著者
坂東 慶太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.189-195, 2018

<p>研究者SNSは,誕生当初は他研究者とのネットワーキングや自身のオンラインプロファイルとして活用されることが主流であったが,近年は論文共有の場として使われていることが幾つかの調査より明らかとなっている。これに伴い,新たな問題-研究者SNSで共有されている論文には,本来公開してはならない出版社版が多数アップされていること-が顕著化しており,学術出版業界が牽引して学術コミュニケーションの改善に取り組んでいる。図書館員は,研究ワークフローの各フェーズを支えている研究者SNSの機能・使われ方・問題などを理解し,研究者SNSが適切に利用されるよう支援活動に組み込む必要がある。本稿では,研究者SNSの概要と機能を確認した後,様々な調査報告に基づいて研究者SNSの利用実態・問題点を整理する。その上で,図書館は,研究者SNSに対してどのような取り組みが出来るのか・期待されるのかを考察する。</p>
著者
鈴木 誠史 臼杵 秀範 島村 徹也
出版者
放送大学
雑誌
放送教育開発センター研究紀要 (ISSN:09152210)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.131-149, 1995

We frequently produce mispronunciation and hesitation in phonation. This paper analyzes the Japanese tongue twister in order to emphasize the effects of mispronunciation and hesitation. First, a statistical analysis of tongue twisters in phonation was carried out by employing phonemes, moras, and the place and manner of articulation. Next, the phonemes that occurred in mispronunciation and hesitation were surveyed by questioning to ten students. It was concluded that most hesitation and mispronunciation were made by articulating back vowels and front consonants. The results will assist in selecting words and sentences capable of speaking more fluently, as well as establishing speech synthesis by rule.
著者
森 悦子 尾形 壽子 八丁 雄子 澤村 恭子 青柳 征子 坂本 美代子 山本 嘉一郎
出版者
福岡医療福祉大学
雑誌
第一福祉大学紀要 (ISSN:13490613)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.151-164, 2005

健常かつ若年の成人女性には慢性的な便秘傾向者が多いとされる。本研究は、ヨーグルトの摂取が若年の成人女性の排便頻度の改善効果をもたらすか否かについて検討した。被験者として九州4県の663人の健康な若年女性を対象に、疫学的実験デザインの並行法を用いて、排便頻度に偏りのない2群に分け、一方の群(負荷群)に市販ヨーグルトを1日270g(1個90gのものを1日3回)連続して10日間与えた。他群にはその期間中、発酵乳製品の摂取を禁じた(対照群)。負荷試験前後に排便状況に関するアンケート調査を実施した。負荷群は対照群と比較して、排便頻度および排便の感覚評価において有意な改善がみられた。以上の結果から、本実験で用いた程度のヨーグルトの摂取が便秘状況の改善に効果があるものと結論された。さらに、ヨーグルト負荷試験中に、排便状況に影響する可能性のある生活習慣因子(欠食の有無、間食・夜食の有無、食事時間の規則性など)において、負荷群と対照群の間に有意差はなかった。
著者
小沢 一文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.100-107, 1980-03-15
被引用文献数
2

この論文では 仮数分布は逆数分布であるという仮定を用い 浮動小数点演算において生ずる相対丸め誤差の分布を求めている.また 適合度の検定を行うことによって その分布の妥当性を確認している.その分布を用いて 相対丸め誤差の平均 分散を与える公式も導いている.この公式は パラメータd(≡b^(-i) bは基底で tは仮数の語長のベキ級数展開の形をとっていて その第一項はTsao等によって得られた公式そのものである.実験結果は 有効桁が少ないとき(dが大きいとき)は本論文の公式の方が秀れていることを示している.
著者
小出 寧
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実社心研 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.41-52, 1999

