著者
半田 正夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.254-259, 1995-06-01
被引用文献数
3

マルチメディアと著作権の関連を検討するにあたっては,(1)マルチメディア・ソフトを製作する際に素材として利用する既存の著作物の権利処理の問題と,(2)製作されたマルチメディア・ソフトを利用する際における著作権法との関わりの問題との2つに分けることが必要である。前者については,膨大な素材情報を的確に把握し権利処理を容易にするため,権利の集中処理権構の設立が急務であるし,後者については,ソフトの特質である編集・加工との関連で同一性保持権との抵触をどうするかの解決が必要であると同時に,来るべきマルチメディア時代に対応するため,アナログ方式の機器を前提として作られている現行の著作権法の大幅な手直しが必要となろう。
著者
伊藤 繁 津久井 寛
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.423-435, 1992-07-31
被引用文献数
1

畑作物共済は1979年から本格実施されたが,当初の引受率は共済組合,農協,役場などの組織的対応や制度運用上の問題点によって規定されていた。また地域によっては,作付け構成や畑作部門の経営にしめる比重が異なるが,これらの要因も共済加入率に影響を及ぼしていたとみられる。さらに1980,81,83年の冷害をきっかけとして加入率は上昇したが,近年では,当初の組織的対応による過剰保険を調整するような動きも出てきている。この動きは長期的にも短期的にもリスク水準に対する反応で,次第に畑作物共済の収益と費用との関係を意識した保険需要行動がとられるようになったとみられる。また,小麦を含めた作物共済の所得補償は被害の大きい地域では広範な農家に及んでいた。ここではこれを支払共済金の分布に注目して,とくに対象期間中最大の被害年でありまた1960年代の大凶作年に匹敵する1983年について,地域レベルの支払共済金の平均値では捉えられない側面を明らかにした。
著者
新関 三希代
出版者
同志社大学
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.373-401, 2006-12

本論は、日経225株価指数、及び追加型株式投資信託の日次データを用いて、価格収益率とボラティリティの関係について実証分析を行っている。危険資産のリターンが負の場合は、正の場合に比べてそのリスクが大きいという負の因果性が見られるか否か、ノンパラメトリックな回帰分析を用いて実証するとともに、その理論的分析をプロスペクト理論を用いて行っている。結果、日本の株式インッデクス、及びインデックス連動型の投資信託にはこの負の因果性が見られ、プロスペクト理論における価値関数がその投資家行動を説明しうることを示した。しかし、分配回数の多い人気投資信託や収益性を重視した投資信託には両者の明確な因果性が見られず、特に、前者はリターンの大きさに関係なく、低いリスク水準を一定に保っていることがわかった。これは、分配型投資信託が人気商品になっている要因の一つであると考えられる。
著者
佐藤 誠
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, 2001-11-01

強化学習は意思決定方法(政策)を獲得するための機械学習の枠組みであり, 環境モデルを想定した学習理論に裏付けられている点が特徴の一つである.しかし, これまでの強化学習手法は政策評価規範として利得の期待値しか利用していないという問題点があった.一般にマルコフ決定過程などの環境モデルにおいて得られる利得は確率変数であるため, 利得確率分布の情報を最大限に利用することで, より洗練された政策の獲得が期待できる.そこで本論文では, 利得のばらつきを考慮した強化学習の枠組みを提案することを目的とし, 与えられたリスク水準に応じて利得のばらつきを抑えつつ報酬を最大化する学習アルゴリズムを提供している.1章と2章では, 研究の背景と目的について述べた後, 対象とするマルコフ決定過程, 政策評価規範として採用するvariance pena1ized(VP)規範, および, VP規範を用いた場合の決定問題の性質をまとめ, 本研究の接近法について論じている.3章では, 無限期問の割引総報酬最大化と無限期間の平均報酬最大化の枠組みにおいて, VP規範に基づいた勾配定理と, 勾配推定に必要なVa1ue関数の再帰的方程式を導出している.4章では, 利得の分散を推定するためのTD法の収束性を示した後, 3章で導いた勾配定理を利用した新しい学習アルゴリズムを提案している.5章〜7章では, 提案したアルゴリズムを機械整備問題, 通信ネットワーク制御問題, および, 金融商品取引問題にそれぞれ適用している.
著者
伊藤直己 中田 豊久 三浦 元喜 西本 一志 國藤 進
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.30, pp.31-36, 2005-03-17
参考文献数
9
被引用文献数
2

