著者
洪政国
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報メディア
巻号頁・発行日
pp.1-8, 1995
被引用文献数
1

博物館が収集・保存し、調査研究の対象とするものは実物とそれに関連する様々な背景情報で、これらは多様な媒体で表現されるマルチメディアの集合体である。近代博物館の最も重要な特徴として展示を通して行う公教育としての機能がある。これは教科書などに従う学校教育とは異なり、展示物との直接の対話を通して、自発的な参加による、五感を活用した体験学習であり、マルチメディアによって実現される。博物館とマルチメディアとは相性が良い。マルチメディア化された電子博物館では、特に大規模なマルチメディア・データベースと高速ネットワーク、利用者本意のユーザーインターフェースの組合せによって、PDAのような携帯端末から大型スクリーンにいたる様々な媒体を通して、感性にうったえるコンテンツが再生される。マルチメディア博物館によって誰でも、どこにいても好きな時に、好きな博物館見学ができるオン・デマンド・ミュージアム(Museum-On-Demand:MOD)が実現する。このような博物館は分散型マルチメディア環境の典型例といえる。本稿では、マルチメディアにもとづいた電子博物館の展望と、その実現にとって必要な技術的要素とともに課題について整理し、いくつかのプロジェクトの事例を紹介する。
著者
青木 翼 長谷川 哲夫 宮本 博暢 渡邊 竜明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.29, pp.203-210, 2008-03-18
被引用文献数
1

モデル検査によりソフトウェア設計の品質を向上させることが注目されている.一方,モデル検査を開発に適用するノウハウはまだ不足している.本論文ではモデル検査をソフトウェア開発に適用させるためのガイドラインについて報告をする.このガイドラインではモデル検査を実施する目的と効果,モデル検査が適用できる箇所,モデルや検証式を作成する手順,モデルや検証式の記述テクニックの4点について説明を行っている.While improvement of the quality of software design using model checking is required, the current know-how pertaining to the application of model checking is insufficient. This paper describes the guideline for model checking in UPPAAL, which consists of 4 sections explaining the objectives and outcomes of model checking, target documentation, process, techniques of models and verification expressions building.
著者
小松帯刀 著
出版者
[小松帯刀]
巻号頁・発行日
1918
著者
仁科 健
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, 1987-01-15

互いに独立な連続する確率変数の位置母数がシフト変化するモデルを想定する。このモデルには, 「変化の検出」, 「変化点の推定」, および「変化量の推定」の3つの問題がある.本研究は, これらの問題を解析する手法として累積和法を取り上げ, 「変化量の推定」を対象とする.変化量の推定量には, BS 5703 (1980), Woodward (1964)ら, および仁科(1983)があり, 今回の報告では, 変化点の推定量の分布との関連からこれらの推定量を評価する.
著者
徳永 旭将 池田 大輔 中村 和幸 樋口 知之 吉川 顕正 魚住 禎司 藤本 晶子 森岡 昭 湯元 清文 CpmnGroup
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.14, pp.1-6, 2010-12-09

一般に,前兆現象は突発現象にそのものに比べて非常に目立ちにくく,その開始時刻は曖昧である.従来よく用いられてきた変化点検出法を適用した場合,このような微小で緩慢な変化は見逃されやすい.Tokunaga et al.1) では,Ide and Inoue2) の提案した特異スペクトル分析を応用した変化点検出法 (SST) を,多次元データを用いたアルゴリズム (MSST) へと拡張することで,鋭敏に前兆現象の開始時刻を推定出来ることを示した.MSST は,緩慢な変化も検出できる鋭敏な手法であるが,実データへの適用では誤検出が問題になる.本稿では,突発現象の大まかな開始時刻を予め検出し,さらに検出された時刻の前後で前兆現象の開始時刻と終了時刻を個別に探索することで,誤検出を劇的に減少させることができることを示す.
著者
C.Tobias[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1936-06
著者
橋本 良夫 斉藤 敏克
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.69, no.687, pp.3029-3033, 2003-11-25

