著者
西口 克彦 小野 行徳 藤原 聡 猪川 洋 高橋 庸夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.549, pp.23-28, 2006-01-19

MOSFET技術で作製した室温で動作する単一電子転送素子と高感度電荷検出素子の複合デバイスについて報告する.転送素子は直列に接続された2つの細線FETで構成され、各FETを交互に開閉することで単一電子が電子蓄積部へと転送される。ハーフピッチ50nmの作製技術とバイアス条件の最適化により室温での単一電子転送が可能となった.また、微小チャネルを有する電荷検出用FETを電子蓄積部に近接して配置することで単一電子検出が可能となり、室温で0.005e/〓Hz@2Hzという高感度を得ることに成功した。高速な電子転送と長い電子保持を生かした応用例も示す.
著者
森田 直孝 佐藤 ミズキ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-09-18

広帯域ISDN AALに位置する、サービス依存コネクション帯プロトコル(SSCOP/JT-Q2110)のIDLE状態での再送検出機能によって接続が拒否される事態が発生することが明らかになった。その改善案について検討した。
著者
玉木 造 秋山 貴之 岡田 一泰 福興 喜弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06

通信衛星N-STARは, 経済的かつ効率的に高速・広帯域な伝送サービスの提供を目的として, 広帯域かつ高出力なKa帯マルチビームトランスポンタ及び高速スイッチングが可能であるサテライトスイッチを搭載している. NTTではこれらの搭載機器利用を前提とした衛星によるマルチメディアアプリケーション開拓の最初のステップとして, 伝送速度|56Mb/sのKa帯マルチビーム衛星通信方式を開発し, 各種通信アプリケーションに対する適用実験を行っている. 本稿では本システムの伝送特性結果, 実験概要及びこの一例であるファイル転送検証について述べる.
著者
前川 進
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.199-204, 1975
被引用文献数
1

紫外線や光の強さがカーネーションの生育や花色の発現にどのように影響するかを知るために, 'ショッキング・ピンク・シム'及び'イルミネーター'を用いて紫外線吸収フィルムや黒寒冷しや被覆下で実験を行った。1. 被覆フィルムの紫外線透過の良否によって, アントシアン生成量はほとんど影響されなかった。2. 黒寒冷しや被覆による低照度のもとで, 葉, 花弁及で花冠はいずれも小さくなり, 特に, 茎が細くなるのが目立った。3. アントシアン生成量はしゃ光しない高照度下のものに比べ, 低照度のもとで少なかった。その程度は, イルミネーターの場合に著しかった。4. 花弁の表色はアントシアン生成量と関係が深く, 低照度下で退色が認められた。また, 高照度下での花弁は低照度のものよりやや黄色味が強かった。5. 葉ならびに花弁中の直接還元糖, 非還元糖及び粗殿粉含量は低照度のもとでいずれも少なかった。なお, 還元糖は葉より花弁中に多量に含まれた。
著者
浅井 冨雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学環境リモートセンシング研究センター年報
巻号頁・発行日
vol.3, 1998-11

気象学は最近の数十年問にその対象領域が拡大すると共にそれぞれその内容は多様化し著しく進展した。したがって,気象学のどのテーマをとりあげても興味深い今昔物語ができあがる。今回は私の最終講義でもあるので,私自身がこれまで深くかかわり,かつ時宜を得た冬季日本の豪雪に関する研究を歴史的に概観し,特に気象レーダーや気象衛尾によるリモートセンシング技術の果たした役割を強調する。日本は温帯に位置するにもかかわらず世界でも有数の豪雪地帯である。この特徴を(1)豪雪の源である水蒸気がどのようにして大気中へ大量に供給され貯蔵されるのか,(2)貯蔵された大量の水蒸気がどのようにして降雪として解放されるのか。降雪の舞台。背景。(3)降雪がどのようにしてある特定の場所・時間に集中するのか。降雪の局所集中化などの3点に整理して解説する。最後に,局地豪雪の最近の研究成果と話題,すなわち,冬季日本海上に発現する中規模低気圧について,その実態と発生・発達のメカニズムについて論じる。その要点は次の通りである。中規模低気圧の発生には大気下層における水平収束が不可欠であり,日本海西部の収束帯は朝鮮半島北部にある山岳によって形成される。さらに中規模低気圧の形成には海面からの顕熱と潜熱のフラックスが不可欠で,顕熱補給は大気下層を加熱し,対流圏下層を不安定化することで対流を活発にする。収束帯では中規模上昇気流と活発な対流があり,温められた下層の大気は水蒸気と共に対流と中規模の上昇流で上層に運ばれ潜熱の解放と共に対流圏中層を温める。これがひるがえって上昇流に地下水涵養が行われることを明らかにした。
著者
桜井 宏紀 河合 利温 武田 享
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.127-131, 1988-12-25

