著者
小川 勝 松沢 晋一郎 佐藤 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.203, pp.17-20, 2013-09-05

ADAS (先進運転支援システム)とは,ドライバの認知/判断/操作を繰り返し支援してドライバを危険な状況に近づけないためのシステムである.そのシステムのいくつかには77GHz,24GHz帯のミリ波,準ミリ波レーダ(以下,ミリ波レーダ)が主要なセンサとして利用されており,ADASのさらなる高機能化にはミリ波レーダの性能向上が重要と考えている.ミリ波レーダの課題の1つとして方位分解能の向上に着目し,その実現方法の提案と動作確認を行った結果について報告する.
著者
原野 かおり 谷口 敏代 小林 春男
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.208-217, 2012
被引用文献数
1

介護労働は,仕事の内容が広範囲であるため,身体的および精神的負担が大きいと言われているが,その実態は明らかになっていない.そこで本研究においては,夜勤のある介護労働者の主観的および客観的疲労の実態を明らかにすることを目的とした.対象は,介護老人福祉施設に勤務する女性介護労働者19名(夜勤群)と通所介護事業所に勤務する女性介護労働者18名(日勤群)を対照群として連続7日間調査票による質問紙調査および実験を行った.調査の内容は,主観的疲労感として自覚症しらべを用い,客観的疲労として,アクティグラフ(A.M.I社製)を用いて,睡眠-覚醒リズムから活動能力,および能力の減退状態を評価した.また,疲労の補助指標として唾液中コルチゾール濃度を測定した.結果は,主観的疲労感は,夜勤群においてI群ねむけ感,III群不快感,IV群だるさ感,V群ぼやけ感が有意に高かった.日勤群では,V群ぼやけ感が有意に増加した.客観的疲労として,睡眠-覚醒から生活パフォーマンス反応速度時間効率「Effectiveness」を求めた結果,夜勤群において有意に低下した.しかしながら夜勤の際に低下した「Effectiveness」は,休養によって次の勤務には回復していることが明らかになった.また,夜勤群の「Effectiveness」と仮眠時間との間に中等度の相関関係が認められ,仮眠の有用性が明らかになった.唾液中コルチゾール濃度は,両群間においては有意差は認められなかった.以上,介護労働者の疲労が認められたが,夜勤中の仮眠および夜勤後の十分な休養により,次の勤務までには回復可能であった.
著者
島本 美智男
出版者
追手門学院大学
雑誌
追手門経済論集 (ISSN:02883783)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.81-104, 2009-09
著者
松田 優樹 包 躍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.291, pp.7-12, 2012-11-08

近年,ディスプレイの高解像度化などにより,画像を高精細化する研究が盛んに行われており,特にフラクタルを用いた手法が研究されている.従来技術としてのフラクタル超解像処理は,補間式による拡大画像を復号初期画像として扱い,フラクタル復号を行うことで処理時間を短縮する方法や,画像を回転することで近似に用いるドメインブロックの数を増やし,さらにドメインブロックの検索を注目するレンジブロックの周辺に絞ることで処理時間を向上する方法がある.しかしこれらはエッジの連続性は保つことができるが,本来緩やかであるべき濃淡の変化が拡大画像で再現できない場合がある.そこで本稿では,画像をドメインブロックよりやや大きい細かい領域に分割し,領域ごとに異なる拡大処理を行う手法を提案する.領域にエッジが多く含まれていれば輝度分散によるフラクタル超解像処理を行い,濃淡が緩やかに変化する領域は補間式による拡大を行うことで,両者の利点を活かした拡大ができる事を確認した.
著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.373-377, 1989

衣を厚くしたコロッケの揚げ加熱中の破裂の機構に関して以下の結論を得た.<BR>1) 衣を2, 3, 4mmと厚くすると薄衣の1mm試料の場合にみられた表層部破裂は起こらず, コロッケ全体に縦 (長軸方向) に亀裂が入る全体破裂となった.<BR>2) 外皮の引張強さは, 経時的に増加した.2mm試料のほうが, 3および4mmの試料に比べて短時間で強度が大となった.破裂時の外皮の強度から推定した内部圧は, 2mm試料のほうがより厚い皮の試料に比べて有意に低かった.<BR>3) 厚衣の全体破裂は, コロッケ内容物体積が揚げ加熱中に温度上昇に伴い6.5~6.9%膨張することで, 約2~3N/cm2高まった内部圧を皮が抑えきれずに亀裂が起きて, 破裂するものであることが示唆された.
著者
森 哲彦
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-11, 2008-06-25