本研究では, 形容詞による性格特性語によらず, 行動や意識による項目で, 男性性, 女性性に加え, 女性のセックス・アピールの3側面からジェンダー・パーソナリティ・スケールの作成を行ない, 信頼性・妥当性を確かめることを目的とする。その際, 構成概念妥当性を確かめるため, 性役割行動とフェミニスト志向を取り上げる。方法は質問紙法で, 学生 (男性117人, 女性117人) を対象に調査を行なった結果, 尺度の信頼性・妥当性が確認され, 主に次の知見を得ることができた。それは, (a) ジェンダー・パーソナリティ・スケールは性別との対応関係の高い尺度であり, (b) その下位尺度間の関連から, 女性にとってセックス・アピールとは, 単に女らしさの強調といった意味合いだけでなく, 女性が男性中心社会の中で自己を主張していく表現法としての意味合いも込められていると推察され, (c) 男女を問わず男性性の高い人が議長を快く努められ, 男女を問わず女性性の高い人がお茶くみを快く努めることができ, (d) 女性は, 男性性が高いほどフェミニスト志向が強くなり女性性が高いほどフェミニスト志向が弱くなることが判明した。
著者
五十嵐 裕子 イガラシ ユウコ Yuko Igarashi
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.46, pp.45-68, 2012-02

日本の折り紙のはじまりは神事や贈答儀礼に用いられる「儀礼折り紙」であった。江戸時代になると、折り紙は礼法や決まりから離れ、折り方そのものを楽しむ「遊戯折り紙」がおとなの遊びとして広まった。江戸時代中期には、それまで祖母や母から女子の躾として伝承されていた折り紙が、「子どもの遊び」となり普及していくようになる。一方西欧では、フレーベルが子どもの創造的活動衝動を自由に表現するための「作業具」の1つとして、折り紙を位置づけた。フレーベルの教育理論を導入した日本の幼稚園でも折り紙は保育教材として採用されたが、フレーベルが折り紙に込めた教育的意図は理解されないまま、折り紙はやがて保育教材・教具から放逐されていった。しかし折り紙遊びはその後も現代に至るまで家庭や幼稚園、保育園で子どもたちに親しまれている。折り紙あそびの普遍的魅力を再考し、折り紙の教材的価値や折り紙遊びにおける子どもへの適切な援助に関する研究が望まれる。The purpose of the study is to reassess the changeless appeal of Origami play through examination of its historical correlates. In the Heian era, origami was "courtesy origami" for "Act of God" or exchange of presents courtesy. From the middle of the Edo era, origami had become a popular play among children. In the Meiji era, Froebel's origami was introduced in Japan as one of his occupations for creative activity of children and the origami was taken in as the teaching materials of kindergarten and primary school. But in Japan, origami was intended to develop the process of accuracy and skillfulness of the fingers. Therefore the origami was not utilized positively as the childcare teaching materials. But the origami play is high in popularity in the present age. It is necessary for us to revaluate a meaning of the origami play as the childcare teaching materials.
著者
雜賀 亮一
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.13, no.30, pp.145-156, 2011-03

第92回全国高等学校野球選手権大会地方大会(以下,第92回地方大会とする)49地区の試合結果をもとに,先制点をあげたチームの勝率から,先制点が勝敗にどのような影響を及ぼすかを分析すると共に,勝つために望ましいゲーム展開を考えた。結果,第91回全国高等学校野球選手権大会地方大会(以下,第91回地方大会とする)と同様に,先制点をあげたチームの勝率が高く,先制点をあげることが勝敗に影響を及ぼすことが判った。
著者
三沢 伸生 Akcadag Goknur
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
no.23, pp.85-109, 2007-07-31

