著者
小山 裕己 坂本 大介 五十嵐 健夫
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1_63-1_77, 2016-01-26 (Released:2016-03-26)

視覚的なデジタルコンテンツの編集,例えば写真の色補正などにおいて,パラメタ調整は最も基本的な作業の1つであるが,特に調整すべきパラメタが多数ある場合には,デザイン空間,すなわちパラメタ空間を探索することに多くの時間と労力が必要となる.このようなパラメタ調整に基づく視覚デザインの探索を支援するため,本論文ではまず,パラメタ空間を解析することでデザインの「良し悪し」の空間分布を推定する手法を提案する.この推定はクラウドソーシングを用いたヒューマンコンピュテーションによって生成されるデータをもとに行われ,この推定の結果,ユーザはgoodness functionと呼ばれる,パラメタ空間中の任意のデザインに対してその「良し悪し」の程度を計算する関数を得ることができる.本論文では更に,そのようにして得られるgoodness functionを利用した視覚デザイン探索支援のための2 つの新しいユーザインタフェースを提案する.(1) Smart Suggestion は比較的「良い」デザインを選択的に提示する機能である.(2) VisOpt Slider は「良し悪し」の分布を対話的に可視化(Vis:visualization)する機能を有するスライダであり,更にユーザが値を編集している最中により「良い」パラメタへと対話的に最適化(Opt: optimization)する機能も有する.また,本論文では提案手法を4つの異なるデザイン領域に適用した結果も報告する.
著者
宮下 敏恵 門前 進
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.87-94, 2001-06-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
42

The purpose of this study was to examine the effects of negative-sentence suggestions on various behavior. From the standpoint of the logic of negation, Miyashita (1998a, 1999) investigated the characteristics of feelings, sensations, and behavior. The results suggested that negative-sentence suggestions had more affirmative effects on mono-dimensional behavior than on mufti-dimensional behavior. The present study examined this hypothesis. A total of 36 subjects (18 males, 18 females, mean age=23.22, SD=3.41) participated in the experiment. Subjects were given suggestions related to either mono-dimensional behavior or mufti-dimensional behavior in negativesentence form. An example of a suggestion related to mono-dimensional behavior would be “Your body does not move backwards”, while an example for mufti-dimensional behavior would be “Your body does not move.” Body sway was then measured. Results showed that negative-sentence suggestions had more affirmative effects on mono-dimensional behavior than on mufti-dimensional behavior. The hypothesis proposed by previous studies was supported.
著者
石塚 庸三 今井 久雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-7, 1992-01-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16

X線写真用定着廃液中の銀は, ビス (チオスルファト) 銀 (I) 酸イオンの形で溶解している。本報では, これらの廃液から銀を回収するために, 過酸化水素法, 電解法, 銅板浸漬法により, 所定条件下における析出物を得て, それらの組成形態について比較検討した。析出物は, 過酸化水素法, 電解法では硫化銀, 銅板浸漬法では銀単体と微量の酸化銅 (I) として同定された。過酸化水素法では, 廃液中に存在するS2O32-および [Ag (S2O3) 2] 3-量に与える過酸化水素の添加量の影響を, それぞれの析出物の組成形態 (Ag/S: モル比) をもとに検討した。理論量の過酸化水素を添加して生成する析出物には, 廃液中の銀がほぼ完全に含まれ, 回収されることが見い出された。硫化銀を直接水素処理 (300~700℃, 3h) しても銀単体は得られない。硫化銀を, 硝酸溶液 (1: 1) ついで塩化ナトリウム溶液で処理をして得られた塩化銀からは, その融点 (455℃) 付近で水素処理 (400℃, 3h) すると, ほぼ純粋な銀の単体が回収された。
著者
原田 留美 Harada Rumi
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.25-33, 2015-03