本研究では,共通の興味を持っていながら,時間や場所が異なっているためにコミュニケーションに至らないような,非同期環境におけるインフォーマルコミュニケーションを支援するために,「らくがき」のメタファを拡張したコミュニケーション支援システムを提案する.本システムは,携帯情報端末(PDA)とRFIDシステムを組み合わせ,モノ(実世界オブジェクト)の様々な部分に対して仮想的な「らくがき」を行うことを可能とすることによって,実世界オブジェクトを介したコミュニケーションを実現しようとするシステムである.評価実験の結果,ある特定の実世界オブジェクトについて,部分を特定した書き込みを行うことが効果的であることを確認した.In this study, we propose a communication medium for facilitating informal communications in an asynchronous environment. It is often observed that people who have same interests cannot mutually communicate because they are not be present in a certain place together. To facilitate their having communications, we construct a communication medium that exploits good features of "graffiti." This medium allows people to mutually communicate through virtual scribbles on real-world objects by using PDAs and RFIDs. As a result of experiments, we confirmed that the usefulness of the medium when, in particular, people discuss on specific parts of a certain type of real-world objects.
著者
木村 祐哉 山内 かおり
巻号頁・発行日
2009-07-26

背景: 一般に医療従事者は過度なストレスに曝されていることが知られており、獣医療に従事する者もまたその例外ではないと考えられる。このような過度のストレス暴露を受けることにより、うつに代表されるような、心身に及ぶ種々の問題が生じる可能性が示唆されているが、演者らの知る限り、動物看護職におけるストレスに関する調査はこれまでに報告されていない。そこで本研究では、動物看護職の中でもうつなどの問題が実在していることを確認し、労働環境などのストレス要因との関連を述べることを目的として、質問紙による調査を試みた。 対象と方法: 本調査は動物看護師を対象とし、2008年10月27日~2009年3月10日に実施した。調査対象者は、動物看護職向けのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)であるAniProを通じてウェブ上のアンケートフォームに回答するように求めるか、それを印刷した物を演者らの知人に配布することによって募集した。質問内容には性別や年齢などのプロフィールを問う項目、想定される19種のストレス因子への暴露の有無を問う項目(表)、産業衛生領域におけるうつのスクリーニングツールとして作成された心と身体の健康調査表(STPH)の簡易版であるSTPH-15(カットオフ値7/8点)を含み、さらにその他のストレス因子について自由な記述を求めた。回収された質問紙はまず単純集計し、STPH-15の値に基づいて「うつ群」と「非うつ群」を区別した。さらに、プロフィールやストレス因子への暴露の有無によって、STPH-15の値に差があるかどうか統計学的に解析した。処理には無料で入手可能な統計パッケージであるR version 2.8.1を用い、連続変数の値をとるものはSpearman順位相関係数、離散変数の値をとるものはWilcoxon順位和検定による解析を実施した。なお、回答内容に欠損値(無回答)が含まれるものについては、集計から除外した。 結果: 現役の動物看護師32名の回答が得られた。そのうち欠損値のあった1名を除外すると、女性が30人を占め、男性は1名だった。平均年齢は27.9歳で、未婚者が24名、既婚者は7名だった。勤続年数は平均6.1年、1日の勤務時間は平均10.7時間だった。STPH-15が陽性となり、うつであることが疑われるのは31名中15名だった(46.8%)。統計学的解析では、STPH-15の値は年齢、勤続年数、勤務時間との間に相関を認めず、既婚者は未婚者よりも有意に陽性者が多かった(P=0.03)。その他には、現在の自分が理想の動物看護師像そのものであると感じられなければ、STPH-15の得点が高かった(P=0.01)。自由記述では、ストレスの原因として将来への不安、家庭生活との両立の困難、同僚との接し方に関する悩みなどが挙げられた。 考察: STPH-15を用いることにより、調査対象に偏りのある恐れはあるものの、うつに悩む動物看護師が確かに存在することが示唆された。こうしたうつの傾向は、結婚している、あるいは動物看護師としての理想と現実に差異のある者に強く表れていることが明らかになった。自由記述からの示唆も踏まえると、将来性も考慮に入れた労働条件やワーク・ライフ・バランスの改善は、動物病院経営における今後の大きな課題となるであろう。また、理想と現実との差異は、ある面においては雇用者-被雇用者間で動物看護に対する認識が異なることに起因していると考えられ、旧来の就職活動における両者のマッチングの不備を示唆するものである。こうした点については、動物看護師を養成する側からも対策を考慮していく必要があるであろう。 今後の展望: 本調査において検討したストレス因子は探索的研究によって導き出されたものではなく、未だ不十分と考えるべきであり、より適切な因子を抽出するための質的な研究が求められるであろう。その上で、対象の偏りがないように配慮した拡大調査を進め、動物看護職における労働条件の改善に取り組むことが重要である。
著者
堤 拓哉 高橋 章弘 千葉 隆弘 苫米地 司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.72, no.613, pp.29-34, 2007
被引用文献数
4 2