ナミテントウの休眠の生理的特徴を知るため,飼育個体と野外採集個体について休眠に伴う生理的変化を検討した。飼育個体の観察では,夏期に第1世代成虫の呼吸量は低下するが,生体重の増加と活発な産卵行動がみられたことから,本種は夏眠しないことが確かめられた。一方,冬期には第2世代成虫の呼吸量及び生体重は減少し,生殖活動も全くみられず,成虫は休眠状態に入った。野外採集個体の観察では,第2世代成虫の卵巣は3月まで全く発育がみられなかったが,幼若ホルモン物質を越冬個体に塗布処理したところ,卵巣がただちに発育し産卵がみられた。このことから,本種の冬眠はアラタ体の活性低下に起因する真の休眠であることが示唆された。
著者
松浦 修 山中 武志 福島 久典
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.141-150, 2007-06-25

我々はこれまでに臨床分離のPrevotella intermedia(P.intermedia)のなかに,菌体外多糖(exopoly-saccharide:EPS)を多量に産生して単独でバイオフィルムを形成する株が存在することを明らかにしてきた.また,バイオフィルムを形成するP.intermediaのマウスにおける膿瘍形成誘導能は,非形成株と比較すると100〜1,000倍強いことや,EPS産生に関わる遺伝子発現についても報告してきた.EPS産生性獲得に伴うバイオフィルム形成性は,口腔常在菌であるP.intermediaの病原性を決定する重要な因子であると考えられるが,膿瘍形成誘導との直接的な繋がりについてはいまだ不明である.そこで今回,当研究室で辺縁性歯周炎病巣より分離した,P.intermedia strain OD 1-16よリ分離精製したEPSを用いて,これがヒト貪食細胞に与える影響について検討を試みた.貪食試験には,ヒト単球系細胞であるTHP-1細胞と直径2.0μmのラテックスビーズを用いた.オプソニン化したラテックスビーズを0.5〜2.0mg/mL濃度のEPSでコートし,HP-1細胞の貪食に与える影響を透過型電子顕微鏡にて観察した.THP-1細胞をEPSコート/非コ一トラテックスビーズと共培養したのち,RNAを回収し,純度を確認後,マイクロアレイにアプライし,遺伝子発現の差を検討した.精製したEPSでコートしたラテックスビーズを走査型電子顕微鏡観察し,OD 1-16のバイオフィルムに特徴的な菌体間の網目状構造がラテックスビーズ間にも再現されることを確認した.これをTHP-1細胞に貪食させたところ,EPSが濃度依存的にラテックスビーズの細胞内への取り込みを抑制することが明らかとなった.EPSによる貪食抑制を受けたTHP-1細胞と,活発にビーズを貪食した細胞の遺伝子発現をマイクロアレイ解析したところ,EPSによる貪食抑制を受けた細胞の約140遺伝子で2倍以上の発現上昇がみられた.今回の研究結果より,バイオフィルムを形成するP.intermedia由来のEPSが,ヒト単球系細胞であるTHP-1細胞の異物認識後の捕食を障害し,その遺伝子発現にも影響を与えることが明らかとなった.これらのことから,バイオフィルム形成細菌のEPS産生性は貪食細胞に対する抵抗因子として働き,さらには宿主細胞の動態に影響を与えることで組織侵襲性に関与していることが示唆された.
著者
瀬川 博子 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.1427-1436, 1990

本研究は, theophyllineの長期連用と問題行動との関連について, 5名の難治例を含む気管支喘息児14名と健常児24名を対象として検討した.喘息児群はThophylline内服とcromolyn吸入を3.6±3.8年間併用していた.神経心理学的検査:幼児児童問題行動・性格診断用紙, 小児問題行動調査用紙, caffeine様副作用調査用紙, 不安テスト, 視覚集中力テスト, 内田・クレッペリン精神作業検査, soft neurological signsの検査を1〜12週の間隔をおき施行した.Theophylline投与中, 腹痛や不眠, 途中覚醒などのcaffeine様副作用が児の両親から指摘されたが, theophylline中止により減少した.喘息児群およびそのうち難治例ではクレッペリン精神作業検査の誤謬率が健常児群に比べ有意に高く, 喘息児群はsoft neurological signsに異常を認めた.他のテストは喘息群と対照群の間およびtheophylline中止前後において有意の変化を認めなかった.これらの結果から気管支喘息児の問題行動や学習障害は, theophyllineよりは, 気管支喘息の病因または症状による影響がより大きいと思われる.