著者
児玉 晴男 鈴木 一史 柳沼 良知
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:13440896)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.95-105, 2012-03

放送アーカイブの構築は,「e-Japan戦略II」で取り上げられた重要な施策である。この放送アーカイブは,放送事業者により著作・制作された放送番組が対象となっている。ここで,放送番組のコンテンツの構造は,テキストと映像(動画,静止画)からなっている。そのテキストと映像とがメディア融合されアーカイブされたコンテンツは,インターネット配信される対象としてのウェブキャストコンテンツを指向するものになろう。ところが,その取組みは,十分に履行されている状況にあるとはいえない。その要因に,著作権とプライバシーとの相関問題がある。もうひとつの課題として,倫理的な問題がある。本稿は,コンテンツのインターネット配信に関する法的・倫理的な課題への対応について,著作権法制と情報法制および放送倫理と出版倫理などを統合する観点から考察する。その考察から,わが国の社会制度に適合したコンテンツのインターネット配信に関する社会情報システムは,コンテンツ管理と権利管理が相互に連携し,権利管理を財産権の保護と制限および人格権とコンテンツの同一性の保持とを連携させることによって,効率的で合理的に機能するものとなることを導出する。そして,コンテンツのインターネット配信を促進するための,コンテンツ管理と権利管理とが相互に連携するコンテンツの著作・制作・保存の仕組みの開発事例について紹介する。
著者
小田 和美 永野 和男 渡部 昌邦
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.18, pp.47-48, 2002
被引用文献数
1

Web上の学習用素材資源が、次第に充実してきている。静止画、動画、いずれも今は、ネットワークの回線スピードの制約を受けているが、いずれ技術的な問題は解決されるだろう。そこで問題になるのは、著作権問題を含めた、管理と運用である。現在は、多くの資源の教材利用が、著作権による使用制限を受け、利用の際の自由を失っている。だからといって、素材資源のフリーなダウンロードを許可すると、営利目的等の不正使用を招く。教育界として、教育目的の教育実践者による素材の使用・改良の自由を保障するマーク及びルールを決め、広くその認識を広めることは、今後の教育コンテンツの有効活用にとって、必要であろう。そこで筆者らは、そのためのマークを提案・作成し、既に幾つかのコンテンツにおいて実際にマークの使用を開始している。
著者
親川 兼勇 小池 徹 馬渕 幾夫
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.59, no.558, pp.543-549, 1993-02-25
被引用文献数
1

The local heat transfer coefficients downstream of a backward-facing step were measured at various jet locations and jet velocities by discharging a jet perpendicularly to the main flow to control the heat transfer characteristics. It was found that flow field is characterized by the formation of a circulating bubble at the rear of a jet port on the opposite wall of the step surface (i.e., the jet port side), where the bubble causes acceleration of the main flow and shortening of the reattachment point length. Furthermore, at the optimum position X_j/H=2. 1(X_j : location of jet, measured from the step)position, H : the step height), the augmentation of mean heat transfer coefficients can be as much as 1. 6 times the value without jet discharge. Thus, by using a jet it is possible to control the heat transfer effectively.
著者
笹谷 努 Yoshii Toshikatsu Ikami Akira Tanada Toshikazu Nishiki Tsukasa Kato Susumu
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.p33-48, 1990-06
被引用文献数
5

In October 1982, a seismic refraction experiment was conducted by the Research Group for Explosion Seismology in the Miyota-Shikishima Profile in Nagano and Yamanashi Prefectures, central Japan. Five shots were fired on the 60 km-long profile. The upper crustal structure derived from travel-time data is simple and has a high velocity gradient; 4.0km/s at the surface to 6.0km/s at about 2.5km depth. Based on the amplitude-distance pattern of the refraction phases, we confirmed the existence of the velocity gradient. A few explosive sources generated clear S waves with amplitudes large enough to be read. We obtained an average POISSON'S ratio of around 0.246 in the uppermost crust from S to P travel time ratios. The other later arrivals were interpreted as reflected phases from a deep interface, the Conrad discontinuity. We modeled the interface shape by the ray-tracing technique. The interface inclines teward the north by about 20°.地震予知計画による4度目の爆破地震の実験が, 1982年10月,日本中部の長野県から山梨県にかけての御代田-敷島測線上で行われた. 60kmの測線上の5個所で爆破が行われ,約60点の臨時観測点で観測された.この実験の概要と,得られた記録や走時データなどの基礎的な資料については,すでに報告されている(爆破地震動研究グループ, 1986).ここでは,これらのデータの解析結果について報告する.

1 0 0 0 OA 大辞典

著者
平凡社 編
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1935
著者
岸保 勘三郎
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.3-4, 1984-03
著者
山下 早苗 猪下 光
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.7-15, 2005-09-05
被引用文献数
2

外来通院している小児がん患者の親15ケースを対象に、Mishelの不確実性理論を基盤に、子どもへの告知に対する親の意向を明らかにし、告知に対する意向を評価する認知の過程で生じている不確かさについて分析した。親の意向は「告知するつもりはない」「聞いてきたら隠さないが,敢えて告知するつもりはない」「告知せざるを得ないが踏ん切りがつかない」「隠す必要はない」であった。親は子どもへ告知するかしないかを決定するにあたって、まず「告知の必要性」や「告知の条件」について不確かさを生じており、多くの親が、自己管理の必要性から告知を肯定的に評価するのは、子どもの巣立ちの時期であった。告知する必要があると評価した親は、「告知の方法」や「告知後のサポート」、「家族の意向」や「医療者の意向」について不確かさを生じていたが、告知について気兼ねなく相談できる機会や場、人材の不足により、子どもへの告知を躊躇していた。
著者
塩谷 治彦
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.60-83, 1995-04-15 (Released:2009-11-16)
参考文献数
33
被引用文献数
1

この論文は、今日の暴走族や不良生徒集団など青少年の非行や逸脱行動を社会病理学的に理解しようとする試みである。エリクソンの自己同一性に関する発達理論は、青年期の非行や逸脱行動を理解するための枠組みとして貢献してきたが、それは概ね発達心理学的アプローチであって、非行を社会病理学的に理解しようとするものではなかった。そこで本論では諸価値の凋落による価値の主観化、またそれに伴う競争社会化という視点を青少年の病理を解明するために導入した。そして今日の大人になりたがらない青少年の心理の背景に世界の脱価値化に伴う競争社会の浸透という事態があることを示した。暴走族などの非行を理解するため、同一性危機や青年期危機による非行という概念が提示されてきたが、これらの理論は概ね非行を発達上の危機の現れと見ているため、青少年の病理の社会学的要因を十分に解明していない。現代的な非行現象には世界の非価値化と競争社会状況に対する反感が認められるのであり、それが彼らを暴走族や不良集団などへの参加と逸脱にかりたてる重要な動機であることを示した。