カントは、1760年代前半の独断的、論理的形而上学期において、伝統的なドイツ形而上学に依存しつつも、真に自立した形而上学者の立場を表明する。統いて1760年代半ば以降の経験的、懐疑的形而上学期では、ドイツの伝統的哲学と関わりながらも、研究に社交的文明精神を導入することにより、人間学的観察と道徳的原則の探究を行うものとなる。このようなカントの新しい思想的「変化」は「カントにおける一つの革命」と評される。本論で取り上げる著作『美と崇高の感情の観察』1764年においてカントは、当時ドイツで紹介されていたイギリス道徳哲学、とりわけハチスンの道徳感情論を取り上げ、伝統的な哲学者としてよりも観察者の眼をもって「美と崇高の感情」に現れる様々な諸相を、美学的、人間学的に分析する。だが文明化した社会の「多様性のただ中の統一性」を観察するイギリス道徳感情論にカントは満足せず、文明化した人間社会を批判するルソーの思想に出会い、新たな転向を迎えるものとなる。カントがルソーの思想を取り上げる著作は『美と崇高の感情の覚書』1765年である。この著作は、前著作『観察』の余白にカント自身によって書き込まれた種々の断片的な文章により構成されている。そこにおいてカントは、ルソーがいうように堕落した文明を批判し、単純で自足した自然にもどることを、提唱するのではなく、文明化した社会を人間、自然、自由、および意志の完全性により啓蒙し、新しい道徳的原則を、志向しようとするものである。
著者
久徳 浩太郎
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

今後、アメリカのLIGOや日本のKAGRAによって、ブラックホールと中性子星との連星が合体する際の重力波が検出されると期待されている。この重力波からは、中性子星の半径や、さらにそれを構成する高密度物質の状態方程式を引き出せる。本研究では、観測と比較するのに必要な、正確な重力波波形を導出するシミュレーションに向けて、円軌道の連星の初期条件を用意する手法を開発した。連星の様々なパラメータに対し、試した全ての場合で離心率を0.1%程度に抑えることに成功している。
著者
野田 航 松見 淳子
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.13-25, 2010-01-30

研究の目的本研究では、児童の漢字の読みスキルの保持・耐久性・応用に及ぼす流暢性指導の効果を検討した。研究計画個体内実験計画を用いた。場面公立小学校の特別支援学級の教室内において行われた。対象児公立小学校の特別支援学級に在籍する5年生の男児1名が参加した。介入まず、対象児は100%正しく漢字を読むことができるようになるまで、離散試行手続きによる漢字の読みの指導を受けた。その後、半分の漢字については流暢性指導、もう半分の漢字については正確性指導による指導を受けた。流暢性指導では、速く正確に漢字が読めるように30秒タイムトライアルによる指導を行った。正確性指導では離散試行手続きによる指導を行った。正確性指導における試行数はヨークト手続きによって統制した。行動の指標正しく読めた漢字の数と間違った漢字の数を指標とした。結果流暢性指導を行った漢字は、正確性指導を行った漢字よりも、漢字単語の読みを短文内の漢字の読みに応用できるようになっていた。結論流暢性指導によって、漢字の読みの応用を促進することができた。
著者
金 明哲 田中 栄一 丁 光躍
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第40回, no.人工知能及び認知科学, pp.480-481, 1990-03-14

近年,中国語の計算機処理の研究が進んでいる.中国語を併音で計算機に入力したり,中国語音声の機械認識をするとき,中国語の言語情報を有効に利用しなければならないことは疑いない.そこで中国語の性質を知るために文献2)の中国語高頻度単語6321語について,声母,韻母の出現頻度,声調分布,字数による単語長,声母数に基づく単語の分布,同字数単語中に占める近距離単語数などの調査を行なった.