A method is proposed to analyze dynamic response of a rocket-launcher system at lift-off. In this paper, rocket-launcher system is modeled as finite element Bernoulli-Euler beams connected with two slippers which are modeled as linear springs. A beam element with a moving spring is devised to represent the rocket-launcher interaction. Coupled equations of motion with time-varying coefficients are derived and solved by using direct method such as the Wilson θ method to calculate the dynamic response of the system. To verify the validity of this method, dynamic response is calculated by using the data of M-3S rocket-launcher system. Two rocket models, rigid-body and elastic-body models, are used in this calculation. The numerical results obtained from two models are compared and discussed.
著者
山谷 泰賀 工藤 博幸 菅 幹生 羽石 秀昭 稲玉 直子 吉田 英治 錦戸 文彦 小畠 隆行 辻 厚至 稲庭 拓 吉川 京燦 河合 秀幸 小尾 高史
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

我々は、世界的な競争下にある次世代のPET装置開発において、開放化という全く新しい機能を備えた世界初の開放型PET装置「OpenPET」のアイディアを2008年に提案した。本研究では、OpenPETが可能にする診断治療融合システムにより、放射線がん治療の精度を格段に高める革新的コンセプトを提案し、小動物サイズのOpenPET試作機を開発し、ファントムおよび小動物レベルにてコンセプトの実証実験を行った。
著者
繪内 利啓 杉山 愛 馬場 恵子 丸峯 良子 水嶋 由紀 高原 香織 井上 寛子 田中 栄美子 馬場 広充
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育実践総合研究 (ISSN:1345708X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.33-46, 2006-09

本研究では,学級全体にSSTを実施するというCSSTを,A小学校において200X年2月〜200X+1年1月まで計5回にわたり実践した。ここでは学級全体の社会的スキルの向上と,学級の仲間関係の改善を目的とし,岡田(2001)の「指導のための児童用ソーシャルスキル尺度」を用いて,「集団行動」,「協調行動」,「セルフ・コントロール・スキル」,「仲間関与スキル」,「言語的コミュニケーション・スキル」の5領域で,その効果を判定した。その結果,ある程度長期間継続することでCSSTの効果が得られることが示唆された。
著者
戚 傑
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学国際学部研究論集 (ISSN:13420364)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.153-164, 2003-10-01

本研究では、ミシェル・フーコの権力観、特に「管理論(governmentality)」に照らし合せて、日本における児童像がいかに教師の多様な教授法によって作り上げられたかについて言説的に検討を行った。まずは、教育における自由と抑圧の観点から、日本の学校教育システムについて分析を試みた。その結果、日本の学校教育システムにおいて、「学習指導要領」に象徴されるように、政府または政治による、教育における教師の自由に対する制限、学校・教師による学生の自主性等に対する規制や管理の存在が表層的に見て否定できないものの、学校の秩序を根本から保障している要因として、学校・教師による多様な、ユニークでしかも「ソフト」な管理の「テクノロジ(technology)」を広く取り入れられている実態がより重要であることが明らかになった。次に、ソフトな管理のテクノロジの特徴について考察し、「建設的話法」、「日誌作成」、「集団行動」等に見られるように教師の教授法・学生管理法には誘導的なアプローチが特に多用されていることを指摘した。最後に、教師の多様な教授法による効用について分析し、それが学生を直接管理することにとどまらず、むしろ学生を「自己管理」することに仕向ける一種の「テクノロジ(technology)」としてより効果を発揮されていることが注目すべきであると結論付けた。
著者
山岸 亜人
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.237-247, 1971

