著者
津賀 一弘 赤川 安正 吉川 峰加 日浅 恭
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

認知症高齢者においても検査可能な簡便な口腔機能検査法の開発を目的として、棒付きの飴を舐める機能の定量評価法を開発し、既存の口腔機能検査との関連を検討した。その結果、飴を舐める機能はオーラルディアドコキネシス(/pa/、/ta/、/ka/の連続発音速度)、舌圧、頬圧および唾液分泌量とは強い相関を認めなかった。また、認知機能が低下した多くの高齢者においても検査可能であり、提供されている食事形態との関連を認めた。本研究により、飴を舐める機能検査は認知症高齢者の口腔機能評価に有効な方法であることが示唆された。
著者
村上 陽平 石田 亨 宮田 直輝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.731-738, 2014-02-15

ボランティアクラウドの活性化には,ボランティアによるサービス提供のインセンティブが重要である.ボランティアで提供される無償サービスは,提供者に利潤がないため,利用者に対する選好に基づく効用によってのみサービス提供が動機付けられる.一方,利用者はコストの制約がないため,必要以上のサービスのQoSを確保する傾向にあり,その結果,利用されないサービスが増加し,提供者の効用を減少させ,サービス提供のインセンティブの低下を招く可能性がある.そこで本研究では,ボランティアクラウド上でサービス提供者の効用が維持されるように,システムの資源とそれを用いて提供されるサービスのQoSを財として扱う,市場モデルに基づくQoS割当て手法を提案する.さらに,シミュレーションによって,提案手法が利用者に対して必要以上のサービスのQoSを確保しないように動機付けを行い,サービス提供のインセンティブが維持されることを確認した.Incentives to volunteer to provide services are significant to activate volunteer cloud. Those volunteer services are motivated by preferences of the service providers because they cannot earn profits from users. While, in using voluntary services, users tend to demand higher QoS (e.g., throughput of the services) than they actually need because there is no cost. As a result, many unused services decrease providers' utilities, which loses providers' incentive to sustain their services. Therefore, to maintain providers' utilities appropriately, we have proposed market-oriented QoS allocation mechanism where users and providers exchange system resources and QoS to improve their utilities. In order to verify whether it motivates users not to demand higher QoS than they need, we ran a series of simulations of our proposed mechanism. We successfully have checked the mechanism maintained providers' incentives.
著者
古市 剛史 黒田 末寿 伊谷 原一 橋本 千絵 田代 靖子 坂巻 哲也 辻 大和
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ボノボ3集団と、チンパンジー2集団を主な対象として、集団間・集団内の敵対的・融和的交渉について研究した。ボノボでは、集団の遭遇時に融和的交渉が見られるが、その頻度やタイプは集団の組み合わせによって異なり、地域コミュニティ内に一様でない構造が見られた。チンパンジーでは、集団間の遭遇は例外なく敵対的であり、オスたちが単独で行動するメスを拉致しようとするような行動も見られた。両種でこれまでに報告された152例の集団間・集団内の殺しを分析したところ、意図的な殺しはチンパンジーでしか確認されていないこと、両種間の違いは、環境要因や人為的影響によるものではなく生得的なものであることが明らかになった。
著者
劉 滌源 徐 長生 田中 敏弘 李 明星
出版者
関西学院大学
雑誌
経済学論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.p67-79, 1993-07
著者
國松 善次
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1350, pp.139-142, 2006-07-17

7月2日に投開票が行われた滋賀県知事選挙で、私はまさかの敗退を喫しました。選挙戦前半の世論調査では、私の方が優勢だったんですよ。投票日当日、「非常に厳しい情勢だ」という話はマスコミの方からも聞いていました。それでも、私が負けるとはちょっと予想していなかった。だから「落選」という事実は全く意外でしてね。
著者
C. J. FORDHAM I. J. SMALLEY
出版者
一般社団法人 日本粘土学会
雑誌
Clay Science (ISSN:00098574)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.73-79, 1983 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9

Thermogravimetric studies on the St. Jean Vianney clay from Quebec, Canada, have indicated four major thermal events. These events are best presented by means of the Derivative Thermogravimetric (DTG) curve which, until now, has been presented primarily as a histogram DTG plot. However, the tangent DTG plot gives greater distinction between thermal events and locates nine thermal events; the original four as well as five sub-events. A comparison of two quickclays, the St. Jean Vianney clay and a Norwegian clay, using the tangent DTG plot shows the complex mineralogical nature of the Canadian quickclay, while the Norwegian clay appears to have a relatively simple mineralogy.
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー = Nikkei ecology (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.163, pp.82-84, 2013-01

福島県広野町は福島第1原子力発電所から20〜25km圏内に位置する。隣接する楢葉町との間にまたがるサッカー施設「Jビレッジ」は現在、原発事故収束の前線基地である。 2011年4月22日、国は広野町を緊急時避難準備区域に指定した(9月30日に解除)。その約1カ月前で、事故直後の3月13日、町は独自に避難指示を出し、約5500人の町民が町外に避難した。
著者
木原 裕二 笹野 遼平 高村 大也 奥村 学
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2014-SLP-101, no.19, pp.1-6, 2014-05-15

ソーシャルメディアのユーザの中には複数のソーシャルメディアのアカウントを関連付けずに使用しているユーザがいる.しかし,特徴的な表現や話題などから,それらの複数のアカウントが同じユーザにより作成されたものであると第三者に推測されてしまう場合がある.本研究では,まず,Twitter とブログの著者の同一性推定システムを構築することにより,どのような特徴がこれらのアカウントが同じユーザにより作成されたものと判断される要因となるのかを明らかにし,そこから得られた知見をもとにした関連付け防止システムの構築を行う.
著者
網 淳子 岡本 利夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27

DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)とは、IETF(Internet Engineering Task Force)においてRFC(Request For Comments)1541で規定されたプロトコルで、ネットワークに接続された計算機に自動的にIP(Internet Protocol)アドレスの割当や各種パラメータの設定等を行うものである。従来、コンピューターの移動や新しいコンピューターの導入に伴うIPアドレスの設定は、システム管理者の手作業により行われていた。しかし、ネットワークが拡大するに伴いその作業量は増加し、設定誤りといった問題も発生してきた。そこで、従来からあるRFC951に規定されたBOOTP(BOOTstrap Protocol)の拡張であるDHCPが登場した。ところが、現状のDHCPはセキュリティの面で不充分であり、権限のないサーバーが勝手に立ち上がって誤ったアドレスや経路情報を流したり、悪いホストが他のホストになりすまして情報の横取りをする可能性が存在する。そこで本報告では、セキュリティを向上させる方法について提案を行う。
著者
RUGGERI Anna
出版者
京都外国語大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度において日本臨済宗中興の祖とされる白隠慧鶴の研究を深めることができた。特に研究計画の(3)(白隠禅の公案と言語の問題における研究)、(4)(白隠の書物をイタリア語に翻訳)と(5)(白隠禅と現代の教育問題をめぐる研究)という点に力を入れた。まず白隠の思想と教育問題の関連を示す禅における「大死」の概念を分析した。様々な禅の資料を通して中国禅と日本禅、特に白隠慧鶴の「大死」観とその実践を検討することによって、これらは現代の教育問題にヒントになれることが分かった。自の破棄および本来の自己の自覚に導く禅の「大死」とその実現への実践は、人間の成型に非常に役に立てるということを紹介できた。また、このような白隠禅による「大死」と実存哲学の代表者であるM.ハイデッガー(Martin Heidegger、1889-1976)の概念的な「無」と「死」の理解が大きく異なることが分かった。上記の研究は「禅の教育と体験の重要性(2)-「大死」を通して-」(京都外国語大学『研究論叢』第69号、平成19年7月31日)にまとめた。白隠の研究を深めた結果として、「菩提心」という概念の重要性が明らかになった。白隠の最も根本的な教義である「菩提心(bodhi・citta)」の二つの側而を表わす。それは、自己が救われると共に、他人や衆生もまた救われることを願う心を生じることである。心の自覚は個人的なものであるにもかかわらず、個人的な修行が終れば、今度は衆生済度という普遍的な修行の段階に入る必要がある。この側面を白隠は「菩提心」と説明している。この概念は現代の世界とその平和にとって必要な概念だと思われる。上記の研究は「白隠と菩提心思想」(花園大学国際禅学研究所『論叢』第3号、平成20年3月31日)にまとめた。最後に、白隠の思想の一部を引きついたモダンな禅思想家である久松真一(1889-1981)とその新たな禅の紹介(「久松真一の禅-新たなパラダイムの可能性-」、京都外国語大学『研究論叢』第70号、平成20年1日31日)と共に、白隠の作品『遠羅天釜』のイタリア語の翻訳を進めることができた。平成20年と21年の間に、完成し、イタリアで出版する予定です。
著者
関山 太 山県 弘忠
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.p146-151, 1976-06

水稲パーオキシダーゼザイモグラムの器官特異性を検出する目的で,4種類のポリアクリルアミドゲル電気泳動法を比較検討した。このうち垂直カラムによる焦点電気泳動法が優れていたが,市販の泳動分析装置てばアイソエンザイムの分離が不十分であった。そこで著者らは新しくユニット式ポリアクリルアミドゲルカラム電気泳動装置(U-タイプ)を作製した。U-タイプは6本のゲルカラム用ガラス管,これらガラス管を支える上下2枚の支持板,上部および下部電極,支持板と上部電極を支える左右2本の支持棒,および泳動距離の調節装置などから成り,外径10mm以下,長さ50〜200m?のガラス管を泳動目的に合わせて選定できること,泳動途中でゲルカラム毎に通電の中断あるいは開始ができること(ユニット配列),さらに泳動に必要な電極液の量が陽極0.25〜0.6ml(カラム直径3〜5mmの場合),陰極20mlと少量でよいことなどの利点を有する。水稲品種銀坊主の第1.3葉令期(第2葉がその全長の約3分の1まで伸長した時期)の植物体を供試し,U-タイプにより直径3mm,長さ150mmのゲルカラムを用いて泳動し,多数の明瞭なバンドから成る安定なザイモグラムを得た。これら36種の泳動条件を比較した結果,最適泳動条件は電圧が10V/cm,泳動時間が16〜18時間,電極液濃度が0.8%V/V(P)〜2.2%V/V(T)あるいは1.2%V/V(P)〜3.3%V/V(T)であった。
著者
松林 優一郎 岡崎 直観 辻井 潤一
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.4_59-4_89, 2010 (Released:2011-06-09)
参考文献数
26

FrameNet,PropBank といった意味タグ付きコーパスの出現とともに,機械学習の枠組みを利用した自動意味役割付与システムが数多く研究されてきた.しかし,これらのコーパスは個々のフレームに固有の意味役割を定義するため,コーパス中に低頻度,或いは未出現の意味役割が数多く存在し,効率的な学習を妨げている.本論文は,意味役割付与における意味役割の汎化問題を取り上げ,既存の汎化指標と新たに提案する指標を役割の分類精度を通して比較し,それぞれの特徴を探求する.また,複数の汎化指標を同時に利用する分類モデルが自動意味役割付与の精度を向上させることを示す.実験では,FrameNet において全体の精度で 19.16% のエラー削減,F1 マクロ平均で 7.42% の向上を,PropBank において全体の精度で 24.07% のエラー削減,未知動詞に対するテストで 26.39% のエラー削減を達成した.