著者
張 興和
出版者
旭川大学経済学部
雑誌
旭川大学経済学部紀要 = The journal of Faculty of Economics Asahikawa University (ISSN:18841481)
巻号頁・発行日
no.78, pp.43-59, 2019-03-31

著者の数学教育の経験と2011年に約6,000人の大学生を対象に行われた「大学生数学基本調査」の結果から、平均値を十分に理解していない大学生や社会人が多数存在していることが明らかになった。本稿では、データ分析においてよく利用される算術平均、幾何平均、調和平均、平方平均という4種類の平均値を取り上げ、事例を通じて、各種の平均値の必要性、使い分け、計算方法を示した。4種類の平均値の幾何学的解釈により、4種類の平均値間の大小関係が明確になった。また、平均値の一般的定義や一般化平均の数式により、共通性と特性が明らかになった。目的に応じて適切に利用されることを望んでいる。
著者
遠藤 由紀子 Yukiko ENDO
出版者
昭和女子大学女性文化研究所
雑誌
昭和女子大学女性文化研究所紀要 = Bulletin of the Institute of Women's Culture Showa Women's University (ISSN:09160957)
巻号頁・発行日
no.47, pp.37-54, 2020-03-31

Kenjiro Yamakawa of Aizu fought in the Boshin War on the losing side. After the war, he studied abroad at Yale University in the early Meiji era, earning a PhD in physics. Later, he served as president of Tokyo Imperial University and led the education world in the Meiji period. Kenjiro’s eldest son Makoto took a wife named Yoshi from the Kajii family of military doctors from Daishouji. According to the “Aizu Zakki” recorded by Yoshi and preserved by her descendants, Kenjiro had informed Yoshi about the history of the Chugoku region and the Aizu clan, the relatives of the Yamakawa family, and his knowledge of waka poetry. The records show that Kenjiro passed on knowledge and education to his eldest son’s wife and expected her to support the Yamakawa family. People of Aizu who moved to Tokyo maintained a sense of belonging to Aizu, which helped discipline themselves even after the modern era. Descendants of Yoshi, too, live in modern society with a sense of pride and identification with their ancestor’s hometown.
著者
米長 泰 福島 琢巳
雑誌
秋田工業高等専門学校研究紀要
巻号頁・発行日
vol.32, pp.64-71, 1997-02-28
著者
倉石 忠彦
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.237-262, 2003-03-31

道祖神は境界の神であるとする認識は広い。しかし、そのような視点のみによって、民間伝承として全国に伝承されている道祖神の、多様な習俗のあり方が十分に説明されたわけではない。特に都市における道祖神信仰はほとんど視野に入っていなかった。しかし、文献上にみられるのは都市の道祖神信仰である。中世以前は京の都を中心とするが、近世城下町においても盛んに道祖神の祭りが行われている。十九世紀初頭の民間伝承を記録した『諸国風俗問状答』にみられる秋田・長岡の道祖神祭りには、城下町の空間と階層に基づく道祖神祭りのあり方が明確に見られる。これは信州松本あるいは松代においても同様であり、道祖神の信仰が人々の生活と密着していたということができる。そこにみられるのは必ずしも境を閉じて外来のものを遮り止める機能だけではない。境を開く機能を持ち、家の繁栄と生活の安泰を祈る対象でもあった。このような機能を持つようになったのは、境界神が男女双体の神と認識されるようになった結果である。記紀神話においては必ずしも性的な認識がなく、単神として記録されている境界神に性的要素が付加されることにより、境界において閉じる機能を発揮するのではなく、開く機能を発揮する神と考えられるようになった。これはまた佐倍乃加美と呼ばれていた神に、「道祖」の文字が当てられ、さらに「道祖神」と表記され、これがドウソジンと音読みされる契機になった。そのことによって、境界性に制約されることなく、様々な要素を付加されやすくなったということができるであろう。現在でも、都市においては道祖神信仰は再生産されている。
著者
遠部 慎 宮田 佳樹 小林 謙一 松崎 浩之 田嶋 正憲
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.339-364, 2007-03-30

岡山県岡山市(旧灘崎町)に所在する彦崎貝塚は,縄文時代早期から晩期まで各時期にわたる遺物が出土している。特に遺跡の西側に位置する9トレンチ,東側に位置する14トレンチは調査当初から重層的に遺物が出土し,重要な地点として注目を集めていた。彦崎貝塚では土器に付着した炭化物が極めて少ないが,多量の炭化材が発掘調査で回収されていた。そこで,炭化材を中心とする年代測定を実施し,炭化材と各層の遺物との対応関係を検討した。層の堆積過程については概ね整合的な結果を得たが,大きく年代値がはずれた試料が存在した。それらについての詳細な分析を行い,基礎情報の整理を行った。特に,異常値を示した試料については,再測定や樹種などの同定を行った。結果,異常値を示した試料の多くは,サンプリング時に問題がある場合が多いことが明らかになった。特に水洗サンプルに顕著で,混入の主な原因物質は現代のものと,上層の両者が考えられる。また,混入した微細なサンプルについても,樹種同定の結果,選別が可能と考えられた。これらの検討の結果,明らかな混入サンプルは,追試実験と,考古学的層位などから,除くことが出来た。また,9トレンチと14トレンチと2つのトレンチでは堆積速度に極端な差が存在するものの,相対的な層の推移は概ね彦崎Z1式層→彦崎Z2式層→中期層→彦崎K2式層→晩期ハイガイ層となることがわかった。今後,本遺跡でみられたコンタミネーションの出現率などに留意しつつ,年代測定試料を選別していく必要がある。そういった意味で本遺跡の事例は,サンプリングを考えるうえでの重要なモデルケースとなろう。
著者
駒宮 安男
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, 1976-06-15
著者
伊豆原 月絵 イズハラ ツキエ Tsukie IZUHARA
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.3-14, 2012-01-31

フランス宮廷では、18世紀になると、宮廷晩餐会用の女性の衣裳は、華やかさを増し、花紋様の重厚なブロケードに刺繍の装飾を重ね、さらにレースをあしらった豪華で装飾的な衣裳が好まれていた。一方、私的なサロンによる交流が広がるにつれ、公の衣裳の重厚さに対して、私的な衣装の美意識は、軽やかさが求められ、その美意識は、宮廷の衣裳にも反映していった。往時は、中国風庭園、家具、陶器、織物、衣裳など、アジア風のデザインが流行し、様々な事象にシノワズリーの影響がみられ、インド製の木版捺染や手描き更紗とともに、アジアから舶載された絣織の「シネ」は珍重され、フランスのみならず、欧州各国に染織技法とともにその紋様表現は、伝播していく。18世紀になると絣は、需要の拡大とともに発展し、宮廷女性衣裳の生地としてフランスで盛んに織られるようになった。 本論文では、神戸ファッション美術館の所蔵品のローブ・ア・ラ・フランセーズに用いられた絣織「シネ・ア・ラ・ブランシュ」の織物を復元することを目的に、往時のシネの製作技法について、アジアの絣の技法の調査を踏まえ比較検討を行う。
著者
小林 正士
出版者
国士舘大学法学会
雑誌
国士舘大学大学院法学研究科・総合知的財産法学研究科 国士舘法研論集 = Kokushikan Daigaku Daigakuin Hogakukenkyuka Sougouchitekizaisan Hougakukenkyuka Koushikan Hokenronshu = the Graduate School law review
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-24, 2018-03-05

1 問題の所在2 日本国憲法第1条「天皇の象徴的地位」の成立経緯3 学説の状況4 市民法学における「国家論」から考察する 「天皇の象徴的地位」、「君主」、「元首」5 結論として