イヌ卵巣の外来神経についてのオスュミウム酸染色と各種動物卵巣の鍍銀染色を行ない,神経組織学的にそれらを比較検討し,つぎの結果を得た。1.イヌ卵巣支配の外来神経には卵巣動脈神経叢から来るものと骨盤神経叢に由来するものとがある。神経線維の平均総数は前者で120本,後者で84本であった。また有髄線維の含まれる割合は前者では神経線維総数の29.2%であるのに対し後者ではわずかに3.6%過ぎ|なかった。一方無髄神経線維(交感神経性)は両方の神経系においてほぼ等量に含まれていた。2.血管をとりまきながら卵巣門から卵巣内に進入した神経線維束は次第に血管から離れ互いに分岐,交錯して髄質から皮質にかけて一次神経叢を形成する,この神経叢からさらに数本の自律神経線維と知覚神経線維が分かれ皮質stromaで細かい二次神経叢(autonomic aroundplexus)を作る。後者は髄質より皮質に豊富である。3.知覚性の神経線維がヒト(成人),ネコ,マウスに多く認められ,特に成人の皮質stromaではところどころ神経密度の高い部分があった。ヒト(胎児)の神経線維は成人と比べて走向は直線的であり,形態は単純で,知覚神経線維の形態形成が未完成の状態にあった。4.皮質stromaには拡散型分岐性終末,単純型分岐性終末,および小体様終末などの知覚終末が認められた。5.Autonomic groundplexusはヒト(胎児,成人),ネコの皮質stromaなどに認められたが,そのなかには自律神経線維ばかりでなく知覚神経線維も混じていた。またイヌ,ネコの皮質stromaにおけるautomic groudplexusのまわりにはinterstitial cellsの存在が顕著であった。6.ヒト(胎児)の原始卵胞の外膜,ネコ,マウスの二次卵胞,黄体の外膜外層に神経線維が認められたが量は少なく,卵胞,黄体との支配関係は明らかでなかった。7.卵巣内に神経細胞は証明できなかった。
著者
清水 和巳 大和 毅彦 瀋 俊毅 芹澤 成弘 大和 毅彦 渡部 幹 清水 和巳 渡部 幹
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

「社会関係資本の機能と創出」に関して主要な成果を概略的に記す。1. 社会関係資本の尺度として従来、General Social Survey (GSS)のネットワークに関する項目が使用されていたが、この尺度が人々の信頼・協力行動を予測しうるとは言えない。われわれは、ある社会の社会関係資本の水準を測るには、上記のようなデモグラフィックデータだけではなく、実際の行動実験における信頼・協力行動のデータをとり、その二つの関係をしなくてはならないことを示した。例えば、中国の経済発展状況が異なる様々な都市で、公共財実験・信頼ゲーム実験などを行った結果、被験者の信頼・協調が性別や年齢だけではなく、協力行動の有無、リスクや公平に対する選好、他人への期待に影響されることがわかった。2. 信頼に基づく人間の協力行動の生化学的な基礎としてミクログリアが重要あることが示唆された。実験において被験者に脳内免疫細胞であるミクログリアの活性を抑えるミノサイクリンという抗生物質を投与し,他者への信頼が重要となる経済取引実験を行ってもらい,偽薬群と比較したところ,実薬投与群は他者の信頼性判断により敏感になることがわかった。特に、ミクログリアの活性は盲目的な信頼を抑制し、きちんとした判断に基づいた信頼。居力高校を促進する可能性があることが示唆された。3. 囚人のジレンマ・鹿狩りゲームはそれぞれ、協力・協調の失敗を引き起こす状況として広く知られている。われわれは、これらのゲームを繰り返し行う状況下で協力・協調を導くと期待できる三つの仕組み(device)、すなわち、(1)協力・協調の難易度の段階的変化、(2)変化の内生性、(3)目標値の調整、について理論・実験により考察した。その結果、この仕組みが一種の社会関係資本として機能し、人々の協調・協力を促すことが確認された。これらの仕組みは、匿名性の高い現代社会において解決が難しいジレンマ、また、権力の干渉の余地の小さい国家間の問題や個人裁量の範囲内の問題にも適用可能と考えられ、それゆえ外的妥当性が高く、応用範囲も広いと考えられる。
著者
藤田 昌彦
出版者
電気情報通信学会
雑誌
Feed-Forward Associative Learning For Voluntary Movement Control
巻号頁・発行日
2005-07