日本とイスラーム世界との関係史への関心が高まるにつれて、最初の日本人ムスリムが誰であるのかという問題にも注目が集まるようになってきている。幕末の開国以来、イスラーム世界に渡航する日本人、イスラーム世界から日本に来訪する人間が現れだした。こうした接触・交流から日本人でムスリムに改定した者が出てきたものと考える。しかしながら日本人のムスリム改宗に関する史料は乏しく、特定・検証作業は極めて困難である。現在、最初の日本人ムスリムとして言及されることが多いのは山田寅次郎である。しかしそれは完全なる誤りである。本稿で実証するように野田正太郎こそが、現在のところ諸史料によって確認することができる最初の日本人ムスリムである。管見の及ぶ限り、山田が最初の日本人ムスリムであるかもしれないと言及したのは、中田吉信氏である。その際に中田氏は1893年8月4日付け『毎日新聞』に掲載された「回々教日本に入らんとす」と題されたある西洋新聞の翻訳記事を主たる根拠とした。この記事には約2年間に及ぶイスタンブルでのコーラン研究を終えた、アブデュルハリルという名の日本人が日本へ帰国したので、今後に日本にイスラーム教が広まるかどうかが注目されると記されている。中田氏はこの記事から、従来最初の日本人ムスリムと言われていた山岡光太郎氏より前に、イスタンブルでムスリムになった日本人がおり、その頃にイスタンブル居住の日本人は山田寅次郎しかいないので、アブデュルハリルは山田以外にありえないと考えた。この仮説を補強するために、山田に関する評伝である『新月山田寅次郎』をもとに、山田が1892年4月にイスタンブルに入り、約1年4ヶ月で日本に一旦帰国した事実を拾い出した。しかしそれでも中田氏は直接証拠を発見できずに山田がアブデュルハリルであると同定するには至らず、仮説としてその可能性を提示するに留まった。しかしこの仮説の反響は大きかった。とりわけ戦前以来の著名な日本人ムスリムである小村不二男氏が、何ら確証を明示することなしに、この仮説を事実として著書に書き記してから、山田が最初の日本人ムスリムであることが定説のようになってしまった。しかし中田氏の仮説を検証してみると、誤りであることは明白である。第1にその当時イスタンブルに住んでいた日本人は山田だけではない。山田の来訪以前の1891年1月から「時事新報』記者の野田正太郎がイスタンブルに住んでいた。第2に山田の伝記には記載事実に混乱が見られ、日本の複数の新聞記事に依拠すれば、約2年後どころか山田はイスタンブルにわずか数ヶ月滞在して一旦日本に帰国していることがわかる。中田氏が考えるように山田がアブデュルハリルであると同定することは困難である。さらに日本・トルコの双方において様々な史料を渉猟した結果、最初の日本人ムスリムのアブデュルハリム(アブデュルハリルは誤り)は、中田氏の推測する山田ではなく、野田であると特定することができる。野田は自社の募集した「エルトゥールル号事件」のための巨額な義損金為替をオスマン朝に手渡しするために、69名の生存者とともに日本軍艦の比叡に便乗して1891年1月にイスタンブルに入った。そしてオスマン朝側が士官学校において日本語を教授しながらトルコ語を習得する日本人の逗留を望んだことから、野田はこの地に留まることとなった。野田は士官(当初2人、最終的には6人)に日本語を教えながら、トルコ語を習い、同時にオスマン史・イスラーム史・イスラーム教などを学習した。やがて如何なる理由からか不明であるが、1891年5月に野田は入信してムスリムとなり、アブデュルハリムの名を授けられた。この事実はイスタンブルの総理府オスマン文書館に保管される文書によって裏づけされる。またこの改宗は新聞・雑誌に掲載され、内外に広く知られることとなった。野田は日本語教育とトルコ語取得に励み、やがてコーランを学習するためにアラビア語を取得する必要性すら感じている。1892年4月に日本人同胞たる山田寅次郎がイスタンブルにやってきた。野田は公私にわたり山田を支援して、貿易業創始という彼の夢を手助けした。さらには自身の日本語教育において彼を短期的に助手として採用したものと考えられる。しかしながら如何なる理由からか後世の短い山田の自叙伝・友人の筆になる山田の評伝にも野田に関する言及が見られない。またこの自叙伝・評伝の記載事実にも混乱が見られ、充分に検証されなくてはならない。こうしたことが絡み合って山田と野田とが取り違えられることとなり、野田が忘却される一方で、山田に注目が集まる結果となったのである。1892年12月に野田は約2年間のイスタンブル滞在を打ち切って、欧米を見聞しながら1893年に日本に帰国した。帰国後は『時事新報』に復帰し、トルコに関係する随筆をいくつか書いたものの、いつしか退社してしまい、その名声も忘れられるようになった。さらに帰国後の彼の生活はムスリムとして賞賛されるものではなかった。新聞によれば彼は奢侈生活に浸り、その生活を続けるために2度の刑事事件にかかわった。晩年の詳細は不明であるが、野田は1904年4月27日に若くして没してしまった。
著者
碧海 寿広
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.75-100, 2010-06-30

