著者
岩佐 峰雄 大谷 勲
出版者
名古屋市立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

各種動物唾液および植物抽出液のアミラーゼ活性を測定すると、サルおよび噛歯類動物唾液でヒト唾液に匹敵する活性が、植物抽出液ではわずかな活性が認められた。動物唾液斑および植物抽出液斑について、従来からのアミラーゼ活性検出法であるヨウ素-デンプン反応およびブルースターチ法を実施してみると、ヒト、サル、噛歯類唾液斑は両検査法で陽性を呈し、植物抽出液は、ヨウ素-デンプン反応のみで陽性を呈した。ヒト顎下腺から精製したアミラーゼを家兎に免疫して得た抗アミラーゼ血清をヒト血清と精漿で吸収すると、唾液とのみ反応する唾液特異的抗アミラーゼ血清が得られた。この抗血清はヒト、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応し、他の動物唾液や植物抽出液とは反応しなかった。この抗血清をニホンザル唾液で吸収すると、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清が得られた。唾液特異的抗アミラーゼ血清(ヒト、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応するもの)を用いて、希釈唾液および陳旧唾液斑の抽出液を対向流免疫電気泳動法で検査すると、128倍希釈唾液、3週間経過した唾液斑の抽出液で沈降線が認められた。一方、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清(ヒト唾液と反応し、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応しないもの)を用いて同様に検査すると、8倍希釈唾液、1週間経過した唾液斑で沈降線が認められた。以上の成績から、アミラーゼはヒト唾液のみならず動物唾液や植物にも広く分布し、従来からのアミラーゼ活性検出法によってヒト唾液を特異的に検出することは困難である。一方、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清はヒト唾液とよく反応し、サルも含めた動物唾液や植物抽出液とは反応しないことから、唾液検査において極めて有用であると考えられた。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1946年05月15日, 1946-05-15
著者
堀 まどか
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.38, pp.187-219, 2008-09-30

野口米次郎が「戦争詩」を書いた事実は、野口自身や彼の日本語詩歌に対する否定的評価を決定づけてきた。「戦争詩」に、犯罪性や「声の暴力性」の所在、政治プロパガンダの有効性をみる方法は、長く頻繁に行われてきたことである。「戦争詩」が量産された時代は、戦争の時代と重なり、ラジオ普及の時代と重なっている。確かに新メディアと戦時期詩歌の相関関係といった視点から考えれば、「声の暴力性」や政治性が濃厚に表出し、決まり切った語句の羅列に過ぎない「屑詩」しか拾えないのは事実だが、それらがその時代の、その詩人の表現の、総体ではない。現在使われている「戦争詩」という用語には、当時「愛国詩」「国民詩」「戦争詩」と使い分けられていたものを一括している問題があり、また、当時の詩人たちが戦時期詩歌に担わせようとしていたいくつかの役割やその諸議論、そして検閲の表現規制の中で「抵抗」を示そうとした詩人たちの姿を無視してきた事実がある。
著者
服部 麻友子
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.94-101, 2008-03-25 (Released:2010-10-13)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

水道により供給される水が備えるべき要件は,水道法に基づく水質基準として規定されており,このほか,水質管理目標設定項目等を定め,各項目の検査を実施することにより適切な状態を確保している.水道水の水質基準等への適合状況は総体的には極めて良好であるが,鉛,臭素酸等において基準に適合しない場合もあり,改善のための施策が講じられている.カビ臭の原因物質であるジェオスミン,2-メチルイソボルネオールは,快適性についても十分な考慮が払われるべきという考えから,平成15年改正により水質基準項目に追加された.湖沼の富栄養化等の水道水源状況の悪化により,水道原水がカビ臭等による異臭味被害を受けた場合には,水道事業者が応急的な対応を行っているが,依然として,給水栓まで異臭味の被害を受ける事例がみられる.異臭味被害人口は平成2年度のピーク時に2000万人台まで増加したが,近年は300万人前後で推移している.水道事業者によっては活性炭やオゾンを活用した高度浄水処理の導入が進められている.
著者
真部 真里子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.163-170, 2003-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

