著者
酒本 喜与志 荒川 博文 箕田 誠司 石河 隆敏 杉田 裕樹 鮫島 浩文 江上 寛 池井 聰 小川 道雄
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.2590-2594, 1992-10-01
被引用文献数
9 11

サイトカインは手術侵襲後に生じる種々の生体防御反応において重要な役割を果たしている.今回,外科手術後の血中サイトカインの上昇機序と,それが,どのような因子の影響を受けるかを検討した.対象は合併症を有しない,各種の予定手術を受けた38例である.サイトカインの定量はELISA法,メッセンジャーRNA(mRNA)の測定はNorthern blotting法にて行った.その結果,1.血中interleu-kin 6(IL-6)値は術後1日目に最高値を示すこと,2.ドレーン浸出液中のIL-6,interleukin 8(IL-8)値は末梢血に比べ著明に高いこと,3.胸腔,腹腔ドレーン浸出液中の細胞内に手術当日,1,2日目にIL-6,IL-8のmRNAの発現を強く認めるが,末梢血細胞内には極めて微量であること,4.食道癌1期的根治術,肺葉切除術はおのおの,同程度の手術侵襲を有す膵頭十二指腸切除術,結腸・直腸切除術よりも高いIL-6値を示すこと,5.IL-6値は手術時間あるいは出血量との間に有意の相関が有ること,が明らかになった.以上より,サイトカインは主として手術局所にて誘導,分泌され,次いで血中に移行して高サイトカイン血症を来たすこと,また,手術時間,出血量はともにサイトカイン産生の大きな影響因子であることが示唆された.
著者
住友 那緒子 芝田 たける 溝口 小扶里 西山 晋史 福江 純
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.741-746, 2008-11-20

大阪で毎年開催されている市民向け科学イベント「こどものためのジオ・カーニバル」に向けて,「手作り☆★宇宙図鑑★☆」を製作し,セミナー出展して実践を行いました.宇宙図鑑は,宇宙への招待を最大の目的としていますが,カラー天体写真を台紙に貼り付けていく簡単なものなので小さな子どもたちでも作成できます.綺麗な天体の写真を身近に感じ,自分で作る図鑑ということで,当日は大人気でしたので,その詳細と活動を報告します.この報告を通してみなさまの今後の天文普及活動の一助になればと思います.We have designed and produced a hand-on "Cosmos Picture Book" as teaching materials in astronomy, and demonstrated it at a public event, The Geo-Carnival for Children, held in Osaka in 2007. The aim of this picture book is to introduce the cosmos to children. This picture book is designed for children to make very easily. At the event, this picture book was very favorite with children, because of colorful and beautiful pictures. This picture book was###also used in the university class. We hope that this material is useful in teaching and popularizing astronomy.
著者
土田 義郎 松井 利仁 永幡 幸司 塩川 博義 川井 敬二 森原 崇 船場 ひさお
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

音環境の評価には、量だけでなく意味が関与する。良好な音環境の実現には、文化的視点も必要であり、マネジメント思考も求められている。本研究で得た成果は次の3点である。(1)主観の影響や、居住地・世代による音源の聞き取り頻度の差といった点から、音環境全体の評価に関する成果を得た。(2)ガムラン音楽や商店街の音環境の他、海外(アジア地域)における鉄道騒音や道路騒音のように幅広い音環境に対して、質的な情報と量的な情報の相互作用についてテキスト・マイニングやPAC分析を用いて成果を得た。(3)個人の認識を可視化し、深層面接を行うツールを用い、認知構造の同定手法に関する成果を得た。
著者
高橋 義人
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ルネサンス以降、人間の感性と理性が分離するとともに、二つの知的系譜(文系と理系)に世界は分裂していった。この分裂はF・ベーコンによって決定的になった。他方、感性と理性の統合を目指す動きもまた存在した。その第一はレオナルドであり、第二は魔術的・錬金術的運動である。レオナルドが、自然は完全には探究しがたいと信じていたのに対して、錬金術師たちは、太陽の生命力(プリマ・マテリア)を抽出しようと無駄な努力を重ねた。ニュートンもじつは錬金術的な伝統の継承者である。本研究は、若い頃、錬金術の研究に傾倒していたゲーテが、やがてレオナルド的な立場に立ち、ニュートン的・ベーコン的な近代科学の批判こそ自らの使命だと考えるようになった経緯を明らかにしている。
著者
森 貴史
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