1 0 0 0 OA 世界音楽全集

出版者
松柏館書店
巻号頁・発行日
vol.第79巻, 1935
著者
Enrique BALMASEDA MAESTU
出版者
日本イスパニヤ学会
雑誌
HISPANICA / HISPÁNICA (ISSN:09107789)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.44, pp.28-44, 2000-12-01 (Released:2010-06-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1

La lengua española, con el paso de los siglos, ha llegado a ser la materna de unos 400 millones de hablantes en 20 paises diferentes, cuando en su solar originario apenas son en la actualidad 40 y cuando al acabar el siglo XVIII solo habia en Latinoamérica unos 3 millones de hispanohablantes. Quien enfoque este proceso de crecimiento linguistico con vision superficial creera que la lengua de los conquistadores españoles se impuso en América con “toda naturalidad” de modo acelerado y estable durante la colonizacion suplantando a las lenguas nativas. Pero la castellanización de la Hispanoamérica continental fue lenta, contradictoria y azarosa. Frente a lo que podria deducirse acientificamente, la politica lingüística de la Corona de Castilla no siempre se dirigio a la imposicion de la lengua metropolitana, pues muchos de los textos legales al respecto expresan la inclinacion a fomentar las lenguas aborigenes, en menoscabo del castellano. A las dificultades de ejecucion de las leyes favorables al español se añade el designió evangelizador que, tanto en la actitud previa como en la practica ordinaria, conllevó el fomento de las lenguas indigenas generales o fue, en cierto sentido, un freno para la implantacion del castellano. Por otra parte, cierto que España hubo de atender a la cuestion lingüística, aunque subordinada en gran escala a la religiosa y civilizadora (sin que esto signifique ignorar otros moviles como el de ganar nobleza y riquezas).Con tal marco de referencia, el presente articulo trata de seguir e ilustrar la variedad de fluctuaciones y matices en el complejo proceso de la castellanización de América a partir del oportuno repaso documental.

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著者
飯豊道男編集代表
出版者
ぎょうせい
巻号頁・発行日
1980
著者
王 瑞来
雑誌
東洋文化研究 (ISSN:13449850)
巻号頁・発行日
no.2, pp.419-477, 2000-03-31 (Released:2013-03-15)

This paper is the second in a series of research on the formation of Chinese imperial sovereignty through various political figures. The present article discusses Wang Dan王旦, one of the premiers of the Northern Song Dynasty. As a premier, Wang Dan made no outstanding achievements, nor did he earn a despotic reputation. That is why researchers have not paid any attention to him thus far, as revealed by the fact that there is not one published treatise dealing with him. Wang Dan’s political career spanned the reign of Zhen Zong真宗, the third emperor of the Northern Song Dynasty, who was the first emperor to succeed to the throne in normal fashion. Wang Dan served as premier for 12 years during the 26-year reign of Zhen Zong。 He was called“a good premier in a peaceful time”平世 之良相.The ruling group he headed led the Song Dynasty to a period of great prosperity, while at the same time leading Dynasty politics onto the track of dictatorship by its premiers, not absolute monarchy, as generally thought. The ordinary deeds of Wang Dan exerted decisive influence on trerds in imperial sovereignty during the reign of Zhen Zong. While presenting a series of concrete statements and actions of Wang Dan, this article discusses issues surrounding viewpoints concerning the relationship between the Song emperors and their ministers.
著者
大越 和加
出版者
東北大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