We examined the correlation between the intensity of saltiness of soybean paste (Miso) soup prepared at home and the personal preference for saltiness to clarify the role of home cooking in the formation of preference for that taste. Samples of miso soup prepared in the home were collected from 75 women volunteers in their early twenties. The concentrations of salt, sodium glutamate and inosine 5'-monophosphate in each sample were determined. According to the personal preference for saltiness, the volunteers were classified into 3 groups as follows : preference for strong saltiness, intermediate saltiness and weak saltiness. The results of a principle component analysis indicate that the samples collected from the group which preferred weak saltiness were distinguishable from those collected from the other groups with regard to taste. The results also exhibited a lower intensity of both saltiness and umami, but a higher flavor of stock (dashi) than those for the other groups. These results suggest that the taste of home cooking influenced the formation of personal preference for saltiness, especially the preference for weak saltiness.
著者
津川 武一
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.83-88, 1943-07-01 (Released:2010-11-19)
参考文献数
16
著者
湯瀬 裕昭
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.9-14, 1996-11-25 (Released:2015-02-03)

日本の大学のコンピュータ教育を考えるため、イギリスにおけるコンピュータ教育の現状について報告する。イギリスの初等・中等教育の一例としてStantonbury Campusを、高等教育の一例としてThe Open Universityを取り上げる。特に初等・中等教育では、日本とイギリスのコンピュータ教育をカリキュラムの面から比較考察する。両国とも、情報活用能力の育成を目指しているという点では共通している。今後の大学におけるコンピュータ教育は、その内容を、コンピュータリテラシからコンピュータ・コミュニケーションおよび教育メディアとしてのコンピュータ利用へ移行する必要がある。
著者
石塚 丈晴 堀田 龍也
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.12, pp.1-4, 2015-10-03

2014 年 9 月より英国 (イングランド) の公立小学校の全学年にこれまでの教科 「ICT」 に代わり,新教科 「Computing」 が導入された.この 「Computing」 に関しては,national curriculum では児童が教わるべき内容は,非常に簡潔に記載にとどまり,具体的なカリキュラムについては小学校に任された.本報告書では,現在最も多くの小学校で採用されている教材集である 「SWITCHED ON Computing」 から,プログラミング教育に関する内容を抽出して,その内容の概略を紹介し,3 回に渡って継続的に調査したロンドン市内の小学校での実施状況も含めて報告する.
著者
中村 修也
巻号頁・発行日
2000

筑波大学博士 (文学) 学位論文・平成13年3月23日授与 (乙第1709号)
著者
窪田 義信 福田 邦三 石原 房雄 古川 眞澄 柴 幸恒
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.114-116,A9, 1950 (Released:2010-11-19)
参考文献数
3

1.長野縣上伊那の三十一ケ町村に就て現在夫婦の全体調査を行い,血族結婚の濃厚度を檢した.総数で言つて血族結婚15.79%,イトコ同志結婚が9.88%,イトコとイトコの子の結婚が1.71%,マタイトコ同志の結婚が4.19%であつた.2.この人口集團の同系結婚の指標はイトコ同志單位で云つて0.11783.全町村の内で血族結婚の最も高率なのは川島村の28.4(16.43+3.62+8.21)%,同系結婚の指標は0.2029であり,また比較的最も低率なのは高遠町で9.5(6.65+1.21+1.66)%,同系結婚の指標は0.0767であつた.
著者
關口 浩 閥口 喜久
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.117-126,A10, 1951 (Released:2010-11-19)
参考文献数
2

The frequency of consanguineous marriage is 20.2% or 147 couples among 726. Out of these 147, 68 are marriages between cousins, 10 between children of cousins and cousins, and 69 between second cousins.Husbands and wives consanguineously marrying into the families in Miwa Village mostly originate from the same village (74.7%). Only 1.4% of them come from places outside the Upper Ina Valley. The range of mating is in the average much narrower in consanguineous marriage than otherwise.In this district there was found no indication of decrease of consanguineous marriages. It appears to have increased since 15 or 20 years, as is shown by the following table:Husband or widowerWife or Widow