著者
河合 康 Yasushi Kawai
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.75-86, 2009-02

本稿では,近年のグローバリゼーションの流れの中で,国際的に関心が高まっている国際教育協力について,障害児教育分野に焦点を当てて検討した。その結果,障害児教育分野における国際教育協力は理数科教育などに比べて遅れがみられる分野であるとされてきたが,21世紀に入り,拠点システム構築事業,国際協力イニシアチブなどの政府レベルでの活動によって,その裾野が広がりつつあることが明らかにされた。特に,協働授業研究,青年海外協力隊派遣現職教員への支援及び関連情報の整備・管理において進展が認められることが指摘された。今後の方向性としては,初期条件の検討とマッチング,学校現場に密着した国際教育協力の展開,通常教育との相違点の認識,留学生受け入れ施策の強化,などの必要性が提言された。
著者
高市 真一
出版者
北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.347-353, 2009-03-31

光合成生物にとってカロテノイドの存在は必須であり,多種多様なカロテノイドがある.光合成生物の分類群ごとに特有なカロテノイドもある.本章ではカロテノイドの抽出,精製,同定などの方法を解説する.
著者
福井 沙羅
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.85-97, 2017-12

2017 年8月6日から10 月1日の間,「芸術祭ってなんだ?─ガラクタの星座たち」というテーマのもと,札幌市内を中心に約44 の会場を設置し札幌国際芸術祭2017(Sapporo International Art Festival 2017,以下,SIAF2017)が開催された.「SIAF2017」は,近年急激に増え続けている「○○芸術祭」といった地域名を冠した芸術祭の中では比較的歴史が浅く,2014 年より数えてこれが2回目の開催となる.ゲストディレクターに大友良英氏を迎え,彼を含む数名で構成された「バンドメンバー」たる企画運営チームが,各展示を運営していく構成であった.サウンドインスタレーションやパフォーマンス,一回性重視のイベントといったテンポラリーな性質を持つ作品が比較的多数を占めたが,それ以外にも重要なプロジェクトや興味深い試みも行われており,今回の報告では,「SIAF2017」で我々は何を見たのか(あるいは「SIAF2017」が何を提示したのか)ということを主軸に,大友氏が投げかけた問いへの応答に注目しつつ芸術祭を振り返る.その際,会期中にボランティアや様々な形で外部から芸術祭に関わった執筆者自身の見聞きした情報や,企画者への取材内容等を素材とし,三つの軸から具体的にいくつかの作品とプロジェクトを挙げて報告していく.
著者
小松 賢志
出版者
富山大学水素同位体機能研究センター
雑誌
富山大学水素同位体機能研究センター研究報告 (ISSN:09168486)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.13-25, 1997

Since tritium is an emitter of weak β-ray (5.7keV) and is able to bind to DNA, i.e., the most important genome component, the biological effects should be expected to be more profound than that of X-rays and γ-rays. When carcinogenesis, genetic effects and the detriments for fetus and embryo were used as a biological endpoint, most of tritium RBE (relative biological effectiveness) ranged from 1 to 2. The tritium risk is man could be calculated from these RBEs andγ-ray risk from human exposure, which are obtained mainly from the data on Atomic Bomb survivors. However, the exposure modality from environmental tritium should be a chronic irradiation with ultra low dose rate or a fractionated irradiation. We must estimate the tritium effect in man based on biological experiments alone, due to lack of such epidemiological data. Low dose rate experiment should be always accompanied by the statistical problem of data, since their biological effects are fairy low, and they should involve a possible repair system, such as adaptive response (or hormesis effect) and “Kada effect” observed in bacteria. Here we discuss future works for the tritium assessment in man, such as (1) developing a high radiation sensitive assay system with rodent hybrid cells containing a single human chromosome and also (2) study on mammal DNA repair at molecular levels using a radiosensitive disease, Nijmegen Breakage Syndrome.
著者
木村 雅昭
出版者
京都産業大学法学会
雑誌
産大法学 (ISSN:02863782)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.271-300, 2012-11

