- 著者
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三宅 悠介
松本 亮介
力武 健次
栗林 健太郎
- 雑誌
- 研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
- 巻号頁・発行日
- vol.2017-IOT-37, no.4, pp.1-8, 2017-05-18
BtoC の EC サイトで取り扱う商品の種類の増加に伴い,EC サイト利用者の通常の行動では全ての商品を見て回ることは困難であるため,多くの EC サイトでは効率的に商品を閲覧できるよう関連性のある商品を動線上に表示している.購買履歴等の情報が蓄積されないと関連商品を選定できない問題を解決するため,商品の持つ様々なメタデータを利用する手法や,視覚的な訴求力の強い商品画像を元にした,畳み込みニューラルネットワークを始めとした深層学習による精度の高い関連商品の選定手法が提案されている.しかし,適切な粒度のメタデータの整備に手間を要する問題や,深層学習のための大量の訓練データセットと計算時間が必要となる問題から,これらが導入への大きな障壁となっている.本報告では,画像分類用の学術ベンチマークであり,EC サイト商品画像特性と類似する ImageNet において高い成績を出した Inception-v3 モデルを学習済みネットワークとして採用し,一般物体の特徴を強く表現する識別層に近い手前のプーリング層までから得られる特徴量をもとに近似最近傍探索により類似度を比較することで,特徴抽出器の学習と購買履歴を必要としない類似画像による関連商品検索システムを提案する.EC サイトにこの類似画像による関連商品検索システムを導入し,画像のクリック率を商品カテゴリごとに計測することで類似画像による関連商品の有効性を検証した.