著者
斎藤 俊則
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.69-69, 2015-12-15

各地で子どものためのプログラミングワークショップが盛り上がる中,横須賀市でも2014年より同市教育委員会および生涯学習財団の主催により「小学生プログラミング体験教室」が開催されている.正味2時間の間,子どもたちは思い思いに作品作りに没頭しており,その様子はPapertのいう構築主義的学習の生起を直観させる.一方で,参加費無料のこの「教室」に実際に子どもが参加できるまでには,子どもを取り巻くさまざまな社会経済的な条件がその可能性を左右するものと推測される.この問題に関して,筆者らは「プログラミングを学ぶ機会が公平に与えられること」を目ざして同市教育委員会の協力を得ながら調査研究に着手したところである.
著者
五十嵐 悠紀
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.66-68, 2015-12-15
著者
岩間 司
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.52-57, 2015-12-15

現在のコンピュータシステムはほぼすべてがネットワークに接続されており相互に情報のやりとりを行っている.また最近は,IoTによりインターネットを介して多くのデータが生成され,ビックデータが構築される.このビックデータを利活用するためにはどのデータが「いつ」生成されたかが重要である.これを正確に維持するためには,それぞれの情報の発信元が正しく時刻同期されている必要がある.本解説記事では,このようなコンピュータ相互の時刻を正しく同期するための時刻同期技術について,実際の導入方法も含め簡単に紹介する.また時刻同期を阻害する要因である「うるう秒」について今後の動向も含めて解説を加える.
著者
下山 武司
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.44-50, 2015-12-15

最近,準同型暗号と呼ばれる暗号方式が注目を集めている.準同型暗号では,暗号化されたデータ同士の演算結果を復号すると,(暗号化されていない)生データ同士の演算結果と一致する性質を持つ.たとえば,顧客データベースを準同型暗号により秘匿化したまま分析処理を行い,結果のみを復号することで,生の顧客情報に直接アクセスすることなく,顧客データベースを分析し活用することが可能となる.このような利点のため,クラウド上の秘匿処理や生体認証,遺伝子医療などのさまざまな分野で準同型暗号への期待が高まっている.本記事では,準同型暗号の理論的な仕組みと,処理機能,および産業界での活用事例について,分かりやすく解説する.
著者
東中 竜一郎 船越 孝太郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.42-43, 2015-12-15

我々は Project Next NLP対話タスクの営みとして,対話システム,特に,雑談を行う対話システムのエラー分析を行った.具体的には,雑談対話コーパスを収集し,対話破綻個所を特定し,これらの対話破綻個所がどのようなシステムのエラーによって引き起こされたかを分析・類型化した.本稿では,我々が本分析に至った背景や得られた知見について解説する.
著者
水本 智也
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.40-41, 2015-12-15

自然言語処理を用いた応用タスクとして自動英文校正は注目を集めている.英文校正タスクは2011〜2014年と4年連続で訂正性能を競う世界的コンペティションが開かれている.本稿では英文校正の難しさの1つに注目し,2014年に開かれた英文訂正のコンペティションで好成績をおさめた統計的機械翻訳を用いた英文校正システムの結果から分析する.
著者
Neubig Graham 工藤 拓 赤部 晃一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.36-37, 2015-12-15

日本語から英語へと自動的に翻訳する機械翻訳では,最先端の翻訳器は何ができるのか? 何ができないのか? 本章は,この疑問に答えるべく,翻訳の誤り分析を行った結果を報告する.6つの最先端の翻訳システムを用意し,さまざまな分野のテキストを翻訳して,翻訳結果の誤りを分析した.その結果,「単語の削除」「単語の並べ替え」「語彙の訳選択」は今でも大きな課題であることが分かった.特に,曖昧な語彙の訳選択に大きな課題があることが明らかとなり,今後機械翻訳はこの問題を克服していく必要があることが明らかとなった.
著者
松崎 拓也 横野 光 宮尾 祐介
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.34-35, 2015-12-15

「ロボットは東大に入れるか」(以下,東ロボ)は国立情報学研究所を中心とする研究プロジェクトである.「東ロボ」では,大学入試試験問題を自動的に解くソフトウェアの開発を行っている.その狙いは,言語処理および人工知能関連技術を総ざらえし,統合的な知的処理課題をベンチマークとして今後10年の言語処理・AI関連技術の伸びしろと限界を見極めることにある.プロジェクトの公式目標は2016年度にセンター試験で高得点を獲得し,2021年度に東大合格レベルに到達することである.本稿では,物理および歴史の解答システムの結果を中心に,代々木ゼミナール主催のセンター模試を用いた解答システムの評価結果とその分析を紹介する.
著者
荒牧 英治 岡崎 直観
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.32-33, 2015-12-15