環形動物スピオ科の種類は、海産貝類の貝殻に穿孔する多毛類として広く知られている。今回、北日本太平洋沿岸に広く分布する2種(ポリドラ属とボッカルディア属)について、それらの穿孔している貝類(ホタテガイ、マガキ)を採集し、正の走光性を利用して浮遊3節幼生を得、培養条件を検討した。その結果、2種ともに大きな差はなく、水温15℃、飼育密度1個体1ml、換水間隔1/7日で生存率、成長速度ともに好成績が得られた。同時に、これら2種の初期生活史について、形態的、生態的な特徴をも把握した。定着および定着変態後の初期穿孔に何ら関与していると考えられた第5剛毛節球状器官について同2種で調べた結果、両種について球状器官が確認され、その消長は一致した。球状器官は、1.定着期前後の幼生に現われ、貝殻内部へと穿孔を開始した個体にははられなかったこと。2.球状器官の出現期が第5剛毛節剛毛の出現期と一致することから、定着、穿孔を開始する初期の第5剛毛節剛毛の機能と深くかかわっていることが示唆された。穿孔された部位の貝殻微細構造を、走査型電子顕微鏡を用いて調べた結果、貝殻表面につくられた穿孔初期の孔道、貝殻内部へと垂直に揺られた孔道ともに内表面に特徴的な同心円状のあなが観察された。これは、スピオ科の貝殻穿孔に重要な鍵をもつと考えられているが、基本的には穿孔の初期とそれに続く拡大期ともに同じ機構で穿孔されると推察された。今後、スピオ科に共通している貝殻穿孔機構について、大きく第5剛毛節の球状器官と第5剛毛節剛毛との関係、そして掘られた孔道内表面に現われた同心円状のあなの形成に関与している器官とそのあなを形成する機構の点から調べる必要があると考える。これらの研究は、炭酸カルシウムを主成分とする貝殻を溶解する生物侵蝕という点より、広い分野への応用が期待される。
著者
早川 明夫
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.111-119, 2007-12 (Released:2013-05-09)

3代将軍徳川家光によって制度化されたとされる参勤交代のねらいは、大名の経済力・軍事力を抑制・削減して幕府に反抗できないようにするためである、こうした理解が教育現場に相当定着している。しかし、学会においてはこのような見方は一般的ではない。参勤交代が、大名にとって大きな経済的負担となっていたことは事実である。しかし、これは参勤交代の結果であって、この制度が設けられた目的ではない。そこで、先学諸氏の研究成果を踏まえて、現行の小中高の教科書には、参勤交代についてどのように記述されているのかを調べ、参勤交代の授業における留意点を示してみたい。
著者
西原 大輔
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.185-220, 2002-12
被引用文献数
1

一八六七年の高橋由一による上海渡航以来、近代日本の画家たちは、アジアを描き続けてきた。本稿は、エドワード・W・サイードのオリエンタリズム論を利用して、近代日本絵画におけるアジア表象を分析したものである。 『オリエンタリズム』でサイードは、一九世紀フランスにおけるオリエンタリズム絵画の流行については、ほとんど論じていない。しかしサイードの議論を引き継いだリンダ・ノックリンは、そこに西欧中心主義が見られると主張している。では、アジアの植民地を描いた近代日本絵画にも、サイード的意味でのオリエンタリズムは存在するのだろうか。 画家藤島武二は、一九一三年に朝鮮半島を旅行したが、その紀行文のなかでフランスのオリエンタリズム絵画に言及している。藤島は、フランス絵画に植民地アルジェリアをテーマとした作品が多いと述べた上で、日本人画家も新植民地朝鮮を美術の題材として積極的に開拓すべきであると言う。また、アジア女性を描いた近代日本の肖像画には、フランス絵画のオダリスクの主題から影響を受けたと考えられる作品もある。さらに梅原龍三郎は、アジアの植民地にこそ鮮やかな色彩があり、日本にはそのようなものはないと語っている。これらは、日本絵画がオリエンタリズムの影響を受けたことを物語っている。 しかし、アジアを描いた近代日本絵画を、サイードのオリエンタリズム論で説明しつくすことはできない。和田三造らによる多数の作品が、日本とアジアの共通性を強調している。児島虎次郎の絵にみられるように、非西洋である日本は、「自己オリエンタリズム」によって、「東洋人」としてのアイデンティティを形成してきた。従って、宗主国日本もアジアの植民地も同じ「東洋」と見なされる。大日本帝国は、植民地も日本も等しく「東洋」であるという言説によって、支配の正当性を確保しようとしてきた。アジアを描いた近代日本美術にも、同質性の強調という特徴を見出すことが可能である。