著者
井谷 泰彦
出版者
日本国際教育学会
雑誌
国際教育 (ISSN:09185364)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.54-63, 2012 (Released:2020-07-31)

This paper aims to deepen historical understanding of the Okinawan identity through a study of the dialect punishment board (hogen fuda). Up until 1879, in Okinawa, ordinary people used the Ryukyuan language. In the Ryukyu Islands, people in different groups had different dialects. The difference between their dialects was very wide compared with dialects in mainland Japan. In the Meiji period, the Japanese national government started teaching standard Japanese all over Japan including Okinawa in order to establish a unified language in their attempt to modernize the nation. It was linked with other policies of the government such as developing national wealth, strengthening the military and educating the masses as subjects of the Emperor. Meanwhile, Okinawan people, afraid of discrimination, wanted their own unified language. Because discrimination was often caused by differences of dialect, they wanted to communicate to other people without a language barrier. In schools and some village communities in Okinawa, the dialect punishment board (hogen fuda) was made for every classroom and some community centers. Students had to wear it around their necks if they spoke in dialect. The tag was handed over to other students who spoke in their dialect. The method was common under the Customary Law of Okinawan Villages. Though this method of language enforcement led to the repression of Okinawan culture and language, it was never official government policy. Certainly, standard Japanese was forced on Okinawan people in prewar times by the prefectural government. However, popular opinion supported enforcement of the use of standard Japanese as a way to adapt to the new era. The dialect punishment board continued to be used in Okinawa even after the war until around the 1970s. They chose the standard Japanese of their own will during the postwar period. After reversion in 1972, the use of standard Japanese rapidly spread among ordinary people due to wide exposure to television, freedom to travel to and from mainland Japan and the development of tourism. As a result, the young generation born after reversion can rarely speak dialects.
著者
山口 真也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.566-571, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)

本稿は,読書通帳サービスでの貸出記録の取扱について,個人情報保護,または「図書館の自由」との関わりから論じることを目的としている。読書通帳サービスには,履歴を残したいというニーズと図書館の理念との対立を解決する方法として評価できる面もあるが,これまでの貸出記録の利活用議論を生かしていない部分もあるように思われる。以上の問題意識の下で,導入事例のリソースや通帳の記載項目の分析,導入館への取材等をもとに課題を検討した結果,①通帳サーバーでの貸出記録の保有期間の短縮化,②選択的記帳機能の追加,③通帳上での貸出記録の保有期間や個人情報の管理責任に関する説明の記載,④価格欄の必要性の再検討,を提案した。

30 0 0 0 OA 多聞院日記

著者
英俊 [等著]
出版者
三教書院
巻号頁・発行日
vol.第2巻(巻12-巻23), 1939

30 0 0 0 OA 日本紳士録

著者
交詢社 編
出版者
交詢社
巻号頁・発行日
vol.35版, 1931
著者
中川 晋一 八尾 武憲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.633-640, 2009-07-15

私(中川)が2008年の10月13日に心筋梗塞を発症して4月で6カ月が経過した.幸運にも心臓カテーテルで処置のできる医療機関がいくつもある東京都の市部で,休日の午後8時前後という最も人的リソースのある時間帯で発症したため,難を逃れることができた.錆びついてはいるが10年ほど前まで,医師として救命救急の最前線での業務をこなしていたこともあり,知識のまったくない一般人ではなかったこともリテラシーとして役立った.しかし,意識下で情報通信の研究者として経験したことは,インターネットを用いた遠隔医療に関する技術開発1),2)を行ってきた者として,最近若干感じていたネットワーク技術や今回のライフログなどの関連技術が,いかに「研究者寄り」のものであり,急激に発症した一患者の生命を救うためには無力なものであるかを実感させた.今回のライフログ特集に寄せて,患者経験のある医師免許を持つ情報処理研究者として感じた経験を述べ,ライフログの実用化について検討したい.
著者
黒川 一郎 鶴田 大輔
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.9, pp.1855-1861, 2011-08-20 (Released:2014-11-13)

酒さは臨床症状,合併症の有無によって4段階の重症度に分類され,それぞれの段階に応じた治療が行われる.今回,酒さ・酒さ様皮膚炎について,最近の知見を含め,定義,疫学,病因,誘因,病理組織学的所見,治療について概説する.両疾患ともに臨床症状が進行しないように早期の段階から迅速に適切な治療を開始することが肝要である.
著者
多田 正和 伊藤 邦夫 齋藤 稔 森 也寸志 福桝 純平 中田 和義
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.I_179-I_187, 2019 (Released:2019-07-19)
参考文献数
16

ナゴヤダルマガエルの越冬場所に影響を及ぼす環境要因の解明を目的として, 岡山県倉敷市内で本種が高密度に生息する地区の慣行水田と休耕田の各1筆で野外調査を実施した.その結果, 越冬個体の大半(35個体中34個体)が休耕田で確認された.越冬個体の在/不在(1/0)を目的変数, 各コドラートのカバー率・草高・土壌pH・体積含水率・間隙率・土壌硬度を説明変数として一般化線形モデル(GLM)により解析した結果, 土壌硬度・カバー率・草高の二乗項が最良モデルで選択され, 土壌硬度には有意な負の効果が認められた.水田で本種の越冬場所を創出する上では, 土壌硬度と田面の植物の存在が重要になると考えられた.
著者
鈴木 彰
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.54-65, 2003-07-10 (Released:2017-08-01)