第一章 イギリスの膨張と植民地第二章 インドへの途(以上本号)第三章 帝国主義とその黄昏第四章 インドからの撤退第五章 帝国の解体とその遺産
著者
木村 雅昭
出版者
京都産業大学法学会
雑誌
産大法学 (ISSN:02863782)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.381-420, 2012-12

第一章 イギリスの膨張と植民地第二章 インドへの道(以上46巻号)第三章 帝国主義とその黄昏第四章 インドからの撤退第五章 帝国の解体とその遺産
著者
大山 隆子 大山 隆子
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.135-155, 2017-11-29

接続助詞「し」の規範的用法は「並列」を表し「この町は自然が多いし,きれいだし,便利だ。」のような使用である。しかし,最近,若者を中心に「きれいだし。」のように「従属節し。」のみで終わる使用が観察される。このような従属節のみで終わる現象は白川(2009)では,「言いさし」の現象と呼ん でいる。これらの「し」は,先行研究で述べられている「し」の用法の中の「婉曲的用法」とは異なり,話し手の強い伝達態度を表す機能を持つものと考えられる。本稿では,先ず「し」の統語的特徴について述べ,次に「し」の語用論的機能について考察する。また「し」と出現位置が似ている終助詞の「よ」と接続助詞の「から」が談話の中でどのような語用論的機能を持つのか比較分析する。 考察の結果としては,「し」は「理由」となるものが複数存在する時は「~し~し~。」と「並列」を表し,また「~し,(~,~)」のように「非並列」の場合は,複数の理由の存在を暗示できる。また「理由」を(実は)一つしか持たない場合は,「~し。」の形で打ち止め,あたかも理由が複数あるかの ように示す談話効果を持つと考えられる。 また「し」,「よ」,「から」は談話標識として「発話する情報についての話者自身の伝達上の態度を示す」機能を持つと考えられる。「し」は「発話内容については判断済みの態度であり,「聞き手への受容要求」については,考慮しないが,効果を示せる。聞き手あるいは,周りと同一認識状況では使用しにくい。反論に使用できる。」などの特徴があると考えられる。 また比較対象とした終助詞「よ」の機能を分析すると,その違いは大きいと言える。「よ」はもともと終助詞であり,「聞き手との関係において」用いられるが,「し」は「変更の可能性がない結論を聞き手に表明する態度である」と言える。「よ」はまた,談話管理は話し手が行い,相手と話す態度を残している。「聞き手への受容要求」があり,聞き手あるいは,周りとの同一認識状況でも使用できる。 次に接続助詞「から」との比較であるが,二つは同じ接続助詞の種類であるが,「から」は「論理関係標示接続」であり,「し」は「事実関係認識標示接続」である。この違いから,「から」は前件で確実な根拠・理由となり得るものを挙げ,後件での行動を促す機能を持つ。一方「し」は論理関係ではなく,話し手が認識した事実をつなぐものである。「言いさし」になっても,これらは二つの違いとなって表れているものと考える。
著者
許 海華
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.297-318, 2011-04

While Japan at the end of the Edo period revised their national seclusion system and started to set forward with internationally opening policy, it was the training of translators to communicate at practical negotiations with foreign countries that was most urgently required. In the case of To tsuji 唐通事, Chinese translators at Nagasaki during the Edo period, some of the youths transferred themselves to be in charge of two languages, from solo translation for Chinese to translation for both Chinese and English. They later became very active in the frontlines for diplomacy, education and translation because of their English abilities during the periods from the end of the Edo to Meiji era. One of the typical examples was Ga Noriyuki. Ga Noriyuki was the person who flourished as a liege of Tokugawa Shogunate, a bureaucrat, an educator as well as a translator, who had been working as a Chinese translator at Nagasaki. It was his mastering English which brought him a great turning point for his life. This paper examines historical backgrouds and progress for Ga Noriyuki's mastering English from the view point of the alteration of To tsuji at Nagasaki during the periods from the end of the Edo to Meiji era, through full survey on articles on his carrers.
著者
中西 聡
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.281-298, 1997-09