著者
安部 原也 菊地 一範 岩城 亮 藤井 健
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.76, no.767, pp.1662-1668, 2010-07-25
被引用文献数
2

In order to investigate effects of driving conditions and traffic environments on visual behaviour, a driving simulator experiment was conducted. Specifically it was considered how a visual field was influenced as a function of cognitive distraction, possibly resulting in a situation of look-but-did-not see, and crowdedness of other vehicles and pedestrians. Cognitive distraction was simulated by a experimental secondary task which was relevant to mental calculations. It was found that driver's reaction time to a target mark was increased resulting from cognitive distraction. This result may be explained from a driver's visual field point of view. That is a visual field for recognising a target mark got small when drivers was distracted with particularly driving on non-crowded road, compared with crowded road. Potential application of this research will be discussed.
著者
平田 豊 HIGHSTEIN Stephen M. BLAZQUEZ Pablo M. BAKER Robert
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

小脳を中核として実現される運動学習に関わる脳内情報処理機構を、電気生理学的手法を用いた動物実験により探り、得られた結果をもとに計算機上に数理モデルを構築し、その妥当性を確認した。また、このモデルによる実機モータ制御を試み、小脳モデルが実機モータの適応制御に有効であることを実証した。
著者
小池 康晴
出版者
東京工業大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

物の操作を獲得するためには,学習や慣れが必要である.これまでは,試行錯誤により操作を覚える,あるいは繰り返し反復練習により熟練度を上げる方法だけで,システマテイックに教育する方法は提案されていない.さらに,高齢化社会を迎え,高齢者がたとえば,車の運転を行なうときに,それまでに獲得した操作にたいする感覚と,筋肉骨格系の衰えによる運動系の誤差が生じると危険な場面に遭遇したり,最悪の場合事故を起こすことになってしまう.安全性という観点からも,物の操作の獲得過程を明らかにすることは重要である.本研究では,「視線の移動が操作の習熟度と関連しているのではないか」という点に着目し,操作に必要な情報をどのように取得するかという,学習と視線の移動の関係を明らかにし,時空間パターンの中からどこの情報をどのような割合で操作に用いているのかを計算機上でのモデル化と行動実験を通して明らかにすることを目的としている.本研究では,複数の制御入力を用いて,最適な制御ができる位置を求めるモデルを強化学習を用いて作成した,強化学習を用いたため,どの位置を見るかは指示せず,最終的な運転結果ができるだけ将来にわたり良くなるような報酬を与えるだけで,学習を行うことができた.また,過去に示されている視野制限での運転方法と,学習によって獲得されたモデルでは,ほぼ同じ方策をとっていることもシミュレーションにより示して,本モデルの有効性を示した.また,行動実験において,視線計測を簡易なドライビングシミュレータを作成して行った.その結果,これまでに提案されているモデルが,幾何学的な情報に基づいて視線が決まっているものであったが,速度が速くなるにつれて視線の位置が遠くに変化することを新たに発見した.さらに,同じ速度であっても,習熟度によって視線が変化することも発見した.具体的には,習熟度が上がるにつれて視線が遠くの方にシフトし,その結果運転操作が滑らかになった.
著者
木村 英紀 牛田 俊 大石 泰章 津村 幸治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

この研究の目的は、脳の運動制御から生まれたモデル駆動型適応制御とよばれる新しい適応制御の方式を制御論的に定式化し、制御系設計論として確立することである。さらに、モデル駆動型適応制御の適応制御の発展上における位置づけとそれがもつ性質を理論実証両面から明らかにすることにより、適応制御および脳の運動制御の双方の分野に対して、「複雑系」を扱うための方法論としての新たな発展をもたらすことを目指している。主に次の3つのテーマを中心に研究を行った。(1)モデル駆動型適応制御の制御論的な定式化、および運動制御との関連(2)複雑系の同定手法の確立とその構造解析、および学習との関連(3)種々の複雑非線形系に対する制御論的アプローチ(1)については小脳のモデルとして提案された「フィードバック誤差学習法」を2自由度制御系として定式化し、その構造の解析および系の収束性の証明を行った。さらに、これらの結果はフィードバックループ内にむだ時間が含まれる場合へと拡張され、高い制御性能を達成することが示され、複雑なシステムに対する制御系設計のアーキテクチュアとして、適応制御に新しい領域を切り開きつつある。(2)においては、より広い意味での複雑系に対する同定手法の確立を目指している。システムの「複雑度」の扱いを制御系設計において重要となる種々の問題として捉え、構造の解析やモデリング手法の確立において一定の成果を得た。個々の問題は、複雑系を扱う上での難しさの本質に迫る興味深いアプローチを含んでいる。(3)は、制御対象として種々の複雑系への広がりをみせた結果であり、多彩な成果を得た。具体的には、モデル駆動型適応制御を用いた非線形ロボットアームや燃料電池自動車の改質システムの制御をはじめとして、生理学・生物学への制御論的アプローチ、量子システムの制御、ネットワークシステムの制御まで多岐にわたっている。特に、「制御生物学」「量子制御」に関しては、従来の制御理論では扱ってこなかった新しい分野への道を切り開くきっかけを与える結果であり、大きな成果の一つである。2年間の研究の進展を通じて、大規模かつ非線形性の強い複雑系を扱う場合にも「制御論的なアプローチ」が有効であることが改めて明らかになった。たとえば、人の運動制御、制御生物学を扱う際には、システムのダイナミクスの同定・構造や特性の解析・制御器設計といった従来得られている知見を土台として、理論がされており、制御論として対象を捉える考え方が重要な役割を果たしている。今後の課題としては、本研究成果で提起された種々の複雑系に対して個々の制御問題を定式化し、それらを扱うより使いやすい制御理論的な道具立てを整備することが挙げられる。
著者
荒井 幸代 吉村 忍 丸山 喜久
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

