著者
三木 理史
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-19, 2002

本稿は,第一次・第二次両世界大戦間期の大阪市の交通調整事業が,統制経済の一環にとどまらず,都市計画事業に通じる都市膨張への対応の面を併せ持ったことを,都市交通の領域性に着目して明らかにする.都市交通の領域性とは,都市交通が都市内交通と郊外交通に機能的領域区分を形成することを指す.本稿での検討から,戦間期の大阪市の交通調整は,明治期に都市交通の領域区分を基礎として成立した市内交通機関市営主義を,都市膨張を発端とする都市交通の一体化に対応するものに修正することをねらいとしていたことが明らかになった.そうした理念は同時期の都市計画事業にも通じるものであり,従来注目されてきた市営一元化への企業間調整や合併は,本来その理念実現の中で要請されたものと考えられる.しかし,その実現には戦時体制の活用が不可欠で,それが都市交通調整と経済統制や戦時統制との峻別を困難にしていたことも明らかとなった.
著者
吉岡 大貴 横山 諒平 劉 傅軍 小野寺 武 内田 誠一 中野 幸二 林 健司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.409, pp.53-56, 2014-01-17

匂いは目に見えないが,危険信号として重要な情報を持つ.匂いは気体であるため,匂い情報として匂い物質の種類,濃度,空間分布が考えられる.本研究では匂い物質を可視化するために蛍光物質を混ぜたアガロースゲルフィルムを蛍光プローブとして用い,匂い情報を蛍光変化として取り出している.本稿では,蛍光物質を複数用いたマルチ蛍光プローブを用いてマルチスペクトルイメージングを行い,匂い物質の識別を行っている.また,混合匂いに対するマルチ蛍光プローブの反応は各匂い物質毎の各単一蛍光プローブの反応に分割できるため,混合匂いを含めた匂い濃度の空間分布を識別することができる.
著者
所崎 聡 江崎 正裕
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.S21-S24, 2015 (Released:2015-12-15)
参考文献数
9

鹿児島県トカラ列島平島でオオジュウイチの鳴き声を観察した.これは日本におけるオオジュウイチの初めての録音観察記録と考えられる.また同所では2012年より4期連続で同種の観察されている.
著者
柴山 一仁 藤井 範久 阿江 通良
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.75-88, 2011 (Released:2011-07-08)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1 1

The purpose of this study was to investigate the kinematic characteristics of World and Japanese elite 110-m hurdlers during 1-cycle motion in relation to running velocity and leg length. Twenty-nine male hurdlers (SB: 12.92-14.37 s) participated. The motions from touchdown of the lead leg at the 6th hurdle (1st step) to touchdown of the takeoff leg at the 7th hurdle (4th step) were videotaped using a digital VTR camera (60 Hz), and two-dimensional coordinates were calculated based on calibration marks. The motions from touchdown of the takeoff leg at the 7th hurdle to touchdown of the lead leg at the 7th hurdle (1st step) were videotaped using two high-speed VTR cameras (200-300 Hz), and converted to two-dimensional coordinates after calculation of the three-dimensional coordinates using a DLT method. Kinematic parameters were calculated, including step length, step frequency, angles and angular velocities of the shank and thigh, and durations of the support and airborne phases. Stepwise multiple regression analysis was conducted with kinematic parameters as dependent variables, and with running velocity and leg length as independent variables at p<.05. The results were as follows: (1) Faster hurdlers achieved a higher step frequency with less range of thigh motion of the takeoff leg during the 2nd step. (2) The 3rd step played a role in adjusting the step length and preparing for hurdling, especially in hurdlers with a shorter leg length when preparing to increase the vertical GRF in the 4th step. (3) The allocation of time from takeoff at the 4th step to touchdown at the 2nd step was dependent on leg length. (4) Faster hurdlers achieved smaller vertical displacement of CG during the 1st step by shortening the support time to keep the position of the thigh perpendicular at the 2nd step. These results show that faster hurdlers achieved shorter durations of 1-cycle motion because of the increasing in horizontal CG velocity during the shorter support time at the 2nd step.
著者
中山 昭彦
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.13-27, 2000-11-10

赤木桁平の遊蕩文学批判を契機に巻き起こるこの論争は、当時、隆盛をきわめていた人格主義を、文学作品の評価へと応用する契機となるだけではない。それとともに、当時、売れていると認識されていた長田幹彦らの小説を、枠付け差別化するための基準の"創出"という側面をもっている。そしてそれは、「通俗小説」というジャンルの緩やかな成型を促すとともに、その対極におかれる「芸術小説」の再定義の機会をなすものである。

1 0 0 0 霧の国

著者
コナン・ドイル著 龍口直太郎訳
出版者
東京創元社
巻号頁・発行日
1971
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, 2015-12-15
著者
大越 匡
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.82-83, 2015-12-15
著者
重田 勝介
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.74-77, 2015-12-15

知識基盤社会における生涯学習の手段として,インターネットを介したオープンな教育環境の重要性が高まっている.教育をオープンにし学習を促進する活動であるオープンエデュケーションは,OERの制作公開や学習コミュニティの形成,MOOCのようなオンライン講座などの形をとりながら国内外に広がり,教育機会の機会均等や反転授業などブレンド型学習による教育改善への貢献が期待されている.近年MOOCは高等教育との接続が図られ,専門職の人材育成や大学間連携のツールとしても用いられている.実験的な模索期を経て普及期に入ったオープンエデュケーションは,今後教育における課題解決の手段の1つとして定着していくと考えられる.
著者
松山 泰男
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.70-73, 2015-12-15

今日,学生の気質は大きく変化しており,それに伴って新たな教育方法に関する提言が数多くなされている.本稿は,情報処理学会優秀教材賞の受賞により,このことに関する例示を依頼されたものである.ここでは,若い教員と国際大賞受賞者級の教員との対比を第一軸とし,伝統的な講義形態と完全な学生主体型授業の対比を第二軸として設定している.この形で眺めてくると,激変のさなかにある教室風景のそれぞれが,いったいどの辺にあるのかが見えてくる.本稿では,実例を国内外の理系の場合に絞っているが,いずれ各機関がそれぞれの立場に応じた新方式を実現することになり,それが新たな教育産業にもつながると結論している.