イギリス海軍ジェームズ・クックの第2次世界航海に同行したゲオルク・フォルスターは、その知見を『世界周航記』(1778-80)として出版した。この航海記は、現代の視点で通常の航海記文学として読めば、クックの航海を年代記的に記しているにもかかわらず、非常に難解なカオス的な構造をもった航海記であるとの仮説に立脚し、この著作を「文学テクスト」および「自然科学と文化史のデータベース」としての両面から分析した論考を、ドイツで上梓した。
著者
長宗 留男
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.71-78, 1980-03-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The epicentral distribution of aftershocks shows that the source region of the Izu-Oshima-Kinkai Earthquake of January 14, 1978 (origin time: 12h 24m 38.6s, 34°46′N, 139°15′E, depth: 0km), consisted of two areas, i. e., the area in the sea between Izu-Oshima and the Izu-Peninsula, spreading to the west from the epicenter of the main shock, and the one in the Izu-Peninsula, extending to the westnorthwest direction from the east coast of the peninsula.On the other hand, it has been pointed out that the earthquake was a multiple shock, and that the second event took place about 6sec after the occurrence of the main shock (first event). The location of the second event, however, was somewhat undefinitely.The records of the JMA 59-type electromagnetic seismographs were examined for locating the origin of the second event.From the readings of the first arrivals of P-waves, the origin for the second event was estimated as follows:Origin time: 12h 24m 44.5s (5.9sec after the occurrence of the main shock), Location: 34°46′N, 139°00′E (approximately 23km west of the epicenter of thee main shock), Depth: 0km.It appears that the second event occurred at a place linking two source areas mentioned above, when the rupture which started at the origin of the main shock and propagated westwards, deviated its direction of propagation to the westnorthwest.
著者
川勝 均
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.447-450, 1990-09-24 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
池松 裕子
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

University Hospitals of ClevelandのInstitutional Review Boardから8月11日に正式なデータ収集の許可が降りた。データ収集者をCase Western Reserve University, Frances Payne Bolton School of Nursingで募集したところ、即日応募者があり、面接の上、決定した。データ収集場所となる同病院Surgical Intensive Care UnitとCardiac Intensive Care Unitにおいて、看護スタッフの協力を得るため、研究の概要とデータ収集について説明した。同病院でのデータ収集を行うにあたり、経費を名古屋大学から送金する必要があり、病院CEOと名古屋大学医学部長との間で覚書が交わされる必要性が生じた。覚書は10月31日に両者のサインがされ、11月1日からデータ収集開始となった。データ収集者は週3回、両ICUを訪ねて潜在的対象患者がいないかどうかを調べ、対象者がいる場合は、主治医と主任看護師にインタビューできるくたいに状態が安定しているかを尋ね、許可が降りたら患者にインタビューを依頼する。2007年2月11日の時点で9人の患者に打診し、6人の患者にインタビューすることができている。6人の内訳は男性4人女性2人で48〜85歳。心タンポナーデの原因は、癌が2人、感染2人、出血傾向1人、その他1人である。心嚢穿刺前の血圧は116〜175/49〜91mmHgと低下はしていなかったが心拍数は84〜118/minとやや頻脈傾向であった。血圧・心拍数は穿刺後も著明な変化は見られていない。6人中、ふたりはまったく自覚症状がなかったが、それ以外の患者は息苦しさや胸痛とともに、死にそうな感じや、恐怖・不安を感じたを答えた。現在、引き続きインタビューを行うとともに、既存の6人のデータを整理中である。