著者
伊藤 修 中谷 智良 須藤 晴彦 神崎 克也 渋田 博士
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.195-204, 1995-02-15
被引用文献数
1

オープンショーケースの蒸発器に付着する霜の状態をファジィ推論により推定する方法を開発した。オープンショーケースの蒸発器の除霜制御は真夏時の環境を想定した定時間間隔で行われているのが一般的である。しかし、その着霜量は季節などの外的要因により大きく変化し、従来方法では不必要な除霜操作により庫内温度を上昇させ、商品鮮度の劣化をもたらすなどの問題点を有していた。そこで、我々は蒸発器への霜の付着特性を実験的に解析し、オープンショーケースのインナーダクト内空気温度と蒸発器出口空気温度の差が重要な判断要因となることを解明した。更に、蒸発器への着霜状態を評価するルールを設計した。そして、フィールドテストにより、本方法は着霜状態の通常、異常を明確に評価でき、かつ霜質の変化へも対応可能なことを確認した。
著者
関 友作
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.17-20, 1997-08-20
被引用文献数
13

テキストのレイアウトが, 読み手の内容理解に与える影響を調べた.具体的には, レイアウト手法としての箇条書と, キーワードの強調をとりあげ, それらが内容理解に対して, どのような影響をもつか, 実験により調べた.実験では, 箇条書とキーワード強調の有無で, レイアウトにちがいをもたせたテキストを, 別々の被験者群に読んでもらい, 再生テストにより, 内容の把握を比較した.その結果, キーワードの強調は強調内容の再生を高め, また, 箇条書は, それ以外の内容についての再生を高めることがわかった.つまり, 内容上のポイントを強調すること, 箇条書で文章構造を明確にすることの有効性が, それぞれ確認できた.
著者
角 康之 小川 竜太 堀 浩一 大須賀 節雄 間瀬 健二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.251-260, 1996-02-25
被引用文献数
17

現代社会では, 背景知識の異なる専門家同士が共同作業をする場が増えている. 従って, 人間の共同作業におけるコミュニケーションを支援する方法論やコンピュータシステムを開発することが工学的にも重要な課題となっている. 本論文では, ユーザの思考空間を可視化することによるコミュニケーション支援手法を提案し, それに基づいて試作されたツールCSSを紹介する. 提案する手法は, ユーザの心の中にある概念やそれを構成する概念素の関連性を距離空間に可視化し, 個人若しくはグループにおける概念形成を支援するというものである. 本論文では, 言葉の使い方の個人差や, 個人の主観的見解の相違を顕在化するのに本手法が有効であることを示し, 更に, CSS をグループによるフリーディスカッションに適用した例も紹介する.
著者
山下 雅知 明石 勝也 太田 凡 瀧 健治 瀧野 昌也 寺澤 秀一 林 寛之 本多 英喜 堀 進悟 箕輪 良行 山田 至康 山本 保博
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.416-423, 2008-07-15 (Released:2009-07-25)
参考文献数
17
被引用文献数
9 9

日本救急医学会救急科専門医指定施設に対してアンケート調査を行い,ER型救急医療の実施状況を調査した。408施設中283施設からアンケートの回答が得られ,有効回答は248施設であった(有効回答率88%)。このうち24時間または一部の時間帯でER型救急医療を行っていると回答した施設は150存在した(248施設の60%,24時間82施設,一部の時間帯68施設)。150施設中,救命救急センターは64施設,日本救急医学会指導医指定施設は23施設,大学病院は38施設存在した。150施設の病床数,年間救急患者数,救急搬送患者数の最頻値は,それぞれ501~750床,10,001~20,000人,2,001~4,000人であった。救急医及びER型救急医数は 1 ~16人以上と広い分布を示したが,最頻値はともに 1 ~ 3 人であった。ER型救急医療は,150施設中139施設で初期臨床研修に活用されていた。ER型救急医の後期研修プログラムは68施設で実施され,36施設で準備中であった。24時間ER型救急医療を実施している施設では,一部の時間帯で実施している施設に比して,救急医数・ER型救急医数ともに有意に多かった。以上から,日本救急医学会救急科専門医指定施設の60%でER型救急医療が実施されていること,ER型救急医療を実施している施設において救急医及びER型救急医の人的資源は十分とはいえないこと,が明らかとなった。今後も増加が予想される救急患者に対応するために,救急科専門医及びER型救急医をどのように育成していくかについて,国家的な戦略が必要であると考えられた。
著者
堀 進悟 太田 祥一 大橋 教良 木村 昭夫 河野 寛幸 瀧野 昌也 寺沢 秀一 箕輪 良行 森下 由香 明石 勝也 山本 保博
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.644-651, 2007-09-15 (Released:2009-02-27)
参考文献数
18
被引用文献数
12 12