Snowdrift formation on and around buildings can be serious problems in snowy cold region. The planning of buildings in such areas should consider the position of snowdrifts. A wind tunnel experiment using model snow is a useful tool for estimating snow accumulation on building. However, the law of similarity for this experiment has not been revealed. In this study, the authors have been investigated the effects of turbulence intensity on snowdrift. We carried out wind tunnel experiments using model snow particle under the different turbulence intensity of air flows. Snowdrifts on the leeward of the snow fence were compared under the several conditions.
著者
白倉 卓夫 田村 耕成
出版者
The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.121-126, 1995-02
被引用文献数
2

Effect of carbon dioxide bath on cardiovascular functions and peripheral circulation were studied using a new system of carbon dioxide bath. The subjects consisted of 13 males and 17 females, ranging from 50 to 84 years old, 67.4±8.3 in average, having the complaints resulting mainly from arteriosclerosis such as coldness on extremities or exertional pains of lower extremities. Each subject took a bath in plain water (PW) on the first experimental day and then a bath in carbon dioxide (CO<sub>2</sub>) at the same time on the second experimental day. Both baths were done for 10min. at 39°C of water temperature. The results obtained were as follows.<br>1) Mean blood pressure (MBP) was elevating during bath and lowered below prebath level immediately after bath in both PW and CO<sub>2</sub> groups. However, MBP in CO<sub>2</sub> group was lower significantly (p<0.05) than in PW group 20 and 30min after bath.<br>2) Both body and skin temperatures were similarly elevated at all points to be measured directly after bath, and then lowerd gradually thereafter. There was no significance in changes between both groups.<br>4) An increase in cutaneous blood flow was observed at the same grade in both groups during and after bath, though no showing significant difference between both groups.<br>5) PO<sub>2</sub> in venous blood increased after bath, while PCO<sub>2</sub> decreased. However, no significant difference in these changes was observed between both groups.<br>6) Tendency to increase in CV R-R was observed during and after bath, though no significant difference was showed between both groups.<br>7) Relating to the feeling to bath, all subjects had the feeling of "warmness" at the beginning of bath and also of comfortableness during and after bath in both PW and CO<sub>2</sub> groups. However, there was no difference in the intensity of these feelings between both groups.<br>8) No side reaction due to an inhalation of carbon dioxide during bath was observed in all subjects.<br>From these results, it is expected that a new carbon dioxide bath results in benefit for patients with disturbance of peripheral circulation.
著者
中村 哲 花沢 利行 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.942-949, 1989-12-01
被引用文献数
4