情報提供が人間の意思決定戦略を変化させ,交通流に大きな影響を与えることを示し,これを改善する方法を提案した.具体的成果は3つに大別される.1)不完全情報下で運転者の経路選択モデルの提案,2)1)のモデルが大域的な交通流に与える影響の検証,および,3)実世界データを用いた1)2)の妥当性検証である.交通網変化時の過渡現象の混乱から収束の様子を再現し,東北地方太平洋沖地震後に東京都で取得されたタクシープローブデータを分析し,利用者均衡配分によってリンク交通量を予測し運転者の経路選択行動に関する分析も実施した.
出版者
P. Sargent Pub.
巻号頁・発行日
1973
著者
三井 利幸 藤村 義和
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.183-187, 1975-08-31
被引用文献数
3

The concentration of hydrochloric acid and potassium iodide in Dragendorff's reagent was examined in order to obtain high sensitivity in the detection of alkaloids. As the samples, caffeine, morphine, procaine, cocaine, methamphetamine, ephedrine, chloroephedrine, methylephedrine, codeine, and dihydrocodeine were used. The optimum concentrations of hydrochloric acid and potassium iodide were determined by measuring the unreacted amount of bismuth in the reaction mixture of an alkaloid and the Dragendorff's reagent containing a definite amount of these two components when using caffeine, cocaine, procaine, codeine, and dihydrocodeine. For other alkaloids, however, the optimum concentration of the two components could not be determined.

1 0 0 0 OA 香亭雅談

著者
中根淑 著
出版者
中根淑
巻号頁・発行日
vol.上, 1886
著者
野間 晴雄
出版者
関西大学
雑誌
東アジア文化交渉研究別冊 (ISSN:18827756)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.109-135, 2009-03-31

大航海時代以降にヨーロッパ,とりわけアルプス以北の寒冷な国々では王侯貴族の趣味として,ヨーロッパ以外の花を種子/球根を生きたまま本国に運んで移植し愛でる慣習が広まった。とりわけアングロサクソンのイギリスやオランダはその核心となる。その背景には,薬草学の知識やリンネを頂点とする分類学の発展などがあった。本報告では,その採集を異国の地で担ったプラントハンターと呼ばれる植物採集の専門家の性格を多角的に考察するとともに,採集を依頼・指示した人びととの関係もとりあげる。次にプラントハンターの東アジアでの一事例として,イギリス人ロバート・フォーチュンの日本・中国での採集の方法と成果,歴史的背景を分析する。最後に,プラントハンティングの対象としてユリとキクをとりあげて,西洋と東洋の文化交渉を園芸,栽培化のプロセスから通観して,事例から迫る文化交渉学の方法論にも言及したい。
著者
上田万年, 松井簡治 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
vol.巻4, 1929
著者
藤本 平祐 高 済峯 内藤 彰彦 武内 拓 中島 祥介
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.1839-1842, 2002-11-25
被引用文献数
13

症例は初回手術時59歳の男性で,腹部腫瘤を主訴に当院を受診.1996年S状結腸原発消化管間葉系腫瘍と診断し切除したが,転移・再発を繰り返し,約5年間で合計10回腫瘍摘出術を行った後,腫瘍の再発を来した.摘出標本の病理組織学的所見,免疫染色でc-kit陽性のgastrointestinal stromal tumor(GIST)であった.手術不能のため,慢性骨髄性白血病に対する新しい治療薬であるSTI571(Imatinib mesylate)を2001年7月から投与した(400mg/日).CTで再発巣,肝転移巣ともに著明な腫瘍縮小効果が見られ,新たな病変は出現しなかった.副作用は軽微であり,臨床症状は劇的に改善した.STI571治療開始後9か月後の現在,元気に通院中である.
著者
小塚 誠一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.443, pp.55-60, 2001-11-14

パソコンなどのコピーマシンの普及に加え、P2P通信ネットワークによる音楽ファイルの交換が始まり、音楽など開放環境で利用されるデータ型コンテンツの著作権保護が極めて困難になってきている。従来は、コンテンツの権利者と利用者と仲介事業者の三者の間で利害対立があり、妥協の産物としての著作権保護策はそれら三者を満足させるものではなかった。そこで、本稿では、それら三者の既得権益の維持を前提に、慣れ親しんだコンテンツ利用文化を損なわない著作権保護策として「三方一両得モデル」を提案し、その具体的な実現方法を示すと共にその適用効果について述べた。