本邦では, 救急医の業務は主に重症救急患者の入院診療に従事することと考えられてきた。近年, 救急医が重症度に関わらずすべての救急患者を診療するER型救急医療モデル (ER : Emergency Room) が導入されつつあるが, その実施状況が調査されたことはなかった。本研究の目的は, 日本救急医学会ER検討特別委員会のactive member (註) が勤務する施設を対象として, ER型救急医療の実施状況を調査することである。2006年6月にアンケートが60施設に送付され, 28施設から有効回答を得た。ER型救急医療は22施設で行われ, このうち12施設 (55%) では24時間体制で実施されていた。ER型救急医療を実施する施設では, 重症度にはよらず, すべての救急患者を同一の救急室で診療している場合が多かった (17施設, 73%)。これらの施設には, 最頻値で救急医6~10人, ER型救急医1~3人が勤務し, 10~20人の1年次初期臨床研修医が研修中であった。初期研修医の救急医療研修は, すべての施設でER型の救急医療研修が行われていた。ER型救急医の後期臨床研修プログラムを有する施設は7施設, 準備中の施設は11施設存在した。以上から, 本邦において一部の医療施設ではER型救急医療が実施されていること, 及び救急医の人的資源が十分ではないことが明らかとなった。註 : ER特別検討委員会はER型救急医療の普及啓蒙を活動目標とするため, 委員のみによる活動推進は困難である。このためactive memberを募り, 活動に参加している。本研究実施時のactive memberは86人であった。
著者
木村 孝之 白木 広光
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.99-107, 2004-01-01

We propose a new interline CCD (IL-CCD) image sensor which combines buried photodiodes and CCD registers driven through a barrier (DTB-CCD). The performance of the image sensor was simulated by three-dimensional numerical analyses, emphasizing on dark current and charge capacity. It was clarified that highly biased electrodes of the DTB-CCD absorbed most of the generation-recombination (g-r) currents at Si-SiO_2 interfaces beneath their electrodes and also the currents between electrodes with low biases and electrodes with high biases. The g-r currents were reduced by several orders at the interface under electodes with low biases, because holes were introduced under the interface. Most of the reduced g-r currents are also absorbed into their respective electrodes. However, a small part of the g-r currents generated at the above three interfaces flew into a channel, going over the potential barrier between the bottom of the SiO_2 layer and channel, to become a dark current. When the barrier height was increased, dark currents were significantly reduced. Therefore, the IL-CCD image sensor enables a device with very few dark currents. When a 8.3μm(H)×12μm(V) pixel includes two photodiodes and four transfer electrodes was used, more than 4.5〜5.0×10^4 electrons were transferred from photodiodes to CCD registers by 0V to 9.5V and -5.8 to 0V transfer pulses. Additionally, 4.0×10^4 electrons were transferred in the CCD by -5.8V to 0V amplitude using conventional 4-phase driving pulses.
著者
三好 克彦 山本 強 永山 隆繁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1829-1843, 1993-08-15
被引用文献数
7

北海道大学は、1989年より3か年計画でキャンパスLAN HINES(ハイネス)の構築を行った。ハイネスは、北海道大学における情報のインフラストラクチャとして位置付けて、教育研究のみならず、大学事務のOA化にも利用できるものとして計画された。大学に存在しているあらゆる種類の計算機を接続できるよう、マルチプロトコルを採用し計算機相互の接続とともに、電子メール等のサービス機能と、イメージ系の相互交信を可能とする基本的概念を具現した。基幹ネットワークとしてFDDI規格の双対モードの光ファイバを4リング張り巡らし、各部局はイーサネットで接続している。キャンパスで多数使われているパソコン等も、RS232Cで接続できるようにして、誰でもが使いやすい環境を実現した。函館にある水産学部との間は、高速ディジタル回纏で接続し、全学の一体化に大きく貢献している。さらにネットワーク管理の省力化を図るため、ハイネス全体の管理を1か所で行えるよう、新たに開発した集合分散管理方式を使用している。アドレス管理は、1992年4月から学術情報 ネットワークの一つとしてインタネット・バックボーンが動き出したので、世界と共通の墓盤なので重要である。このため、独特な簡単で確実なアドレス管理方式を考え出し、効果を上げている。
著者
Iwata Giiti
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大學自然科學報告 (ISSN:00298190)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.17-28, 1979-07

