著者
古川 安
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

喜多源逸は京都帝国大学工学部に在任中、工業化学における「京都学派」を創始し、ノーベル化学賞受賞者を含む多くの逸材を育てた。彼の学風は、基礎研究重視の工業化研究、物理学などの他分野を摂取する柔軟なスタンス、産業界との積極的な連携などの特徴をもっていた。京都学派が手掛けた合成石油、繊維、合成ゴムの研究開発は戦後継承されるとともに、その学風は触媒化学、高分子化学、量子化学などの関連基礎分野の発展に寄与した。
著者
笹川 果央理 中山 真孝 内田 由紀子 竹村 幸祐
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.15066, (Released:2017-11-10)
参考文献数
31
被引用文献数
2

This study investigated the personality of employees on medical leave due to mental health disorders. Focusing on Contingencies of self-worth (CSW) as a metric of personality, we examined whether the CSW of employees on medical leave due to mental health disorders matched the perceived values of their workplace, in comparison with that of employees at work. We also examined the change of CSW before and after medical leave. Thirty-six employees on medical leave and 133 employees at work participated in this survey study. The results showed that three types of CSW (CSW for being superior, for having positive evaluation from others, for having autonomy) were higher in employees on medical leave than in employees at work. We also showed that there was a large difference between each type of CSW of employees on medical leave and the perceived values of their workplace and that all three types of CSW decreased after medical leave.
著者
吉野 優香 相川 充
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16044, (Released:2017-11-10)
参考文献数
37
被引用文献数
6

When receiving help, the beneficiary feels both emotional gratitude and emotional indebtedness towards the benefactor, highlighting the close relationship between the two feelings. In this study, we tried to create a single integrated model of emotional gratitude and emotional indebtedness. Additionally, based on our model, we tested the effects of emotional gratitude and emotional indebtedness on the intention of reciprocal behavior towards the benefactor. All participants (N = 330) were asked to answer questions after reading vignettes describing a situation in which they received help. As a result of the analysis, we were able to propose a new model in which benefit appraisal mediates the relationship between trait gratitude and emotional gratitude, as well as the relationship between trait indebtedness and emotional indebtedness. We also demonstrated that emotional gratitude and emotional indebtedness affected the intention of reciprocal behavior towards the benefactor; however, their interaction effect was not significant.
著者
井上 勲
出版者
学習院大学
雑誌
学習院史学 (ISSN:02861658)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.90-100, 1973-12
著者
嶋田 雅曉
出版者
医歯薬出版
雑誌
医学のあゆみ (ISSN:00392359)
巻号頁・発行日
vol.212, no.8, pp.773-777, 2005-02-19
著者
黒沢 麻美
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-7, 2016-03-31

急速に進む高齢化により、老年人口の増加と、それに伴い要介護人口が増加している現状がある。一方、介護現場では介護職員の不足が深刻であり、2025年には約38万人の介護職員が不足するといわれている。1)本研究は、筆者が「介護職員のQOLが介護業務継続に及ぼす影響に関する研究」の中で調査した結果注2)から、さらに「個別生活満足感」と「個別職務満足感」に焦点を当て、介護職員の職務に関する実態を明らかにするとともに、離職意向と関連のある個別職務満足感と個別生活満足感の構成要素である因子構造を検討することを目的とした。本研究のデータは、S市所在の高齢者福祉施設に勤務する介護職員241人を対象とした調査から得ており、そのデータの中から「個別職務満足感」と「個別生活満足感」に焦点をあて、それぞれの背景因子を探るため、最尤法により、カイザー基準で因子分析を行った。結果、個別職務満足感は₄つの因子に分類でき、個別生活満足感は₅つの因子に分類することができた。また、職場退職意向・離職意向には職務条件・職務満足感のみならず、生活満足感も関わっていることが明らかとなった。従って、介護職員の離職を防止するには生活満足感を高めることが必要であることが示唆された。
著者
秋本 祐希 横山 広美
出版者
北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.47-57, 2015-12

素粒子は顕微鏡等を用いても目にすることができず,波と粒子の両方の性質を持つという性質上,イメージすることが難しい.素粒子を扱う素粒子物理学は,それゆえ直感的にわかりにくい分野である.そこで我々は,素粒子物理学を直感的にわかりやすく説明し,また同時に関心を持ってもらうため,わかりやすいコミュニケーションのツールとして,イラストとマンガに着目した. 本稿では,最初に「わかる」という概念を整理し,その上でイラストが,想像することが困難な事柄を「想像できるものに例えて」その概念を大枠で説明することに役立つことを主張する.例えばイラストでは,素粒子を目に見える特徴を持ったキャラクターにすることで,これが可能になった.さらにマンガでは,素粒子や素粒子実験をキャラクターとして用い,素粒子物理学のエッセンスを組み込んだストーリーにすることで,文章だけでは興味を持ちづらい事項を,親しみやすく提示することができた.また特徴的な活動のひとつは,科学技術に関する審議会の議事録をイラストで説明したことだ. こうした取り組みは,これまで単に「わかる」ためのみに用いられていたイラストを,双方向のコミュニケーションの土台として活用できる.
著者
原 乙未生
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.11, no.12, pp.600-601, 1942 (Released:2009-02-09)
参考文献数
2
著者
野田 雅子 後藤 由貴
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-6, 2010-03-31

ウエディングケーキは,古代ローマを起源とする文化的な背景を持ち,宗教的,社会的な食文化を反映している特殊な位置付けの菓子である.日本にも西洋の風習の伝播と共に根付いたウエディングケーキではあるが,現在では日本独自のスタイルを持つウエディングケーキへと発展を遂げている.本稿では,文献調査に加え,日本をはじめ,イギリスとフランスでの現地調査も行ない,各国のウエディングケーキの考察を試みた.日本のウエディングケーキは宗教的意味はないが,披露宴の見せ場のひとつとしての役割を果たしている.結婚式とともに,新郎新婦たちの個性の表現としてウエディングケーキも多様化している.そして結婚産業の発展に伴って,ウエディングケーキを取り巻く人々は,新郎新婦やパティシエのみならず,結婚式のゲスト,新郎新婦の両親,ブライダル・コーディネーター,マスメディア,カメラマンに及び相互の連関を新たに生み出している.他方,イギリスではウエディングケーキがキリスト教的な儀礼文化と結びつき,ウエディングドレスと並んで結婚を象徴するものになっている.フランスでは儀礼的な側面はあまりなく,結婚の祝宴の中で供される食事のひとつとしての役割が大きい.