2000年以降の自然言語処理(NLP)の発展の一翼を担ったのはWorld Wide Web(WWW)である.Webを大規模テキストコーパスと見なし,そこから知識や統計量を抽出することで,さまざまなタスクで精度の向上が報告されている.これらは,WebがNLPを高度化した事例と言える.本プロジェクトでは,Webのテキストデータから個人の実際の経験や意図を推測する(マーケティングでは,「傾聴」という言葉が用いられている)というタスクにおいて,自然言語処理の最先端技術の適用と,そのエラーの分析,取り組むべき課題の整理を行った.
著者
藤井 敦 乾 孝司
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.30-31, 2015-12-15

ソーシャルメディア時代のいま,誰もが物事に対する自分の評価や意見を容易に発信でき,インターネット上には大量のレビューが日々蓄積されるようになった.これに伴い,レビューを自動解析するための自然言語処理技術の開発も進んでいる.本稿では,自然言語処理技術のエラー分析プロジェクト「Project Next NLP」でのレビュー解析班の活動紹介を通して,レビュー解析タスクの概要および現状の問題点について述べる.
著者
辻田 祐一
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

MPIにおける入出力インタフェースであるMPI-IOの代表的な実装であるROMIOでは、高速な並列入出力機能を有しているが、ノード内に複数のプロセスを起動する場合において十分な性能を発揮できない問題があった。そこで本研究では、ファイル入出力を行うプロセスの配置や、ファイル入出力操作に合わせて行うデータ通信の順番に関して、ノード間・ノード内のプロセス配置に配慮した最適化手法をROMIOに適用し、ユーザが設定したプロセス配置に関係無く、高い入出力性能が発揮できる実装を実現した。
著者
西川 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.26-27, 2015-12-15

自動要約は情報アクセス技術の一種として重要な位置を占めている.現在の自動要約システムは,入力されたテキストを構成する文のうち要約としてふさわしいものを抽出し,余分な句や節を除去するなどした上で,抽出した文を組み合わせることで要約を出力する.自動要約は入力および出力がいずれも基本的には文章であり,その処理にさまざまな要素が関係することから,誤り分析が難しい.Project Next要約課題グループでは,自動要約の誤り分析の枠組みを考案し,それに基づいて現在の要約システムの誤りの傾向を分析した.分析の結果,より洗練された文の書き換えや,テキストの論理構造の利用などが重要であることがわかった.
著者
柴田 知秀
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.22-23, 2015-12-15

計算機によるテキスト解析やアプリケーションを高度化するためには,人間が持っている常識的な知識を計算機に与える必要がある.本稿では常識的な知識獲得を評価できるWinograd Schema Challengeを対象に,必要な知識を分析し,知識獲得の現状について述べた.
著者
藤田 篤
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.18-19, 2015-12-15

自然言語には,同じ意味内容を表わす(同じ言語)の異なる言語表現が多数存在する.このような関係にある表現を『言い換え』と言う.本稿では,Web の検索や質問応答などに必要な言い換え認識技術,テキスト簡単化や要約などで有用な言い換え生成技術の概要を紹介し,最近の研究動向と解くべき課題について述べる.
著者
岩倉 友哉
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.16-17, 2015-12-15

本稿では,固有表現抽出タスクおよび抽出手法の概要を紹介した後,固有表現抽出のエラー分析結果を基に洗い出した課題について述べる.
著者
松林 優一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.14-15, 2015-12-15

述語項構造は述語を中心として文章中の各単語の意味的な役割関係を結びつける表現であり,複雑な文構造・文章構造を持った文章において「誰が,何を,どうした」といった文章理解に重要な情報を簡潔に表現する.既存の解析器では述語と項の間に直接的な文法上の主従関係がある比較的容易な事例においてはF値で90%弱と高い精度が得られているものの,項の省略を補う必要がある事例においては,50%未満の低い精度水準にとどまっており,解析の質に大きな開きがある.一方,日本語では項が省略される事例は全体の40%を占めるため,これらをどのように補うかが重要な課題となっている.
著者
河原 大輔
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.12-13, 2015-12-15

本稿では,構文解析,特に日本語係り受け解析の現状と課題について解説する.