A recently-published textbook for teaching Japanese in Japanese elementary schools contains the myth of the "Conquest of Yamata-no-Orochi" as retold by Ryo Kisaka, based on the classical myth in the Kojiki. The present paper compares this retelling with other versions found in picture books for children as well as with the original Kojiki version, in order to elucidate the elementsdesigned to make it more interesting to elementary-school-age children. First, it was found that the Kisaka version begins in a way that disconnects the narrative almost completely from the contents of the section immediately preceding it, thereby facilitating the enjoyment of an independent story. Also for this purpose, a description of the offering of the Kusanagi Sword to the goddess Amaterasu-O-Mikami is entirely omitted. Furthermore, there is a blurring of the distinction between the high status of Susano-no-Mikoto (who descends from the heavenly realms called Takama-no-Hara), and the lower one of Ashinazuchi (who merely dwells upon the earth). Other elements include the omission of graphic details involved in the conquest of Yamata-no-Orochi, simplifying and softening the effect for children. Overall, the adaptations in the retelling therefore made the myth more accessible and enjoyable for young readers, while nevertheless remaining faithful to the original Kojiki version.学校図書から発行されている小学校国語科教科書には、きさかりょうによるヤマタノヲロチ退治神話の再話作品が採用されている。古事記の神話を基にしているこの作品では、子ども達に親しみやすい作品となるよう、どのような工夫がなされているかについて明らかにするために、古事記ならびに他の絵本作品と比較した。その結果、独立した物語として親しめるよう、前段との繋がりに極力触れない書き出しになっており、それに対応して、草薙剣 (くさなぎのつるぎ) のアマテラスオオミカミへの献上の下りが省かれている、高天 (たかま) の原から降りてきたスサノオノミコトと地上世界の神であるアシナヅチとの間に明確な階層差を設けていない、グロテスクな描写を省きオロチ退治の場面の描き方をあっさり描くにとどめている等の特徴があることが分かった。原典に寄り添いつつ、幼い読み手にとって親しみやすい再話となるよう工夫されている作品であると言える。
著者
森岡 一樹 深井 克彦 大橋 誠一 坂本 研一 津田 知幸 吉田 和生
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.653-658, 2008-07-25
被引用文献数
1 14

口蹄疫ウイルスO/JPN/2000株のウイルス中に明らかに異なる2種類のタイプのウイルスが存在していた.一つはブラック形成能の著しく弱いSmall plaque virus(SPV)で,もう一つが大きいプラックを形成するLarge plaque virus(LPV)であった.プラック形成能に相反して一段増殖試験およびCPE形成能においてはSPVの方がやや優れていた.また, O/JPN/2000株に対するモノクローナル抗体を作製し, SPVおよびLPVに対してスクリーニングをおこなった結果,ウイルス中和試験および免疫染色においてSPVのみを識別することができた. SPVおよびLPVの遺伝子解析の結果, VP2の133番目とVP3の56番目のアミノ酸に相違がみられた.それぞれSPVはAsnとArg, LPVはAspとHisであった.乳飲みマウスに対する病原性はLPVのLD_<50>が10^2以下であったのに対しSPVでは10^5以上であった.これらの結果よりSPVの病原性は著しく低いことが推測された.またVP3の56番目アミノ酸に関してHisからArgへの変化は細胞馴化ウイルスで報告されていることから, O/JPN/2000株が典型的な症状を示さなかった一つの要因とも考えられる.
著者
真喜屋 力
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.31-34, 2019-01-07 (Released:2019-02-18)
参考文献数
2

沖縄アーカイブ研究所では、沖縄県内の市井の人々の所有する8mmフィルムを収集、保存、公開する事業を行っている。2年間で83時間分の映像を収集し、CC-BYによって公開している。さらに、インターネットでの配信を始め、上映会、テレビ番組、アートなどとのコラボを積極的に展開し、認知度を高めると同時に新たな収集活動などに取り組んでいる。これまでの2年間の活動を振り返り、8mmフィルムの持つ資料としての重要性を改めて確認できたこと、フィルムのアーカイブ化を上映会や放送につなげることでその映像のメタデータをより豊かなものにし、新たな映像の発掘・収集に繋がってきたことを報告する。
著者
瀧端 真理子
出版者
追手門学院大学
雑誌
追手門学院大学心理学部紀要 (ISSN:18813097)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.13-31, 2016-03-01

博物館 / 入館料 / 無料 / ミュ-ジアム / 博物館法 / 図書館 / 図書館法
著者
山本 俊幸 大槻 マミ太郎 佐野 栄紀 森田 明理 奥山 隆平 五十嵐 敦之 川田 暁
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.128, no.13, pp.2835-2841, 2018-12-20 (Released:2018-12-20)
参考文献数
14

日本乾癬学会による,3年間の乾癬性関節炎疫学調査の結果をまとめた.本邦患者の臨床的特徴は,1)男性が女性の2倍弱多い,2)乾癬発症の平均年齢は30歳代後半,関節炎は40歳代後半,3)乾癬のタイプは尋常性(局面型)が9割以上,4)関節炎のタイプは,多関節炎型かDIP型が多い,5)乾癬の家族歴は5~7%程度,6)付着部炎は2割強,7)指趾炎は6割前後に認められる,などであった.生物学的製剤による治療は,約半数に導入されていたが,中止または他剤へのスイッチ例も15~20%強に認められた.爪病変,併存症,職業についても合わせて調査した.
著者
北村 昌幸 Masayuki Kitamura
出版者
関西学院大学人文学会
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.45-65, 2010-05