中世社会における家意識を探ろうとするとき、重代の武具の相伝・伝来に伴う精神性の分析は不可欠なものである。本稿では、未だ本格的な検討の進んでいない中世刀剣伝書をとりあげ、源家重代の太刀「鬚切」に関する諸説の基盤や分布状況、その内容的特徴などを分析し、その上で、軍記物語に現れる「鬚切」関連叙述との関係や、同説に付随する家意識が、物語再生の過程でいかなる作用や表現効果を生みだしているかについて検討した。
著者
大橋 香奈 加藤 文俊
出版者
日本生活学会
雑誌
生活学論叢 (ISSN:24332933)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.31-43, 2015 (Released:2021-05-14)
参考文献数
25

This paper aims to give a detailed description of how people maintain a relationship of ‘family’ in everyday life. It has been said for a long time that ‘family’ became diverse. Previous research has shown that ‘family’ is strongly interrelated with media. Among others, we focused on social media that have more and more users in recent years. We conducted in-depth interviews with young women who are active users of social media. Based on ideas of life history method, we used usage history of social media as a kind of life documents in interviews. This enabled us to give a detailed description of a few but diverse cases. A series of social media practices is described, using a “case example-code matrix” based on interview data. The interviewees handle various social media function skillfully and do interaction rituals towards their ‘family’ based on keitai literacy acquired while they were teenagers. Having these skills, they hold the strategic high ground in relationship with parent generation in social media. Their everyday lives are intricately-linked with a set of smartphone and social media. It is difficult to ignore social media, if we are to know how they maintain a relationship of ‘family’.
著者
菅瀬 晶子 Akiko Sugase
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.619-652, 2016-03-31

歴史的にパレスチナと呼ばれてきた地域に建国されたユダヤ人国家イスラエルには,2 割程度のアラブ人市民が居住し,そのうち約8%をキリスト教徒が占めている。ユダヤ教徒やムスリムとは異なり,食の禁忌を持たない彼らは豚肉を食し,この地における豚肉生産・消費・流通をほぼ独占している。そのいっぽうで,豚肉食に嫌悪感を示すキリスト教徒もすくなくはない。聞き取り調査の内容からは,彼らの豚肉食嫌悪は比較的最近生じた傾向であることがわかる。そこにはムスリムやユダヤ教徒の価値観の影響もみられるが,もっとも大きな影響をおよぼしたのはイスラエルによるアラブ人市民に対する政策である。本来豚肉食は,キリスト教徒の主たる生業である農業と密接にかかわっていたが,軍政による農業の衰退や,豚肉食と密接にかかわっていた野豚猟の事実上の非合法化により,キリスト教徒の豚肉食観は大きく変化した。宗教的アイデンティティの根幹に深いかかわりを持っていた豚肉食への嫌悪感の増大は,キリスト教徒としての宗教的アイデンティティの損失をあらわしているといえる。
著者
不二門 尚
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.19-22, 2011 (Released:2019-11-22)
参考文献数
9
被引用文献数
1

3D映像を見ているときの輻湊と調節の関係を,両眼同時に測定できる波面センサーを用いて測定すると,Step状に飛び出しの3D映像を提示した場合には,調節は一過的に近視化した後,また画面上に戻り,輻湊と調節が解離することが示された。3D映像4時間視聴後の視機能の変化を118名の正常被検者で検討すると,一過的な近視化,縮瞳,内斜傾向が有意に認められ,副交感神経系優位の変化と考えられた。立体視の感受性期は6歳くらいまでであることが報告されている。3D映像は,両眼の像を偏光眼鏡または液晶シャッター眼鏡で分離する方法をとっているため,両眼視が不安定な小児に対しては,慎重な対応が必要である。
著者
加藤 哲夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.821-825, 2006-05-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
2

細胞外液中の主要な陽イオンはナトリウムであり体内の総ナトリウムの増減は細胞外液の増減を意味する. ナトリウム濃度の調節は腎におけるナトリウムの水の調節によってほとんど決定されており, 高ナトリウム血症はナトリウムよりもむしろ水の調節異常と理解するほうが実際的である. 低ナトリウム血症は, 絶対的なナトリウム欠乏の場合と, 相対的な水の過剰の場合がある. 治療に当たっては病態の正確な理解が必要不可欠である.

30 0 0 0 OA 〔江戸切絵図〕

著者
景山致恭,戸松昌訓,井山能知//編
出版者
尾張屋清七
巻号頁・発行日
1849

嘉永年間刊行図を中心とする尾張屋板江戸切絵図28図。嘉永年間の26図揃のうち「小石川絵図」を欠く25図と、安政3年新刻の「根岸谷中辺絵図」「隅田川向島絵図」の2図、および文久2年に「四谷絵図」を分割して刊行された「内藤新宿千駄谷辺図」よりなる。尾張屋板は嘉永板26枚揃、これに安政刊の「根岸谷中辺絵図」「隅田川向島絵図」が加わり、嘉永刊記の大部分を安政4年刊に統一して計28図、文久年間に「築地八丁堀日本橋南絵図」が「京橋南築地絵図」「霊岸島八丁堀日本橋南絵図」の2枚に分割改板され、「内藤新宿千駄ヶ谷絵図」「八丁堀細見絵図」の新刊があって、文久3年、尾張屋板31枚の揃いが完成する。「八丁堀細見絵図」は別扱いになる場合も多い。武家、寺社、町家、川・堀・海、山林・原・土手などを色分けし、 上・中・下屋敷、木戸など記号であらわす。多色、寺社の絵画的表現など錦絵風の親しみやすさで広く用いられた。