A simple cubic lattice Green function and its associate functions are grouped into avector. A differential equation for the vector is derived and studied. The same process is repeated on anisotropic lattice Green functions.
著者
向阪 信一 洞口 公俊 齋藤 直樹 上條 和彦 黒越 治 村上 克介
出版者
一般社団法人照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.90, no.11, pp.808-815, 2006-11-01
被引用文献数
6

For stable mass production of vegetable seedlings with good quality, a commercial greenhouse nursery needs a supplemental lighting system that is not affected by light fluctuations under natural solar conditions. Therefore, a practical plant nursery covering a 12 ×24 m area, and using a supplemental lighting system, was developed for the growth of vegetable seedlings. The developed lighting system had 400-W mercury-free, high pressure sodium lamps with reflectors, which produced a red radiation to far-red radiation photon flux(R/FR PF)ratio of 1.1. This is similar to that of solar radiation. And over about 60 µml m-2 s-1 of PPFD was realized for stable and healthy gronth of vegetable seedlings. By using a simulation model of horizontal distribution of PPFD on two cultivation beds(each bed area: 4.6 × 22.6 m) under 100lamps, it was found that the system had high uniformity of lighting on the two beds. Observed value of illulninance and PPFD and unifomity also satisfied the planned specifications. By repeating a seedling growth experiment using various plants in this greenhouse,it is expected that the practical and effective use of this supplemental lighting system will be possible in rainy seasons or in the late winter period.
著者
高原 弘造
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.3, no.32, pp.129-137, 1889-08-28
著者
仁井田 孝春 村井 達生
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 = Chemical education (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.716-717, 1996-11-20
参考文献数
2
著者
Sinsuat Marodina Shimamura Ichiro Kubo Mitsuru Kawata Yoshiki Niki Noboru Kakinuma Ryutaro Kaneko Masahiro Eguchi Kenji Ohmatsu Hironobu Tominaga Keigo Moriyama Noriyuki
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.226, pp.1-4, 2006-08-26

近年開発されたマルチスライスヘリカルCTは、従来のヘリカルCTと違い1回のスキャンで複数枚のCT画像を得ることができる.そのため同じスキャン時間でも従来に比べて多くの画像が得られ、スライス間隔の小さい鮮明な画像が得られることとなった.スライス間隔が小さくなることにより異常陰影がより鮮明に写ると考えられ、専門医による読影に関しても診断能が向上することが期待できる.そこで、本報告では同一の被験者から得られた2mm厚と10mm厚のマルチスライスCT画像を読影医が合議制による読影実験を行った結果について報告する.読影実験の条件は、被検者数360人、撮影期間2000年9月〜2001年9月、読影医は国立がんセンターの医師6名である.
著者
菅家 和雄 カンケ カズオ KANKE Kazuo
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.17, pp.63-77, 2008-09

近年多くの論文で相関係数が時変動しない仮定が棄却されている結果が示されている。このような中、従来より相関係数が時変動するモデルは数多く提案されているものの、強い制約条件が付加されている場合や推定しなければならないパラメーター数が多くなる等の問題点があった。Engle(2002)等はこのような問題点をある程度軽減したDynamicConditional Correlation (DCC)モデルを考案し、その後もDCC モデルを対象とした研究が徐々に増加している。一方でポートフォリオを考えた場合、市場を観察すると、しばしば個別要因リターンを打ち消す以上の大きな市場要因リターンが発生すると、非常に多くの資産が一斉に同方向へ変動し、個々の資産の変動の相関が高まる場面が見られる。そこで本稿ではDCC モデルに同方向へ変動する資産数を組み込み、東証業種別株価指数を用いて実証検証を行い、代表的なDCC モデルと比較したところ、対数尤度等において改善が見られた。