本論文では、筆者らがすでに提案した話者適応化アルゴリズムをHMM音韻認識に適用する。HMMに適用する際には、動的特徴を考慮したセパレートベクトル量子化、ファジィベクトル量子化、ファジィヒストグラム、ファジィマッピングを用いる。更に、HMMとの効率的な整合のために、対応づけヒストグラムを標準話者のファジィ級関数としてファジィHMMを計算する話者適応アルゴリズムを用いる。音韻バランス216単語、重要語5,240単語を用いて有声破裂音/b,d,g/及び全音韻の音韻認識実験を男女計3名の話者について行った結果、次の事柄が確かめられた。(1)動的特徴を考慮したセパレートベクトル量子化を用いることにより有声破裂音の認識率が6.4%改善できる、(2)ファジィベクトル量子化を用いることにより有声破裂音の認識率が3.4%改善できる、(3)ファジィヒストグラムを用いることにより話者適応化の学習に必要な単語数を100単語から25単語に削減しても認識率の低下を0.4%に抑えられる。また、有声破裂音の認識率は、男性間で83.1%、男女間で76.5%で、従来法[M.Feng et al. ICASSP 88]との比較では11.7%の認識率の改善となること、全音韻の認識では、男性間で75.6%、男女間で71.8%で、上位3位までの累積認識率では、男性間、男女間いずれの場合にも約91%を達成できることが分かった。
著者
深井 俊夫 黒田 潤 小西 正隆 野村 太郎 宇野 潤 赤尾 三太郎 来栖 恵二
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.40, pp.461-466, 1998-08-31

Bacillus polymyxa L-1129 produced a new peptide antibiotic complex, named LI-Fs, composed of more than ten components. In this reports we will describes the isolation, structure elucidation and biological activity of each components, LI-F03a, LI-F03b, LI-F04a, Li-F04b, LI-F05a, LI-F05b, LI-F06a, LI-F06b, LI-F07a, LIF07b, LIF08a and LIF08b. These antibiotics were active against gram positive bacteria, mycobacteria and wide range of fungi and yeast, but not for gram negative bacteria. The antibiotic complex LI-Fs (400mg) was isolated from 10 liters fermentation broth using several kind of column chromatography. HPLC analysis showed that the complex was composed of at least 12 components. The components were isolated by HPLC, and the structures of each components were determined by 1D and 2D NMR and MS spectra coupled with amino acid analyses to be hexadepsipeptide containing 15-guanidino-3-hydroxypentadecanoic acid as side chain. The structure of LI-F05a was identified to be a cyclohexadepsipeptide [L-thr(1)-D-val(2)-L-Ile(3)-D-allo Thr(4)-D-Asn(5)-D-Ala(6)] and LI-F05b was identified as an isomer of LI-F05a that was replaced the Asn residue in LI-F05b with Gln, similar pairs were also found in other components, (LI-F06a-LI-F06b, LI-F07a-LI-F07b, LI-F08a-LI-F08b) (Fig. 4). Four amino acids; L-Thr(1); D-Ala(6); D-Asn(5) or D-Gln(5); D-allo Thr(4) and one side chain were commonly found in the LI-Fs antibiotics. Thus, these moieties seems to be fundamental for biological activity of LI-Fs antibiotics.
著者
Koike Akira Hoshimoto Masayo Tajima Akihiko Nagayama Osamu Yamaguchi Kaori Goda Ayumi Yamashita Takeshi Sagara Koichi Itoh Haruki Aizawa Tadanori
出版者
社団法人日本循環器学会
雑誌
Circulation journal : official journal of the Japanese Circulation Society (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.1457-1461, 2006-10-20
被引用文献数
6 20