運動学習理論の新しい枠組みを提案する.随意運動の計画段階では,とくに弾道的な運動では運動実行段階も含めて,視覚系や末梢部からのオンライン・フィードバックに依存しない前向きの情報フローで処理を行うのが主であり,運動- 誤差評価- 修正運動を繰り返して間欠的に学習を進めていると思われる.基本的な考えとして,最初の運動指令が修正運動指令を少しずつ取り込むなら,運動学習はうまく行くはずである.場所符号化された運動指令のユニット群から適切な修正運動ユニットを学習信号が指定し,その修正運動指令の成分を長期減弱の学習機構を通して小脳が皮質下降路や大脳皮質内回路の運動指令に徐々に付与するというフィードフォワード連合学習を提案する.付与する指令が修正運動でなく共同運動であれば階層的な連合学習回路によって運動協調を組織できる.提案する学習の回路と機構に基づいて,眼球運動 saccade における適応を小脳皮質の長期減弱機構で説明する.
著者
藤田 昌彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.1278-1290, 2005-07-01
被引用文献数
2

運動学習理論の新しい枠組みを提案する.随意運動の計画段階では, 特に弾道的な運動では運動実行段階も含めて, 視覚系や末梢部からのオンラインフィードバックに依存しない前向きの情報フローで処理を行うのが主であり, 運動-誤差評価-修正運動を繰り返して間欠的に学習を進めていると思われる.基本的な考えとして, 最初の運動指令が修正運動指令を少しずつ取り込むなら, 運動学習はうまくいくはずである.場所符号化された運動指令のユニット群から適切な修正運動ユニットを学習信号が指定し, その修正運動指令の成分を長期減弱の学習機構を通して小脳が皮質下降路や大脳皮質内回路の運動指令に徐々に付与するというフィードフォワード連合学習を提案する.付与する指令が修正運動でなく共同運動であれば階層的な連合学習回路によって運動協調を組織できる.提案する学習の回路と機構に基づいて, 眼球運動saccadeにおける適応を小脳皮質の長期減弱機構で説明する.
著者
阪井 康友 門間 正彦 山田 哲
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.19-24, 2007-03

脳卒中運動麻痺の回復機序は,神経系リハビリテーションの中で関心を持たれる課題の一つである。本研究は,運動の学習過程に伴う小脳の賦活状況の把握を目的にした。研究方法は,健常者5名を対象に正弦波の手指トラッキング・タスクを連続6日間行った。そのタスクのデータから正確度を算出し,タスク遂行中にfunctional MRIを用いて大脳皮質と小脳の賦活状態を経時的(1,2,5,6日目)に測定した。結果は,全例において,タスク正確度(運動学習)は徐々に高まる傾向を示した。小脳領域の賦活(横断面積)については2日目で急速に賦活部位は縮小し,6日目まで賦活部位の面積は維持されていた。一方,大脳皮質における感覚,感覚連合,運動,運動前,視覚の領域の賦活状態は,1日目より2日目は賦活部位が収縮しており,手指トラッキング運動の学習過程に大脳皮質とともに小脳の関与も考えられた。
著者
中野 寛 末岡 淳男 劉 孝宏 家藤 英世 折居 利昭 中江 貴志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.72, no.720, pp.2373-2381, 2006-08-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 4

This paper deals with the occurrence mechanism of the squeal phenomena generated in a new type of bicycle disk brake unit and its countermeasure experimentally and analytically. It was made clear that squeal was in-plane vibration in the direction of disk surface with frequency 650 Hz caused by frictional characteristics with negative slope with respect to the relative velocity, and was generated in the vibration system including brake unit and spokes, in the same manner of old type of disk brake unit. The countermeasure against squeal by using a dynamic absorber was conducted. The simple analytical model of the bicycle disk brake system was set up. Some features of squeal phenomena and the optimal design of dynamic absorber for quenching squeal were made clear analytically and it was confirmed that the analytical results agreed well with the experimental ones.