 桜井 泰憲
出版者
水産庁北海道区水産研究所
雑誌
北海道区水産研究所研究報告 (ISSN:05132541)
巻号頁・発行日
no.54, pp.p1-7, 1990-03
被引用文献数
2

1988年6月に北海道松前沖で釣獲されたスルメイカ(外套背長13~20cm)を,北海道大学水産学部付属臼尻水産実験所内の水槽(容量12トン,1個)で29日間飼育し,その間に平衡石にマークを付けるための処理を合計4回行った。その処理はテトラサイクリン塩酸塩または塩化ストロンチウムの溶液に浸したスケトウダラ幼魚を,それぞれ2回14日間の間隔で投餌することによった。テトラサイクリンによるマークは,紫外線照射下で,研磨した平衡石の周縁部に1つの帯状として観察された。テトラサイクリンによるマークの開始位置から平衡石外縁までの輪紋数は,4個体で数えることができ,それぞれ18,21,21,23本であった。テトラサイクリンを加えた餌を最初に与えた日から飼育終了までの経過日数は20日間であった。計数した輪紋数が経過日数に近かったことは,スルメイカ平衡石に日周期的な輪紋形成が存在することを示唆した。平衡石研磨標本において,ストロンチウムによるマークは検出されなかった。
著者
山室 公司 久保田 賢一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Suppl., pp.1-4, 2010-12-20 (Released:2016-08-07)
参考文献数
11
被引用文献数
3

本研究の目的は,教育工学の研究方法と研究対象について分析し,今後の研究の方向性を展望することである.2003年度から2008年度まで6カ年分の「日本教育工学会論文誌」に記載された論文を対象に研究方法と研究対象について分析を加えた.研究方法に関しては,量的研究法が約4分の3を占めていた.質的研究法のデータ収集法としてはインタビューが多用され,量的・質的両方を併用している研究もある.研究対象の校種別では高等教育が6割以上を占めている.量的研究の場合は被験者が学習者である研究が多く,校種は万遍なく分散しているが,質的研究の場合は研究対象が教授者もしくは高等教育の学習者に偏在していることなどが明らかになった.