Background In a recent study the indexes of cerebral oxygenation decreased during maximal exercise in nearly half of all patients with left ventricular dysfunction. Whether these levels decrease severely enough to influence mental status or level of consciousness was evaluated in the present study. Methods and Results Forty-two patients with idiopathic dilated cardiomyopathy (IDC) and 29 healthy subjects underwent a symptom-limited maximal exercise test. The cerebral oxyhemoglobin (O_2Hb) and tissue oxygenation index (TOI) were continuously monitored using near-infrared spectroscopy. The changes in O_2Hb and TOI were also measured in 7 subjects: 2 who experienced episodes of reduced consciousness caused by sudden decreases in blood pressure during exercise recovery and 5 who exhibited sustained ventricular tachycardia during an electrophysiological study. The change in cerebral O_2Hb during exercise in patients with IDC averaged 0.38±3.39μmol/L, significantly lower than in the normal subjects (4.30±4.47μmol/L, p<0.0001). The cerebral O_2Hb decreased during exercise in 18 of 42 patients with IDC. The change in cerebral TOI in the IDC patients during exercise was significantly less than that in the normal subjects (-2.0±4.7 vs 2.1±5.8%, p=0.002). The mean decreases in cerebral O_2Hb and TOI were -5.34μmol/L and -9.7%, respectively, in the patients with reduced consciousness during exercise recovery, and -2.52μmol/L and -16.5%, respectively, in those with ventricular tachycardia. Conclusion The indexes of cerebral oxygenation may drop severely enough during maximal exercise in some patients with severe IDC that consciousness is affected.
著者
清水 紀雄 浅見 重幸 小林 保 田子 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.93, no.291, pp.59-66, 1993-10-22
被引用文献数
2

事務所などでのパーソナルコンピュータ、ワークステーション、およびそれらを相互に接続するローカルエリアネットワークの普及に伴って、無線LANの導入の要望が強くなっている。これに対応するために、2.4GHz帯スペクトル拡散無線LANシステム(無線LANアダプタ)を開発した。これは、無線リモートデータリンクブリッジとして動作し、コンピュータとはIEEE802.3標準規格(イーサネット)で接続する。この方式の無線LANは実装が容易で、2台のPCから大規模なLANにまで対応できる。室内での無線データ通信の課題、多重アクセスプロトコル、シミュレーションによる評価、および試作結果等について報告する。
著者
栗畑 博幸 高橋 友和 目加田 慶人 井手 一郎 村瀬 洋 玉津 幸政 宮原 孝行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.674, pp.55-60, 2006-03-10

本報告では車載カメラ映像から雨天時に現れる画像特徴を抽出し,それを用いた状況別降雨認識手法を提案する.車載カメラを用いた運転支援技術の一環として,撮影時刻や降雨量の異なる様々な状況において天候,特に降雨の認識を試みる.具体的にはフロントガラスに付着した雨滴により変化する画像特徴を,昼夜の状況に適した方法を用いて検出することによって降雨の認識を行う.昼間の映像の場合には,様々な形状の雨滴画像から主成分分析を用いてテンプレートを作成し,テンプレートマッチングにより雨滴を検出する.我々はこれまで画像中の空領域からの雨滴検出手法を提案してきたが,本報告では入力画像を複数フレームにわたって平均化することで,画像全体からの安定した雨滴検出を行う手法を提案する.また雨滴検出結果をフレーム間で照合することで,より精度の高い雨滴検出が期待される.夜間の映像の場合には,雨滴による散乱光を定量化する.撮影時刻や降雨量の異なる実映像を用いて実験を行った結果,昼間の場合,画像全体から適合率0.97,再現率0.51と,従来と同程度の検出精度が得られた.また夜間の場合,83%の降雨判定成功率が得られた.これらのことから提案手法の有効性を確認した.