哲学から体験へ。明治三〇年代、近代真宗の思想界において、そう総括すべき大きな転換が起こった。本論は、その転換期が生んだ思想の意義を、近角常観(一八七〇-一九四一)という真宗大谷派僧侶の思想と実践の検討により再考する。近角は学生時代、哲学研究に執心したが、その後は哲学を放棄し、個々人の体験を重視する宗教家へと自己形成を遂げた。だが、自らの救済体験の意義を、仏教史を貫く普遍的な要素によって根拠づけるという彼の方法は、その転身の前後を通して一貫していた。近角は、親鸞や釈尊など、真宗仏教史における至高存在の体験に、自らの体験を重ねて語るという言語実践を遂行したが、こうした体験の語りを、自己の信徒たちにも行わせた。近角の体験談を中心として、一つの体験談がまた別の体験談を生み出す、という構造がそこにはあった。明治三〇年代の真宗思想に起きた転換は、近角によって、独自の体験の言語空間の創出へとつながったのである。
著者
梶原 良則
出版者
福岡大学
雑誌
福岡大學人文論叢 (ISSN:02852764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.1499-1527, 2003-12
著者
落合 延孝
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学社会情報学部研究論集 (ISSN:13468812)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.267-301, 2004-03-31

This paper describes historical situations of Mito's masterless samurai and Kouzuke county, from the document of Kyouwa-Irai-Shinbunki written by Shinzo Morimura.
著者
Tom Altman Yoshihide Igarashi
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
Journal of Information Processing (ISSN:18826652)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.154-158, 1989-08-25

We study sequential and parallel algorithms on roughly sorted sequences. A sequence a = (a_l a_2 . . . a_n) is k-sorted if for all 1&les;i j&les;n i<j- k implies a_i&les;a_j. We first show a real-time algorithm for determining if a given sequence is k-sorted and an O(n)-time algorithm for finding the smallest k for a given sequence to be k-sorted. Next we give two sequential algorithms that merge two k-sorted sequences to form a k-sorted sequence and completely sort a k-sorted sequence. Their running times are O(n) and O(n log k) respectively. Finally parallel versions of the complete-sorting algorithm are presented. Their parallel running times are O(f(2k) 1og k) where f(t) is the computing time of an algorithm used for finding the median among t elements.We study sequential and parallel algorithms on roughly sorted sequences. A sequence a = (a_l, a_2, . . . , a_n) is k-sorted if for all 1&les;i,j&les;n,i<j- k implies a_i&les;a_j. We first show a real-time algorithm for determining if a given sequence is k-sorted and an O(n)-time algorithm for finding the smallest k for a given sequence to be k-sorted. Next, we give two sequential algorithms that merge two k-sorted sequences to form a k-sorted sequence and completely sort a k-sorted sequence. Their running times are O(n) and O(n log k), respectively. Finally, parallel versions of the complete-sorting algorithm are presented. Their parallel running times are O(f(2k) 1og k), where f(t) is the computing time of an algorithm used for finding the median among t elements.